
こんにちは。今回は「NICEHCK Youth(青春)」です。ベリリウムコート振動板を採用し、日本のマニア向けサウンドチューニングを行った最初のモデル、ということらしいですね。以前は「日本向け」というとアニソンの女性ボーカルに合わせたWカーブ(あるいはUカーブ)なサウンド、というパターンが多かったのですが、今回は「日本のマニア向け」ということで、全然その方向では無く、バランスの良さを保ちつつ、軽快さと伸びやかな高域がとても印象的な製品に仕上がっていますね。アマゾンでも再入荷し期間限定の特価販売を行っていると言うことで、私のブログでも紹介したいと思います(^^)。
■ 製品の概要について
中国のイヤホンセラー「HCK Earphones」は私のブログでもお馴染みの老舗中華イヤホンセラーで多くのマニアに絶大な支持を受けていることでも知られています。そのオリジナルブランド「NICEHCK」もまた多くのマニアに寄り添った、「他とはちょっと違う製品」が特徴だったりもしますね。今回は「日本のマニア向け」というグローバル視点では極めてニッチな、ただしHCKにとってはもしかしたら「ド直球」なターゲッティングを行ったモデルになります。


「NICEHCK Youth(青春)」は低価格中華イヤホンのなかでも最もホットな「激戦区」であるアンダー100ドルクラスに投入されたモデル。鮮やかなライトグリーンのアルミニウム合金製メタルシェルに8.8mmサイズのベリリウムコート振動板ダイナミックドライバーを搭載しています。樹脂振動板にベリリウムをメッキ定着させた振動板ですのでいわゆる「ピュアベリリウム」とは異なりますが、音質面の特徴に加えて、日本でのベリリウム振動板の人気の高さも採用の理由のひとつかもしれません。


というのも、「NICEHCK Youth(青春)」は同社としては初めて「日本のマニア向けチューニング」という記載が行われました。以前HCKはピュアベリリウムドライバー搭載の「NICEHCK Lofty」で「日本のマニア」諸氏より「もっと高域を!」みたいな話になって、追加でより高域が伸びるケーブルを配布して「いや、そこまでしなくても」と恐縮しながらも有り難くいただいた(てへ)というエピソードがありましたが、その辺を受けての「日本のマニアに受けるチューニング」という方向性、ということみたいです。まあHCKらしい話ですね(^^;)。


「NICEHCK Youth(青春)」の購入はAliExpressの「NiceHCK Audio Store」またはアマゾンの「NICEHCK」にて。
価格はAliExpressが89ドル、アマゾンが9,750円です。なお、アマゾンの価格は1週間のみの特別価格ということですので興味のある方はお早めに。
AliExpress(NiceHCK Audio Store): NICEHCK Youth (※20ドルOFFクーポン配布中)
Amazon.co.jp(NICEHCK): NICEHCK Youth (※プライム在庫あり)
■ パッケージ構成、製品の外観および内容について
「NICEHCK Youth(青春)」のパッケージサイズは先日レビューした「NICEHCK B70」と同様ですが、化粧カバーはアニメ絵ではなく製品のカラーグラフィックスを掲載。マニア向けということでちょっとだけ「硬派」な感じかもしれません(^^)。パッケージ内容はイヤホン本体、ケーブル、ケーブルタイ、イヤーピースは「AET07」タイプ(「NICEHCK 07」)が4サイズ、グレーのタイプが3サイズ(Mサイズは装着済み)、ハードケース、説明書、保証書。ケースはお馴染みの黒色タイプです。


「NICEHCK Youth(青春)」イヤホン本体はアルミ合金製。シェル形状は樹脂製ハウジングの「NICEHCK DB2」に近いサイズ感でフェイス部分はKZ/CCAよりひとまわり小振り。金属製ですが比較的軽量なこともあり装着性もまずまずです。


コネクタ部分は0.78mm 2pin仕様で中華2pinまたはCIEM 2pinのけーブルに交換が可能です。ただ最近のフラットタイプの2pin製品に多いのですがコネクタがややキツめになっているのか、きっちり垂直に挿入しないとなかなか入らないため、雑に扱ってピンを曲げないように注意した方がいいでしょう。付属ケーブルは銀メッキOCC線の4芯タイプ。やや被膜が硬いのと耳掛け部分の加工が耳の形状によって多少合わない場合があるかもしれませんが、取り回しは良好です。


