BQEYZ TOPAZ

こんにちは。今回は「BQEYZ TOPAZ(蜂鳥)」です。独自のドライバー技術などによる個性的な製品をリリースし続けている中国のイヤホンブランド「BQEYZ」の最新モデルです。今回は従来の四季シリーズから少し離れたネーミングですね。アップグレードされた独自の9層ピエゾ(圧電)セラミックドライバーと13mm LCP振動板ダイナミックドライバーのハイブリッド構成を採用。新しいピエゾドライバーの採用で既存のハイブリッドモデルよりシンプルなドライバー構成となり、アンダー100ドル級の低価格ながら高音質を実現しています。

■ 製品の概要について

中国のイヤホンブランド「BQEYZ」はOEM/ODM製造メーカーとして長年の実績を持ちつつ、2018年以降独自の製品展開を開始。主に低価格中華ハイブリッドの分野で存在を認知されるようになりました。そして2019の後半からリリースを開始した「四季」シリーズは、毎回製品面・音質面の完成度の高さでマニアから高い評価を得ています。四季シリーズでは現在ピエゾセラミックドライバーにBAおよびDDのトリプルハイブリッド構成を採用した「Spring1」「Spring2」「Summer」の3モデルと、高音質シングルダイナミック構成の「Autumn」の4モデルがリリースされています。

今回の「BQEYZ TOPAZ」は四季シリーズからいったん離れ、新しいピエゾドライバーを採用したハイブリッド構成を採用。四季シリーズのハイブリッド3モデルと比較し、BA(バランスド・アーマチュア)ドライバーを含まないデュアルハイブリッド構成となることで、アンダー100ドルの低価格を実現しています。
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BQEYZ TOPAZ」では新開発の「(第2世代)9層ピエゾセラミックドライバー」と「13mm LCP振動板デュアルキャビティダイナミックドライバー」をシングルシャーシに収納。新世代の9層ピエゾドライバーは6kHz~20kHzの高域をカバー。同一シャーシ内に収納されたフルレンジの13mm LCP振動板ダイナミックドライバーと連携し、より高品質のサウンドを実現しています。

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新しいシェルデザインは5軸CNC 精密切削により加工されたアルミニウム合金製のフェイスプレートを採用。ハウジング部分の軽量樹脂を組み合わせにより人間工学に基づいた快適な装着性を実現しています。ケーブルは0.78mm-2pinコネクタ仕様で4N 単結晶銅銀メッキ線ケーブルを採用。0.06mm合計196本の銀メッキ線材を使用しより高い質感を実現しています。
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BQEYZ TOPAZ」の購入は「BQEYZ」のオフィシャルストアにて。カラーは「グレー」と「バイオレット」の2色、ケーブル種類は「3.5mm」「2.5mm」「4.4mm」の3種類が選択できます。
価格は89.9ドルで、日本国内ではアマゾンで11,999円(プライム扱い)で販売されています。
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■ パッケージ構成、製品の外観および内容について

今回私はバイオレットの4.4mmモデルでオーダー。四季シリーズより低価格のモデルのためパッケージは少しだけ簡易バージョンになっています。ただ付属品は遜色なく、アンダー100ドル級のイヤホンとしては充実した内容といえるでしょう。
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パッケージ内容は、イヤホン本体、ケーブル、イヤーピースは2タイプがS/M/Lサイズ、ケーブルタイ、クリーニングブラシ、ケース、説明書など。
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本体はアルミ合金製のフェイスプレート部と樹脂製のハウジングで構成されており、シンプルながら個性的なデザインが印象的です。非常に軽量で装着性も良好です。
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サイズ的には樹脂製シェルの「Summer」にほぼ近くハウウイング部の形状も同様です。フェイスプレートがアルミ合金製の「BQEYZ TOPAZ」のほうが精悍な印象がありますね。
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またフェイスプレートの中央にはベント(空気孔)があるのですが、ちょうど左右の「BQEYZ」「TOPAZ」の「Q」と「O」の文字に重なるようにデザインされているのも興味深いですね。
BQEYZ TOPAZBQEYZ TOPAZ
コネクタは0.78mm 2pin仕様で本体側は僅かに窪んでいますが、いわゆる「中華2pin」タイプのケーブルでも装着可能な溝の深さになっています。ケーブルは4芯 銀メッキ線タイプで被膜はやや弾力がありますが取り回しは良好です。オーダー時に3.5mmのステレオのほかバランス仕様も選べるのが有り難いですね。
BQEYZ TOPAZBQEYZ TOPAZ
イヤーピースは開口部の広いタイプのグレーの通常タイプの2種類が付属します。他にもよりフィット感を高めるため定番のJVC「スパイラルドット」やAcoustune「AET07」、より密着感の強いタイプではSpinFit「CP100+」などへの交換も良いと思います。


