こんにちは。今回は「LETSHUOER D13」です。 最近になって注目度が一気に向上している印象もある「LETSHUOER」ブランドの最新モデルで、大口径13mmのDLC振動板ダイナミックドライバーをシングルで搭載し、フィルター交換ギミックなども搭載する100ドルクラスのモデルになります。非常にコンパクトなシェルデザインを採用しながら、バランスの良いニュートラルなサウンドを気軽に楽しめる印象です。
■ 製品の概要について
「LETSHUOER」(SHUOER ACCOUSTICS)は2016年に創業したIEM/カスタムIEMのファクトリーブランドで、中国国内でのカスタムIEMビジネスのほか話題のモデルを数多くリリースしています。最近では14.8mmサイズの平面磁気駆動ドライバーをシングルで搭載する「LETSHUOER S12」の人気が非常に高く、詳細な高音域、鮮明な中音域、そして力強い低域を備え、卓越したサウンドパフォーマンスで多くの方から高い評価を得ています。
同社がこの「S12」に次ぐ最新モデルとしてリリースしたのが今回紹介する「LETSHUOER D13」です。大口径13mmサイズのDLC振動板ダイナミックドライバーをシングルで搭載し、高精細のCNC加工されたアルミニウム合金製のコンパクトながら高度な音響設計に基づくシェルデザインにより優れたサウンドを実現しています。
「LETSHUOER D13」が搭載するドライバーは13mm DLC(Diamond-Like Carbon)振動板ダイナミックドライバーで、軽量かつ不要な歪みを排除することで迅速なレスポンスを実現。またカスタマイズされたN52ネオジム磁石は重低音を拡張しより豊かなディテールの表現を可能にします。この大口径DLC振動板とN52ネオジム磁石により、タイトな低音、クリアな中音域、聴きやすく煌めきのある高音域を実現し滑らかさのあるサウンドチューニングを実施しています。
「LETSHUOER D13」のシェルは「S12」同様に高精細のCNC加工により、高い耐久性を持ちつつ片側わずか5.6gの軽量さを実現しています。コンパクトに設計されたシェル内部は独立した音響室を持ち、外的干渉を効果的に隔離することで音響性能を高めます。3カ所のベント(通気孔)により効率的に音圧を制御しサウンドバランスを調整します。
そして「LETSHUOER D13」のステムノズルは交換式フィルターとなっており、より生き生きとした音を提供する単層タイプとより低音をより際立たせることがでる二層メッシュタイプの2種類を交換して使用することができます。
ケーブルは4芯 単結晶銅線ケーブルが付属。0.78mm 2pin仕様でリケーブル性にも優れます。
「LETSHUOER D13」のカラーバリエーションは「ブラック」と「ブルー」の2色。それぞれ「3.5mm」または「4.4mm」のプラグを選択できます。
購入はアマゾンのLETSHUOER公式ストアにて。価格は18,999円です。
Amazon.co.jp(LETSHUOER公式ストア): LETSHUOER D13
※現在20% OFFのクーポンを配布中です。適用後の価格は15,199円となります。
■ パッケージ構成、製品の外観および内容について
パッケージは黒を基調とした落ち着いたデザインで製品画像がとてもクールな印象。ボックス裏面には日本語の記述もあります。外箱(化粧箱)を外すと「LETSHUOER」のと記載された内箱が入っているデザインは「S12」などから継承しています。
パッケージ内容はイヤホン本体、ケーブル、イヤーピースは白色タイプ、黒色タイプの2種類(それぞれS/M/Lサイズ)、交換用フィルター、レザーケース、説明書、保証書、カタログブックほか。
アルミ合金製の本体は非常にコンパクトで、いっけんすると13mmの大口径ドライバーが収容されているイヤホンには見えない印象でしょう。なお、今回オーダーしたのはブラックですが、以前発売前テスト版のブルーをメーカーより提供頂いていましたので参考までに併せて掲載しております。こちらについては色配分などが実際の製品と異なる場合もありますのでご了承ください。
