TRI x HBB KAI

こんにちは。今回は「TRI x HBB KAI」 です。最近海外の有名レビューアーとのコラボモデルが急増している中華イヤホン界隈ですが、優れたコストパフォーマンスとサウンドバランスで定評のある「TRI Audio」と「HBB」氏とのコラボ製品が登場しました。
アンダー100ドル級の「HBB」氏コラボ製品というと、私のブログでも以前レビューした「TRIPOWIN × HBB Olina」がマニアの間でも非常に高評価を受けています。今回の「TRI x HBB KAI」はTRIらしさも前面に出した異なるサウンドで、完成度においては「Olina」の同等以上の仕上がりになっています。ハワイの「黄金色の砂」と「青い空」をイメージしたゴージャスな外観とともに今後人気モデルとなるのはほぼ確実と思われる逸品です。

■ 製品の概要について

「TRI Audio」は、中華イヤホンブランドとしてマニアの間ですっかりお馴染みになった「KBEAR」の兄弟ブランドとして、よりこだわりのあるハイグレードモデルを多く手がけている印象がありますね。そのTRIと最近話題のコラボモデルを次々手がけて注目を集めている「Bad Guy Good Audio Reviews」の「hawaiibadboy(HBB)」氏とタイアップしたモデルが「TRI x HBB KAI」です。

サイトの記述によると、「TRI x HBB KAI」のサウンドをデザインするにあたって、HBBからサウンドカーブが提案され、TRIが持つ音に対する理解と統合しました。そのうえで職人技の精巧な技術、高度なドライバーと強力な構成、優れた品質管理を実施しつつ手頃な価格設定を実現しているとのことです。
TRI x HBB KAITRI x HBB KAI

TRI x HBB KAI」は9.8mmのDLC(Diamond Like Carbon)振動板ダイナミックドライバーをシングルで搭載。パワフルな低音と適切な中域を備え、ボーカルや楽器のサウンドを自然に再現します。高域はきつすぎず、迅速なレスポンスを持ちます。
TRI x HBB KAITRI x HBB KAI
またゴールドとブルーのコンビネーションによるユニークな外観を持つ「TRI x HBB KAI」のシェルは、航空グレードの7シリーズアルミニウム合金を使用しており、5軸CNCプロセスにより成形され、繊細に研磨され仕上げられています。「TRI x HBB KAI」プロジェクトの発起人はハワイ出身で、ハワイの青い海と黄金の砂からインスピレーションを得て、ユニークなフェイスカラーのコンビネーションデザインが生まれたとのことです。またハワイ語で「KAI」は水を意味します。「TRI x HBB KAI」は水のように音楽を流して楽しむことをイメージして名付けられました。
TRI x HBB KAITRI x HBB KAI

TRI x HBB KAI」の購入はAliExpressの「Easy Earphones」またはアマゾンの「WTSUN Audio」にて。価格はAliExpressが79ドル、アマゾンが10,699円です。
AliExpress(Easy Earphones): TRI x HBB KAI

円安のため現在のレートではアマゾンもほぼ同額かむしろ安く購入できる状態ですので、通常はこちらからの購入が良いでしょう。またアマゾンは国内在庫があればプライム扱いですぐに届きます。
Amazon.co.jp(WTSUN Audio): TRI x HBB KAI


■ パッケージ構成、製品の外観および内容について

TRI x HBB KAI」のパッケージは同梱されるレザーケースにぴったりのサイズの非常にコンパクトなもの。やたら過剰包装ぎみのケースが多い中華イヤホンですが、この製品ではエコを意識して、とのことです(今後も意識するかはわかりません^^;)。
TRI x HBB KAITRI x HBB KAI

ブラウンのレザーケースに本体・ケーブルおよび付属品が詰め込まれています。
パッケージ内容はイヤホン本体、ケーブル、イヤーピース(2種類、S/M/Lサイズ。1個は本体装着済み)、クリーニングブラシ、クリーニングクロス、レザーケース、説明書。箱は小さいですが付属品に妥協は無いですね。
TRI x HBB KAITRI x HBB KAI

本体はゴールドの表面処理が施されたアルミ合金製。耳にフィットしやすいデザインでちょっと大きめに見えますが、実際は耳に収まりやすいサイズ感です。ステムノズルは極端に太いわけでは無く一般的なサイズですので、KZやTFZと比べると相対的にコンパクトであることがわかります。
TRI x HBB KAITRI x HBB KAI
また、「TRIPOWIN × HBB Olina」や同様にDLC振動板ダイナミックドライバーを搭載する「KBEAR INK」と比較しても「TRI x HBB KAI」がむしろコンパクトであることがわかります。
TRI x HBB KAITRI x HBB KAI

