
こんにちは。今回は「TFZ T2 PRO」です。中国のイヤホンブランド「TFZ(The Fragrant Zither)」の普及モデルとして、日本でも高い人気があった「T2 Galaxy」(日本での製品名「T2G」)の後継モデルとしてリリースされた製品です。基本的なスペックは踏襲しつつ、ドライバーをブラッシュアップ。スマートフォン直挿しを含む、より幅広い再生デバイスでの利用に最適化され、音楽再生はもちろん幅広い用途での利用を想定したモデルになります。
TFZは業界で先駆けて独自開発した二重磁気回路ダイナミックドライバーをベースに、これまで振動板の種類や回路設計の異なる第4世代までのドライバーを開発しています。最新の第4世代ドライバーをハイエンドモデルに投入するいっぽうで第2世代以降のドライバーも現在もブラッシュアップを続けており、各価格帯のモデルに採用しています。
※私のブログではTFZ製イヤホンについておそらく日本で最も多くの機種をこれまでにレビューしており、また独自の世代表やまとめ記事も作成しています。
→過去記事(一覧): TFZ製イヤホンのレビューおよびまとめ
→過去記事: TFZ製イヤホン編/価格別マトリクスチャート(世代表)


今回の「TFZ T2 PRO」は第2世代ドライバーを搭載した普及価格帯の定番モデルとして現在も根強い人気を持つ「T2 Galaxy」(「T2G」)の後継モデルに当たります。なお、「T2 Galaxy」自身は「SERIES 2」という機種の流れを汲みつつ、上位機種の「SERIES 4」をベースに再設計されたモデルとされています。


そのため、「TFZ T2 PRO」も「T2 Galaxy」同様に第2世代のグラフェン振動版二重磁気回路ダイナミックドライバーを搭載するものと思われます。しかし「T2 Galaxy」より広い周波数特性(いわゆるハイレゾ対応ですね)と、従来よりスマートフォン直挿しでもDAPやアンプを使用するのと同様なサウンドを楽しめるチューニングに変更しています。具体的にはインピーダンスが「T2 Galaxy」の16Ωから「TFZ T2 PRO」では48Ωになっています(感度はどちらも110dB/mW)。この変更により、純正Bluetoothケーブルが選択肢に用意されるなどワイヤレス利用も強く意識したモデルになっています。


また普及モデルと言うことで、かつての「SERIES2」「T2 Galaxy」同様に非常に多くのカラーバリエーションが用意されています。金属製フェイスプレートの表面には牛革素材でドレスアップされており、「ブラック」、「ホワイト」、「レッド」、「イエロー」、「ライトブルー」の5色が選択できます。またシェル部分は「ゴールドフェイス&ブラックシェル」または「シルバーフェイス&ホワイトシェル」が選択でき、カラーバリエーションとしては合計10種類が存在します(※セラーによって取り扱うカラーバリエーションは異なります)。


「TFZ T2 PRO」の購入はAliExpressの主要セラーなどにて価格は69.00ドル~です。
また、「TFZ T2 PRO」では付属ケーブルは別梱包となっており、通常のケーブル以外にBluetoothケーブルが付属するバリエーションを選ぶことも可能なようです。ケーブルは「TFZ T2 PRO」用に最適化された低価格ケーブルの「T2 PRO AIR HD BK」と、上位モデルとして「QCC3034」を搭載し「aptx-HD」コーデックまでに対応する「TFZ COCO」ケーブルの2種類が選べます。「T2 PRO AIR HD BK」については「Bluetooth 5.0」という記載のみのためコーデックはSBCだけのようですね。


「TFZ T2 PRO」本体+「T2 PRO AIR HD BK」ケーブルセットの価格は51.80ドル、同じく「TFZ COCO」ケーブルセットは69.80ドルです。
またPenon Audioの直営店では5種類のカラーバリエーションで有線・無線の各ケーブルのほか、「ケーブル無し」(34.9ドル)の選択も可能なようです。
Penon Audio: TFZ T2 PRO
■ ケーブル別の新パッケージ。フェイスプレートのレザー仕上げはやはり・・・
今回は最もベーシックな「ゴールド+ブラック」のカラーバリエーションのケーブル付きモデルでオーダーしました。上記のようにケーブルが選択式になっているため、本体パッケージはより小振りでケーブルは同梱されておらず、ケーブルの入った別の箱も一緒に届く、という方式になっていました。


パッケージ内容はイヤホン本体、ケーブル、イヤーピースは開口部の大きいタイプS/M/Lサイズ、通常のタイプがS/M/Lサイズと装着済みMサイズ、説明書と従来通りですね。ケースやポーチは付属しません。


