NICEHCK EB2S

こんにちは。今回は「NICEHCK EB2S」 です。私のブログではお馴染みの中国のイヤホンセラー「HCK Earphones」オリジナル「NICEHCK」ブランドの新製品ですね。当初は福袋として販売されていました。
「NICEHCK」はセラー系ブランドのなかでも以前からインナーイヤー型(イントラコンカ型)イヤホンへの注力も大きく、コンスタントに新製品をリリースしていることからこの分野のマニアの間ではメジャーブランドのひとつとして認知されています。
過去記事(一覧): 「NICEHCK」のインナーイヤー(イントラコンカ)型イヤホンのレビュー

今回の「NICEHCK EB2S」は2018年に発売され低価格モデルの新定番と言われた「NICEHCK EB2」の後継にあたる製品です。「NICEHCK EB2S」でも金属製ハウジングを採用した低価格モデルという位置づけは維持しつつデザインを一新し、音質面でもブラッシュアップされています。普段インナーイヤー型をあまり使用しない方も含め、幅広いユーザーにお勧めできる明瞭サウンドが魅力ですね。
NICEHCK EB2SNICEHCK EB2S

NICEHCK EB2S」はアルミニウム合金製ハウジングに大口径15.4mmサイズの液晶ポリマー(LCP)振動板ダイナミックドライバーを搭載。LCP振動板というと最近ではカナル型では「Moondrop Aria」や「NICEHCK T3 PLUS」で採用されている音質面でも定評のある材質ですね。さらに強力なN50マグネットにCCAWボイスコイルを採用するなど、低価格グレードとはいえ搭載ドライバーには全く妥協していない感じがうかがえます。

NICEHCK EB2SNICEHCK EB2S

NICEHCK EB2S」のカラーバリエーションはブラックとグリーンの2色。ケーブルはマイク無し/有りが選択できます。また今回もパッケージにはオリジナルのキャラクターを採用。最近の中華イヤホンの「萌えパッケージ」路線に躊躇無く真正面から行くあたりも、まあ「HCK」らしいといえばらしいですね(^^;)。
購入はAliExpressの「NiceHCK Audio Store」またはアマゾンの「NICEHCK」にて。
価格はAliExpressが 26.99ドル~、アマゾンが2,500円~す。
Amazon.co.jp(NICEHCK):NICEHCK EB2S


■ パッケージおよび製品外観など

前述の通りパッケージはオリジナルキャラクターのアニメ絵タイプ。キャラクターイラストのクオリティも初めてアニメ絵パッケージを採用した「NICEHCK DB1」より格段に向上しているような(^^;)。また今回はパッケージ内にイラストカードも付属するようになりました。
NICEHCK EB2SNICEHCK EB2S
パッケージ内容はイヤホン本体、イヤーパッド(3ペア)、布製ポーチ、説明書、イラストカード。低価格モデルですがポーチもしっかり付属しているのは有り難いですね。
NICEHCK EB2SNICEHCK EB2S

本体は非常に軽量なアルミ合金製ですが、以前の「EB2」の曲線をベースにしたデザインとは異なり、より工業デザイン的なエッジを効かせた形状と言うこともあって安っぽさは全く感じないですね。メタリックなつや消しの表面仕上げも美しいです。金属製ハウジングですが耳の当たる黒いリング部分はおそらく樹脂製で本体の軽量さもあり耳から落ちること無くしっかり装着できます。
NICEHCK EB2SNICEHCK EB2S
ケーブルはブラウンの洗剤を少し厚めの樹脂被膜で覆っています。被膜はやや硬いもののしなやかさがあり、絡まりにくく、またべたつくこと無く使いやすい印象です。今回2色の「NICEHCK EB2S」をオーダーし、ブラックのほうはマイク付きにしてみました。マイクコントロールはシングルボタンタイプが採用されています。


■ インプレッション(音質傾向など)

