AirPlay to Mac

こんにちは。今回は「Apple Music」ネタです。
スピーカー派の「ソファからの操作でUSB-DACにつないだApple Musicロスレス/ハイレゾ環境を無劣化&高音質で鳴らしたい」というかねてからの要望に「いかにもAppleらしい手法」で対応したらしい、という内容になります(^^)。

音楽配信サービス「Apple Music」は、2021年6月にもロスレス/ハイレゾ対応を発表し、その後Appleらしいスケールメリットを活かした凄まじい勢いで音源の対応を進めたことで、気がつけば競合サービスと比較して「マニア向け」としても定番となった気がします。そうなるとスピーカーによる据置き環境でも「Apple Music」を鳴らしたいと思うのは当然の流れですが、これがなかなか「決め手」に欠ける状況でした。しかし昨年秋の「macOS Monterey」(モントレー)のリリースにより状況に変化があったようです。というわけで、今回はこれまで試した方法も含めて紹介していきたいと思います。

(振り返り①) 「Apple Music」のロスレス/ハイレゾ化ついて

まず最初に「Apple Music」の現在のサービス状況について振り返ります。すでに周知されている部分ですので既にサービスを活用されている方は読み飛ばしていただければと思います。

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Apple Music」はその名の通りAppleが提供する音楽配信サービスで日本でも「Spotify」「Amazon Music Unlimited」などと並んでメジャーなサービスですね。また2021年6月にサービス内でロスレス/ハイレゾ化を日本でも米国とほぼ同じタイミングで発表し、日本でのロスレス/ハイレゾ配信で先行していた「Amazon Music HD」を一気に巻き返すことになります(その後「Amazon Music HD」は「Amazon Music Unlimited」に統合)。
過去記事: 「Apple Music」 ロスレス/ハイレゾ化&空間オーディオ対応開始。現在の対応状況、音質、空間オーディオの活用方法等の個人的まとめ。※ 6月9日版

現在「Apple Music」のロスレス/ハイレゾ配信はiPhone/iPadとMacの標準「Music」アプリおよびAndroidデバイス用の「Apple Music」アプリで対応します(Web版「Apple Music」およびWindows用「iTunes」アプリケーションは未対応)。

もともと9000万曲の圧倒的な配信数を持っていた「Apple Music」でのインパクトは大きく、また2021年末までに主要な配信曲の多くがロスレスまたはハイレゾ化し、特にAndroid版のリリースでDAP(デジタルオーディオプレーヤー)等にもインストールできるようになったことから、私のブログをご覧頂いているマニアの再生環境も一気に配信を中心にシフトしたのではないかと思います。


(振り返り②) 「Apple Music」ロスレス/ハイレゾ配信の最適なプラットフォームは?

以前「Amazon Music HD」(現在は「Amazon Music Unlimited」に統合)のサービス開始時にプラットフォームごとの対応状況を検証しましたが、その際も「iPhone/iPad」および「Mac」が結局手っ取り早く、Windowsは「WASAPI」による制御が問題になりました(その後「排他モード」が追加されますがやはりWindowsよりMac環境のほうが同じUSB-DACを経由しても音が良いようです)。またAndroidスマートフォンは「SRC」の制約があり、SRC回避処理を施されているAndroid系OS搭載DAPでの利用が最終的には望ましい、という状況が続いています。

「Apple Music」についてはWindows版「iTunes」アプリはロスレス/ハイレゾ配信以前から「排他モード」を持っているものの、現在もハイレゾ対応はしておらず、Android環境でもSRC回避しているDAP以外では「Amazon Music」アプリ同様にスマートフォンではSRCの制約を受けます。

Apple Musicこれに対して、Apple製のiPhone/iPad(iOS/iPadOS)およびMac(macOS)では「CoreAudio」というASIOに近い仕組みを採用しており、もともと音質面での影響を受けにくい仕様になっています。そのため、iPhone/iPadであればUSB-DACを接続すれば特に設定をしなくてもハイレゾ出力できますし、Macも「Apple MIDI設定」で接続したUSB-DACの上限ビットレート/周波数を設定することでハイレゾ出力が行われます。同じAppleのサービスだから、という理由もありますが、競合する「Amazon Music」アプリでも同様の方法で利用でき、やはりハイレゾ配信用再生環境としての優位性は明白ですね。

