
こんにちは。今回は「KZ ESX」です。低価格中華イヤホンの中心的ブランドとしてお馴染みの「KZ(Knowledge Zenith)」の10周年記念モデル、ということでリリースされたシングルダイナミック構成のイヤホンです。
このモデルの存在は知っていたのですが、今年に入って未レビューのままほぼお蔵入りしているKZ/CCA製品も結構ある関係上、以前ほど新機種を反射的に購入しなくなっていました。とはいえ記念モデルだし、ということで改めて購入してみることにしました。
■ 製品の概要と特徴について
中国のイヤホンブランド「KZ(Knowledge Zenith)」(他に「KZ Audio」や「KZ ACOUSTICS」というブランド表記もあり)は低価格中華イヤホンの市場を牽引してきたブランドとしてマニアの間ではお馴染みの存在だと思います。昨年くらいから多少のトラブルもあってユーザー離れが懸念されたりもしますが、最近では従来の多ドラ系ハイブリッド路線からシングルダイナミックへの原点回帰を急速に進めており、新たなKZブランドの構築を急いでいます。
そんなKZが10周年記念モデルとしてリリースしたのが今回の「KZ ESX」です。同社の創業は2010年とされますが、同社の創業は2010年とされますが、2012年より様々な製品をリリースしており、この年を起点として今年で10周年ということのようです。
2013年よりKZというブランドを使用しており、2014年~2015年頃には「10ドルで買える高音質イヤホン」みたいな切り口でマニアの間で注目され出します。私が同社を知ったのもこの頃で「KZ ED9」「KZ ATE」といった現在でも語り継がれる(というか入手できる)製品の購入でAliExpressデビューしてたりします(^^;)。その後2016年にリケーブル可能な「ZS3」と「ZST」をリリース。「ZST」は同社初のハイブリッド製品ということで再初期ロットはそれはもう酷評の嵐(笑)。その後ロットごとに音質面でも劇的に進化を遂げ、好評を得たことで同社のハイブリッド路線につながります(「KZ ZST」の初期ロットからの変遷は当時レビューをしていますので興味のある方は参照ください→こちら)
閑話休題、そんなこんなで気付けば10周年、というアニバーサリーイヤーを迎えたKZですが、前述の通りそれまでひたすら恐竜的進化を続けていた多ドラ(ハイブリッドorマルチBA構成)路線から色々あってシングルダイナミック構成中心としたモデル展開へ一気に原点回帰を始めました。


今回の「KZ ESX」もシングルダイナミック構成のイヤホンで、これでまの同社の主流である10mmサイズではなく、ひとまわり大きい12mmサイズのダイナミックドライバーを搭載。自社製の5μmの極薄液晶振動板と大型ユニットを採用。このダイナミックドライバーをレジン製の内部キャビティで固定する構造を採用しています。液晶振動板、つまりLCP振動板というと最近は「Moondrop Aria」や「TINHIFI T3 PLUS」などのモデルで搭載されてる仕様ですね。ただ「KZ ESX」については「自社開発」という点を強調しています。


シェルは樹脂製のハウジングを金属製の厚みのあるフェイスカバーで覆っており、「ZS10 Pro」や「CCA C10 Pro」などを彷彿とさせるライン模様のデザインも印象的です。コネクタは従来機種同様にタイプCの2pinを採用しています。


「KZ ESX」の購入はAliExpressの取扱い主要セラーまたはアマゾンにて。価格はAliExpressが19ドル前後、アマゾンは4,200円(値引き後3,800円)です。AliExpressも発売直後はアマゾンとそれほど価格差が無かったようですが、最近は値崩れが早い印象ですね。
AliExpress(KZ Offical Store): KZ ESX
AliExpress(KZ Earphones Franchised Store): KZ ESX
Amazon.co.jp(KZ Flagship Store): KZ ESX
■ パッケージ構成、製品の外観および内容について
10周年記念モデルということでパッケージサイズは従来とほぼ同じながら製品のグラフィックアートを掲載し、10周年のマークも記載されています。


パッケージ内容はイヤホン本体、ケーブル、イヤーピース(S/M/Lサイズ)、説明書の従来と同様の組み合わせに10周年の記念メダルと感謝状シートが同梱されます。


「KZ ESX」の本体サイズは「ZSTX」など従来のKZ製イヤホンのシェルサイズを踏襲しているものの、非常に厚みのある金属製フェイスプレートが迫力があります。またフェイスプレートの側面がベント(空気孔)になっておりその奥にメッシュパーツが埋め込まれているなどこれまでには無かった設計も特徴的ですね。