ベントは背面の3つの穴とフェイス部分の模様の中心部に1カ所あります。そのため音漏れは若干あり通常の使用では問題ないものの静かな場所では注意が必要かもしれませんね。非常にコンパクトなデザインのため耳にすっぽり収まりますが、逆に小さすぎてしっかり固定されない、というケースもあります。ステムノズルはやや長めのデザインになっていますので、フィット感の良いイヤーピースで耳奥までしっかり固定した方が良いでしょう。
交換式のステムノズルは本体にしっかり固定されており、ビルドの精緻さが確認出来ます。標準で装着されていたのがシルバーのタイプで、別途ゴールドのフィルターが付属します。細部を見るとシルバーのタイプは裏面にメッシュ状のシートが貼られているのが分かります。そのためパッケージなどにフィルターについての説明はありませんが、シルバーが低域タイプ、ゴールドが高域タイプ(?)となると思われます。
ケーブルは単結晶銅線の撚り線ケーブルが付属します。適度に弾力があり取り回しの良いケーブルです。購入時に3.5mmと4.4mmが選択できます。
イヤーピースは黒色の通常タイプと白色の「AET07」風の開口部の大きいタイプの2種類が付属します。他にも定番のJVC「スパイラルドット」などを組み合わせるのも良いと思います。また、よりフィット感の強いタイプでは「SpinFit CP100+」「Radius ディープマウント(白)」など、自分の耳に合う最適なイヤピースを選択するのも良いでしょう。今回は付属の白色タイプと「Radius ディープマウント(白)」を使用しています。
■ サウンドインプレッション
「LETSHUOER D13」の音質傾向は、ニュートラルなサウンドバランスながら存在感のある中音域とタイトながらパワフルなアタックが印象的な低域を持ったサウンド。交換用フィルターはボーカルやピアノの高音など中高域付近で変化があり、個人的には裏面にフィルターが張られていない「ゴールド」タイプが好印象でした。ゴールドの場合は中高域の抜けが良く、より明瞭感のある高域が楽しめます。またメーカー資料の測定値では変化があるのは中高域だけですが、実際は弱ドンシャリくらいの印象に変化します。
ちなみに交換用ノズルタイプに共通した特徴として、ノズルに何らかのフィルターを貼り付けで調整しているタイプの製品では、当然フィルターが貼り付けられてないほうが抜け感が向上し明瞭なサウンドに感じます。かつてのLZのハイブリッド製品などのように元々が強烈に刺さるチューニングになっていてそれをフィルターで適度に減衰させることでちょうど良いバランスにしている製品もありましたが、「LETSHUOER D13」のように最初からバランスの良いサウンドの製品の場合はやはり例外とはならないようです。とはいえ標準で取り付けられている「シルバー」のフィルターも高域をやや押さえることでボーカル帯域の存在感が増し、若干暗いもののよりフラット方向に近い印象になります。最近は欧米を中心に「周波数特性のニュートラルさ」が評価対象になっているケースも見られますので、ややドンシャリ方向に向かう「ゴールド」よりニュートラルな「シルバー」を標準とした方が(市場的には)良いのかもしれませんね。
「LETSHUOER D13」の高域は前述のようにフィルターによって変化します。とはいえ標準の「シルバー」でも曇るという程の変化では無く、聴きやすく自然な印象です。メーカー資料によるとフィルターによって調整されているのは4kHz付近のみのようで、実際のところさらに上の高高域はどちらのフィルターでも鮮明な音を鳴らします。DLC振動板らしい歪みの非常に少ない印象です。こちらを「ゴールド」のフィルターに替えることで中高域からの抜け感が向上するため、より直線的で見通しの良い高域に変化します。音源の種類にもよりますが、高域の存在感が増すことで相対的にメリハリがつき、印象としては弱ドンシャリ方向に変化します。
中音域はやや前寄りに定位しつつ、歪みの少ない非常にニュートラルなサウンドが印象的です。この辺のアプローチは「S12」にも通じる部分がありますが、女性ボーカルやピアノの高音など中高域の伸びや抜けがフィルターによって変化するため、この辺の好みで「シルバー」と「ゴールド」を選ぶポイントになりそうです。
