TRN TA

こんにちは。今回は「TRN TA」です。中華イヤホンブランド「TRN Audio」の製品のなかでも、Knowles製BAを搭載した最初の1BA+1DDイヤホン「TRN TA1」はTRNらしい音作りながら従来とは全く異なるアプローチの集大成で、しかも低価格で完成度も高く、マニアの間でも驚きをもって受け入れられました。その後、2BA+1DD構成の「TRN TA2」がリリースされ、今回はその下位モデルとして新たに1BA+1DD構成を再設計された印象です。おそらく「最廉価のKnowles製BA搭載ハイブリッド」イヤホンはTRNらしい明瞭さとややウォームさ味付けで方向性もやや「TRN TA2」を踏襲しているみたいですね。

■ 製品の概要と特徴など。

TRN TA」は「TRN Audio」のKnowles製BA搭載ハイブリッド製品のなかでもっともエントリークラスに位置づけられます。既に同じ1BA+1DD構成の「TRN TA1」が販売されていますが、今後「TRN TA」が「TA1」をリプレースしていく可能性もありますね(現在は併売しています)。

TRN TATRN TA

ドライバー構成はKnowles製BA「RAD-33518」ユニットと、8mmサイズの二重磁気回路ダイナミックドライバーで構成自体は「TA1」を踏襲。ただ「TA1」が金属ハウジングに直列配置をしているのに対し、「TRN TA」は樹脂製ハウジングで本体部分にダイナミックドライバー、ステム部分にBAを配置する同社ハイブリッドでは一般的なレイアウトになりました。同様に「TA1」はTRN製イヤホンで唯一MMCXコネクタを採用していますが、「TRN TA」では他のモデル同様にタイプCの2pinコネクタを採用しています。スペック面ではインピーダンスはどちらも16Ωですが、感度は「TA1」が107dB/mWに対して「TRN TA」では117dB/mWと多少鳴らしやすくなっており、チューニングにも違いがあることが分かりますね。

TRN TATRN TA

TRN TA」のカラーバリエーションはクリアブラックと透明(トランスペアレント)の2色。
購入はAliExpressの各セラーにて。価格は 16.80ドル~です。AliExpressでの購入方法、サポートなどについてはこちらを参照ください。


■ 製品外観および装着性など。

TRN TA」のパッケージはラインアートが描かれた従来タイプのボックスデザイン。付属品も従来通り、本体、ケーブル、イヤーピース(S/M/L)、説明書・保証書などの最小構成となります。
TRN TATRN TA

TRN TA」の本体は従来モデルより比較的コンパクトなシェルデザインを採用しています。1DD構成の「TRN MT1」とよく似ていますが実際にはよりコンパクト。フェイスプレート部分のデザインは「MT1」よりさらに「NF AUDIO NM2」に酷似したデザインになっています。というか比べてみると金属製のステムノズルを除けばシェル形状もほぼソックリかも。Knowles製BAモデルとしての差別化でしょうか、いよいよガッツリ寄せてきましたね(^^;)。

TRN TATRN TA

「TRN MT1」およびTFZやKZなどのイヤホンと比べるとフェイス部分が多少細長く、ひとまわりコンパクトな印象。そのため、大きめのハウジングが耳に入りにくい方でも装着しやすいデザインになっています。それでもよりコンパクトな金属シェルの「TRN TA1」と比べると結構大きいですね。ドライバー構成こそ同様ですが両者が全く異なるアプローチのイヤホンであることが分かりますね。
TRN TATRN TA
最廉価のモデルと言うことで、ケーブルおよびイヤーピースも毎度おなじみのものです。どちらも付属品のままでOKという方も結構いらっしゃいますが、せっかくならイヤーピースは変えた方が良さそうです。例によって定番のJVC「スパイラルドット」やAcoustune「AET07」、またよりフィット感の強いタイプでは「SpinFit CP100+」など、自分の耳に合う最適なイヤピースに交換するのも良いでしょう。


■ インプレッション(音質傾向など)

TRN TATRN TA」の音質傾向はバランスの良いドンシャリ。なお、現在のロットでは多少変わっている可能性もありますが、手元の個体では「100時間程度のエージング必須」でした。従来のTRNブランドのBAを搭載したハイブリッドモデルが硬質な明瞭さが特徴の、いわゆる「寒色系ドンシャリ」の方向性でまとめられているのに対ししやや、2BA+1DDモデルの「TRN TA2」同様にややウォームなサウンドに仕上げられてる印象です。従来のTRNのイヤホンが多少の「派手さ」や「スッキリ感」を感じさせるサウンドだとするならば、前回の「TA2」と今回のTRN TA」は「聴きやすさ」や「滑らかさ」を意識しているようですね。開封直後はちょっとBAが派手めに感じましたが前述の通りエージングで落ち着きました。全体のバランスは悪くないと思います。
この価格帯でKnowles製BA搭載というと他に「Knowles製BA搭載(自称)」の「SENFER DT9」(約22ドル~24ドルくらい)という製品がありますが、エージング後の完成度は17ドルの「TRN TA」のほうが頭ひとつ抜けている印象ですね。エージングが必須な点と従来より多少温かい印象のサウンドをどう捉えるかにもよりますが、聴きやすくバランスの良いイヤホンとして十分にアリだと思います。

TRN TATRN TA」の高域は明瞭で伸びのある音を鳴らします。Knowles製BAらしく、既存モデルで多く採用される中華BAの「30095」のようなギラつきは無く、明るく明瞭ながら聴きやすく自然な印象。とはいえやや温かいチューニングでキレを求める方には多少ディテール感が欲しいと感じるかもしれません。中音域は癖の無い印象ですが、ボーカル帯域を中心に主張があり、鮮やかなサウンドが特徴的。女性ボーカルの高音など中高域の抜けはこの価格帯としては良好で、男性ボーカルもクリアな印象ですが余韻は少なめ。音場は一般的から曲によってはやや狭い印象。輪郭は明瞭ですがやや温かく解像感や分離はそれなりのため音数の多い曲ではちょっと演奏が混雑します。ポップスやロックなどイマドキのボーカル曲に合わせたチューニングといえるでしょう。
低域はやや軽くミッドベースを中心に中高域を下支えする印象。ミッドベースは直線的で心地よさがあります。いっぽうで重低音は最近のTRN製品のなかではそれなりの印象ですね。重低音の深さや解像感を求める方には多少不満を感じるかもしれません。この辺は従来モデルとの差別化のポイントですね。


まとめ

TRN TA」はやはり「アンダー20ドルの低価格でKnowles製BAを搭載」というのが最大のポイントのイヤホンと言えるでしょう。以前の「TRN TA1」よりKnowles「RAD-33518」BAユニットの表現力を前面に出したチューニングで、それを8mmダイナミックドライバーが下支えする構図はこの特徴を前提に考えれば非常にわかりやすいキャラクターだと思います。
TRN TAただ音質面としてはお手軽に使える普段使いのイヤホンとしてはよくまとまっているものの、せっかくKnowles製BAを搭載しているのであれば、TRNならもう少しレベルアップした製品も作れるよね、という感じも否めないですね。特に低域の質感を向上させるなど、「低価格」より「TRNとしての音作り」を前面に出した製品が望ましいところです。そういった意味では「TRN TA1」のほうが粗削りながら「気合いが感じられる」分だけ好印象になるかもしれません。まあとはいえ、バランスの良いイヤホンなので普段使いには結構使いそうではありますね(^^)。