CCA PLA13

こんにちは。今回は「CCA PLA13」です。 KZ/CCAも平面駆動ドライバー搭載イヤホンかよ、ということで、こっちは巷で増殖中の14mm級よりちょっと小さい13.2mmサイズのドライバーを採用。これをKZなシェルに入れて、でっかいドライバー積んでるよーというのをどうしてもアピールしたいフェイスデザインと何となくうーん、と思いつつ63ドルという平面駆動ドライバー搭載としては以上に安価な価格設定も気になって購入してみました。ネットでは微妙なウワサもちらほらなイヤホンですが、実際はどんな感じでしょうか。

■ 製品の概要について

私のブログでは毎度おなじみのCCAです。「KZ ACOUSTICS」のサブブランドとして、ちょっとKZが炎上したあたりから新モデルはまずCCAで、というパターンが増えてきましたね。今年に入って中華イヤホン界隈で多くのモデルが登場し賑わっているのが「平面駆動ドライバー」搭載イヤホン。ただそれらの多くは14mm級の結構大きいサイズのドライバーを搭載していますが、「CCA PLA13」ではその型番通り13.2mmサイズのドライバーを搭載。どうも13mm級サイズの平面駆動ドライバーも200ドル近くが多い14mm級より安価なモデルで採用が進みそうな予感です(早速NICEHCKからこのサイズの新製品が控えてますね)。
CCA PLA13CCA PLA13
CCA PLA13」では精密に設計された樹脂製シェルに収められた13.2mmの大型平面磁気ドライバーによる高い明瞭さ、詳細な高音域、パンチの効いた低域を備えた優れたサウンドを再現。樹脂製ハウジングとアルミニウム合金のフェイスパネルで構成されたエレガントなデザインにより、軽量で、ユーザーに快適な装着感を提供します。
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CCA PLA13」には、新開発による「13.2mm平面磁気ドライバー」を搭載。このドライバーはデュアルキャビティ構造を採用する平面磁気ドライバーとして特許取得済み。素早く生き生きとした応答を実現し、詳細なディテールを表現します。また音響エンジニアの専門チームによってサウンドチューニングを実施しており。各音域に対して「CCA PLA13」はクリーンで正確なレスポンスを提供するよう調整されているとのことです。
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CCA PLA13」の購入はAliExpressのまたはアマゾンの公式または取り扱いセラー(ショップ)にて。
価格はAliExpressが63.99ドル、アマゾンが11,900円~、ただしHiFiGoのみ現時点では8,636円~で購入できます。おそらくHiFiGoのみ旧レート換算のままだと思いますので現時点では最も割安ですね。
AliExpress(KZ Offical Store): CCA PLA13
Amazon.co.jp(KZ Flagship Store): CCA PLA13 (11,900円)
Amazon.co.jp(HiFiGo): CCA PLA13 (8,636円)


■ パッケージ構成、製品の外観および内容について

今回私は唯一以前のレートで価格設定をしていたアマゾンのHiFiGoから購入しました。さすがにこの価格で3千円以上の差は大きいですね(^^;)。もちろん、この価格差でもちゃんと届きましたよ。
CCA PLA13CCA PLA13
パッケージは写真(というかグラフィック)を掲載したボックスタイプ。KZの場合、ちょっとグレードが上のモデルでは黒箱を使うことが多いのですが、パッケージアート以外は低価格モデルと同じですね。パッケージ内容はイヤホン本体、ケーブル、イヤーピース(S/M/L)、説明書といつも通りです。イヤーピースはKZではお馴染みフジツボタイプの白色バージョンですね。
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シェル形状は従来と同じサイズ感の樹脂ハウジングにドライバーが薄く透けて見える本体色と同じ樹脂パーツでフタをしてその上から金属製のフェイスプレートが覆っています。側面には大きめのベント(空気孔)がスリット状に並んでいますが、このベントを設けるためハウジングの側面部が凹むような接合部になりスリット付きのフェイスプレートが凹んだ部分を覆う形状になっています。
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側面のスリット型ベントは「KZ ESX」に似ている気もしましたが、「ESX」は従来通りの平面的なハウジングの接合部にスリット付きの厚みのある金属製フェイスプレートが載っている構造のため、厚みといううえでは「CCA PLA13」のほうが従来モデルに近いサイズ感かもしれませんね。またフェイスパネルのデザインは好みが分かれるところでしょう。まあドライバーを主張したい、という気持ちは分からないではないですが、「Planar」という文字プリントまではちょっとうるさい感じがするかなーと思いました(^^;)。
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ケーブルは最近のKZ/CCA製品と同じ被膜の厚い銀メッキ線が付属します。まあ通常はコレで問題ないと思いますが、このイヤホンの鳴らしにくさを考えると、同社が出している8芯銀メッキ線などを同梱したほうが(「KZ ZAS」でも後期ロットで付属させていますね)良かったのでは、とも思います。イヤーピースは例によってフジツボタイプですので例によって定番のJVC「スパイラルドット」やAcoustune「AET07」、またよりフィット感の強いタイプでは「SpinFit CP100+」など、自分の耳に合う最適なイヤピースに交換するのも良いでしょう。ちなみに評判の良くないKZ/CCA付属品イヤーピースですがSサイズは普段XSサイズを使用する耳穴が小さい方が耳奥まで装着するとき限定で結構使えたりします。


