こんにちは。今回は「7Hz x Crinacle: Salnotes Dioko」です。最近急増している有名海外レビュアーとのコラボイヤホンですがその流れを作った代表格はCrinacle氏ではないかとおもいます。そんな同氏が中華イヤホンのなかでも超個性的な製品を展開している7Hzとコラボ。しかも14.6mm平面駆動ドライバーを搭載した全く新しいモデルとしてリリースしたのが「7Hz x Crinacle: Salnotes Dioko」です。音質的にもさることながら、いわゆる14mm級の平面駆動ドライバー搭載イヤホンでアンダー100ドルを実現した価格設定にも驚かされます。
■ 製品の概要について
「7Hz x Crinacle: Salnotes Dioko」は中国のイヤホンブランド「7Hz」が海外有名レビュアーのCrinacle氏とコラボしたオリジナルモデルです。新たに開発された14.6mm 平面駆動ドライバーを搭載し、Crinacle氏との密接な協力によりサウンドチューニングが行われています。
「7Hz」は14.2mm平面駆動ドライバーを搭載した「Timeless」で高い評価を得ることに成功しています。しかし、新たな平面駆動ドライバー搭載イヤホンである「7Hz x Crinacle: Salnotes Dioko」では「Timeless」とは全く異なるサウンドを総合的な戦略により再設計。Crinacle氏の持つ豊富な経験に基づき、周波数帯全体で音色の調整を実施しています。
この構造的なチューニングにより、「7Hz x Crinacle: Salnotes Dioko」の低域はインパクトがあり、中音域はニュートラルでモニターのような正確さを維持します。そして高域は自然ですが、ディテールの表現力と風通しの良さという平面駆動ドライバーの特徴を十分に発揮します。
また「7Hz x Crinacle: Salnotes Dioko」は新たに開発された14.6mm デュアルキャビティ平面駆動ドライバーを搭載します。この平面磁気振動板は、最も効率的な磁気回路構造とリボン分布を利用して均一なサウンドを実現するよう設計されています。より大きな振動板を採用することで表面積がさらに増加し、高調波歪みが低減されます。さらに両面アレイ構成で最高性能のN55マグネットを採用。この非常に強力な磁石は、有効磁束を最大化し効果的にドライバーを駆動させます。この設計により優れた感度とともにタイトで自然で透明なサウンドをもたらします。
そして「7Hz x Crinacle: Salnotes Dioko」の本体は航空グレードのアルミニウム合金を使用し精細なCNC加工が施されています。丈な金属製のケースがノイズを遮断します。また表面は最高レベルのアルマイト処理により耐久性・耐摩耗性に優れています。フェイスプレートは高級時計と同じ強化ガラス素材が使用されており、表面にはサファイア コーティングと指紋防止処理が施されています。丈夫で落下防止だけでなく、宝石のような美しさもあります。
「7Hz x Crinacle: Salnotes Dioko」の購入は「Linsoul」社直営サイト「linsoul.com」またはアマゾンのLinsoulマーケットプレイス「L.S オーディオ」にて。
価格は海外は99ドル、アマゾンでは12,999円です。
Linsoul(linsoul.com): 「7Hz x Crinacle: Salnotes Dioko」
円安の関係で現在のレートではアマゾンのほうが割安になります。国内在庫によるプライム出荷も開始しましたので、通常はアマゾンからの購入で問題ないでしょう。
Amazon.co.jp(L.S オーディオ): 「7Hz x Crinacle: Salnotes Dioko」
■ パッケージ構成、製品の外観および内容について
今回私は「プライムデー」のタイミングでL.S オーディオから購入しました。購入時点では国内在庫は無くプライム扱いにはなっていなかったんですけどね(^^;)。掲載時点では購入後すぐに届きます。「7Hz x Crinacle: Salnotes Dioko」のパッケージは製品画像が掲載されたシンプルな白箱タイプですが、実際は箱と同じ大きさのハードケースが中に入っています。
普段持ち歩くのにはちょっと不便ですが、外張りはもちろん内側もなかなかしっかりした作りのレザケースでちょっとテンション上がりますね。こういう大きいケースは個人的には「ER4SR」あたりを思い出しますね(^^)。
パッケージ内容はイヤホン本体、ケーブル、イヤーピースはカラフルなシリコンタイプが形状の違いで2タイプ、S/M/Lサイズと装着済みの粘着性のあるタイプ。説明書、保証書、そして大型ケースです。なお個人的には持ち歩きようには別途手持ちのケースに入れています。