「KZ ESX」が従来と大きく異なるベントがチューインニングのうえで必要だった理由はやはり12mmサイズの大口径ドライバーの搭載でしょう。まあ大口径といっても中華イヤホンの世界にはFiiOのように13.6mmというさらに巨大なドライバーを搭載した製品もありますし、最近の14mm級平面駆動ドライバー搭載イヤホンでは14.8mmというサイズもあります。とはいえ、従来のKZのシェルのイメージでは明らかにドライバーの専有面積が増えており、クリアシェル越しにも存在感を主張していますね。


付属する感謝状は中国語と英語で記載されており、記念メダルはそれぞれの面でKZロゴと10th Anniversaryのマークがデザインされています。


「KZ ESX」の付属ケーブルはタイプCコネクタで最近のKZに付属する被膜が分厚い銀メッキ線タイプ。イヤーピースは「CCA CRA+」で付属した新しいタイプのものが付属します。柔らかいタイプではあるもの芯の部分が多少硬めになっており以前よりフィット感は向上しています。これはこれで悪くはないと思いますが、例によって私は今ひとつ合わなかったので、適当に交換して使用しています。定番と言えばAcoustune「AET07」やJVC「スパイラルドット」などですが、価格的に手頃なソニー「ハイブリッドイヤーピース」なども結構オススメです。
■ サウンドインプレッション
「KZ ESX」の音質傾向は中低域寄りの弱ドンシャリ。販売サイトでは例によって結構大きめのカーブルが描かれており派手目のサウンドをイメージしていたのですが、実際は高域はやや控えめで、ボーカル帯域にフォーカスしつつ、全体としてはニュートラルでややウォームな印象でした。「CCA CRA+」も比較的ニュートラルなサウンドですが、比較すると「CCA CRA+」はバランスの良いV字カーブの明瞭なサウンドで、最近のKZ/CCAの方向性を踏襲しつつ質感を高めたサウンドであることがわかります。
「KZ ESX」の高域は量的にはやや控えめで刺激もコントロールされていますが、滑らかさがあり、中高域は直線的で曇りはありません。高高域の見通しは平均的な印象。シンバル音も乾いていて減衰も早く、煌めきはあまり感じません。そのため高域好きの方には平凡なサウンドに感じるでしょう。なお、「KZ ESX」のドライバーを支えるレジン製のキャビティにはBAを追加できそうなスペースがあり、今後ハイブリッド構成のモデルがリリースされる可能性もあります。そう考えると、「KZ ZSTX」に対する「EDX」の高域のよう、という捉え方に近いかもしれませんね。
中音域は従来のKZに比べるとややウォームで丸みを感じる印象ですが、中高域に明瞭感と抜けの良さがあるため、適度なメリハリがあり、リラックスしながらも楽しいサウンドに仕上がっています。ボーカル帯域にフォーカスした印象で特に男性ボーカルは厚みと適度な響きがあり相性の良さを感じます。女性ボーカルについては高音の伸びは良いものの、音数の多い曲ではやや凹む印象もあります。演奏も綺麗に聞こえますが印象としては価格なり。自然な鳴りを重視し滑らかさがあるのは良いのですが、やはりもう少し分離感および解像感が欲しいところですね。
低域は重低音を中心に従来のKZ製イヤホンより質感が向上しているのを感じます。重低音は非常に深く沈み、実在感のある音を鳴らしてくれます。ミッドベースも直線的で過度に響くことはありませんが自然な輪郭で全体のややウォームな印象を損なうこと無く滑らかになります。中高域との分離も良好です。いっぽうでアタックの強さやレスポンスの早さなども十分で50ドル以下のイヤホンとしてはかなり質の高い低域を鳴らしてくれる印象です。
■ まとめ
「KZ ESX」のサウンドはこのイヤホンが15ドル~19ドルであるという前提で捉えれば、聴きやすく比較的バランスの良い製品と考えられるでしょう。しかし、残念ながらアマゾンの4千円近い価格設定では最近の競合の品質の高さを考えると「平凡」となるかもしれません。5年前、あるいは 7年前であればともかく、現在の評価としては、比較的良いとは思いますが、なかなか手放しでお勧めはできないかも知れませんね。KZの10周年記念モデルは「完成形」ではなく、あくまで新しい12mmドライバーの「テストショットのひとつ」で、チューニングとして往年のバランスで作ってみた、という感じなのかも。このように多少評価が分かれそうなイヤホンですが、聴きやすいサウンドと最近のストリーミング中心で中低域の質感を楽しみたい方にはわりと使える製品なのではと思います。
中国のイヤホンブランド「KZ(Knowledge Zenith)」(他に「KZ Audio」や「KZ ACOUSTICS」というブランド表記もあり)は低価格中華イヤホンの市場を牽引してきたブランドとしてマニアの間ではお馴染みの存在だと思います。昨年くらいから多少のトラブルもあってユーザー離れが懸念されたりもしますが、最近では従来の多ドラ系ハイブリッド路線からシングルダイナミックへの原点回帰を急速に進めており、新たなKZブランドの構築を急いでいます。
そんなKZが10周年記念モデルとしてリリースしたのが今回の「KZ ESX」です。同社の創業は2010年とされますが、同社の創業は2010年とされますが、2012年より様々な製品をリリースしており、この年を起点として今年で10周年ということのようです。
2013年よりKZというブランドを使用しており、2014年~2015年頃には「10ドルで買える高音質イヤホン」みたいな切り口でマニアの間で注目され出します。私が同社を知ったのもこの頃で「KZ ED9」「KZ ATE」といった現在でも語り継がれる(というか入手できる)製品の購入でAliExpressデビューしてたりします(^^;)。その後2016年にリケーブル可能な「ZS3」と「ZST」をリリース。「ZST」は同社初のハイブリッド製品ということで再初期ロットはそれはもう酷評の嵐(笑)。その後ロットごとに音質面でも劇的に進化を遂げ、好評を得たことで同社のハイブリッド路線につながります(「KZ ZST」の初期ロットからの変遷は当時レビューをしていますので興味のある方は参照ください→こちら)閑話休題、そんなこんなで気付けば10周年、というアニバーサリーイヤーを迎えたKZですが、前述の通りそれまでひたすら恐竜的進化を続けていた多ドラ(ハイブリッドorマルチBA構成)路線から色々あってシングルダイナミック構成中心としたモデル展開へ一気に原点回帰を始めました。


