DUNU Studio SA6

こんにちは。今回は「DUNU Studio SA6」です。週末に不定期で掲載している手持ち未レビューのイヤホンを紹介する「棚からレビュー」ネタです。購入したのは昨年の夏ですでに半年とか経っていますが、マルチBAイヤホンとしてはトップクラスの完成度の高さで、個人的にも非常に満足度の高い製品ですね。

■製品の概要について

「DUNU-TOPSOUND」(达音科)、通称「DUNU」は、中国を中心とするイヤホンブランドで、中国10大オーディオブランドにも名を連ねる存在ですね。その「DUNU」の新しいシリーズとして2020年にリリースされたのが「Studio」シリーズで、上位モデルの「DUNU Studio SA6」は6基のバランスド・アーマチュア・ドライバーを搭載しています。現在「Studio」シリーズでは他に下位モデルの「SA3」があります。
→過去記事:【棚からレビュー】 「DUNU Studio SA3」 ボーカル帯域にフォーカスしたチューニング。ブルーの3Dプリントシェルも美しい3BA構成イヤホン

DUNU Studio SA6DUNU Studio SA6
DUNU Studio SA6」はカスタムIEM(CIEM)ライクなシェルデザインを採用し、Knowles製およびSonion製のBAにより構成される6BAモデルです。構成としては低域にSonion「AcuPass Vented」デュアルウーファー(2BA)、中音域にKnowles製カスタム2BAミッドレンジドライバー、高域に同じくKnowles製カスタムデュアルツイーター(2BA)を組み合わせています。
また側面にチューニングスイッチを装備しており、デフォルト「1」から「ON」にすることで質感の変化を楽しむことが可能です。
DUNU Studio SA6DUNU Studio SA6

シェルはドイツ製のUVアクリルレジンで形成されており、フェイスプレートはスタビライズウッドのプレートを採用。木目を活かして複数の染料を流したプレートをカットして生成しており、同じデザインのもとは存在せず、個体ごとに全く色味の違う様々なカラーリングの製品と出会えます。
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そして付属ケーブルは8芯高純度単結晶銅銀メッキ線ケーブルを採用。コネクタはリケーブル性に優れた0.78mm CIEM 2pi仕様を採用。プラグ部分はDUNU特許のクイックスイッチングモジュラープラグシステムを採用し、3.5mm、2.5mm、4.4mmの3種類のプラグが付属します。

DUNU Studio SA6」の価格は 59,780円(税込み)。主要専門店で取扱いがあります。
なお海外版の価格は549.99ドルで、現在の為替レートでは国内版のほうがかなり割安になっています(国内代理店のサウンドアースさんは国内販売時の為替レート+消費税で国内版の価格を決定しているようです)。
楽天市場(検索結果): DUNU Studio SA6


■パッケージ構成、製品の外観および内容について

というわけで、巷では「音は良いけどフェイスガチャで踏み切れない」という声もちらほら聞く「DUNU Studio SA6」ですが、昨年こっそり買っていた私の個体の濃紺と赤のコントラストのフェイスプレートは個人的には気に入っております(^^)。
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DUNU製品のパッケージは毎回比較的コンパクトで中に入った大きめのケースに一通りのものが収納されているパターンですね。大きいケースは最近だと小型オーディオアダプターなども一緒に収納したりできるのでとても便利です。
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パッケージ内容はイヤホン本体、ケーブル、交換式プラグ(3種類)、ステレオプラグ、クリーニングブラシ、イヤーピース(ブルー4サイズ、ホワイト4サイズ、ブラック3サイズ)、レザーケースなど。
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DUNU Studio SA6」の本体はクリアグレーのレジン製シェルによるハンドメイドで、ユニバーサルフィットながら確かにカスタム感が漂いますね。レジン充填ではありませんが丁寧な加工で仕上がりは美しくまとまっています。3BAの「Studio SA3」が3Dプリントの巨大シェルでしたが見るからに別物で同じシリーズの製品とはとても思えないほどサイズ感も仕上がりは異なります。こちらは大きすぎず耳にフィットしやすいデザインで装着性も良好です。
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ケーブルはやや被膜が硬い印象がありますが取り回し自体は良好です。コネクタが交換式になっているのはとても便利ですね。付属ケーブルとの組み合わせでの音質に個人的には満足しておりリケーブルの
必要性を感じていない、というのもあるのですが、プラグを安全に交換できる仕様はやはり有り難いです。
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スペック的にはインピーダンス60Ω、感度113dB/mWとなかなか再生環境にパワーを要求する仕様であることは間違いありませんが、音量は結構取りやすいため、ある程度しっかり鳴らせる環境であれば小型オーディオアダプターでも楽しむことが出来ます。ここでもバランス接続で駆動力を稼ぐ、というアプローチが出来るのは良いですね。
イヤーピースは付属品のほか、定番のJVC「スパイラルドット」やAcoustune「AET07」、よりフィット感の強いタイプでは「AZLA SednaEarfit XELASTEC」や「SpinFit CP100+」など、自分の耳に合う最適なイヤピースを選択するのも良いでしょう。