■ サウンドインプレッション

CCA PLA13CCA PLA13」の音質傾向は中低域寄りの緩やかなドンシャリ。インピーダンス16±3Ω、感度100±3dB/mWと仕様上も通常のKZ/CCAのイヤホンより鳴らしにくそうですが、実際音量は結構取りにくく駆動量のある再生環境でないと遠くで鳴っているようで中高域は本気を出さないかも、という感じがします。また開封直後は全体的に覚醒していない感じもあり、数時間~数十時間程度のエージングは必要なようです。またできればより情報量の多いケーブルに最初からリケーブルおよびバランス化を検討した方が良いかもしれませんね。というか「CCA PLA13」のマイク付きモデルでスマホ直挿しとか絶対無理だろうと思います。

これらの点を考慮し、「覚醒」した「CCA PLA13」のサウンドは明瞭な平面ドライバーらしい非常に歪みが少ない中高域の見通しの良さがあり、高域は明瞭に伸びます。低域は重低音まで直線的に沈みますがシャープで解像感が高くかなり深いところまで表現しており、60ドル台のイヤホンとしては驚異的なレベルといえるでしょう。惜しむらくは日本の現在の円安ではこの価格でも1万円を超えてしまうことなのですが、かろうじてアマゾンのHiFiGoでは以前のレートで8千円台で購入できるので、その視点で見ていきます。

CCA PLA13」の高域は明瞭でスピード感と解像感のある音を鳴らします。また適度な鋭さがありますが、シャリ付きや歯擦音は無く一聴すると聴きやすい印象も受けます。KZ/CCAらしい硬質さも感じますが極端な派手さは無くよくコントロールされている印象です。付属ケーブルでは多少温かさを感じるくらいが好みの方は良いかもしれませんが、より本気を出したい場合は中高域の伸びに影響するタイプの銀メッキ線ケーブルと相性が良くリケーブルでよりスッキリした印象になると思います。

CCA PLA13中音域は曲によっては僅かに凹みますが基本癖の無いニュートラルな印象。付属ケーブルで駆動力が不足すると平坦で遠くに感じる印象になります。この場合はリケーブルによるバランス化や再生環境の見直しを検討してください。ボーカル帯域は自然な距離で定位し、鮮明さと明瞭な輪郭で再生されます。平面磁気ドライバーらしい高速なレスポンスと高い解像度があり、広い音場感の中で個々の音の捉えやすい印象。女性ボーカルの高音など中高域の伸びに少しアクセントを置きつつ、全体的にニュートラルかつ自然なバランスで派手さを抑えている点は「CCA CRA+」あたりの音作りと共通しており好感が持てます。

低域は十分な量感があり非常に深い音を鳴らします。未エージングまたは駆動力の少ない環境では低域が籠もり気味になりますが、しっかり中高域を覚醒させると分離の良い全く異なるキャラクターを見せます。ミッドベースの解像度は高く見通しの良い締まりのある音を鳴らします。重低音も深くタイトで非常に深いところでも解像感のある音を鳴らします。EDMの音数が多い、作り込まれたサウンドも十分に楽しめるでしょう。


■ まとめ

CCA PLA13というわけで「CCA PLA13」ですが、全体としてドンシャリ傾向ですが「平面駆動ドライバー搭載イヤホン」らしいよくまとまったサウンドだと思いますが、それを実感出来るユーザーを想定したパッケージングになっていないのがやはり気になりました。例えば最近のTRNならもう少し価格を上げるかわりにアップグレードケーブルを付属し、フェイスパネルなどの外観の意匠ももう少し高級感を演出することでマニア層がターゲットであることを分かりやすく表現するでしょう。「CCA PLA13」は「TRN Kirin」の約半分の価格設定とはいえ、製品自体は「平面駆動ドライバー」のイヤホンはこれくらいの環境で鳴らすのが必要だよ、当然リケーブルするよ、ということを最初から想定しているユーザー向けならば、パッケージングでも相応の差別化は必要なのではと思うわけです。
結局のところ、「CCA PLA13」はKZ/CCA製品ではあるものの、要エージング、リケーブルも必須、上流の再生環境は相応のものを、という「以前からある平面駆動イヤホンのセオリー」をある程度踏襲した製品だとは思います。まあ最近の14mm級の製品が平面駆動としては従来より相当鳴らしやすく品質が安定しているというのも多少不利な条件ではあると思いますが(笑)。

CCA PLA13それでも、あくまでドル建てで考えればですが、65ドル以下でこのイヤホンが購入できることは価値が高いでしょう。リケーブルしても100ドル以下ですから。しかし、日本での現時点での購入価格で考えると状況は一変してしまいます。現在の円安を反映した1.2万円という価格は本来は妥当なのですが、14mm級平面ドライバーを搭載した「7Hz x Crinacle Salnotes Dioko」がアマゾンでは以前のレートのまま1.3万円程度で購入できるため、「CCA PLA13」は相当に割高に感じてしまいます。この二つの選択ならやはり「7Hz x Crinacle Salnotes Dioko」のほうが優れていますから。というわけで、評価として良い製品だとは思いますが、現時点では興味のあるマニア向けかな、という感じになってしまいますね。とりあえず以前のレートで販売しているアマゾンのHiFiGoなど、少しでも価格を抑えて購入してくださいね(^^;)。