そのため、「Apple Music」のロスレス/ハイレゾ配信に最適なポータブルオーディオ環境としては、「SRC回避されたAndroid系OS搭載のハイレゾDAP」の利用か、「iPhone+ハイレゾDAC搭載ポータブルアンプ  or オーディオアダプターの組み合わせ」がベストに近い、というのが現状だろう思います。


■「Apple Music」ロスレス/ハイレゾ配信を据置き環境で利用する

「Apple Music」を据置き環境、特にスピーカーで鳴らすシチュエーションでも基本的にはポータブルオーディオと同じ考え方で、iPhone/iPadやMacなどをUSB-DACに接続し、アンプを経由してスピーカーで出力すれば可能です。上記の組み合わせでいうと、ポータブルオーディオがiPhone+DAC/ポタアンだったのに対し、Mac+USB-DAC/据置きオーディオという方向性になりますね。ただ、スピーカー環境の場合、例えばリビングやリスニングルームのソファからプレーヤーを操作したい、というというニーズが発生します。これはなかなか難しい問題です。昨年の段階でいろいろ試した上での使用感をまとめてみます。


①  Bluetooth接続(LDAC等ハイレゾコーデック使用)
Apple Music (LDAC)おそらくもっとも手軽で、据置きUSB-DACやアンプ製品でもBluetooth対応が増えていることから、もっとも利用者の多い方法です。24bit/96kHz対応のLDACコーデックなどを使用すればハイレゾ対応だからいいんじゃないの、という考え方ですね。
しかし、ハイレゾ対応の有無にかかわらず、Bluetooth接続のコーデックはすべて「不可逆性圧縮」を行うため、どれだけ「Apple Music」側が「ロスレス」でもBluetoothで送る時点で「Bluetoothコーデックの圧縮音源(ロス有り)」になります。手軽ですがワイヤレスイヤホンと同様の「割り切り」が必要ですね。


② AirPlay(Apple TVなど)、Chromecast接続
Apple Music (AirPlay)次にWi-Fiを使用する「AirPlay」と「Chromecast」です。「AirPlay」では対応機器への送信の場合、オーディオは24bit/48kHzの「ALAC」(Apple Lossless Audio Codec)というロスレスコーデックで圧縮し転送するため、仕様上の周波数上限を超えなければ音質劣化は起きないとされています。しかし、基本「Apple Music」のロスレス/ハイレゾ化以前に作られた規格、ということもあり、現在販売されているレシーバー製品では「Apple Music」のロスレス/ハイレゾ配信には対応しません。これは最新の「Apple TV 4K」も例外では無く、配信先で「AirPlay」デバイスを選んだ時点で通常のAAC音源(「ロスレス」や「ハイレゾロスレス」の表記が消える)になります。
※ただし、次項で記載の通り「macOS Monterey」がインストールされた対応機種のMacへの「AirPlay」配信ではロスレス/ハイレゾ配信が可能になりました。

いっぽうAndroid版「Apple Music」が対応する「Chromecast」ですが、こちらは「キャスト」すると実際の通信は「Chromecast」デバイスが行い、Android端末側は操作指示のみを遠隔で行う仕組みとなっています。そのためロスレス配信は構造的に「Chromecast」デバイス自体が対応している必要があることになります(現在までの製品は対応していません)。そのため「Apple Music」も「Amazon Music」アプリも「キャスト」した時点で通常の圧縮音源での再生に切り替わります。


③ USB-DAC/オーディオに接続した「Apple Music」再生環境を遠隔操作する
ワイヤレスキーボードそうなると、結局これがいちばん手っ取り早い、ということになりそうなのが「遠隔操作」ですね。
再生環境のMacなどをTV画面などに映している場合はBluetoothキーボード/パッドなどを使用して文字通り離れて操作する、という方法もあるでしょう。また再生環境がMacBookだったり、iPadなどのタブレットだったりする場合は、「VNC」などの画面共有アプリや「Splashtop」「TeamViewer」などの遠隔操作アプリを操作用のスマホやタブレットにインストールして、ホスト側のUSB-DACが接続されたMac等を遠隔操作する、というパターンになります。私自身はつい先日までこの方法をとっていましたが、これはこれでなかなか面倒ではありますね。