本体は樹脂製のシェルに合金製の金属フェイスプレート、と形状も含め「T2 Galaxy」を踏襲しています。しかし、フェイスプレート正面には窪みがあり、そこへカットされたレザーシートが貼られています。正直なところこのレザーを貼った意匠がデザインとして「有り」なのかどうかは全く判断できないのですが(個人的には従来通り平面にシルク印刷で良かったのではと・・・)、どちらにせよ、この製品のキャラクターを決定づける個性ではありますね。フェイス下部にベント(空気孔)があるのは「T2 Galaxy」と同じですが、「T2 Galaxy」はフェイスを固定するネジがその下にあったため、ベントの位置は「TFZ T2 PRO」のほうが少し下方に降りています。


ケーブルは「LIVE X」以降の上位モデルに付属するミックス線タイプが付属します。数年前のTFZは付属ケーブルの情報量が少なく、本気を出すのにリケーブルは結構必須でしたが、最初から十分な品質のケーブルが付属するだけでもメリットはありますね。いっぽうイヤーピースは付属品のほか、よりフィット感を高めるために交換するのもお勧めです。具体的には定番のJVC「スパイラルドット」やAcoustune「AET07」、より密着感の強いタイプではSpinFit「CP100+」、AZLA「SednaEarfit XELASTEC」などがお勧めです。
■ よりニュートラルで様々な再生環境に対応。バランスの良い新しい普及型モデル
「TFZ T2 PRO」の音質傾向はややフラット寄りの弱ドンシャリ。おそらく周波数特性は「T2 Galaxy」より「KING PRO」や「MY LOVE 4」に近いイメージかもしれません。はっきりしたドンシャリで高域に派手さを感じた「T2 Galaxy」に対し、「TFZ T2 PRO」では全体的にスッキリした印象で、よりニュートラルで癖の無いサウンドにまとめられた印象があります。これは第2.5世代ベースで少し上のグレードに位置する「TFZ MY LOVE 4」でも似たアプローチが取られており、最近のニーズを踏まえてバランスを変えてきているのかな、という印象もありますね。
また比較的駆動力の少ないスマートフォン用のオーディオアダプターやタブレットへの直挿しでも十分な明瞭感が有りミッドレンジの分離も十分なレベルです。いっぽうである程度駆動力のある環境ではよりキレが増し元気のある音を鳴らします。パワーのあるアンプで鳴らすと、このイヤホンがかつての「T2 Galaxy」や最近の「LIVE 3」と同様のドライバーを搭載していることを思い出させてくれます。全体としてはよくまとまっており、「T2 Galaxy」の現代的なアップデートとしては十分な完成度といえるでしょう。
なお、「LIVE3」は分かりやすく中高域が派手なサウンドで、「TFZ T2 PRO」との使い分けはしやすいでしょう。そして「TFZ MY LOVE 4」との比較ですが、しいていえば「final E3000」と「E2000」の関係に近いかもしれません。「TFZ MY LOVE 4」が「E3000」的だとするなら、より一般的受けしやすい傾向で、再生環境を選ばず、ロックやポップスなどのサウンドと相性が良いという意味で「E2000」的なのが「TFZ T2 PRO」という感じです。
「TFZ T2 PRO」の高域は明瞭で伸びのある音を鳴らします。「KING」以降のTFZの第2世代ドライバー特有の金属質な印象は踏襲しているものの、過度に派手にならず、スッキリと伸びていく感じは好印象です。また刺激などもコントロールされているため従来の「T2 Galaxy」などで刺さりを感じた環境でもより聴きやすくなっているでしょう。逆にスマートフォン直挿しのような使い方でも曇ることは無く明るく解像感を維持しています。これはゲームやNetflixなどの動画視聴でも効果的でしょう。
中音域は癖の無いニュートラルなサウンドで凹むこと無く鳴ります。やや近くで定位し、明瞭かつスッキリした見通しの良さがあります。従来モデルより多少自然な空気感もあり、硬質感やキレ重視といった印象ではないですが、十分なスピード感や分離感はあります。音場は奥行きは一般的ですが左右に広がりがあり従来より広さがありますね。音場表現では「TFZ NO.3」など第3世代ドライバーに強みがありますが、第2世代の「TFZ T2 PRO」でも結構善戦していると思います。演奏の定位は正確では無いため分析的なリスニングは向きませんが、心地よい臨場感があり、やはり動画視聴なども意識したチューニングであることを実感します。
低域はミッドベースを中心に直線的で小気味よく鳴る印象。中高域との分離は良く全体を下支えします。従来のTFZの重く深い低域をイメージすると少なめに感じるかもしれませんが、量的には十分で全体としてはフラット方向からやや中低域寄りのバランスにまとめられています。それでも全体として明るく軽快に感じるようにミッドベースはスピード感と締まりがあり、過度に膨らむことのない自然な印象です。重低音はある程度の深さと沈み込みがありますが、スマートフォン等の再生環境ではあまり前に出ないようにチューニングされています。これはスマートフォン直挿しやBluetoothケーブルを使用した際に重低音が表現しきれず籠もりがちになることを最初から想定してチューニングしているのかもしれませんね。この辺が気になる方はリケーブルで重低音のポテンシャルを引き出すなど追い込んでみるのも良さそうですね。
■ まとめ
というわけで、「TFZ T2 PRO」の音紙面での完成度は高く、ニュートラルなサウンドバランスのため、どのような音源とも合わせやすいですし、過度に派手すぎないためバラードなどスローテンポの曲でも余韻を楽しめるなど結構使いやすいイヤホンです。とはいえやはりポップス、ロック、アニソンなどのボーカル曲との相性が良く、ストリーミングで最近のヒットチャートを王使い方にフォーカスしたサウンドと言えるでしょう。またゲームや動画視聴など幅広い用途で質の高いサウンドを楽しめます。
また、最初からワイヤレスケーブルがオプション指定されていることからも、ワイヤレスアダプタとの相性の良さもありますね。TFZの2pin使用になりますので、TWSタイプだと「TRN BT30」や「BT20 Pro」、「FiiO UTWS3」などが組み合わせる候補に挙がりますね。個人的には充電ケース式では無いものの「NICEHCK HB2」がTFZと同じコネクタ仕様の「NX7」タイプが使えるため相性は抜群です。音質的にも十分に実用的ですのでオススメの組み合わせです。
あとは「どうしてレザー貼っちゃったの?」という外観だけを自分のなかで納得出来れば、とても良いイヤホンであることは間違いないと思います(^^;)。
※私のブログではTFZ製イヤホンについておそらく日本で最も多くの機種をこれまでにレビューしており、また独自の世代表やまとめ記事も作成しています。
→過去記事(一覧): TFZ製イヤホンのレビューおよびまとめ
→過去記事: TFZ製イヤホン編/価格別マトリクスチャート(世代表)


