こんにちは。今回は「DUNU TITAN S」です。レビューはちょっと久しぶりになってしまいました。マニアにはお馴染み「DUNU-TOPSOUND」(达音科)、通称「DUNU」の人気シリーズである「DUNU TITAN」の最新モデルとして、アンダー100ドルクラスのエントリーモデルとして発売されました。国内版も3月に発売となり、すでに購入されている方もいらっしゃると思います。近未来的なサイバーパンクをテーマにしたデザインを採用し、いっぽうで音質面においては最近のミドルグレード製品の方向性にも見られるニュートラルでバランスの良いチューニングが施されており、アンダー100ドルクラスの強力な選択肢がまたひとつ登場した、という感じですね。
なお、私のブログではこれまでもDUNUの最近のモデルを中心にレビューを掲載しています。
→ 過去記事(一覧): DUNU製イヤホンのレビュー
■製品の概要について
「DUNU TITAN」シリーズは、2014年より発売されている同社のエントリークラスの人気シリーズです。既存の各グレードの製品に対し、今回の「DUNU TITAN S」では従来モデルからデザインを一新。全く新しい製品として生まれ変わりました。
既存の「TITAN」シリーズは名称通りチタンドライバーを搭載していましたが、「DUNU TITAN S」では最近になって採用する製品が急増してる液晶ポリマー(LCP)を採用。11mm径の多層構造ポリコンデンセート 液晶ポリマー(LCP) 振動板に加え、軽量CCAWボイスコイル、N52マグネットを採用したダイナミックドライバーをシングルで搭載します。またュアルチャンバーハウジングを採用しつつベント(空気孔)による空気圧コントロールにより音漏れも抑制。高性能ながら使いやすいドライバーに仕上がっています。
ハウジングは亜鉛合金製で、近未来的なサイバーパンクをテーマにしたスタイリッシュなエルゴノミクスデザインを採用。コネクタはリケーブルにも対応する0.78mm 2pin仕様。ケーブルにはエントリークラスながら高純度単結晶銀メッキ銅ケーブルを採用しています。
「DUNU TITAN S」の国内販売価格は11,000円(税込み)。海外での販売価格が79.99ドルですので、ほぼ消費税を考慮すると同額といえるでしょう。
楽天市場(検索結果): DUNU TITAN S
■パッケージ構成、製品の外観および内容について
DUNU製品のパッケージは毎回比較的コンパクトでカラフルなボックスアートが目を引きます。中に入った大きめのケースに一通りのものが収納されています。付属ケースは「DUNU DK2001」に付属していたものと同じタイプですね。
パッケージ内容はイヤホン本体、ケーブル、ケーブルクリップ、イヤーピースが3タイプ(それぞてS/M/Lサイズ)、レザーケース、保証書ほか。
亜鉛合金製の本体は思ったよりコンパクトで耳に収まりやすいサイズ感。サイズが小さいため重さで耳から落ちる心配もなさそうです。コネクタ部分は僅かに窪んでいますがいわゆる中華2pinタイプのケーブルがぴったり入る深さでケーブルの選択肢は多いでしょう。付属ケーブルはブラウンの撚り線タイプ。柔らかく取り回しは良いですが被膜がちょっと絡まりやすいかもしれません。
最近の同価格帯のイヤホンと比較してもコンパクトさがわかりますね。装着性は良好ですが遮音性は一般的。なおフェイス部分に大きめのベント(空気孔)がありますが音漏れはそれほど気になるレベルでは無く、よほど静かな場所でなければ問題ないでしょう。
イヤーピースは付属品のほか、定番のJVC「スパイラルドット」やAcoustune「AET07」、よりフィット感の強いタイプでは「AZLA SednaEarfit XELASTEC」や「SpinFit CP100+」など、自分の耳に合う最適なイヤピースを選択するのも良いでしょう。
■ インプレッション(音質傾向など)