「7Hz x Crinacle: Salnotes Dioko」の本体は思いのほか巨大なシェルサイズです。「Timeless」も決してコンパクトなイヤホンとは言えなかったと思いますが、こちらは楕円形のフェイス部分はもちろん、背面のハウジング部分もかなりの厚みがあり相当に大ぶりな印象を受けます。
全体のサイズ感はイヤホンとしては最大級で装着部分のも巨大なシェルサイズも特徴の「MUSE HIFI Power」と結構近いサイズ感ですね。なおサファイアガラスのフェイスプレートはシンプルながら高級感があり、他のアンダー200ドル級の平面駆動イヤホンと比べても全く遜色ないというか、むしろより高級に見えるかもという仕上がり。やっぱり100ドル以下のイヤホンには見えません。
ちなみに「7Hz x Crinacle: Salnotes Dioko」の最初期ロット(150個ほどあったと言われています)はさらにウォームでCrinacle氏の意図するサウンドでは無かったらしく、交換用のフィルターパーツが後日提供されたようです。海外のレビューではこの初期ロットを元にしているケースもあり、その場合は評価が低めだったりしますね。私が購入した個体も含め、現在流通しているものは、もちろんこの初期ロットとは異なる本来のサウンドの製品を入手することができます。
「7Hz x Crinacle: Salnotes Dioko」は大型のシェルですので装着には多少イヤーピースを工夫する必要があるかもしれません。付属のカラフルなイヤーピースは通常タイプの形状とやや長さのあるタイプの2種類ですが、コシも無いですしフィット感も今ひとつな印象。基本は装着済みの高密着タイプを使用することを前提としているようです。さらにフィット感を高めるためには、通常タイプであればAcoustune「AET07」など、高密着タイプであれば「AZLA SednaEarfit XELASTEC」や最近であれば多少高価ですが「Softears U.C.」といった選択肢もあるでしょう。私の場合は「Softears U.C.」がもっとも好印象でした。
ケーブルは4芯の高純度単結晶銅(OCC)線と銀メッキ銅線をミックスしリッツ構造を採用したケーブルが付属します。しっかりと線材は編み込まれており被膜は多少弾力はありますが取り回しは良好です。コネクタは0.78mm 2pinタイプ。埋め込み仕様では無いため、CIEM 2pinのほか中華2pinタイプのケーブルでもリケーブルが可能です。
■ サウンドインプレッション
「7Hz x Crinacle: Salnotes Dioko」の音質傾向は、ニュートラルで癖の無いサウンド。「Timeless」が低域が厚くややウォームなドンシャリ傾向だったのと比較すると、こちらは全体的にあっさりとした印象で、低域は自然な量感となり、高域は刺激を抑えつつもより明るく伸びが向上しています。全体として非常に端正なバランスで明瞭感や解像感が向上しています。中音域はありのままの描写をしつつ、より広い空間表現によるリスニング的なアプローチもあります。しかし全体的に滑らかで僅かに温かく、聴きやすい印象など、両者に共通する要素も存在します。
チューニングとしてはよりフラット方向で、「Timeless」の厚みのあるリスニングサウンドを好みの方にはあまり合わないでしょう。逆にバランスが良く明瞭感のあるサウンドで、多少モニター的な無味無臭の傾向を好まれる方には「7Hz x Crinacle: Salnotes Dioko」はより好印象も持つのではと思います。
なお、「7Hz x Crinacle: Salnotes Dioko」は「Timeless」よりしっかり鳴らすためにはさらに駆動力を必要とします。多くの14mm級平面駆動ドライバーを搭載するイヤホン同様に、ある程度の再生環境でも相応に鳴らすことができますが、この製品については、十分な駆動力が無いと高域はより伸びず、全体としても非常に淡泊なサウンドに感じてしまうと思います。また本体の大きさもありイヤーピースでも結構印象に変化が出るようですね。
「7Hz x Crinacle: Salnotes Dioko」の高域は明瞭で煌めきのある音ながらやや抑え気味の印象です。「Timeless」の高域より明るく主張が増していますが、それでも「LETSHUOER S12」などの製品と比べると少し遠くで定位している印象。「Timeless」ほど癖のある高域では無くより直線的になったのは全体としては良い変化だと思いますが、それをより淡泊になったと捉える方もあるかもしれません。