■「macOS Monterey」より「AirPlay to Mac」でロスレス/ハイレゾ再生が可能に。

macOS MontereyMacユーザー以外の方はあまり気にされていないかもしれませんが、昨年後半にMac用「macOS」が「macOS Monterey」(モントレー)にバージョンアップしました。
Macユーザーで新バージョンの対応機種を持っている方ならシステムアップデートで無償でアップデートできるわけですが、リリース後すぐにアップデートされる方、アプリや周辺機器などの対応や、細かいアップデートを確認してから「そろそろいいかな」という感じでアップデートされる方などさまざまなパターンがあると思います。私も数台のMacを使用していますが、インストールしているウイルス対策ソフトの対応状況などを確認して年末年始でアップデートを行いました。

実は「macOS Monterey」での機能強化のひとつにAirPlay to Mac」(MacでのAirPlay再生)というものがあります。この機能は利用できる機種が限られるものの、他のMacやiPhone/iPadから「AirPlay」の配信先に「機能を有効にしたMac」が選べることを意味します。Appleの「macOS Monterey」の記載によると、
「AirPlayのためのスピーカー」
これからはMacをAirPlayのスピーカーとして使えるので、ほかのデバイスで再生している音楽やPodcastを原音に忠実なサウンドで楽しめます。サブスピーカーとして活用すれば、マルチルームオーディオも構成できます。
と記載されています。わざわざ「原音に忠実なサウンド」と書いているところがポイントです。コレは試してみるしかありませんね。ただ、実はこの機能、利用できるのは「2018年モデル以降のMacに限られる」というなかなかの制約があります。
MacBook Pro(2018以降)、MacBook Air(2018以降)、iMac(2019以降)、iMac Pro(2017)、Mac mini(2020以降)、Mac Pro(2019)、iPhone 7以降、iPad Pro(第2世代以降)、iPad Air(第3世代以降)、iPad(第6世代以降)、iPad mini(第5世代以降)で利用できます。共有環境設定で「AirPlayを許可」を「全員」または「同じネットワーク上の全員」に設定した状態で、古いモデルのiPhone、iPad、Macから対応するMacモデルにコンテンツを共有すると、解像度が低下する場合があります。
私の場合、オーディオ環境には以前使用していた「MacBook Pro(Early 2015)」をUSB-DACに接続して使っていたのですが、残念ながら対象外です(涙)。というわけで、現在使用してる「MaccBook Pro(2019)」に接続しなおして試してみます。MacはあらかじめUSB-DACをオーディオ出力先に選択し、「Apple MIDI設定」でサンプリングレートを上げておきます。

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対応機種の場合「システム環境設定」の「共有」で「AirPlayレシーバー」が選択できます(未対応の旧機種では「AirPlayレシーバー」の項目自体が表示されません)。これを有効にすると、iPhone(iOS15)のMusicアプリ上でMacBookがAirPlay先として選べるようになります。

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そして再生してみると、「ロスレス」まはた「ハイレゾロスレス」表示のまま、AirPlayでMac(に接続されたオーディオ環境)から出力ができました。AppleTVなどの対応機器の場合は前述の通りALAC圧縮を行う仕様ですが、もともとMacで有線接続の場合はCoreAudioのままダイレクトに送られる仕組みだったらしいので、「AirPlay to Mac」(MacでのAirPlay再生)でもその仕様を使ってハイレゾデータをそのまま送っている可能性は高いですね。
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それなりにハードルはありますが、ある程度のハイエンドオーディオ向けにも耐えうるような「Apple Music」ロスレス/ハイレゾ配信の再生環境を構築できる目処が立ったことは、やはり朗報と言えるのではないかと思います(^^)。