TINHIFI T1S

こんにちは。今回は「TINHIFI T1S」です。中国のイヤホンブランド「TINHIFI」のエントリーモデル「T1 PLUS」がマイナーチェンジを行い、基本仕様を踏襲しつつチューニングの変更などによりよりバランスの良いサウンドにアップデートされました。30ドル以下の低価格で「ベリリウムコート」ドライバー、「バランスよいハーマンターゲット系のリスニングサウンド」という要素を楽しみたい方には最適のイヤホンだと思います。

■ 製品の概要について

中国のイヤホンブランド「TINHIFI」は最初のモデル「T2」の次にリリースされたエントリーモデルが「T1」で、その後、ややミッドレンジをややウォーム方向にチューニングしボーカル帯域を意識した「T2 PLUS」のリリースに追随するかたちで「T1 PLUS」が発売されました。
過去記事(一覧): TIHIFIブランドのイヤホンレビュー

この「T1 PLUS」は従来の金属製ハウジングではなく樹脂製のシェルを採用しコストダウンを行いつつ、いっぽうでドライバーにはベリリウムコート振動版を採用した10mm ダイナミックドライバーをシングルで搭載するという、まさに「ドライバー仕様への全振りモデル」という印象でしたね。「T1 PLUS」発売前には何種類かのテストバージョンが一部のレビュアーに配布されるなどサウンドパターンの検討が行われましたが、最終的には中低域寄りでややウォームさのあるボーカル帯域が強調された「T2 PLUS」の方向性に近いチューニングになりました。
→ 過去記事:「TINHIFI T1 PLUS」 ポップなカラーバリエーションと中低域メインのボーカル向けサウンドで生まれ変わったTINHIFIのエントリーモデル【レビュー】

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そして今回の「TINHIFI T1S」では「T1 PLUS」のサウンドをベースに中高域のスピード感や明瞭さが向上し、よりベリリウムコートらしいチューニングにアップデートされました。

TINHIFI T1S」が搭載する10mmサイズのダイナミックドライバーは振動板に98%のベリリウムメッキを施しており、ベリリウムの非常に軽量で頑丈な特性から、より歪みが少なく速い応答を実現。豊かな中音域、深みと力強さのある低域、滑らかでありながら詳細な高域のレスポンスを生み出します。またドライバーは再設計された真鍮製のアコースティックキャビティに格納されます。
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長年の専門知識を持つTINHIFIによって再開発されたアコースティックシリコンスリーブとダイナミックドライバー用の新しい真鍮製のキャビティを採用。これにより「TINHIFI T1S」はよりクリーンなミッドレンジとスムーズなボーカルを実現。また「TINHIFI T1S」の樹脂シェルは人間工学的形状で重量は片側わずか3.2グラムと軽量です。そのため非常に快適な装着性を得ることが出来ます。

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TINHIFI T1S」のカラーバリエーションは「ホワイト」「ピンク」「グリーン」「ブラック」の4色が選択できます。購入はAliExpressなどの主要セラーやHiFIGOなどのショップ、Amazonにて。今回サンプル提供をいただいたHiFiGoでは直営店で29ドル、Amazonで3,705円で販売しています。
HiFiGo: TINHIFI T1S
Amazon.co.jp(HiFiGo): TINHIFI T1S


■ パッケージ構成、製品の外観および内容について

TINHIFI T1S」は基本的には「TINHIFI T1 PLUS」のアップデート版となります。そのため、パッケージも「T1 PLUS」のものに「T1S」と記載された化粧カバーで覆う、という方法がとられています。また今回届いたロットでは製品にプリントされたシルクスクリーンも「T1 PLUS」の記載のままになっているため、外観上の違いはこの化粧カバーと今回変更になったイヤーピースのみ、ということになりますね。
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パッケージ内容はイヤホン本体、ケーブル、イヤーピース(4サイズ)、説明書、保証カード。「T1 PLUS」では従来タイプの開口部の広いタイプを狭いタイプ2種類のイヤーピースが付属しましたが、「TINHIFI T1S」では新しい形状のイヤーピース1種類のみとなっています。