■ インプレッション(音質傾向など)

DUNU Studio SA6DUNU Studio SA6」の音質傾向はフラット傾向で、非常にバランスの良いニュートラルサウンド。6BAクラスのイヤホンの中でも結構高額に属する製品ですが、非常に整えられた質の高い音作りは美しい外観と併せて十分に価格に見合うもの。マルチBAイヤホンのなかでも有名ブランドの10万円オーバーのハイエンド製品と比較しても遜色ない優れた正確性があります。また各音域は非常に精緻な表現をしつつ疲れにくい心地よさがあります。また、多くのマルチBAイヤホンのフラット方向というとイメージされる低域とはレベルの違いもあります。マルチBAで低域が良いというと私は「Shure SE846」の独自ローパスフィルタによる音作りをイメージしますが、「DUNU Studio SA6」の低域は純粋に表現力の高さで多くのハイブリッド製品より高い質感をマルチBAで実現しています。

DUNU Studio SA6」の非常に高い解像度、分離性、そして全ての帯域での破綻のないなりの良さと空間表現は、マルチBAタイプのリスニングモニターサウンドを探している方には回答になり得る実力を持っています。ホント、「フェイスプレートさえ好みと合致すれば限り無く100点に近い」のイヤホンだろうと思います(笑)。スイッチによる変化はほんとうに僅かですが、「デフォルト」がモニター的サウンド、「ON」がよりリスニング的に変化します。具体的には低域の響きが増す感じですね。どちらもバランス的には高いレベルを維持しており、気分で変えても良いかなと思います。

DUNU Studio SA6DUNU Studio SA6」の高域は伸びやかで見通しの良い音を鳴らします。解像度は非常に高く、直線的です。シンバル音の煌めきも綺麗にならしつつ、全体としての表現力と主張のバランスから過度に刺激を感じない聴きやすさがあります。
中音域は非常にリアルな表現力があります。原音を的確に捉えつつ空気の膜を取り去った透明感があり、ボーカル帯域は細かい息づかいまで極めて精緻に捉えます。音場は過度に広がることは無く、原音に忠実ですが、定位は極めて正確で、音源によっては奥行きがより立体的に捉えることが出来ます。女性ボーカルやピアノの高音などの中高域の伸びは美しく男性ボーカルも豊かな余韻があります。演奏は完全に分離され、明るく、かつ自然な表現を堪能できます。
低域はマルチBAながらシングルダイナミックのような表現力があります。最近ではマルチBA構成のイヤホンでも低域の厚みや重さを強調した製品も存在しますが、「DUNU Studio SA6」は全体としてフラットなバランスの中で直線的でパワーのあるミッドベースと深く厚みのある重低音を実現しています。スイッチをONにすると、重低音の厚みが変化し全体として響きを感じるサウンドになります。これはEDMやハードロック、ライブ音源等の重低音を効かせている曲でより実感することが出来るでしょう。そのため多くのポップスやアニソンなどではあまり違いは感じないかもしれませんね。


■ まとめ

ということで、「DUNU Studio SA6」は買いか否か、というと「マルチBAタイプのモニターサウンドが好みの方であれば結構上がりに近い製品」というレベルにはオススメできると思います。このサウンドクオリティのマルチBAとなると、500ドル台では他にはなかなか選択肢を見つけられない感じです。おそらくアンダー1000ドル級、あるいはそれ以上のクラスの評価の高い製品との比較が妥当になるでしょう。
DUNU Studio SA6とはいえ決して安価な製品ではないですので、とりあえず挑戦するみたいなイヤホンではありませんし、やっぱりシングルダイナミック派という方には「いいけどちょっと違う」という感じになるかもしれませんね。どのみちこのクラスになると地方の方でも無試聴突撃は避けた方が良い(出張等で都市部に来たときにみたいな感じで)と思いますので、最終的には自分の好みになりますね。ただこの機種については比較的人気機種のため、中古をこまめにチェックしていると状態の良い個体がちょいちょい出てきますのでフェイスプレートのデザインも含めてそちらを狙い撃ちするのも手かもしれませんよ(^^;)。