今回の「TFZ T2 PRO」は第2世代ドライバーを搭載した普及価格帯の定番モデルとして現在も根強い人気を持つ「T2 Galaxy」(「T2G」)の後継モデルに当たります。なお、「T2 Galaxy」自身は「SERIES 2」という機種の流れを汲みつつ、上位機種の「SERIES 4」をベースに再設計されたモデルとされています。


そのため、「TFZ T2 PRO」も「T2 Galaxy」同様に第2世代のグラフェン振動版二重磁気回路ダイナミックドライバーを搭載するものと思われます。しかし「T2 Galaxy」より広い周波数特性(いわゆるハイレゾ対応ですね)と、従来よりスマートフォン直挿しでもDAPやアンプを使用するのと同様なサウンドを楽しめるチューニングに変更しています。具体的にはインピーダンスが「T2 Galaxy」の16Ωから「TFZ T2 PRO」では48Ωになっています(感度はどちらも110dB/mW)。この変更により、純正Bluetoothケーブルが選択肢に用意されるなどワイヤレス利用も強く意識したモデルになっています。


また普及モデルと言うことで、かつての「SERIES2」「T2 Galaxy」同様に非常に多くのカラーバリエーションが用意されています。金属製フェイスプレートの表面には牛革素材でドレスアップされており、「ブラック」、「ホワイト」、「レッド」、「イエロー」、「ライトブルー」の5色が選択できます。またシェル部分は「ゴールドフェイス&ブラックシェル」または「シルバーフェイス&ホワイトシェル」が選択でき、カラーバリエーションとしては合計10種類が存在します(※セラーによって取り扱うカラーバリエーションは異なります)。


「TFZ T2 PRO」の購入はAliExpressの主要セラーなどにて価格は69.00ドル~です。
また、「TFZ T2 PRO」では付属ケーブルは別梱包となっており、通常のケーブル以外にBluetoothケーブルが付属するバリエーションを選ぶことも可能なようです。ケーブルは「TFZ T2 PRO」用に最適化された低価格ケーブルの「T2 PRO AIR HD BK」と、上位モデルとして「QCC3034」を搭載し「aptx-HD」コーデックまでに対応する「TFZ COCO」ケーブルの2種類が選べます。「T2 PRO AIR HD BK」については「Bluetooth 5.0」という記載のみのためコーデックはSBCだけのようですね。