中音域は癖の無いフラットな印象の音を鳴らします。平面駆動ドライバーらしい歪みの少ない綺麗な音で女性ボーカルの高音などの中高域はよりスッキリ伸びるようになりました。全体的に音場は広く、広々とした空間で鳴っているような印象。ボーカル帯域は自然な距離で定位します。そのため極によっては淡々と鳴っている印象となることも。「Timeless」のように近くで濃くなるサウンドとは対照的ですね。いっぽう「Timeless」より空間表現に余裕ができたことで、音像はよりハッキリしており個々の演奏をより詳細に捉えることができます。また定位も正確な印象です。それでも輪郭が自然で滑らかさも感じられます。そのため解像感については「LETSHUOER S12」などのほうが高い印象になります。まさに「ありのまま」の「無味無臭」といった印象ですね。
低域は直線的でスピード感のある音を鳴らします。量的にはサイトに公開されている特性より少なめに感じます。重低音は「Timeless」よりやや浅く軽くなっている印象ですが、小気味よく鳴っています。ミッドベースはタイトですが伸びのある印象。中高域への見通しが良いため明瞭に感じます。印象として解像感自体は低域が強く濃い「Timeless」と同様で単純に主張を抑えることでバランスを取っているようにも感じられます。どの帯域を重視するかで好みが分かれるかもしれません。
■ まとめ
「7Hz x Crinacle: Salnotes Dioko」はニュートラルなバランスと平面駆動ドライバーらしい歪みが少なく広々とした空間表現など、癖の無いサウンドが印象的でした。このようなサウンドの製品が99ドルで購入できるというのはやはり驚きですね。
個人的には見通しの良さやバランスの良さで100ドルクラスとしてはかなり高評価のイヤホンに分類できると思いました。ただし、14mm級の平面駆動ドライバー搭載イヤホンのなかの比較では同様の方向性をもちつつ、さらに高い明瞭感とリスニングイヤホンとしての楽しさを持っている「LETSHUOER S12」や「Z12」のほうが好印象でした。まあアマゾンでは2倍近い価格差がありますので単純比較はできないとは思いますが、ネット上では「7Hz x Crinacle: Salnotes Dioko」のほうが「S12」より好印象という意見もちらほら見受けられますので、結構好みの問題かもしれませんね。
デザイン的な美しさもありますし、聴きやすさという点も優れています。なにより14mm平面駆動ドライバー搭載でアンダー100ドルの価格設定はやはり魅力的でしょう。価格的にはマニアはとりあえず購入しておくというのもアリだと思いました(^^)。
「7Hz x Crinacle: Salnotes Dioko」は中国のイヤホンブランド「7Hz」が海外有名レビュアーのCrinacle氏とコラボしたオリジナルモデルです。新たに開発された14.6mm 平面駆動ドライバーを搭載し、Crinacle氏との密接な協力によりサウンドチューニングが行われています。
「7Hz」は14.2mm平面駆動ドライバーを搭載した「Timeless」で高い評価を得ることに成功しています。しかし、新たな平面駆動ドライバー搭載イヤホンである「7Hz x Crinacle: Salnotes Dioko」では「Timeless」とは全く異なるサウンドを総合的な戦略により再設計。Crinacle氏の持つ豊富な経験に基づき、周波数帯全体で音色の調整を実施しています。
この構造的なチューニングにより、「7Hz x Crinacle: Salnotes Dioko」の低域はインパクトがあり、中音域はニュートラルでモニターのような正確さを維持します。そして高域は自然ですが、ディテールの表現力と風通しの良さという平面駆動ドライバーの特徴を十分に発揮します。
また「7Hz x Crinacle: Salnotes Dioko」は新たに開発された14.6mm デュアルキャビティ平面駆動ドライバーを搭載します。この平面磁気振動板は、最も効率的な磁気回路構造とリボン分布を利用して均一なサウンドを実現するよう設計されています。より大きな振動板を採用することで表面積がさらに増加し、高調波歪みが低減されます。さらに両面アレイ構成で最高性能のN55マグネットを採用。この非常に強力な磁石は、有効磁束を最大化し効果的にドライバーを駆動させます。この設計により優れた感度とともにタイトで自然で透明なサウンドをもたらします。
そして「7Hz x Crinacle: Salnotes Dioko」の本体は航空グレードのアルミニウム合金を使用し精細なCNC加工が施されています。丈な金属製のケースがノイズを遮断します。また表面は最高レベルのアルマイト処理により耐久性・耐摩耗性に優れています。フェイスプレートは高級時計と同じ強化ガラス素材が使用されており、表面にはサファイア コーティングと指紋防止処理が施されています。丈夫で落下防止だけでなく、宝石のような美しさもあります。
