DUNU FALCON PRO

こんにちは。週末に不定期に掲載している個人的に購入済みで未レビューのイヤホンを紹介する「棚からレビュー」ネタ、今回紹介するのは「DUNU FALCON PRO」 です。「DUNU TOPSOUND」(通称「DUNU」)の2017年発売の人気モデル「Falcon-C 隼」の後継機種として昨年秋に登場しましたが、初回ロット以降、気がついたらあっという間にメーカー販売終了になってしまいました。音質傾向的には好みの分かれる製品ですが、いちおうレビュー掲載時点では海外版の在庫がHiFiGoなどのショップで購入可能なようです。

■製品の概要について

「DUNU-TOPSOUND」(达音科)、通称「DUNU」は、中国を中心とする大手イヤホンブランドで、現在も豊富なラインナップが魅力です。同社が2017年に発売したシングルダイナミック構成の人気モデルに「Falcon-C 隼」という製品がありましたが、今回の「DUNU FALCON PRO」 はその後継・アッパーグレードモデルの位置づけになります。
DUNU FALCON PRODUNU FALCON PRO
シングルダイナミック構成で、ドライバーには独自開発で特許も取得している、10mmサイズの「ECLIPSEドライバー」を搭載しています。このドライバーは同社の上位モデル「LUNA」および「ZEN」シリーズで採用されているもので、アモルファスダイヤモンドライクカーボンを何層にもわたって蒸着させた剛性の高い振動板や、1.6テスラの強力な磁力を発生させるマグネットシステムなどにより手頃な価格帯で卓越したフラッグシップグレードのパフォーマンスを提供しているとのこと。

DUNU FALCON PRODUNU FALCON PRO
DUNU FALCON PRO」の外観はCNC機械加工されたS316ステンレス鋼をクローム処理し、ベベルにはサンドブラストによるつや消し加工でDUNUロゴをデザインしています。本体デザインはマルチフローのダンピングを備えたデュアルチャンバー設計を採用、長時間のセッションに快適にフィットします。さらにステムには交換式ノズルを採用。「Reference」(標準)、「Transparency」(透過性向上)、「Atmospheric Immersion」(空気感向上)の3種類のノズルが付属します。

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付属ケーブルはMMCXコネクタ仕様の4芯 6N OCC 高純度単結晶銅銀メッキ線ケーブルで、プラグ部分はDUNU独自の「Q-Liteクイックスイッチングモジュラーシステム」を採用。3.5mmステレオ、2.5mm/4極および4.4mm/4極バランスの各プラグが付属します。

DUNU FALCON PRO」の国内版の販売価格は27,340円前後でした(現在は販売終了)。
海外版の価格は219.99ドルで、レビュー掲載時点では「HiFiGo」などのショップで購入が可能です。
HiFiGo: DUNU FALCON PRO


■パッケージ構成、製品の外観および内容について

今回私は国内代理店取扱い(国内正規品)の状態の良い中古を入手しました。そのため海外版とは多少内容が異なる場合があります。DUNU製品のパッケージは毎回比較的コンパクトで中に入った大きめのケースに一通りのものが収納されているパターンですね。大きいケースは最近だと小型オーディオアダプターなども一緒に収納したりできるのでとても便利です。
DUNU FALCON PRODUNU FALCON PRO
パッケージ内容は、イヤホン本体、ケーブル、交換用プラグ、交換用フィルターノズル、イヤーピース(4種類、各S/M/Lサイズ)、布ポーチ、クリーニングクロス、クリーニングブラシ、ハードケース、説明書ほか。

DUNU FALCON PRODUNU FALCON PRO
本体はシルバーアクセサリーのような美しさがあり、見た目イヤホンとしても十分な存在感と完成度があります。シェル形状自体は「Falcon-C 隼」をほぼ踏襲しているようですね。背面側のベントが特徴的ですが実際に装着している状態では音漏れはほとんど問題にはならないでしょう。イヤーピースも標準で複数のバリエーションが選べますし、装着性自体はほとんど問題になることはありません。
ケーブルは被膜が多少硬いですが質感の良さを感じる銀メッキ線です。交換式プラグはアルミ製でカチッと取り付けられる接合部の作りの良さも感じますね。
DUNU FALCON PRODUNU FALCON PRO
DUNU FALCON PRO」の特徴のひとつである3種類のノズルフィルターはフィルターそのものの形状が異なりサウンドに変化を与えていることが分かります。フィルターの傾向はそれぞれ、