NICEHCK EB2SNICEHCK EB2S」の音質傾向は癖の無い明るい音を鳴らします。金属ハウジングらしく硬質さもある明瞭な音です。インナーイヤー型特有の厚みのある低域を好まれる方には多少スッキリしすぎているように感じるかもしれませんが、普段カナル型の中華ハイブリッドを使われている方を含め、多くのユーザーが楽しめる使いやすいサウンドだろうと思います。以前の「EB2」も中高域に華やかさのある明瞭サウンドでしたが「NICEHCK EB2S」のほうが明らかに全体的な質感が高く、より滑らかさがあります。販売価格はむしろ下がっていますが音質は1ランクレベルアップした印象ですね。

NICEHCK EB2S」の高域は明瞭ながら聴きやすく、抜けの良い音を鳴らします。新しい振動板ドライバーのおかげか、非常に明瞭で見通しの良い音をならしつつ、「EB2」より明らかに滑らかで刺激を抑えられてている印象。硬質な煌めきのある音のため、柔らかい中低域寄りのサウンドが好みの方には合わないかもしれませんが、普段カナル型イヤホンを使っている方でも違和感無く楽しめるため、好感される方は多いのではと思います。またかつての上位モデル「NICEHCK EBX」に近いという評判はこの高域の印象によるものかもしれませんね。
NICEHCK EB2S中音域は直線的で癖の無い音を鳴らします。このクラスのイヤホンとしてはかなり明瞭な印象で、適度に広がりのある音場感を楽しめます。印象としてはフラット分離の良さのおかげが、演奏の定位もかなりしっかり確認出来ます。同様にボーカル帯域も自然な位置で定位します。そのためボーカルを強調したい方にはもう少し近くで鳴って欲しいと感じるかもしれませんが、音源の印象を違和感無く楽しめ、やはりより上質なサウンドだと感じます。
低域は中高域の広がりのある音場感を支えつつ、直線的で締まりのある音を鳴らします。カナル型イヤホンと比べても遜色のないスピード感と分離の良さがあり、音数の多い音源もしっかり鳴らしてくれるのは好印象です。さらに音像表現は自然な印象で過度に派手すぎず、滑らかさも感じます。重低音も大口径ドライバーによる余裕のある鳴り方で十分な深さがあります。

NICEHCK EB2Sまた広い音場表現や優れた定位性を考えると、動画視聴、ゲーム、そしてASMRなどもかなり楽しめると思います。インピーダンス32Ω、感度112dB/mWは小型オーディオアダプターやスマートフォン(またはタブレット)直挿しでも十分に楽しめます。ここで、より駆動力のあるDAPやアンプを使用するとより締まりのあるパワフルな印象になります。全体としてやや刺激が増しますがより微細な音まで明瞭に表現され、低域も力強く厚みのある印象になります。密閉型ではないため多少の音漏れもありますし、インナーイヤー型なりの遮音性ですが、駆動力のある再生環境では移動中の新幹線で使用していても周囲に迷惑をかけること無く楽しむことが出来ました。


■ まとめ

というわけで、「NICEHCK EB2S」は個人的には非常に使いやすく万能選手な印象のあるインナーイヤー型イヤホンでした。気軽に使いやい用途でインナーイヤー型が便利なシチュエーションは結構多く、そのような場面で低価格で気軽に持ち歩けるうえ、デザイン的にも優れている点も良いですね。また音質的にも癖が無く、多くの方にオススメしやすいものです。レビューでは触れていませんが付属のイヤーパッドやHCKが販売するシリコンリングなどを使用して装着感や低域を強調するなどインナーイヤー型ならではの楽しみもありますね。
NICEHCK EB2Sなお「NICEHCK EB2S」のマイク付きモデルは一般的な低価格イヤホンで採用されているシングルボタンタイプ。実際に音声を録音して試した印象も一般的で、ある程度の声の大きさで話せばノイズも無く十分実用的でした。
私が普段Web会議などで使っているShure製マイク付きケーブル(RMCE-UNI)の同社らしい明瞭なマイク性能(ボリュームも独立でマイク回路にもおそらく何らかのデジタルフィルタを搭載していると思われます)には及ばないものの、インナーイヤー型は周囲の音も適度に聞こえるため「NICEHCK EB2S」も結構会議にも向いているかも、と感じました。こちらも今後も活用しようと思っています。