「7Hz x Crinacle: Salnotes Dioko」の購入は「Linsoul」社直営サイト「linsoul.com」またはアマゾンのLinsoulマーケットプレイス「L.S オーディオ」にて。
価格は海外は99ドル、アマゾンでは12,999円です。
Linsoul(linsoul.com): 「7Hz x Crinacle: Salnotes Dioko」
円安の関係で現在のレートではアマゾンのほうが割安になります。国内在庫によるプライム出荷も開始しましたので、通常はアマゾンからの購入で問題ないでしょう。
Amazon.co.jp(L.S オーディオ): 「7Hz x Crinacle: Salnotes Dioko」
■ パッケージ構成、製品の外観および内容について
今回私は「プライムデー」のタイミングでL.S オーディオから購入しました。購入時点では国内在庫は無くプライム扱いにはなっていなかったんですけどね(^^;)。掲載時点では購入後すぐに届きます。「7Hz x Crinacle: Salnotes Dioko」のパッケージは製品画像が掲載されたシンプルな白箱タイプですが、実際は箱と同じ大きさのハードケースが中に入っています。
普段持ち歩くのにはちょっと不便ですが、外張りはもちろん内側もなかなかしっかりした作りのレザケースでちょっとテンション上がりますね。こういう大きいケースは個人的には「ER4SR」あたりを思い出しますね(^^)。
パッケージ内容はイヤホン本体、ケーブル、イヤーピースはカラフルなシリコンタイプが形状の違いで2タイプ、S/M/Lサイズと装着済みの粘着性のあるタイプ。説明書、保証書、そして大型ケースです。なお個人的には持ち歩きようには別途手持ちのケースに入れています。
「7Hz x Crinacle: Salnotes Dioko」の本体は思いのほか巨大なシェルサイズです。「Timeless」も決してコンパクトなイヤホンとは言えなかったと思いますが、こちらは楕円形のフェイス部分はもちろん、背面のハウジング部分もかなりの厚みがあり相当に大ぶりな印象を受けます。
全体のサイズ感はイヤホンとしては最大級で装着部分のも巨大なシェルサイズも特徴の「MUSE HIFI Power」と結構近いサイズ感ですね。なおサファイアガラスのフェイスプレートはシンプルながら高級感があり、他のアンダー200ドル級の平面駆動イヤホンと比べても全く遜色ないというか、むしろより高級に見えるかもという仕上がり。やっぱり100ドル以下のイヤホンには見えません。
ちなみに「7Hz x Crinacle: Salnotes Dioko」の最初期ロット(150個ほどあったと言われています)はさらにウォームでCrinacle氏の意図するサウンドでは無かったらしく、交換用のフィルターパーツが後日提供されたようです。海外のレビューではこの初期ロットを元にしているケースもあり、その場合は評価が低めだったりしますね。私が購入した個体も含め、現在流通しているものは、もちろんこの初期ロットとは異なる本来のサウンドの製品を入手することができます。
「7Hz x Crinacle: Salnotes Dioko」は大型のシェルですので装着には多少イヤーピースを工夫する必要があるかもしれません。付属のカラフルなイヤーピースは通常タイプの形状とやや長さのあるタイプの2種類ですが、コシも無いですしフィット感も今ひとつな印象。基本は装着済みの高密着タイプを使用することを前提としているようです。さらにフィット感を高めるためには、通常タイプであればAcoustune「AET07」など、高密着タイプであれば「AZLA SednaEarfit XELASTEC」や最近であれば多少高価ですが「Softears U.C.」といった選択肢もあるでしょう。私の場合は「Softears U.C.」がもっとも好印象でした。
ケーブルは4芯の高純度単結晶銅(OCC)線と銀メッキ銅線をミックスしリッツ構造を採用したケーブルが付属します。しっかりと線材は編み込まれており被膜は多少弾力はありますが取り回しは良好です。コネクタは0.78mm 2pinタイプ。埋め込み仕様では無いため、CIEM 2pinのほか中華2pinタイプのケーブルでもリケーブルが可能です。
■ サウンドインプレッション