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TINHIFI T1S」の本体形状は「T1 PLUS」との相違点は無く、前述の通り届いたロットではプリントも「T1 PLUS」のままです(今後のロットでは変更される可能性もあると思います)。比較的硬質の樹脂製で同社のほとんどのモデルが金属製なのに対してやはりコストダウンをしている感はありますしかし非常に軽量かつ薄型で装着性にも優れているため、これはこれで合理的かなとは思います。本体カラーは4色を選べますが、ブラックのみ半透明の単色シェル(ラメグリッター入り)で、ほかのカラーは無地のカラーフェイスパネルと透明ハウジングの構成になっています。
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ケーブルは銀メッキ線タイプ。多少絡まりやすいですが質感としては低価格中華イヤホンでは多いタイプですので使い勝手に違和感はないでしょう。コネクタはqdc互換のカバー付きタイプ(極性はCIEM 2pinと同じ)新しいイヤーピースは丸みを増した形状で装着感の向上に役立ちます。音質面の変化にも当然影響していると思います。


■ インプレッション

TINHIFI T1STINHIFI T1S」の音質傾向はフラット方向でやや中低域寄りの弱ドンシャリ。従来の「T1 PLUS」と比べてやや「TINHIFI T3 PLUS」の傾向に寄せた印象のチューニングといえるかもしれません。「TINHIFI T3 PLUS」はアンダー100ドルクラスで同様にLCP振動板を採用し競合する「Moondrop Aria」「DUNU TITAN S」同様に最近増えているハーマンターゲットカーブを意識したチューニングを行ったモデルとして高評価を得ていますが、「TINHIFI T1S」でもこの印象をある程度踏襲しつつ半分以下の価格設定で楽しめる製品としてアップデートされました。
従来の「T1 PLUS」では「T2 PLUS」に近い、やや中低域寄りでボーカル帯域にウォームさを感じるサウンドでしたが、比較すると中高域がより明瞭かつスッキリした印象で、良い意味でよりニュートラルなサウンドになっていると思います。

TINHIFI T1S」の高域は聴きやすく比較的明瞭な印象です。「T1 PLUS」より多少スッキリした印象に変化しましたね。ベリリウムコートドライバーの採用により歪みを抑える効果を得ているとのことで、過度に硬質にならず、適度な煌めきを確保しています。ただし解像感および高高域の伸びは価格なり。「TINHIFI T3 PLUS」に比べると解像感や見通しの良さでは相応の差があります。いっぽうで刺さりなどの刺激はコントロールされており、ボーカル帯域を中心にしてバランスはとれていると思います。また長時間のリスニングでも聴き疲れしにくいと思います。

TINHIFI T1S中音域は比較的フラットで癖のない鳴り方をします。「T1 PLUS」で感じられたウォームさは無く比較的明瞭な印象になりました。伸びが良い女性ボーカルに加え、男性ボーカルもより明瞭に楽しめる印象で、同時に厚みのある低域もあり臨場感のあるサウンドを楽しめます。ただし音場感や分離性については一般的でベリリウムだから、という個性は感じません。自然でニュートラルですが、別の視点では無個性という感じもします。これは「TINHIFI」の既存モデルでも言えることなのですが、上位モデルの場合は同様のチューニングにより音質面の質の高さが際立つものの、下位モデルでは同様に高音質化する競合製品との比較で突出した要素を見つけにくく、「わかりやすさ」という点ではウィークポイントに感じる方もいらっしゃると思います。

低域は「T1 PLUS」同様にTINHIFIのイヤホンの中では比較的パワフルで、同時にタイトな鳴り方をします。おそらくベリリウムコートのドライバー特性が最も活かされている帯域だろうと思われます。スピード感のある鳴り方をしますが、量感があるため中高域との分離は今ひとつで曲によっては中低域に被りがあり活かせてないと感じる場合もあります。ポップスやアニソンなどのボーカル曲との相性は良く、厚みのある低域が心地よい音場感を生みますが、音数の多い曲やテンポの速い曲は向かないようです。


■ まとめ

TINHIFI T1Sというわけで、「TINHIFI T1S」は音質面のアップデートにより「T1 PLUS」より着実に印象が良くなり、同社のエントリーモデルとしての完成度が向上しました。地味でややチープに見える外観や、上位モデルに傾向を寄せたことでより価格差を感じなくなった(価格なりの違いが実感出来るようになった)という点を気にされる方ももちろんいらっしゃると思いますが、オールジャンルで使いやすく聴きやすいニュートラルサウンドをアンダー30ドルで購入できるのは相応のメリットがあるでしょう。またコネクタ部分はKZおよびTRNのタイプCコネクタと互換性があるため、これらのメーカーの低価格なTWSアダプタを「TINHIFI T1S」と組み合わせてワイヤレスイヤホン化することも可能です。間違いなくKZ/CCAやTRN製イヤホンと「TINHIFI T1S」は方向性の違うサウンドですので非常に面白い組み合わせとして活用できると思いますよ(^^)。