TANCHJIM OLA

こんにちは。今回は「TANCHJIM OLA」です。10mmドライバーを搭載したカナル型イヤホンとしては最小サイズといえるアルミ製シェルに美しいボーカル帯域を持ったイヤホンに仕上げられています。メリハリの効いた派手なサウンドではありませんが、非常に使いやすく、低価格イヤホンのカテゴリーにまた強力なアイテムが登場したことを実感させます。

■ 製品の概要について

TANCHJIM(タンジジム)は2015年に設立された中国のイヤホンメーカーで、ニュートラルな質の高いサウンドを実現したミドルグレード製品の「Oxygen」でマニアの間でも幅広く知られるようになりましたね。そしてより華やかさを持ったサウンドが印象的な「HANA」や、ハイグレードモデルの「Prism」など様々な製品をリリースしています。

TANCHJIM OLA」のシェルは航空グレードのアルミニウムカバーと軽量で透明な樹脂ハウジングによるコンパクトでエレガントなデザインを採用。
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ドライバーはエントリーグレードの製品ながら自社開発「DMT4」(第4世代DMT)アーキテクチャを採用した10mm ポリマーグラフェン振動版ダイナミックドライバーをシングルで搭載。FEM解析による有限要素解析アルゴリズム(FEA)にる専門的な調整を実施。HRTF(頭部伝達関数)周波数曲線に従って調整されています。
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TANCHJIM OLA」では0.78mm 2pinコネクターを採用。リッツ線構造の4N OFC銀メッキケーブルが付属します。本体のインピーダンスは16Ω±10%、感度は126dB/Vrmsです。

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TANCHJIM OLA」は現在は海外版のみで価格は39.99ドル(マイク無しモデル)。購入はAliExpressなどの主要セラー、HiFiGo、SHENZHENAUDIOなどにて。
HiFiGo: TANCHJIM OLA


■ パッケージ構成、製品の外観および内容について

TANCHJIM OLA」のパッケージは正方形の同社製品のパターンを踏襲しつつコンパクトに。このようなキャラクター前面の「萌えパッケージ」も慣れというか、あまり違和感を感じなくなってきましたね(^^;)。
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パッケージ内容はイヤホン本体、ケーブル、イヤーピース(2種類、3サイズ)、布製ポーチ、説明書、保証書など。
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イヤホン本体はアルミ製のフェイス部分と透明な樹脂製のハウジング部分で非常にコンパクト&軽量。いっぽうでステムノズルがちょっと太いのが特徴的なデザインです。耳穴にすっぽり収まるサイズ感なのですがこのステムの関係で、付属イヤーピースではフィット感が今ひとつというケースも多いかも。
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イヤーピースは付属品のほか、定番のJVC「スパイラルドット」やAcoustune「AET07」、よりフィット感の強いタイプでは「AZLA SednaEarfit XELASTEC」や「SpinFit CP100+」など、自分の耳に合う最適なイヤピースを選択するのも良いでしょう。他にも「final E」タイプ、ラディウス「DEEP MOUNT」イヤーピースなどの選択肢もあります。
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サイズ的には非常にコンパクトな「TANCHJIM Oxygen」や「HANA」と比較してもかなり小さくその小ささがわかります。
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ケーブルはやや硬めの被膜の銀メッキ線タイプ。イヤホンのデザインとはよく合いますが屋外利用が多いと緑化などの可能性もあるかも。0.78mm 2pin仕様ですのでリケーブルの選択肢は豊富にありますね。


■ インプレッション

TANCHJIM OLATANCHJIM OLA」の音質傾向はTANCHJIMらしいフラット方向の印象ながら比較的中音域にフォーカスした印象のサウンド。ストリーミングでポップスなどのボーカル曲を気軽に、心地よく楽しめるチューニングに仕上がっています。低価格イヤホンらしいアプローチですね。同時に高域は聴きやすく、低域は適度な厚みがある印象。ボーカルは比較的近くで定位し、綺麗な音を奏でます。ただし、前述の通りイヤーピースをしっかり合わせないと、ちょっと抜けたような感じになるかも。よりフィット感を得たい場合は「CP100+」などの密着性のあるものを選んだ方が良いかもしれませんね。

TANCHJIM OLA」の高域は適度な明瞭感があり、明るさと煌びやかさがあります。多少ドライですが金属質な印象は少なく、天井はそれほど高くはありません。その分刺さりなどの刺激は抑えられておりとても聴きやすい印象です。適度な主張がありレスポンスも比較的早いため、分離は価格なりですが籠もるような印象は皆無です。
中音域は比較的近くで定位し凹むことはありません。特に女性ボーカルは綺麗で自然な透明感があります。男性ボーカルも適度な厚みがあります。どちらも自然な印象ながら適度な解像感がありこの価格帯のイヤホンとしては輪郭や余韻も好印象です。音場は一般的ですが適度な奥行きがあり演奏も自然に分離します。ボーカル同様にギターやピアノの音色も綺麗ですね。
低域は適度な厚みがありますが、イヤーピースによりかなり印象が変わります。もし抜けたような印象や重低音の浅さを感じたらよりフィット感のあるものに好感することを推奨します。ミッドベースは直線的で過度に膨らむことは無く、分離感のある音を鳴らします。重低音も密度感があり、パンチの効いた音を実感出来ます。決して強調された音ではないため地味な印象ではありますが、ニュートラルなバランスでボーカル帯域などをしっかり下支えしてくれます。

TANCHJIM OLA」はこの価格帯のイヤホンのなかでは驚くほどニュートラルで自然なサウンドを提供します。フラット方向で適度に柔らかく自然なサウンドというのは、「HZSOUND HeartMirror」以降、低価格イヤホンでも質の高い製品が登場していますが、「TANCHJIM OLA」ではより低価格で、またよりボーカル曲を心地よくリスニングできる、という点で差別化できるでしょう。40ドル以下のイヤホンとしてはかなり上品なイヤホンだと思います。


■ まとめ

TANCHJIM OLATANCHJIM OLA」は普段使いイヤホンとして非常に高いポテンシャルを持っていると感じました。そのコンパクトさはポーチに入れた状態でもジーンズのフロントポケットに収まるサイズ感で、普段使いに持ち歩くのに最適です。また2pinコネクタを採用していますので、ワイヤレスアダプタでTWS化するのも良いかもしれませんね。ボーカル帯域にフォーカスしたサウンドはストリーミングが主流の現在のニーズにとても合っていますが、いわゆる「W字カーブ」のようなボーカルをカマボコにしたドンシャリ系(イマドキのサウンド)とは一線を画しており、個人的にも好感が持てます。難点は太いステムによる装着性で、イヤーピース選びはけっこうしっかりやった方が良い点ですね。現在は国内では未発売ですが国内販売されれば結構な人気モデルになるのは間違いなさそうですね(^^)。