「ゴールド」は「S12」に近い抜けの良さと明瞭さがあり、中音域はよりダイレクト感のあるサウンドになります。いっぽうで「シルバー」は僅かに温かみがあり、より聴きやすく中低域の厚みを感じます。今回私は4.4mmのバランス版でオーダーしましたが、前述のテスト版に付属していた3.5mmのシングルエンドタイプのケーブルも手元にあったため両方でテストをしました。その印象としてはよりダイレクト感や明瞭さが増すバランス接続では「ゴールド」のフィルターが、「シルバー」のフィルターでは3.5mmのシングルエンドでの接続のほうがより自然で相性が良く感じました。解像感という点はどちらのフィルターでも「S12」とは相応の差があります。それでも輪郭は自然でボーカルと演奏は自然に分離し、比較的正確な定位を実感出来ます。DLC振動板は解像感や見通しの良さというより歪みを押さえることで滑らかで自然なサウンドを描くことに注力されている印象です。音場は自然からやや狭く、スタジオレコーディングくらいの空間表現で描写されている印象です。
低域は比較的ニュートラルなバランスですが、実際に聴いてみるとバスドラなどは存在感があり、強めのアタックでタイトに鳴る印象です。大口径ドライバーらしい表現力を過度に強調すること無く質感を高めている点は好感できます。重低音は深くスピード感のある音を鳴らします。アルミ製の金属シェルを採用し、ベントにより適度に音圧を逃がすことで籠もること無く迅速なレスポンスを得ているようです。ミッドベースは適度に締まりがあり中高域との分離も良好です。
■ まとめ
というわけで、「LETSHUOER D13」は非常にバランスが良く使いやすいサウンドである反面、コンパクトなデザイン以上の個性を見つけにくい点はちょっと惜しいかもしれませんね。おそらく(日本での)最大のウィークポイントは非常に評価の高い「S12」との実際の価格差かもしれません。アマゾンでは「S12」が2万円以下と現在の円安傾向より以前の為替レートで価格設定が行われています(海外のショップでは「S12」の169ドルの場合、現在は手数料等込みで日本円では23,000円ほどの価格になります)。これに対して「LETSHUOER D13」は現在のレートで価格設定されているため、ほとんど価格差がなくなっています(逆に言えば現在のアマゾンでの「S12」は結果的にかなりお買い得になっている状態です)。これを考慮してか、レビュー掲載時点でアマゾンの公式ストアでは20% OFFのクーポンが配布されており、1.5万円程度で購入できるようになっています。非常にバランスの良いイヤホンですので、興味のある方は今のうちに挑戦されるのも良いと思いますよ。
「LETSHUOER」(SHUOER ACCOUSTICS)は2016年に創業したIEM/カスタムIEMのファクトリーブランドで、中国国内でのカスタムIEMビジネスのほか話題のモデルを数多くリリースしています。最近では14.8mmサイズの平面磁気駆動ドライバーをシングルで搭載する「LETSHUOER S12」の人気が非常に高く、詳細な高音域、鮮明な中音域、そして力強い低域を備え、卓越したサウンドパフォーマンスで多くの方から高い評価を得ています。
同社がこの「S12」に次ぐ最新モデルとしてリリースしたのが今回紹介する「LETSHUOER D13」です。大口径13mmサイズのDLC振動板ダイナミックドライバーをシングルで搭載し、高精細のCNC加工されたアルミニウム合金製のコンパクトながら高度な音響設計に基づくシェルデザインにより優れたサウンドを実現しています。
「LETSHUOER D13」が搭載するドライバーは13mm DLC(Diamond-Like Carbon)振動板ダイナミックドライバーで、軽量かつ不要な歪みを排除することで迅速なレスポンスを実現。またカスタマイズされたN52ネオジム磁石は重低音を拡張しより豊かなディテールの表現を可能にします。この大口径DLC振動板とN52ネオジム磁石により、タイトな低音、クリアな中音域、聴きやすく煌めきのある高音域を実現し滑らかさのあるサウンドチューニングを実施しています。
「LETSHUOER D13」のシェルは「S12」同様に高精細のCNC加工により、高い耐久性を持ちつつ片側わずか5.6gの軽量さを実現しています。コンパクトに設計されたシェル内部は独立した音響室を持ち、外的干渉を効果的に隔離することで音響性能を高めます。3カ所のベント(通気孔)により効率的に音圧を制御しサウンドバランスを調整します。