「DUNU TITAN S」の音質傾向はニュートラルでサウンドバランスに優れた印象。最近100ドルオーバーのミドルグレード製品で増えている、いわゆる「ハーマンターゲットカーブを意識したサウンドバランス」のイヤホンです。非常に興味深いのは、おそらく直接の競合機種となると思われる「Moondrop Aria」および「TINHIFI T3 PLUS」と比べても非常に近い音質傾向であること、これらの製品は「アンダー100ドル」「LCP振動板ダイナミックドライバー」というポイントとなる要素も同様であり、まさに三者三葉での拮抗した存在と感じました。いっぽうで「Aria」はMoondropらしく、「T3 PLUS」もTINHIFIらしさがあるように、「DUNU TITAN S」もまたこれらの製品とは異なるキャラクターがあります。
「DUNU TITAN S」はよりモニターライクなサウンドで、方向性によってはより上位の製品と比較できるかもしれないポテンシャルがあります。いっぽうで、「Aria」は上位モデルの「KXXS」や「KATO」のような柔らかさを持ちつつ、「Starfield」と酷似した弱ドンシャリのリスニング方向のチューニングが施されています。また「T3 PLUS」は同社の「PLUS」シリーズ同様にやや低域に厚みがありさらにリスニング性が高いものの、解像感などは多少トレードオフの関係にあります。とはいえこの3製品はどれも製品としての完成度は非常に高く、アンダー100ドルクラスでトップを競えるレベルのサウンドです。
「DUNU TITAN S」の高域は明瞭で見通しの良い音を鳴らします。煌びやかさがありシンバル音も鮮やかさがあります。直線的に伸び、解像感のある音ですが、刺激はコントロールされており刺さりなどはほとんど感じません。「Aria」「T3 PLUS」との比較ではもっともシャープな輪郭があります。ただ再生環境によっては付属ケーブルはポテンシャルを活かしきれていないと感じる場合もあるでしょう。
中音域は癖の無いニュートラルなサウンドで、高域同様に見通しの良さが印象的。解像感および分離は非常に良くモニター的な印象があります。女性ボーカルの高音などの抜けも良く明瞭です。ハッキリした音像ながら自然な印象で過度に人工的な印象もありません。音場は適切な広さがあり定位も比較的正確です。ただボーカル帯域の厚みがあり聴き取りやすいいっぽうで奥行きは多少浅く感じるかもしれません。
低域もニュートラルで過不足無く鳴りますが、響きなどの強調は無く直線的でタイトな印象。全体としては僅かに中高域寄りに感じるバランスでまとまっています。この点もモニター的に感じる理由かもしれませんね。ミッドベースはスピード感があり、重低音の沈み込みも十分にあります。派手さは無く自然な印象ですがスピード感があり、音数の多い曲でもしっかり対応出来るのは好印象です。
■ まとめ
このように「DUNU TITAN S」は全体としてバランスの良いサウンドで非常に完成度の高い製品といえるでしょう。モニターライクなチューニングでより上位の、200ドルクラスの製品とも比較できるポテンシャルの高さは間違いなくおすすめできるものです。
そして「DUNU TITAN S」のサウンドをひとしきり堪能したら、次はリケーブルをお勧めします。付属ケーブルも悪くはないのですが、多少絡まりやすいことと、やはりポテンシャルを発揮し切れてないと感じることがあります。なお、「DUNU TITAN S」自体は結構ケーブルのキャラクターを反映しやすいため、より低域に厚みのある銅線タイプや、逆に高域をスッキリさせる銀メッキ線タイプなど、好みに応じていろいろ試して見るのも楽しいですね。
いっぽうウィークポイントとしては同価格対以下の製品で多く採用されているV字カーブ、つまりドンシャリ、弱ドンシャリのサウンドバランスに慣れている方の場合、思ったより淡泊に感じる可能性があること。これは「DUNU TITAN S」のいかにもサブカル寄りな(笑)デザインから連想されるサウンドとのギャップも影響するかもしれませんね。
「サイバーパンク」なイマドキなイヤホンかと思いきや中身は実に硬派、この辺を楽しめる方には非常にお買い得なイヤホンかもしれません。いっぽうでもう少しリスニング寄りのほうが好みの方は「Moondrop Aria」や「TINHIFI T3 PLUS」が選択肢にあがるでしょう。やはりこの3製品は甲乙付けがたく、購入を検討している方を悩ませそうです。