■ サウンドインプレッション

BQEYZ TOPAZBQEYZ TOPAZ」の音質傾向は、フラット方向のニュートラルなバランスで、似た傾向の「Spring1」と比較しより柔らかく滑らかな印象のあるサウンドです。新しい9層のピエゾドライバーは高域に適度なシャープさと優れた透明感を与えますが、メインとなるダイナミックドライバーとの連携は極めてシームレスで自然な印象にまとめられています。さらにおそらくシングルダイナミック構成の「Autumn」での経験が反映されているであろうLCP振動板のダイナミックドライバーは適度に柔らかく穏やかな印象ながら、非常に質の高い中音域と低域を実現しています。「Spring2」や「Summer」のようなメリハリの良さや派手さはありませんが、これらのモデルより「BQEYZ TOPAZ」のほうが好印象と捉える方も少なくないと思います。

BQEYZ TOPAZ」の高域はピエゾらしい伸びのある音を鳴らします。透明感があり見通しの良い音ですが、より自然に感じます。煌びやかさも感じさせつつ、刺さり等の刺激を感じることは無く非常に快適です。ピエゾドライバーというとBAとはまた異なる硬質感がありシャープな光沢のあるイメージですが、「BQEYZ TOPAZ」の場合、鋭い音は鋭く、人工的な印象は抑えられており、全体の印象としては滑らかなバランスに仕上げられています。そのため「Spring2」や「Summer」と比べると多少大人しく感じますね。

BQEYZ TOPAZ中音域はフラットで癖の無い音を鳴らします。BAを搭載してる四季シリーズのハイブリッド3モデルと比べるとやや温かく、柔らかさと穏やかさを感じる印象です。それでも解像感や分離は非常に良く、これらのモデルと遜色ない印象です。中音域の細部までの表現力の高さはハイブリッドモデルを超えているかもしれませんね。音場は広く、ボーカルはやや前向きに定位します。女性ボーカルは適度に光沢があり高音は明瞭に伸びます。男性ボーカルも厚みがあり余韻も含め質の高い印象です。演奏も綺麗に分離しますが、中高音でピエゾ特有の金属質な音が混じることがあり、繋がりの良さも含め「Autumn」の滑らかさには及ばないと感じる部分です。いっぽうで同じフラット傾向の「Spring1」はインスト曲に対してボーカル曲はやや弱い印象がありましたが、「BQEYZ TOPAZ」はこの辺が上手く改善されていると感じました。

 低域は非常に深い重低音とともに質の高い音を鳴らします。BQEYZ製のイヤホンは伝統的に低域の質感の良さが特徴ですが、「BQEYZ TOPAZ」も全体的な自然な印象を維持しながら、しっかりした存在感があります。ミッドベースは締まりがあり膨らむこと無く鳴り、中高域との分離も良好です。また重低音は非常に深く、沈み込みや重量感も良い印象です。低域の解像度も高く音数が多い曲も過不足はありませんが、全体として穏やかな印象もあり、キレの良さより響きにフォーカスした印象。そのため、よりメリハリやスピード感を重視される方は「Spring2」や「Summer」の低域ほうが好印象になるでしょう。


■ まとめ

BQEYZ TOPAZというわけで、「BQEYZ TOPAZ」はアンダー100ドル級の低価格モデルながら独自の9層ピエゾドライバーによる明瞭で抜けの良い高域を実現しつつ、全体としては上位モデルの「Autumn」にもつながるような滑らかさをもったニュートラルサウンドを実現していました。また同様のフラット傾向でも「Spring1」と比較し、より中音域の密度感や表現力が向上し、特にボーカル帯域の質感が向上した点は大きなポイントでしょう。ジャンルを問わず楽しめるイヤホンとして1万円程度の価格設定はお買い得だと感じました。
いっぽうで全体としては柔らかさや僅かに温かさもある、穏やかな印象のサウンドのため、長時間のリスニングにも向いている反面、メリハリやキレの良さを求める方には、味気ない印象に感じる可能性があります。好みの応じて「Spring2」や「Summer」を選択するのも良いでしょうね。BQEYZも独自路線を歩みつつラインナップを充実させており、今後の展開も楽しみですね。