そして「LETSHUOER D13」のステムノズルは交換式フィルターとなっており、より生き生きとした音を提供する単層タイプとより低音をより際立たせることがでる二層メッシュタイプの2種類を交換して使用することができます。
ケーブルは4芯 単結晶銅線ケーブルが付属。0.78mm 2pin仕様でリケーブル性にも優れます。
「LETSHUOER D13」のカラーバリエーションは「ブラック」と「ブルー」の2色。それぞれ「3.5mm」または「4.4mm」のプラグを選択できます。
購入はアマゾンのLETSHUOER公式ストアにて。価格は18,999円です。
Amazon.co.jp(LETSHUOER公式ストア): LETSHUOER D13
※現在20% OFFのクーポンを配布中です。適用後の価格は15,199円となります。
■ パッケージ構成、製品の外観および内容について
パッケージは黒を基調とした落ち着いたデザインで製品画像がとてもクールな印象。ボックス裏面には日本語の記述もあります。外箱(化粧箱)を外すと「LETSHUOER」のと記載された内箱が入っているデザインは「S12」などから継承しています。
パッケージ内容はイヤホン本体、ケーブル、イヤーピースは白色タイプ、黒色タイプの2種類(それぞれS/M/Lサイズ)、交換用フィルター、レザーケース、説明書、保証書、カタログブックほか。
アルミ合金製の本体は非常にコンパクトで、いっけんすると13mmの大口径ドライバーが収容されているイヤホンには見えない印象でしょう。なお、今回オーダーしたのはブラックですが、以前発売前テスト版のブルーをメーカーより提供頂いていましたので参考までに併せて掲載しております。こちらについては色配分などが実際の製品と異なる場合もありますのでご了承ください。
ベントは背面の3つの穴とフェイス部分の模様の中心部に1カ所あります。そのため音漏れは若干あり通常の使用では問題ないものの静かな場所では注意が必要かもしれませんね。非常にコンパクトなデザインのため耳にすっぽり収まりますが、逆に小さすぎてしっかり固定されない、というケースもあります。ステムノズルはやや長めのデザインになっていますので、フィット感の良いイヤーピースで耳奥までしっかり固定した方が良いでしょう。
交換式のステムノズルは本体にしっかり固定されており、ビルドの精緻さが確認出来ます。標準で装着されていたのがシルバーのタイプで、別途ゴールドのフィルターが付属します。細部を見るとシルバーのタイプは裏面にメッシュ状のシートが貼られているのが分かります。そのためパッケージなどにフィルターについての説明はありませんが、シルバーが低域タイプ、ゴールドが高域タイプ(?)となると思われます。
ケーブルは単結晶銅線の撚り線ケーブルが付属します。適度に弾力があり取り回しの良いケーブルです。購入時に3.5mmと4.4mmが選択できます。
イヤーピースは黒色の通常タイプと白色の「AET07」風の開口部の大きいタイプの2種類が付属します。他にも定番のJVC「スパイラルドット」などを組み合わせるのも良いと思います。また、よりフィット感の強いタイプでは「SpinFit CP100+」「Radius ディープマウント(白)」など、自分の耳に合う最適なイヤピースを選択するのも良いでしょう。今回は付属の白色タイプと「Radius ディープマウント(白)」を使用しています。
■ サウンドインプレッション
「LETSHUOER D13」の音質傾向は、ニュートラルなサウンドバランスながら存在感のある中音域とタイトながらパワフルなアタックが印象的な低域を持ったサウンド。交換用フィルターはボーカルやピアノの高音など中高域付近で変化があり、個人的には裏面にフィルターが張られていない「ゴールド」タイプが好印象でした。ゴールドの場合は中高域の抜けが良く、より明瞭感のある高域が楽しめます。またメーカー資料の測定値では変化があるのは中高域だけですが、実際は弱ドンシャリくらいの印象に変化します。