付属ケーブルは4芯の銀メッキ線タイプ。ケースに他の付属品と一緒に詰め込まれたいたためややケーブルに癖が付いているので引っ張るなど慣らしてあげる方が良いでしょう。柔らかくちょっと絡まりやすさはありますが取り回しは良好です。
TRI x HBB KAITRI x HBB KAI
イヤーピースは開口部の大きい/小さいの2パターンの白色シリコンタイプが付属します。付属品は正直フィット感がいまひとつなので、耳に合わないと感じたらすぐに定番のJVC「スパイラルドット」やAcoustune「AET07」(あるいは類似品の「KBEAR 07」)、またよりフィット感の強いタイプでは「SpinFit CP100+」などへの交換を検討しましょう(最近だと「Softears U.C.」という選択肢もありますね。やや高価ですが)。


■ サウンドインプレッション

TRI x HBB KAI」の音質傾向は中低域寄りのドンシャリ。これまでのHBBコラボ製品同様に今回も非常にバランスが良く、オーラウンドに聴きやすさを感じます。伸びのある高域ととともに濃密さを感じる中低域が印象的で、さらに低域の質感と空間表現がHBB氏コラボの従来製品より秀逸な印象。アンダー100ドルクラスとしては相当に完成度の高いリスニングサウンドです。

TRI x HBB KAIちなみにHBBコラボの最初の製品である「TRIPOWIN x HBB Mele」の際に同氏はターゲットとしたサウンドバランスに「BLON BL-03」を挙げていました。「BL-03」は深く重い低域が特徴的なイヤホンで、「Mele」もよりリスニング性を高めつつその方向性を踏襲した印象がありました。その後、上位モデルでCNTドライバーを搭載した「Olina」ではf値のカーブは「Mele」や「BL-03」と似ているものの、ドライバーの特性を活かし、よりスッキリとした、見通しの良さが印象的なサウンドで仕上げられていました。
そして今回の「TRI x HBB KAI」はより低域が深くボーカル域は前面で主張する印象がありますね。改めて聴き比べてみると、「TRI x HBB KAI」は「Mele」で取り組もうとした、HBB氏がイメージする方向性にTRI/KBEARのドライバーとサウンドチューニングとコラボすることで改めて挑んだ製品ではないか、という気がしました。

TRI x HBB KAI」の高域も明瞭で伸びやかな音を鳴らします。DLCらしい透明感と見通しの良さがあり、適度な煌びやかさがあります。しかし刺激を感じやすい帯域は上手くコントロールされており刺さり等はありません。過不足無く聴きやすい高域という印象です。

TRI x HBB KAI中音域は密度感があり癖の無い音をしっかり鳴らす印象です。「Olina」は全体的にスッキリめの解像感のあるチューニングなのに対し、「TRI x HBB KAI」では濃さがあり、ボーカル帯域はより前面で定位します。女性ボーカルなどの中高域の抜けも良く濃密ながら見通しの良さもあります。男性ボーカルは厚みがあり余韻も心地よいです。
バランスとしては緩やかなV字で、最近増えているW字カーブのような中音域を持ち上げるチューニングでは無いため、ほかの音域もしっかり主張しているのですが、それに負けること無く存在感を感じさせます。「TRI/KBEARらしさ」と「HBBコラボらしさ」が上手く凝縮された印象のサウンドです。

低域は非常に良い質感があります。おそらく同氏コラボのイヤホンのなかでも随一の仕上がりでしょう。重低音は重く深く沈み、存在感があります。ミッドベースもしっかり主張しながら過度に響くことはありません。解像感や分離の良さでは「Olina」に譲る部分もありますが全体を通しての心地よい臨場感、空間表現を演出します。


■ まとめ

TRI x HBB KAI」はロック、ポップス、アニソンなどのさまざまなボーカル曲はもちろん、インストルメンタルも楽しめる心地よいリスニングサウンドです。また濃密ながらDLCドライバーの特性を活かしレスポンスも迅速ですのでスピード感のある曲も結構楽しめます。より明瞭感や分離を向上したい方はバランス接続にリケーブルを検討するも良いでしょう。情報量が多い銀メッキ線は相性が良いと思います。
TRI x HBB KAIまた、「TRIPOWIN x Olina」はイマドキのバランスの良さとまとまりの良さに加えスッキリした解像感を楽しめるアンダー100ドルながらよくできたイヤホン、という印象でしたが、「TRI x HBB KAI」は優れたレスポンスと濃密な中音域を中心に、良い意味で楽しくまとめられたドンシャリイヤホンという感じです。前述の通りHBB氏が以前「BL-03」あたりを参考にしたサウンドというのは、おそらく「TRI x HBB KAI」のようなものだと思いますし、確かにいかにもハワイアンで陽気な印象でもありますね。どちらにせよ、冒頭に記載したとおり、アンダー100ドルクラスとしては相当に卓越した完成度を持ったイヤホンのひとつであり、多くの方に幅広くオススメできると思います。人気モデルになることは確実ですね(^^)。