幸いなことに3製品とも国内で販売されていますので試聴可能な方はぜひとも聴き比べてもらえればと思います。またよりディープなマニア諸氏はぜひとも3製品とも購入して楽しまれることをお勧めしますよ(^^)。
→ 過去記事(一覧): DUNU製イヤホンのレビュー
■製品の概要について
「DUNU TITAN」シリーズは、2014年より発売されている同社のエントリークラスの人気シリーズです。既存の各グレードの製品に対し、今回の「DUNU TITAN S」では従来モデルからデザインを一新。全く新しい製品として生まれ変わりました。
既存の「TITAN」シリーズは名称通りチタンドライバーを搭載していましたが、「DUNU TITAN S」では最近になって採用する製品が急増してる液晶ポリマー(LCP)を採用。11mm径の多層構造ポリコンデンセート 液晶ポリマー(LCP) 振動板に加え、軽量CCAWボイスコイル、N52マグネットを採用したダイナミックドライバーをシングルで搭載します。またュアルチャンバーハウジングを採用しつつベント(空気孔)による空気圧コントロールにより音漏れも抑制。高性能ながら使いやすいドライバーに仕上がっています。
ハウジングは亜鉛合金製で、近未来的なサイバーパンクをテーマにしたスタイリッシュなエルゴノミクスデザインを採用。コネクタはリケーブルにも対応する0.78mm 2pin仕様。ケーブルにはエントリークラスながら高純度単結晶銀メッキ銅ケーブルを採用しています。
「DUNU TITAN S」の国内販売価格は11,000円(税込み)。海外での販売価格が79.99ドルですので、ほぼ消費税を考慮すると同額といえるでしょう。
楽天市場(検索結果): DUNU TITAN S
■パッケージ構成、製品の外観および内容について
DUNU製品のパッケージは毎回比較的コンパクトでカラフルなボックスアートが目を引きます。中に入った大きめのケースに一通りのものが収納されています。付属ケースは「DUNU DK2001」に付属していたものと同じタイプですね。
パッケージ内容はイヤホン本体、ケーブル、ケーブルクリップ、イヤーピースが3タイプ(それぞてS/M/Lサイズ)、レザーケース、保証書ほか。
亜鉛合金製の本体は思ったよりコンパクトで耳に収まりやすいサイズ感。サイズが小さいため重さで耳から落ちる心配もなさそうです。コネクタ部分は僅かに窪んでいますがいわゆる中華2pinタイプのケーブルがぴったり入る深さでケーブルの選択肢は多いでしょう。付属ケーブルはブラウンの撚り線タイプ。柔らかく取り回しは良いですが被膜がちょっと絡まりやすいかもしれません。
最近の同価格帯のイヤホンと比較してもコンパクトさがわかりますね。装着性は良好ですが遮音性は一般的。なおフェイス部分に大きめのベント(空気孔)がありますが音漏れはそれほど気になるレベルでは無く、よほど静かな場所でなければ問題ないでしょう。
イヤーピースは付属品のほか、定番のJVC「スパイラルドット」やAcoustune「AET07」、よりフィット感の強いタイプでは「AZLA SednaEarfit XELASTEC」や「SpinFit CP100+」など、自分の耳に合う最適なイヤピースを選択するのも良いでしょう。
■ インプレッション(音質傾向など)
「DUNU TITAN S」の音質傾向はニュートラルでサウンドバランスに優れた印象。最近100ドルオーバーのミドルグレード製品で増えている、いわゆる「ハーマンターゲットカーブを意識したサウンドバランス」のイヤホンです。非常に興味深いのは、おそらく直接の競合機種となると思われる「Moondrop Aria」および「TINHIFI T3 PLUS」と比べても非常に近い音質傾向であること、これらの製品は「アンダー100ドル」「LCP振動板ダイナミックドライバー」というポイントとなる要素も同様であり、まさに三者三葉での拮抗した存在と感じました。いっぽうで「Aria」はMoondropらしく、「T3 PLUS」もTINHIFIらしさがあるように、「DUNU TITAN S」もまたこれらの製品とは異なるキャラクターがあります。