ちなみに交換用ノズルタイプに共通した特徴として、ノズルに何らかのフィルターを貼り付けで調整しているタイプの製品では、当然フィルターが貼り付けられてないほうが抜け感が向上し明瞭なサウンドに感じます。かつてのLZのハイブリッド製品などのように元々が強烈に刺さるチューニングになっていてそれをフィルターで適度に減衰させることでちょうど良いバランスにしている製品もありましたが、「LETSHUOER D13」のように最初からバランスの良いサウンドの製品の場合はやはり例外とはならないようです。とはいえ標準で取り付けられている「シルバー」のフィルターも高域をやや押さえることでボーカル帯域の存在感が増し、若干暗いもののよりフラット方向に近い印象になります。最近は欧米を中心に「周波数特性のニュートラルさ」が評価対象になっているケースも見られますので、ややドンシャリ方向に向かう「ゴールド」よりニュートラルな「シルバー」を標準とした方が(市場的には)良いのかもしれませんね。
「LETSHUOER D13」の高域は前述のようにフィルターによって変化します。とはいえ標準の「シルバー」でも曇るという程の変化では無く、聴きやすく自然な印象です。メーカー資料によるとフィルターによって調整されているのは4kHz付近のみのようで、実際のところさらに上の高高域はどちらのフィルターでも鮮明な音を鳴らします。DLC振動板らしい歪みの非常に少ない印象です。こちらを「ゴールド」のフィルターに替えることで中高域からの抜け感が向上するため、より直線的で見通しの良い高域に変化します。音源の種類にもよりますが、高域の存在感が増すことで相対的にメリハリがつき、印象としては弱ドンシャリ方向に変化します。
中音域はやや前寄りに定位しつつ、歪みの少ない非常にニュートラルなサウンドが印象的です。この辺のアプローチは「S12」にも通じる部分がありますが、女性ボーカルやピアノの高音など中高域の伸びや抜けがフィルターによって変化するため、この辺の好みで「シルバー」と「ゴールド」を選ぶポイントになりそうです。
「ゴールド」は「S12」に近い抜けの良さと明瞭さがあり、中音域はよりダイレクト感のあるサウンドになります。いっぽうで「シルバー」は僅かに温かみがあり、より聴きやすく中低域の厚みを感じます。今回私は4.4mmのバランス版でオーダーしましたが、前述のテスト版に付属していた3.5mmのシングルエンドタイプのケーブルも手元にあったため両方でテストをしました。その印象としてはよりダイレクト感や明瞭さが増すバランス接続では「ゴールド」のフィルターが、「シルバー」のフィルターでは3.5mmのシングルエンドでの接続のほうがより自然で相性が良く感じました。解像感という点はどちらのフィルターでも「S12」とは相応の差があります。それでも輪郭は自然でボーカルと演奏は自然に分離し、比較的正確な定位を実感出来ます。DLC振動板は解像感や見通しの良さというより歪みを押さえることで滑らかで自然なサウンドを描くことに注力されている印象です。音場は自然からやや狭く、スタジオレコーディングくらいの空間表現で描写されている印象です。
低域は比較的ニュートラルなバランスですが、実際に聴いてみるとバスドラなどは存在感があり、強めのアタックでタイトに鳴る印象です。大口径ドライバーらしい表現力を過度に強調すること無く質感を高めている点は好感できます。重低音は深くスピード感のある音を鳴らします。アルミ製の金属シェルを採用し、ベントにより適度に音圧を逃がすことで籠もること無く迅速なレスポンスを得ているようです。ミッドベースは適度に締まりがあり中高域との分離も良好です。
■ まとめ
というわけで、「LETSHUOER D13」は非常にバランスが良く使いやすいサウンドである反面、コンパクトなデザイン以上の個性を見つけにくい点はちょっと惜しいかもしれませんね。おそらく(日本での)最大のウィークポイントは非常に評価の高い「S12」との実際の価格差かもしれません。アマゾンでは「S12」が2万円以下と現在の円安傾向より以前の為替レートで価格設定が行われています(海外のショップでは「S12」の169ドルの場合、現在は手数料等込みで日本円では23,000円ほどの価格になります)。これに対して「LETSHUOER D13」は現在のレートで価格設定されているため、ほとんど価格差がなくなっています(逆に言えば現在のアマゾンでの「S12」は結果的にかなりお買い得になっている状態です)。これを考慮してか、レビュー掲載時点でアマゾンの公式ストアでは20% OFFのクーポンが配布されており、1.5万円程度で購入できるようになっています。非常にバランスの良いイヤホンですので、興味のある方は今のうちに挑戦されるのも良いと思いますよ。