今回の「KZ ESX」もシングルダイナミック構成のイヤホンで、これでまの同社の主流である10mmサイズではなく、ひとまわり大きい12mmサイズのダイナミックドライバーを搭載。自社製の5μmの極薄液晶振動板と大型ユニットを採用。このダイナミックドライバーをレジン製の内部キャビティで固定する構造を採用しています。液晶振動板、つまりLCP振動板というと最近は「Moondrop Aria」や「TINHIFI T3 PLUS」などのモデルで搭載されてる仕様ですね。ただ「KZ ESX」については「自社開発」という点を強調しています。


シェルは樹脂製のハウジングを金属製の厚みのあるフェイスカバーで覆っており、「ZS10 Pro」や「CCA C10 Pro」などを彷彿とさせるライン模様のデザインも印象的です。コネクタは従来機種同様にタイプCの2pinを採用しています。


「KZ ESX」の購入はAliExpressの取扱い主要セラーまたはアマゾンにて。価格はAliExpressが19ドル前後、アマゾンは4,200円(値引き後3,800円)です。AliExpressも発売直後はアマゾンとそれほど価格差が無かったようですが、最近は値崩れが早い印象ですね。
AliExpress(KZ Offical Store): KZ ESX
AliExpress(KZ Earphones Franchised Store): KZ ESX
Amazon.co.jp(KZ Flagship Store): KZ ESX
■ パッケージ構成、製品の外観および内容について
10周年記念モデルということでパッケージサイズは従来とほぼ同じながら製品のグラフィックアートを掲載し、10周年のマークも記載されています。


パッケージ内容はイヤホン本体、ケーブル、イヤーピース(S/M/Lサイズ)、説明書の従来と同様の組み合わせに10周年の記念メダルと感謝状シートが同梱されます。


「KZ ESX」の本体サイズは「ZSTX」など従来のKZ製イヤホンのシェルサイズを踏襲しているものの、非常に厚みのある金属製フェイスプレートが迫力があります。またフェイスプレートの側面がベント(空気孔)になっておりその奥にメッシュパーツが埋め込まれているなどこれまでには無かった設計も特徴的ですね。


「KZ ESX」が従来と大きく異なるベントがチューインニングのうえで必要だった理由はやはり12mmサイズの大口径ドライバーの搭載でしょう。まあ大口径といっても中華イヤホンの世界にはFiiOのように13.6mmというさらに巨大なドライバーを搭載した製品もありますし、最近の14mm級平面駆動ドライバー搭載イヤホンでは14.8mmというサイズもあります。とはいえ、従来のKZのシェルのイメージでは明らかにドライバーの専有面積が増えており、クリアシェル越しにも存在感を主張していますね。


