Sivga Robin SV021

こんにちは。今回は 「Sivga Robin SV021」です。中国のハイエンドヘッドホンブランド「Sivga Audio」の木製イヤーカップを採用した密閉型のオーバーイヤーヘッドホンです。今回紹介する「Sivga Robin SV021」および次回レビュー予定の「PHOENIX」、インナーイヤー型イヤホンの「M200」の3機種をレビューサンプルとして提供を受けました。ちょっと気になっていたブランドでしたので、じっくり聴きながらレビューしたいと思います。

■ 製品の概要について

Sivga Audio」は2016年に中国で設立されたSivga Electronic Technology社のオーディオブランドで、主にハイエンドヘッドホンの市場で製品を展開しています。また同社はサブブランドとして「Aiva」などのヘッドホン製品で知られる「Sendy Audio」も展開しています。
Sivga Robin SV021」は50mmの大口径ダイナミックドライバーと天然木による密閉型のオーバーイヤーヘッドホンです。ファッショナブルなデザインと快適な装着感に加え、バランスの取れた快適なサウンドを実現。同社製ヘッドホン製品の中でも比較的お手頃なモデルに仕上げられています。

Sivga Robin SV021」はイヤーカップにナチュラルで高密度のローズウッドを採用し5軸CNC彫刻により精密加工され、研削・研磨・塗装・感想と複数のプロセスを経て製造されます。表面はピアノペイントでコーティングされ、ロゴはレーザー加工により刻印されています。
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ヘッドバンドは高プロテインレザーを使用し、柔らかく繊細な手触りで側圧を抑えたソフトな装着感により長時間のリスニングも快適に利用できる設計になっています。

ドライバーについては、SivgaではPC(ポリカーボネイト)およびファイバー素材を使用した超薄型振動板を自社開発。「Sivga Robin SV021」ではPC&ファイバー製超薄型振動板を採用した50mmダイナミックドライバーを搭載。優れたパフォーマンスとディテールの表現を実現し、豊かで自然なサウンドを楽しめます。
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またドライバーの磁気回路には厚さ3mmの高性能Nd-Fe-B磁石が強力なパワーを提供し、コイルにはCCAW(Copper-Clad Aluminum Wire)の特殊マグネットワイヤーを使用。より高感度で優れたダイナミクスを提供し、透明感のあるサウンドを実現します。
Sivga Robin SV021」はインピーダンス 32Ω、感度105dB±3dB/mWと通常のヘッドホンより鳴らしやすく、スマートフォンを含めた多くの環境で利用できます。もちろんより本格的な再生環境を利用することで最大のパフォーマンスを実感出来ます。
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またイヤーパッドは取り外し可能で交換も簡単です。高プロテインレザーの表皮で覆われ、非常に柔らかいメモリフォームにより快適な装着感を実現しています。

Sivga Robin SV021」のカラーバリエーションは「ブラック」と「ブラウン」の2色。購入はアマゾンの直営ストアなどで。価格は23,000円です。
Amazon.co.jp(SIVGA): Sivga Robin SV021


■ パッケージ構成、製品の外観および内容について

前述の通り、今回「Sivga Audio」より「SV021」「PHOENIX」「M200」の3機種についてサンプル提供をいただきました。「Sivga Robin SV021」のパッケージにはヘッドホン本体、ケーブル、6.3mm変換プラグ、収納用布製カバーが含まれます。
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Sivga Robin SV021」の本体はやはり特徴的な天然木のイヤーカップが目を引きます。「ブラウン」のカラーモデルではローズウッド材を使用しており光沢のあるピアノ塗装により美しく仕上げられています。ちなみに「ブラック」を指定した場合はゼブラウッドを使用しマット仕上げになっているそうです。

ヘッドバンド部分は金属製で、木製のイヤーカップの形状と完全に一体化し、全体としてシンプルにまとめられたデザインに仕上げられています。ヘッドバンド部分はイヤーパッド部分と同じプロテインレザー(フェイクレザー)で覆われており適度な厚みと柔らかさがあります。イヤーパッドのクッションも非常に柔らかく心地よいフィット感があります。側圧も緩めでソフトな装着感ながらこの柔らかいイヤーパッドが耳をしっかりホールドし、安定性を確保します。イヤーパッドはひねるだけで簡単に取り外して交換することもできるようです。ちなみにイヤーカップの上部にスリット状の空気孔(ベント)があるため完全な密閉型とは異なるのかもしれませんが、音漏れは僅かですので実際の使用ではほぼ支障は無いでしょう。
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ケーブルは両出しタイプで本体側のコネクタは2.5mmの2極タイプ。ケーブルは本体と調和するライトブラウンの布製被膜で覆われており、プラグおよび分岐部分は本体の金属部分とおなじカラーの金属製です。全体としては非常に軽量でソフトな装着感もあり、長時間の使用でも快適な印象でした。また仕上がりは美しさとともに丈夫さも感じるしっかりしたもので耐久性の上でも優れている印象です。なお、コネクタ仕様として明記はされていませんが、同じコネクタ形状のSennheiser HD700用のケーブルを流用しても鳴らすことができました。


