IKKO ITX01

こんにちは。今回は「IKKO ITX01」です。高音質で魅力的なイヤホン製品を数々リリースしている中国の「ikko Audio」(アイコーオーディオ)ですが、同社はオーディオアダプター製品も結構以前から手がけており、どれも他社とはちょっと違った視点のアイテムが特徴的です。そんななか、今回はオーディオ製品と言うよりデジタルガジェット扱いに近い製品となりますね。最近コンパクトながら高音質、高出力なオーディオアダプター製品が各社からリリースされているなかではややキワモノ感はありますが、ビジネスでMacBook等を普段から持ち歩いている方など、この手のアイテムを日常的に使っている層にとっては「ありそうでなかった」ちょっと気になるアイテムなのではないでしょうか。

■ 製品の概要について

個性的なイヤホン製品を相次いでリリースしている中華イヤホンのブランドとしてマニアの間でも人気が高まっている「ikko Audio」ですが、オーディオアダプター製品にも精力的に取り組んでいる側面もあります。私のレビューでもこれまで小型アダプターの「ITM03」、スマートフォンと一体化して利用できる「ITM05」、そして低価格ながら高音質でケーブル部分の交換可能な「IKKO Zerda ITM01」を紹介しています。
過去記事(一覧): 「ikko Audio」製イヤホン/オーディオアダプターのレビュー

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IKKO ITX01」は前述のように「ハイレゾDAC搭載のUSBモバイルドッキングステーション」というかなりガジェットに寄ったアイテム。DACチップはikko Audioがチップメーカーと共同開発した独自の「SNC 8600」を搭載します。スペック的には最大32bit/192kHzまでと、従来モデルに搭載しているDACよりスペックを抑えている点などから、音質重視と言うよりは、より省電力・高出力かつ接続互換性を重視した複合チップセットだろうと推測できます。プラグは3.5mmステレオと4.4mmバランス接続に対応。この「4.4mmバランス対応」という部分が最も大きな特徴となっていますね。
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モバイルドッキングステーション部分は「この手の製品」を普段から使用している方には結構お馴染みの構成で、USB 3.2 ×3、USB Type-C ×1、SD/microSD、HDMI、100W PD(電源出力)といった構成。モバイルワーカーを中心に必要とされる機能は一通り網羅している印象です。Appleの認定などでコストのかかるThunderbolt(3または4)は搭載していません。というか後述の通り必要ないからですね。
また「IKKO ITX01」では「ITM01」で搭載していたモード切替(「GAME」「MOVIE」「MUSIC」)に対応します。「GAME」モードではゲームに適した音響モードに変わると同時に、Nintendo Switch等へ接続しての動作にも対応します。

IKKO ITX01」の購入はAliExpressのikko Audio直営店およびAmazonにて。価格はAliExpressが99ドル、Amazonが12,500円です。
※3/28日よりAliExpressのスプリングセールが開催され、「IKKO ITX01」も20% OFFとなるそうです。


■ 製品の開封、外観、機能など

パッケージはブラックの写真を載せたシンプルなデザイン。パッケージ内容は本体、布製ポーチ、説明書、保証カードなど。
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金属製の本体は結構しっかりした作りでやや重量感があります。サイズ的には最近出回っている非常にコンパクトなモバイルドッキングステーションと比べるとやや大ぶりですが有線LAN付きの製品などと似たサイズ感でこの部分がDACおよオーディオ出力に置き換わった感じですね。
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ところで、「ドッキングステーション」という言葉からは、自宅に置いておき、モバイルノートを接続してデスクトップマシン的に使うための装置、というニュアンスで受け取れそうですが、実際のところはこの手のコンパクトなアダプタはMacやPCと一緒に持ち歩き、外出先で補助的に使うのが一般的です。
IKKO ITX01Amazonなどではこのような仕様のコンパクトなドッキングステーションは数千円で購入できることもあり、MacBookやSurfaceといったモバイルノートを持ち歩きで使用するような職業の方ならだいたい1個くらいは持っていたりするものですね。訪問先でプロジェクターやモニターにつなぐためにHDMIは必要ですし、プリンターやUSBメモリをつなぐのにタイプAのUSBも必要。そして今でもSDカードやmicroSDでのデータのやりとりや確認の機会も多い、そんな感じです。いっぽうでもともとモバイルの補助アイテムなので、Macユーザーを想定しても、高速ストレージや高リフレッシュレートの4Kモニタなどで使用されるThunderbolt3/4のような機能は必要ない、という発想ですね。

