Hidizs MS2

こんにちは。今回は 「Hidizs MS2」(Mermaid MS2)です。カラフルなシェルデザインを採用した「Mermaid MSシリーズ」の1BA+1DDハイブリッドモデルですね。中国のオーディオブランド「Hidizs」は個人的にはかなり初期にDAP製品などを購入していましたが最近はちょっと疎遠でしたね。ちょうど同社のイヤホン等に興味があったところでHidizs社より直接サンプル品の提供をいただく機会があり、今回のレビューとなりました。個人的には「Hidizs MS2」は結構気に入った製品ということもあり、色違いを追加購入しています。
「Hidizs」というと比較的コンパクトなDAP(デジタルオーディオプレーヤー)が知られるブランドですがイヤホンもこれまでに数種類の製品があり、多少マイナーながら実は結構評価が高かったりもします。今回紹介する「Hidizs MS2」は1BA+1DD構成の2ドライバーハイブリッド構成のモデルになります(発売当初は「Hidizs Mermaid MS2」という表記もありましたが、本レビューでは「Hidizs MS2」で統一しています)。
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Hidizs MS2」は、「(Mermaid) MS1」の上位モデルとしてリリースされた、10.2mmサイズのチタンコート振動版二重磁気回路ダイナミックドライバーとKnowles製「RAD-33518」バランスド・アーマチュア(BA)ドライバーによるハイブリッドモデルです。ダイナミックドライバー部はHidizs社自身の開発による二重磁気回路(デュアルボイスコイルとデュアルボイスチャンバー)を搭載。そして中華ハイブリッドのなかでもミドルグレード以上の製品ではお馴染みで音質面でも定評のある「RAD-33518」を採用しています。また「Hidizs MS2」では各ドライバーの出力制御にAVXコンデンサを採用し、高音質化を図っています。
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本体はカラフルな植物由来の軽量樹脂ボディと蓄光フェイスプレートを使用。ケーブルは4芯タイプの高純度銀メッキ線および高純度銅線によるミックス線ケーブルが付属。またメタルプレートをあしらった丈夫な収納ボックスが付属するなどアクセサリーも充実しています。
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Hidizs MS2」のカラーバリエーションは「ブラック」「グリーン」「ブルー」「パープル」「レッド」の5色。購入はAliExpressの「Hidizs Offical Store」またはアマゾンの「HIDIZS JP」にて(どちらもHidizs社直営店となります)。価格はAliExpressが98ドル、アマゾンが9,999円(プライム扱い)です。通常はアマゾンで購入すれば問題ないでしょう。
AliExpress(Hidizs Offical Store): Hidizs MS2
Amazon.co.jp(HIDIZS JP): Hidizs MS2


■ 植物由来の樹脂素材を使用したカラフルな軽量ハウジング

余談ですが、Hidizs製品というと日本ではサポート面でネガティブな評判の多い某代理店の取扱いで心配される方も多いそうですが、アマゾンで販売されているHidizs製品はHidizs社から直接販売されているようです。
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Hidizs MS2」のパッケージはキューブ型のボックスで内容はイヤホン本体、ケーブル、イヤーピースは開口部が大きいタイプ・小さいタイプでそれぞれS/M/Lサイズ、ハードケース、説明書、保証カードなど。
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今回サンプル提供を受けたのはブラックで、その後パープルを個人的に購入しています。カラーモデルは鮮やかなカラーリングでとても綺麗ですね。フェイス部分のラメ部分がキラキラ輝いています。パープル以外のカラーも同様な感じだと思います。いっぽうのブラックは本体色に影響されないためか、光の角度によりラメ部分が7色に輝きとてもカラフルです。どちらのカラーも良いですね。
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シェルサイズはKZやTFZなどの製品と比べるとひとまわり小振りな印象。金属製のステムノズルはやや太いですが装着性は良好です。コネクタ部分はフラットでケーブル側のコネクタと本体側の楕円形の突起部が同じ大きさで接合する感じ。カバーで覆うタイプではありません。そのためリケーブルはCIEM 2pinまたは中華2pinが選択できますね。
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ケーブルは銀メッキ線2芯と高純度銅線2芯のミックス4芯タイプ。左右に分けて2芯ごとに被膜で覆われています。プラグや分岐部分は金属製で高級感がありますね。細めのケーブルで適度に柔らかく取り回しは良好です。
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イヤーピースは開口部の大きいタイプ、小さいタイプで各サイズが付属します。付属品のほか、よりフィット感を高めるために定番のJVC「スパイラルドット」やAcoustune「AET07」などに交換するのも良いでしょう。
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ケースは厚みのあるプラスチック製で上面部は金属プレートが貼り付けられ高級感があります。また内側はふた部分もケース部分もラバー素材で覆われており十分な大きさでイヤホンをしっかり収納できます。