「7Hz x Crinacle: Salnotes Dioko」の音質傾向は、ニュートラルで癖の無いサウンド。「Timeless」が低域が厚くややウォームなドンシャリ傾向だったのと比較すると、こちらは全体的にあっさりとした印象で、低域は自然な量感となり、高域は刺激を抑えつつもより明るく伸びが向上しています。全体として非常に端正なバランスで明瞭感や解像感が向上しています。中音域はありのままの描写をしつつ、より広い空間表現によるリスニング的なアプローチもあります。しかし全体的に滑らかで僅かに温かく、聴きやすい印象など、両者に共通する要素も存在します。
チューニングとしてはよりフラット方向で、「Timeless」の厚みのあるリスニングサウンドを好みの方にはあまり合わないでしょう。逆にバランスが良く明瞭感のあるサウンドで、多少モニター的な無味無臭の傾向を好まれる方には「7Hz x Crinacle: Salnotes Dioko」はより好印象も持つのではと思います。
なお、「7Hz x Crinacle: Salnotes Dioko」は「Timeless」よりしっかり鳴らすためにはさらに駆動力を必要とします。多くの14mm級平面駆動ドライバーを搭載するイヤホン同様に、ある程度の再生環境でも相応に鳴らすことができますが、この製品については、十分な駆動力が無いと高域はより伸びず、全体としても非常に淡泊なサウンドに感じてしまうと思います。また本体の大きさもありイヤーピースでも結構印象に変化が出るようですね。
「7Hz x Crinacle: Salnotes Dioko」の高域は明瞭で煌めきのある音ながらやや抑え気味の印象です。「Timeless」の高域より明るく主張が増していますが、それでも「LETSHUOER S12」などの製品と比べると少し遠くで定位している印象。「Timeless」ほど癖のある高域では無くより直線的になったのは全体としては良い変化だと思いますが、それをより淡泊になったと捉える方もあるかもしれません。
中音域は癖の無いフラットな印象の音を鳴らします。平面駆動ドライバーらしい歪みの少ない綺麗な音で女性ボーカルの高音などの中高域はよりスッキリ伸びるようになりました。全体的に音場は広く、広々とした空間で鳴っているような印象。ボーカル帯域は自然な距離で定位します。そのため極によっては淡々と鳴っている印象となることも。「Timeless」のように近くで濃くなるサウンドとは対照的ですね。いっぽう「Timeless」より空間表現に余裕ができたことで、音像はよりハッキリしており個々の演奏をより詳細に捉えることができます。また定位も正確な印象です。それでも輪郭が自然で滑らかさも感じられます。そのため解像感については「LETSHUOER S12」などのほうが高い印象になります。まさに「ありのまま」の「無味無臭」といった印象ですね。
低域は直線的でスピード感のある音を鳴らします。量的にはサイトに公開されている特性より少なめに感じます。重低音は「Timeless」よりやや浅く軽くなっている印象ですが、小気味よく鳴っています。ミッドベースはタイトですが伸びのある印象。中高域への見通しが良いため明瞭に感じます。印象として解像感自体は低域が強く濃い「Timeless」と同様で単純に主張を抑えることでバランスを取っているようにも感じられます。どの帯域を重視するかで好みが分かれるかもしれません。
■ まとめ
「7Hz x Crinacle: Salnotes Dioko」はニュートラルなバランスと平面駆動ドライバーらしい歪みが少なく広々とした空間表現など、癖の無いサウンドが印象的でした。このようなサウンドの製品が99ドルで購入できるというのはやはり驚きですね。
個人的には見通しの良さやバランスの良さで100ドルクラスとしてはかなり高評価のイヤホンに分類できると思いました。ただし、14mm級の平面駆動ドライバー搭載イヤホンのなかの比較では同様の方向性をもちつつ、さらに高い明瞭感とリスニングイヤホンとしての楽しさを持っている「LETSHUOER S12」や「Z12」のほうが好印象でした。まあアマゾンでは2倍近い価格差がありますので単純比較はできないとは思いますが、ネット上では「7Hz x Crinacle: Salnotes Dioko」のほうが「S12」より好印象という意見もちらほら見受けられますので、結構好みの問題かもしれませんね。
デザイン的な美しさもありますし、聴きやすさという点も優れています。なにより14mm平面駆動ドライバー搭載でアンダー100ドルの価格設定はやはり魅力的でしょう。価格的にはマニアはとりあえず購入しておくというのもアリだと思いました(^^)。
平面駆動型ラッシュが止まりませんね。
今回のSalnotes DiokoはP1 MAXと記述が似ていてこの両者の比較についてよろしければお聞きしたいです。