今回の「IKKO ITX01」も「モバイルドッキングステーション」としての利便性を維持したDAC搭載モデルという位置づけと考えた方が良いでしょう。個人的には日常的にスタバなどでMacBook等を広げているビジネスマン諸氏には結構「刺さる」アイテムではないかなーと思ったりします。

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なお、接続時の再生モードは同じくモード選択が出来る「ITM01」同様に「MUSIC」(本体表記は「HiFi」)モード、インジケーターは「黄色」の状態の一択です。これが「MOVIE」モードだと映画などで臨場感が増すいっぽうで通常は低域が過度にブーストされ籠もったような音に感じます。「IKKO ITX01」は接続時の標準モードが「MOVIE」モードで、接続中もしばらく使用していないとやはり「MOVIE」に戻ってしまう仕様のようです。正直デフォルトを「MUSIC」にして、たまに「MOVIE」を使うくらいがちょうど良いと思うのでできればここは改善して欲しい部分ですね(モード切替に気付かずに「MOVIE」モードの音がこの製品のサウンド、と思い込んでしまう人も少なからず現れそうですし)。なお、「GAME」モードは「Switch」互換になるため一度内部で再起動がかかる仕様なのも「ITM01」と同様です。モードによって激しく印象が変わるので試聴などの際はご注意ください


■ インプレッション

IKKO ITX01「MUSIC」(HiFi)モードの音質傾向は、若干低域寄りですが基本はニュートラルで癖の無い音を鳴らします。バランス接続とのシングルエンドの差はそれほど大きくは無く、バランスの方がややエッジが立つ程度。出力にもほとんど差はないため、通常はシングルエンドのほうが自然な音で使いやすいのではと思います。反応の良いイヤホンでもホワイトノイズなどはほとんど発生せず、極端に鳴らしにくい製品を除き大抵のイヤホンでは問題なく使えるでしょう。いっぽうで、駆動力はそれなりにありますが、出力(ゲイン)は小さめで、MacBook Proでの利用で「AKG K701(バランス化済み)」でシングルエンドでもバランスでも最大音量でギリ、くらいの印象でした。 鳴らしにくいヘッドホンではあまり向かない所もやはりモバイル向けのアイテムですね。解像感や分離性、音場の広がりなどの点で上位モデルや高音質DACには及ばないものの、「MUSIC」モードでは普段使いとしては十分に実用的な音質だと思います。

また、モバイルドッキングステーション部分も問題なく利用できました。モニタについてもHDMI経由でFHDのディスプレイのほか、4Kの液晶テレビへの出力も問題ありませんでした。最近はプレゼンなどもプロジェクターよりも大画面テレビに画面を映してという機会が増えていますが特に問題はなさそうです。接続はMacBook ProおよびPC(Windows 11 Pro搭載)で試しましたがどちらも問題はありませんでした(Windows 11ではオーディオも標準ドライバーでの接続になるため、ASIOには未対応)。
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あと余談ですが個人的に「IKKO ITX01」で良かったのはmicroSDスロットでカードが奥までしっかり挿入できたこと。小型のドッキングステーションでは読み書きに支障の無い範囲で挿入しても半分しか刺さらないため、挿入したままにしておく、という使い方が出来ずにいました。当然取り外す際にマウント解除は必要ですが入れたままにしておいて使用すると音楽データなど再生時以外は使用しないものをmiscoSD側に入れておくとか、挿入時にバックアップを取れるようにしておくとか、いろいろ使い道があります。細かいところですが設計に余裕があるのは良いことですね。


■ まとめ

というわけで、「IKKO ITX01」はオーディオ製品というよりは、「オーディオ的にも楽しめるデジタルガジェット」という印象もありましたが、モバイルドッキングステーションの機能は十分に実用的だと思いました。これらの機能を必要とするビジネスユーザーのほか、新学期・新入学のシーズンと言うことでモバイルノートを日常的につかう大学生などもニーズはあると思います。そのなかでちょっとオーディオ的にもこだわってみたい、という場合には興味深い選択肢です。ウイークポイントとしてはモード選択が分かりにくい点(標準が「MOVIE」モードだったり)と、あとはやはり価格でしょうか。Amazonで購入できる通常のモバイルドッキングステーションの価格を考えるとやはり結構割高感はあるため、この辺をどのように捉えるかかもしれませんね(AliExpressのセールを活用する手もありますね^^;)。これらの点を考慮できれば非常に良い製品であり多くの方におすすめできると思います。