■ インプレッション
「NICEHCK Youth(青春)」の音質傾向は中高域寄りの弱ドンシャリ傾向。明瞭かつスッキリした味付けのないサウンドで、ベリリウムらしい解像感と高域の伸びの良さと小気味よい軽快さを堪能できるイヤホンです。中低域の深さや厚みについては上流の再生環境でも多少変化します。そのためリケーブル効果も比較的大きくいろいろ遊べる要素もありそうですね。中華イヤホンらしい派手な寒色系ドンシャリとも当然異なりますし、最近急増しているフラット方向のイヤホンとも異なる印象ですがまとまりは良く、マニアなら持っていても損はない製品だと思います。
解像感や分離の良さを意識し、しっかり1音1音を堪能しつつ、全体としては心地よいリスニングイヤホンとして楽しめる、確かに「日本のマニアも納得のサウンド」といえるでしょう。確かに最近のトレンドと比較するとあまり一般的な音質傾向ではありませんが、個人的には結構好きなサウンドです。
ちなみに、一概には言えないのですが、人気の出る音質傾向には多少地域差があるようで、たとえば欧米などでは以前は低域重視のドンシャリ(Vカーブ)系、最近はニュートラル傾向になっているもののやはり比較的中低域寄りで、香港や中華圏ではボーカル帯域を多少持ち上げた「Wカーブ」あるいは緩やかな「Uカーブ」の製品の人気が高く最近までの中華イヤホンの主流でした。いっぽうではCrinacle氏のようにf値の特性にフォーカスする流れも強く、最近では「ハーマンターゲットカーブ」を強く意識した「ニュートラルに近い」リスニングサウンドというのが、100ドル前後からミドルグレードの大きなトレンドになっていますね。
ただ共通して言えることは数年前まではある程度のグレードのイヤホンになると高域は刺さるのが当たり前(本来の音源をそのまま高解像度で再現すればそうなる)だったのが、最近では4kHz、8kHz付近の「刺さりやすい帯域」をコントロールして「聴きやすい音」にしていることが多く、また高域そのものを多少抑える傾向も少なくありません。おそらく最大公約数的にはそのほうが好感される「万人受けするサウンド」になるのですが、地域に関係なくマニア層の方々は「しっかり高域を出してくれる方が良い」という評価をします。
特に日本ではその傾向がより強いのか「むしろ刺さるくらいでちょうど良い」と書いちゃう製品が「売れる」という、他の地域とはちょっと異なる傾向もあるみたいです。今回「NICEHCK Youth(青春)」での「日本のマニア向けチューニング」というのが「刺さりをある程度コントロールしつつ、硬質で明瞭感の高い中高域寄りドンシャリ」みたいな方向にHCKが定義したのは、このような「経験」に基づくものかな、と想像します。
「NICEHCK Youth(青春)」の高域は、明瞭で伸びのある音を鳴らします。ベリリウムコート振動板らしい煌めきと光沢感を保ちつつ、中華ハイブリッドのようなギラつきとは異なる軽快な金属感が心地よいですね。再生環境にも多少影響しますが、刺さりやすい帯域はあるていどコントロールされているため過度にシャリ付くようなことはありませんが、刺激のある音もちゃんと鮮やかさを失っていないのは好印象です。ちなみにサイトには今回も100時間以上のエージング、という記載がありますが、開封直後からしっかりとした鳴りを堪能でき、エージング前後での差はそれほど大きくは感じませんでした(エージングには例によってHCKで購入したエージングマシンを使用)。
中音域は、曲によっては僅かに凹みますが、ニュートラルで明瞭な印象。中高域の抜けは良いものの女性ボーカルのハイトーンは多少刺激があります。この辺はイヤーピースでも結構印象が変わるので色々試して見ることをお勧めします(個人的にはCP100+のようにちょっと粘着性があるほうが低域の表現力も含めて好感しました)。ボーカルも自然な距離感での定位で過度に強調することはありませんが、非常に分離や解像感に優れるため不足を感じることは無く楽しめます。音場は一般的ですが定位は自然で違和感はありません。
低域は相対的には少なく、小気味よく中高域を下支えする印象。とはいえミッドベースは十分に存在感があります。重低音は量感を抑えている印象が強いもののタイトで解像感があります。前述の通りイヤーピースやリケーブルによる変化が大きい音域で、個人的には付属の「NICEHCK 07」より「SpinFit CP100+」や「AZLA SednaEarfit XELASTEC」のように多少粘着性があり、フィット感が強いタイプのほうが好印象でした。またケーブルも同様な銀メッキ線を選びつつバランス接続に替えるだけでも結構印象に変化があります。とはいえ、やはり軽快さを楽しむイヤホンのため、ロック、ポップス、アニソンとの相性が良いでしょう。またインストルメンタルでもストリングスやブラス、ピアノなどの中高域をしっかりした定位で表現してくれるため、各種サウンドトラックなども楽しめると思います。
■ まとめ
というわけで、「NICEHCK Youth(青春)」は、たぶん万人受けな製品ではありませんが、確かに「日本のマニア向け」としてはかなり興味深い製品だと思います。最近の製品にスッキリした抜けの良さを今ひとつ感じていなかった方には最適でしょう。
いっぽうで低域の質感や音数の少なさを追求した最近のトレンド(特に洋楽)ではちょっと低域の量感、特にサブベースの重さに不満を持たれるかもしれません。その場合はイヤーピースの変更と、銅線タイプのケーブル、たとえば同時期に発売された「NICEHCK GCT5」へのリケーブルなどでメリハリが強調され中高域の音場感が増すとともに低域についても重低音の量感が変化します。
もっとも、この製品を購入される方のほとんどは同クラスのイヤホンを複数所有されていると思いますので、上手く使い分けて楽しむのが最適かもしれませんね。個人的には他とは異なるサウンドでかつ仕上がりの良い製品が増えたことで、バラエティの多さを、選択できる楽しさをさらに堪能できるなと思っています(^^)。
中国のイヤホンセラー「HCK Earphones」は私のブログでもお馴染みの老舗中華イヤホンセラーで多くのマニアに絶大な支持を受けていることでも知られています。そのオリジナルブランド「NICEHCK」もまた多くのマニアに寄り添った、「他とはちょっと違う製品」が特徴だったりもしますね。今回は「日本のマニア向け」というグローバル視点では極めてニッチな、ただしHCKにとってはもしかしたら「ド直球」なターゲッティングを行ったモデルになります。