「TFZ T2 PRO」本体+「T2 PRO AIR HD BK」ケーブルセットの価格は51.80ドル、同じく「TFZ COCO」ケーブルセットは69.80ドルです。
またPenon Audioの直営店では5種類のカラーバリエーションで有線・無線の各ケーブルのほか、「ケーブル無し」(34.9ドル)の選択も可能なようです。
Penon Audio: TFZ T2 PRO
■ ケーブル別の新パッケージ。フェイスプレートのレザー仕上げはやはり・・・
今回は最もベーシックな「ゴールド+ブラック」のカラーバリエーションのケーブル付きモデルでオーダーしました。上記のようにケーブルが選択式になっているため、本体パッケージはより小振りでケーブルは同梱されておらず、ケーブルの入った別の箱も一緒に届く、という方式になっていました。


パッケージ内容はイヤホン本体、ケーブル、イヤーピースは開口部の大きいタイプS/M/Lサイズ、通常のタイプがS/M/Lサイズと装着済みMサイズ、説明書と従来通りですね。ケースやポーチは付属しません。


本体は樹脂製のシェルに合金製の金属フェイスプレート、と形状も含め「T2 Galaxy」を踏襲しています。しかし、フェイスプレート正面には窪みがあり、そこへカットされたレザーシートが貼られています。正直なところこのレザーを貼った意匠がデザインとして「有り」なのかどうかは全く判断できないのですが(個人的には従来通り平面にシルク印刷で良かったのではと・・・)、どちらにせよ、この製品のキャラクターを決定づける個性ではありますね。フェイス下部にベント(空気孔)があるのは「T2 Galaxy」と同じですが、「T2 Galaxy」はフェイスを固定するネジがその下にあったため、ベントの位置は「TFZ T2 PRO」のほうが少し下方に降りています。


ケーブルは「LIVE X」以降の上位モデルに付属するミックス線タイプが付属します。数年前のTFZは付属ケーブルの情報量が少なく、本気を出すのにリケーブルは結構必須でしたが、最初から十分な品質のケーブルが付属するだけでもメリットはありますね。いっぽうイヤーピースは付属品のほか、よりフィット感を高めるために交換するのもお勧めです。具体的には定番のJVC「スパイラルドット」やAcoustune「AET07」、より密着感の強いタイプではSpinFit「CP100+」、AZLA「SednaEarfit XELASTEC」などがお勧めです。
■ よりニュートラルで様々な再生環境に対応。バランスの良い新しい普及型モデル
「TFZ T2 PRO」の音質傾向はややフラット寄りの弱ドンシャリ。おそらく周波数特性は「T2 Galaxy」より「KING PRO」や「MY LOVE 4」に近いイメージかもしれません。はっきりしたドンシャリで高域に派手さを感じた「T2 Galaxy」に対し、「TFZ T2 PRO」では全体的にスッキリした印象で、よりニュートラルで癖の無いサウンドにまとめられた印象があります。これは第2.5世代ベースで少し上のグレードに位置する「TFZ MY LOVE 4」でも似たアプローチが取られており、最近のニーズを踏まえてバランスを変えてきているのかな、という印象もありますね。

なお、「LIVE3」は分かりやすく中高域が派手なサウンドで、「TFZ T2 PRO」との使い分けはしやすいでしょう。そして「TFZ MY LOVE 4」との比較ですが、しいていえば「final E3000」と「E2000」の関係に近いかもしれません。「TFZ MY LOVE 4」が「E3000」的だとするなら、より一般的受けしやすい傾向で、再生環境を選ばず、ロックやポップスなどのサウンドと相性が良いという意味で「E2000」的なのが「TFZ T2 PRO」という感じです。

中音域は癖の無いニュートラルなサウンドで凹むこと無く鳴ります。やや近くで定位し、明瞭かつスッキリした見通しの良さがあります。従来モデルより多少自然な空気感もあり、硬質感やキレ重視といった印象ではないですが、十分なスピード感や分離感はあります。音場は奥行きは一般的ですが左右に広がりがあり従来より広さがありますね。音場表現では「TFZ NO.3」など第3世代ドライバーに強みがありますが、第2世代の「TFZ T2 PRO」でも結構善戦していると思います。演奏の定位は正確では無いため分析的なリスニングは向きませんが、心地よい臨場感があり、やはり動画視聴なども意識したチューニングであることを実感します。

■ まとめ
というわけで、「TFZ T2 PRO」の音紙面での完成度は高く、ニュートラルなサウンドバランスのため、どのような音源とも合わせやすいですし、過度に派手すぎないためバラードなどスローテンポの曲でも余韻を楽しめるなど結構使いやすいイヤホンです。とはいえやはりポップス、ロック、アニソンなどのボーカル曲との相性が良く、ストリーミングで最近のヒットチャートを王使い方にフォーカスしたサウンドと言えるでしょう。またゲームや動画視聴など幅広い用途で質の高いサウンドを楽しめます。

あとは「どうしてレザー貼っちゃったの?」という外観だけを自分のなかで納得出来れば、とても良いイヤホンであることは間違いないと思います(^^;)。