■ ニュートラルでバランスが良く、明るく元気で爽快感のあるサウンド

Hidizs MS2Hidizs MS2」の音質傾向は明るく鮮やかさを感じる印象でサウンドバランスはフラット寄りの弱ドンシャリ。比較的ニュートラルで滑らかな印象がながら高域の伸びや低域のレスポンスなどは楽しさもあります。刺激などは適度にコントロールされていますが全体的に明るくドライな音色ということもあり再生環境によってはシャリつくような感じを持つ方もあるかもしれません。またインピーダンス18Ω、感度112dB/mWと比較的反応が良く敏感なイヤホンのため、小型プレーヤーなどの再生環境ではホワイトノイズが発生する場合もあるようです。ある程度S/Nが高く駆動力のあるDAPやアンプ等での利用が推奨ですね。開封直後でも十分に高音質でしたが、エージングは100時間程度行っています。

このような環境下で「Hidizs MS2」は非常にバランスが良く、使いやすいイヤホンのひとつだと感じました。ニュートラルながら明るく元気な印象は個人的にはとても好みのサウンドです。高域は非常にスムーズに伸び、癖の無いニュートラルな印象ながら十分な主張のある中音域、高いレスポンスにより力強さと臨場感のある低域があり、それぞれの音域は滑らかに分離します。派手さやキレ重視ではありませんが、明瞭かつサッパリした音色で爽快感があります。

Hidizs MS2Hidizs MS2」の高域は明るく伸びやかさのある音を鳴らします。Knowles製BAによる金属質でドライな印象もありますがよくコントロールされており、刺激を抑えつつ籠もりや抜けの悪さは感じないチューニングです。もちろん鋭い音はそれなりの鋭さも感じますので、再生環境による違いや好みなどもあますが曲によってはキツく感じる方もいらっしゃるかも。逆にあまり高出力ではないプレーヤーで高域が後ろに下がるような場合は、より情報量の多いケーブルにリケーブルするのも良いと思います。

中音域は非常にニュートラルで癖の無い音を鳴らします。高域同様にドライな音ですが極端に派手になることは無く、滑らかなつながりとダイレクト感のある音で明瞭に鳴らす印象。女性ボーカルの高音の抜けは良く直線的です。男性ボーカルは曲によっては多少さっぱりした印象になりますが、適度に広く定位する音場感で余韻なども違和感なく楽しめます。いっぽうで音場は広さに対して奥行きはやや浅くボーカル帯域は近めに定位するなど、最近のポップスなどを想定したイマドキのチューニングさも感じます。

Hidizs MS2低域はミッドベースを中心に存在感と力強さがあります。レスポンスは早く締まりも良いため、音数の多い曲でも楽しめるパフォーマンスの高さがあります。中高域との分離は良く爽快さのあるサウンドです。スピード感のある曲でもしっかりと中高域を下支えしてくれます。いっぽうで力強さもあり、十分な量感で臨場感のあるサウンドを演出します。重低音についても十分な沈み込みとレスポンスの良さがあります。ただし質感や解像感は一般的で僅かに粗さを感じる部分もあります。ただし特に重低音、サブベースの質感についてはイヤーピースなどにより多少変化するようです。
Hidizs MS2」はポップス、ロック、アニソンなどのボーカル曲を中心にさまざまな曲で相性の良さがあります。いっぽうでキレや派手さを求める方には滑らかすぎますし、逆に深みや厚みを求める方には多少ドライすぎると感じるかもしれませんね。

Hidizs MS2全体的に「Hidizs MS2」は、KZやTRNなどの派手さのある中華ハイブリッドとは一線を画するニュートラルなサウンドバランスながら、元気さと爽快さがあり、様々なジャンルの曲をとても楽しく聴くことが出来ます。モニター的なサウンドとも、メリハリ重視のドンシャリ系とも異なる、非常に心地よいリスニングサウンドです。また2pin仕様のケーブルによりリケーブルも可能ですので、様々なケーブルで変化を楽しむのも良いと思います。情報量が向上することで音場感や低域の質感などの変化を実感できるのも良いと思います。

というわけで、「Hidizs MS2」は音質傾向的に思いのほか楽しめるイヤホンでした。プラスチック感のあるデザインで1万円というプライス感が少し気になるものの(「植物由来」だぜー、エコだぜー、SDGsだぜー、と思うとちょっとだけ印象変わるかも)、製品としては結構良いイヤホンだと思います。個人的には2種類のカラバリを入手しましたので、片方はTWSアダプタでワイヤレス化して使おうかな、と思っています(^^)。