「NICEHCK Youth(青春)」は低価格中華イヤホンのなかでも最もホットな「激戦区」であるアンダー100ドルクラスに投入されたモデル。鮮やかなライトグリーンのアルミニウム合金製メタルシェルに8.8mmサイズのベリリウムコート振動板ダイナミックドライバーを搭載しています。樹脂振動板にベリリウムをメッキ定着させた振動板ですのでいわゆる「ピュアベリリウム」とは異なりますが、音質面の特徴に加えて、日本でのベリリウム振動板の人気の高さも採用の理由のひとつかもしれません。


というのも、「NICEHCK Youth(青春)」は同社としては初めて「日本のマニア向けチューニング」という記載が行われました。以前HCKはピュアベリリウムドライバー搭載の「NICEHCK Lofty」で「日本のマニア」諸氏より「もっと高域を!」みたいな話になって、追加でより高域が伸びるケーブルを配布して「いや、そこまでしなくても」と恐縮しながらも有り難くいただいた(てへ)というエピソードがありましたが、その辺を受けての「日本のマニアに受けるチューニング」という方向性、ということみたいです。まあHCKらしい話ですね(^^;)。


「NICEHCK Youth(青春)」の購入はAliExpressの「NiceHCK Audio Store」またはアマゾンの「NICEHCK」にて。
価格はAliExpressが89ドル、アマゾンが9,750円です。なお、アマゾンの価格は1週間のみの特別価格ということですので興味のある方はお早めに。
AliExpress(NiceHCK Audio Store): NICEHCK Youth (※20ドルOFFクーポン配布中)
Amazon.co.jp(NICEHCK): NICEHCK Youth (※プライム在庫あり)
■ パッケージ構成、製品の外観および内容について
「NICEHCK Youth(青春)」のパッケージサイズは先日レビューした「NICEHCK B70」と同様ですが、化粧カバーはアニメ絵ではなく製品のカラーグラフィックスを掲載。マニア向けということでちょっとだけ「硬派」な感じかもしれません(^^)。パッケージ内容はイヤホン本体、ケーブル、ケーブルタイ、イヤーピースは「AET07」タイプ(「NICEHCK 07」)が4サイズ、グレーのタイプが3サイズ(Mサイズは装着済み)、ハードケース、説明書、保証書。ケースはお馴染みの黒色タイプです。


「NICEHCK Youth(青春)」イヤホン本体はアルミ合金製。シェル形状は樹脂製ハウジングの「NICEHCK DB2」に近いサイズ感でフェイス部分はKZ/CCAよりひとまわり小振り。金属製ですが比較的軽量なこともあり装着性もまずまずです。