付属する感謝状は中国語と英語で記載されており、記念メダルはそれぞれの面でKZロゴと10th Anniversaryのマークがデザインされています。


「KZ ESX」の付属ケーブルはタイプCコネクタで最近のKZに付属する被膜が分厚い銀メッキ線タイプ。イヤーピースは「CCA CRA+」で付属した新しいタイプのものが付属します。柔らかいタイプではあるもの芯の部分が多少硬めになっており以前よりフィット感は向上しています。これはこれで悪くはないと思いますが、例によって私は今ひとつ合わなかったので、適当に交換して使用しています。定番と言えばAcoustune「AET07」やJVC「スパイラルドット」などですが、価格的に手頃なソニー「ハイブリッドイヤーピース」なども結構オススメです。
■ サウンドインプレッション
「KZ ESX」の音質傾向は中低域寄りの弱ドンシャリ。販売サイトでは例によって結構大きめのカーブルが描かれており派手目のサウンドをイメージしていたのですが、実際は高域はやや控えめで、ボーカル帯域にフォーカスしつつ、全体としてはニュートラルでややウォームな印象でした。「CCA CRA+」も比較的ニュートラルなサウンドですが、比較すると「CCA CRA+」はバランスの良いV字カーブの明瞭なサウンドで、最近のKZ/CCAの方向性を踏襲しつつ質感を高めたサウンドであることがわかります。海外のレビューで「ZST」以前の1DD構成で「えらく安いけど音が良い」と言われていた時代のKZ(それこそ前述の「ATE」や「ED9」など)を彷彿とさせた、という内容の記述を見かけましたが、完全に同意ではないものの「言いたいことは分かる」という気分になりました。確かに「ZS5」以降で派手なサウンドが当たり前になるまでは、KZのイメージも結構違っていたように思います。ただ、それが現時点で良いかどうかは、たぶん別の話でしょう。
「KZ ESX」は中低域メインのポップスやロックとの相性が良くターゲットを選べば聴きやすく、従来のKZより温かみのある中音域と大口径ドライバーにより力感のある重低音をはじめ質感が向上した低域を楽しむことができると思います。いっぽうでキレの良さや高域の伸びを期待する方には、やや平凡でウォームなイヤホンに感じるかもしれません。
「KZ ESX」は中低域メインのポップスやロックとの相性が良くターゲットを選べば聴きやすく、従来のKZより温かみのある中音域と大口径ドライバーにより力感のある重低音をはじめ質感が向上した低域を楽しむことができると思います。いっぽうでキレの良さや高域の伸びを期待する方には、やや平凡でウォームなイヤホンに感じるかもしれません。
「KZ ESX」の高域は量的にはやや控えめで刺激もコントロールされていますが、滑らかさがあり、中高域は直線的で曇りはありません。高高域の見通しは平均的な印象。シンバル音も乾いていて減衰も早く、煌めきはあまり感じません。そのため高域好きの方には平凡なサウンドに感じるでしょう。なお、「KZ ESX」のドライバーを支えるレジン製のキャビティにはBAを追加できそうなスペースがあり、今後ハイブリッド構成のモデルがリリースされる可能性もあります。そう考えると、「KZ ZSTX」に対する「EDX」の高域のよう、という捉え方に近いかもしれませんね。中音域は従来のKZに比べるとややウォームで丸みを感じる印象ですが、中高域に明瞭感と抜けの良さがあるため、適度なメリハリがあり、リラックスしながらも楽しいサウンドに仕上がっています。ボーカル帯域にフォーカスした印象で特に男性ボーカルは厚みと適度な響きがあり相性の良さを感じます。女性ボーカルについては高音の伸びは良いものの、音数の多い曲ではやや凹む印象もあります。演奏も綺麗に聞こえますが印象としては価格なり。自然な鳴りを重視し滑らかさがあるのは良いのですが、やはりもう少し分離感および解像感が欲しいところですね。
低域は重低音を中心に従来のKZ製イヤホンより質感が向上しているのを感じます。重低音は非常に深く沈み、実在感のある音を鳴らしてくれます。ミッドベースも直線的で過度に響くことはありませんが自然な輪郭で全体のややウォームな印象を損なうこと無く滑らかになります。中高域との分離も良好です。いっぽうでアタックの強さやレスポンスの早さなども十分で50ドル以下のイヤホンとしてはかなり質の高い低域を鳴らしてくれる印象です。
■ まとめ
「KZ ESX」のサウンドはこのイヤホンが15ドル~19ドルであるという前提で捉えれば、聴きやすく比較的バランスの良い製品と考えられるでしょう。しかし、残念ながらアマゾンの4千円近い価格設定では最近の競合の品質の高さを考えると「平凡」となるかもしれません。5年前、あるいは 7年前であればともかく、現在の評価としては、比較的良いとは思いますが、なかなか手放しでお勧めはできないかも知れませんね。KZの10周年記念モデルは「完成形」ではなく、あくまで新しい12mmドライバーの「テストショットのひとつ」で、チューニングとして往年のバランスで作ってみた、という感じなのかも。このように多少評価が分かれそうなイヤホンですが、聴きやすいサウンドと最近のストリーミング中心で中低域の質感を楽しみたい方にはわりと使える製品なのではと思います。