「DUNU TITAN S」はよりモニターライクなサウンドで、方向性によってはより上位の製品と比較できるかもしれないポテンシャルがあります。いっぽうで、「Aria」は上位モデルの「KXXS」や「KATO」のような柔らかさを持ちつつ、「Starfield」と酷似した弱ドンシャリのリスニング方向のチューニングが施されています。また「T3 PLUS」は同社の「PLUS」シリーズ同様にやや低域に厚みがありさらにリスニング性が高いものの、解像感などは多少トレードオフの関係にあります。とはいえこの3製品はどれも製品としての完成度は非常に高く、アンダー100ドルクラスでトップを競えるレベルのサウンドです。
「DUNU TITAN S」の高域は明瞭で見通しの良い音を鳴らします。煌びやかさがありシンバル音も鮮やかさがあります。直線的に伸び、解像感のある音ですが、刺激はコントロールされており刺さりなどはほとんど感じません。「Aria」「T3 PLUS」との比較ではもっともシャープな輪郭があります。ただ再生環境によっては付属ケーブルはポテンシャルを活かしきれていないと感じる場合もあるでしょう。
中音域は癖の無いニュートラルなサウンドで、高域同様に見通しの良さが印象的。解像感および分離は非常に良くモニター的な印象があります。女性ボーカルの高音などの抜けも良く明瞭です。ハッキリした音像ながら自然な印象で過度に人工的な印象もありません。音場は適切な広さがあり定位も比較的正確です。ただボーカル帯域の厚みがあり聴き取りやすいいっぽうで奥行きは多少浅く感じるかもしれません。
低域もニュートラルで過不足無く鳴りますが、響きなどの強調は無く直線的でタイトな印象。全体としては僅かに中高域寄りに感じるバランスでまとまっています。この点もモニター的に感じる理由かもしれませんね。ミッドベースはスピード感があり、重低音の沈み込みも十分にあります。派手さは無く自然な印象ですがスピード感があり、音数の多い曲でもしっかり対応出来るのは好印象です。
■ まとめ
このように「DUNU TITAN S」は全体としてバランスの良いサウンドで非常に完成度の高い製品といえるでしょう。モニターライクなチューニングでより上位の、200ドルクラスの製品とも比較できるポテンシャルの高さは間違いなくおすすめできるものです。
そして「DUNU TITAN S」のサウンドをひとしきり堪能したら、次はリケーブルをお勧めします。付属ケーブルも悪くはないのですが、多少絡まりやすいことと、やはりポテンシャルを発揮し切れてないと感じることがあります。なお、「DUNU TITAN S」自体は結構ケーブルのキャラクターを反映しやすいため、より低域に厚みのある銅線タイプや、逆に高域をスッキリさせる銀メッキ線タイプなど、好みに応じていろいろ試して見るのも楽しいですね。
いっぽうウィークポイントとしては同価格対以下の製品で多く採用されているV字カーブ、つまりドンシャリ、弱ドンシャリのサウンドバランスに慣れている方の場合、思ったより淡泊に感じる可能性があること。これは「DUNU TITAN S」のいかにもサブカル寄りな(笑)デザインから連想されるサウンドとのギャップも影響するかもしれませんね。
「サイバーパンク」なイマドキなイヤホンかと思いきや中身は実に硬派、この辺を楽しめる方には非常にお買い得なイヤホンかもしれません。いっぽうでもう少しリスニング寄りのほうが好みの方は「Moondrop Aria」や「TINHIFI T3 PLUS」が選択肢にあがるでしょう。やはりこの3製品は甲乙付けがたく、購入を検討している方を悩ませそうです。
幸いなことに3製品とも国内で販売されていますので試聴可能な方はぜひとも聴き比べてもらえればと思います。またよりディープなマニア諸氏はぜひとも3製品とも購入して楽しまれることをお勧めしますよ(^^)。
同じモニターライクな音の「IKKO OPAL OH2」とどちらを買うか迷っているのですが、より刺激の少ない、フラットなイヤホンはどちらになるでしょうか?
お答えいただければ幸いです。