コネクタ部分は0.78mm 2pin仕様で中華2pinまたはCIEM 2pinのけーブルに交換が可能です。ただ最近のフラットタイプの2pin製品に多いのですがコネクタがややキツめになっているのか、きっちり垂直に挿入しないとなかなか入らないため、雑に扱ってピンを曲げないように注意した方がいいでしょう。付属ケーブルは銀メッキOCC線の4芯タイプ。やや被膜が硬いのと耳掛け部分の加工が耳の形状によって多少合わない場合があるかもしれませんが、取り回しは良好です。


イヤーピースは「NICEHCK 07」が付属するため、ほとんどの場合は付属品で問題なく利用できるでしょう。また、よりフィット感を高めたい場合は、他に定番のJVC「スパイラルドット」や、密着感の強いタイプでは「AZLA SednaEarfit XELASTEC」や「SpinFit CP100+」など、自分の耳に合うものに交換するのも良いと思います。今回は付属品と「SpinFit CP100+」を使用しました。
■ インプレッション

解像感や分離の良さを意識し、しっかり1音1音を堪能しつつ、全体としては心地よいリスニングイヤホンとして楽しめる、確かに「日本のマニアも納得のサウンド」といえるでしょう。確かに最近のトレンドと比較するとあまり一般的な音質傾向ではありませんが、個人的には結構好きなサウンドです。
ちなみに、一概には言えないのですが、人気の出る音質傾向には多少地域差があるようで、たとえば欧米などでは以前は低域重視のドンシャリ(Vカーブ)系、最近はニュートラル傾向になっているもののやはり比較的中低域寄りで、香港や中華圏ではボーカル帯域を多少持ち上げた「Wカーブ」あるいは緩やかな「Uカーブ」の製品の人気が高く最近までの中華イヤホンの主流でした。いっぽうではCrinacle氏のようにf値の特性にフォーカスする流れも強く、最近では「ハーマンターゲットカーブ」を強く意識した「ニュートラルに近い」リスニングサウンドというのが、100ドル前後からミドルグレードの大きなトレンドになっていますね。

特に日本ではその傾向がより強いのか「むしろ刺さるくらいでちょうど良い」と書いちゃう製品が「売れる」という、他の地域とはちょっと異なる傾向もあるみたいです。今回「NICEHCK Youth(青春)」での「日本のマニア向けチューニング」というのが「刺さりをある程度コントロールしつつ、硬質で明瞭感の高い中高域寄りドンシャリ」みたいな方向にHCKが定義したのは、このような「経験」に基づくものかな、と想像します。
「NICEHCK Youth(青春)」の高域は、明瞭で伸びのある音を鳴らします。ベリリウムコート振動板らしい煌めきと光沢感を保ちつつ、中華ハイブリッドのようなギラつきとは異なる軽快な金属感が心地よいですね。再生環境にも多少影響しますが、刺さりやすい帯域はあるていどコントロールされているため過度にシャリ付くようなことはありませんが、刺激のある音もちゃんと鮮やかさを失っていないのは好印象です。ちなみにサイトには今回も100時間以上のエージング、という記載がありますが、開封直後からしっかりとした鳴りを堪能でき、エージング前後での差はそれほど大きくは感じませんでした(エージングには例によってHCKで購入したエージングマシンを使用)。

低域は相対的には少なく、小気味よく中高域を下支えする印象。とはいえミッドベースは十分に存在感があります。重低音は量感を抑えている印象が強いもののタイトで解像感があります。前述の通りイヤーピースやリケーブルによる変化が大きい音域で、個人的には付属の「NICEHCK 07」より「SpinFit CP100+」や「AZLA SednaEarfit XELASTEC」のように多少粘着性があり、フィット感が強いタイプのほうが好印象でした。またケーブルも同様な銀メッキ線を選びつつバランス接続に替えるだけでも結構印象に変化があります。とはいえ、やはり軽快さを楽しむイヤホンのため、ロック、ポップス、アニソンとの相性が良いでしょう。またインストルメンタルでもストリングスやブラス、ピアノなどの中高域をしっかりした定位で表現してくれるため、各種サウンドトラックなども楽しめると思います。
■ まとめ
というわけで、「NICEHCK Youth(青春)」は、たぶん万人受けな製品ではありませんが、確かに「日本のマニア向け」としてはかなり興味深い製品だと思います。最近の製品にスッキリした抜けの良さを今ひとつ感じていなかった方には最適でしょう。

もっとも、この製品を購入される方のほとんどは同クラスのイヤホンを複数所有されていると思いますので、上手く使い分けて楽しむのが最適かもしれませんね。個人的には他とは異なるサウンドでかつ仕上がりの良い製品が増えたことで、バラエティの多さを、選択できる楽しさをさらに堪能できるなと思っています(^^)。