Reference」(標準)
最も標準的なチューニングで厚みのあるミッドレンジを中心にバランスの良い音を鳴らします。
Transparency」(透過性向上)
よりダイレクトにドライバーの音を伝え、中高域が強化されます。
Atmospheric Immersion」(空気感向上)
ボーカルはやや下がり、より空間表現を意識した音作りになります。相対的に低域も強めになります。

といった変化が実感できます。


■ インプレッション(音質傾向など)

DUNU FALCON PRO」の音質傾向は中音域に厚みのをもちつつ全体として弱ドンシャリのバランスの良い音を鳴らします。全体的に滑らかで聴きやすい自然な印象です。広い音場感で中高域にはスッキリとした見通しの良さがありますが、刺激などは完全にコントロールされており、ボーカル帯域は適度な温かさと柔らかさを纏っています。寒色系のシャープなサウンドとはかなり異なりますが、使いやすく穏やかな時間を好きな音楽と一緒に過ごすのに最適なイヤホン、という印象ですね。

DUNU FALCON PRO3種類のフィルターは「Reference」(標準)に対し、「Transparency」(透過性向上)はよりダイレクトなサウンドになることで若干シャープさが増し、高域の輪郭がハッキリします。それでも刺さり等は大きく変化しませんが、ふくよかな音場感は多少損なわれるかもしれません。「Atmospheric Immersion」(空気感向上)フィルターはより空間表現を意識したチューニングに変化します。音場は少し離れたところで広々と鳴ってる感じになります。中音域は少し下がって定位するなどボーカル曲よりオーケストラなどの演奏向きのチューニングといえるかもですね。低域はこのフィルターが最も厚みがあります。

DUNU FALCON PRO」の高域は明るく見通しの良い音を鳴らします。過度に派手と言うことは無く、自然で透明感のある明るさ、という感じです。解像感は十分に高く、いっぽうで輪郭は自然な滑らかさがあります。ややドライで金属質な煌めきを感じさせつつ、刺さりなどの刺激は完全にコントロールされています。そのため聴き疲れしにくい穏やかさも感じます。

DUNU FALCON PRO中音域は厚みがあり、僅かに温かい滑らかな音を鳴らします。適度な解像感と分離性をもちつつ、聴き疲れしない印象は高域同様です。また厚みと量感のある低域に対して多少前に出る印象がありますね。ボーカル帯域は存在感があり、このイヤホンが意識してチューニングしていることを実感します。女性ボーカルの高音の抜け、男性ボーカルの低域の厚みとも自然かつ良好です。また音像は非常に細かく表現されており、余韻も心地良いですね。シャープなキレなどを強調するタイプでは無く、スピード感のある曲よりポップスやロック、バラードなどを心地よく楽しむイヤホンです。また演奏との分離も良好で広い音場感で定位します。特にストリングスの響きが心地よいですね。

低域は量感がありパワフルな印象です。重低音も非常に深く高い解像度を持っています。ミッドベース密度感がありエネルギッシュな印象。また直線的で過度に膨らむことはありませんが、スピード感は一般的です。重低音は非常に深いところでもしっかりした解像感があり表現力豊かです。分離も良好ですが、やはりタイトでスピード感のある曲よりも穏やかな曲のほうが向いていそうです。


■ まとめ

DUNU FALCON PRODUNU FALCON PRO」はひとことで言うと、聴きやすく高品質な癒やし系イヤホンという印象です。全体的に癖の無いサウンドバランスながら中音域に厚みがあり、ボーカル曲を中心に心地よく楽しめる表現力の高さは特徴的でしょう。私は「Falcon-C 隼」を所有していませんが、試聴した範囲での比較では「DUNU FALCON PRO」はアップグレード版として特徴をよく反映していると思います。「Falcon-C 隼」同様に見通しが良く詳細な表現力を持ちつつ、滑らかなサウンド。「DUNU FALCON PRO」はその特徴を踏襲しつつ、さらに長時間のリスニングでも聴き疲れすること無く楽しめる適度な温かさを持ち、より音楽に没頭できる質感の向上を実現しています。
同価格帯の他の製品と比較して「こういうのも良いよね」と思わせるキャラクターで、このクラスのイヤホンを複数所有しているマニアで可能であればコレクションのひとつに加えてみるもの良いのではと思います。