■ サウンドインプレッション

Sivga Robin SV021」は最適なサウンドを実感するために、最低48時間のエージングがメーカーより推奨されています。私の場合、レビューのために常時複数の製品を使用する関係で、専用のエージングマシンを使用しています(私のレビュー環境についてはこちらにて紹介しています)。今回もこの方法で50時間~程度のエージングを実施しました。

Sivga Robin SV021Sivga Robin SV021」のサウンドは適度な温かみを持ちつつ全体としては明瞭でシャープさも感じるサウンド。
エージングの前後で中高域の伸びや解像感に変化があるようで、しっかり鳴らしこむことで自然な滑らかさと十分な低域の量感を持ちつつ、中高域も明瞭に聴かせてくれるサウンドが楽しめます。
密閉型ながら十分な空間表現があり音場に窮屈さはありません。パンチ力のある低域とともに高域はとても明瞭に伸び、中音域自体は相応に凹むもののボーカル帯域はしっかりした主張がありやや前方で定位します。傾向としてはU字、またはW字と呼ばれるものでしょう。とはいえ過度にボーカル偏重ではなく、全体としてバランスの良いヘッドホンだと思います。
この価格帯の密閉型の場合、マニアによく知られる有名どころは基本モニター系の製品になることが多いのですが、「Sivga Robin SV021」はあまり気難しいことは考えずにリスニングを楽しむような印象を持ちました。

Sivga Robin SV021」の高域は想像以上に透明感のある音を鳴らします。歯擦音や刺さりなどはエージングにより解消しつつ、煌めきや鋭さはしっかり維持しており明瞭感があります。ウッドデザインの外観からもっとウォームなサウンドをイメージしていましたが、実際はかなり鮮明な伸びの良さがあります。歪みは非常に低くクリアな印象を感じさせる高音です。
Sivga Robin SV021中音域はやや凹みますがボーカル帯域は前方で主張する、いわゆるW字の印象を受けます。このバランスは原音忠実性という視点ではネガティブに捉えられる場合も少なくありませんが、メリットとしてボーカルと演奏の間に奥行きが生まれ、より広い音場感を演出することができます。実際「Sivga Robin SV021」の空間表現に窮屈さは無く、分離も明瞭であるため、より立体的な音像を描きます。
低域は厚みのある力強い音を鳴らします。重低音は適度に深く量感も豊かです。アタックは自然な速度でミッドベースは直線的ながらややウォームな印象を受けるかも。そのため解像感もありますがキレの良さより自然な豊かさを楽しむためのチューニングという印象ですね。
雰囲気を楽しむという点では比較的古めの音源をじっくり鳴らすと「結構エモい」という感じがあったりしつつ、最近のポップミュージックやアニソンなどの打ち込み系の音源との相性も良く楽しさと心地よさがあります。
いっぽう、見た目のデザインのままともいえますが、キレの良さやスピード感重視の曲には向かないかもしれません。また定位の正確さとは異なるアプローチの音作りのため分析的なリスニングには向きません。より楽しく、心地よいリスニング体験をもたらすことに注力したヘッドホンといえるでしょう。


■ まとめ

Sivga Robin SV021というわけで、「Sivga Robin SV021」はボーカルリスニング向けのヘッドホンとして優れた特性を持っており、見た目からうける自然な雰囲気と、想像以上にシャープに伸びる高域に驚かされるヘッドホンと言えるでしょう。例えばAKGのK701/K712 ProやSennheiserのHD600系のような製品とは基本的にベクトルの異なる楽曲の雰囲気を楽しむ製品という感じですので、個人的にはこれらの製品と用途や気分で使い分けるのも良いかなと思いました。
また、いちおうは密閉型ですし、たとえばスマーフォンやタブレットに直挿しでも雰囲気は楽しめる鳴らしやすさもありますので、音楽以外にも動画視聴やゲームなどライトユーザー向けとしても利用範囲は広いでしょう。写真で見るのと同等以上の高級感のある作りの良さもありますし、見た目も含めた総合的な完成度としてはこの辺に魅力を感じる方には十分にお勧めできる製品ではないかと思いました。