Sivga Phoenix

こんにちは。今回は「Sivga Phoenix」です。前回に引き続き「Sivga Audio」のヘッドホン製品です。ウッドハウジングに50mmの大口径ダイナミックドライバーを搭載した開放型のハイグレードモデルです。300ドル台、4万円のハイグレードヘッドホンに相応しいバランスの取れた周波数応答を持ち、パワフルな低域と伸びのある高域、広大な音場と深みのある豊かさサウンドなど、優れたパフォーマンスを実現しています。ゼブラウッドとステンレスメッシュ、アルミニウムによる質の高いデザインに加え、32Ωと鳴らしやすい設計など幅広いユーザーにお勧めできる製品に仕上がっています。

■ 製品の概要について

Sivga Audio」は2016年に中国で設立されたSivga Electronic Technology社のオーディオブランドで、主にハイエンドヘッドホンの市場で製品を展開しています。また同社はサブブランドとして「Aiva」などのヘッドホン製品で知られる「Sendy Audio」も展開しています。

Sivga Phoenix」は50mmの独自ポリカーボネイトフィルム振動板を採用した大口径ダイナミックドライバーを搭載した開放型のハイグレードヘッドホンです。ハウジングにゼブラウッドを採用し各イヤーカップにはステンレス製のグリルが装備されています。ソフトな感触のイヤーパッドとヘッドバンドは、長時間のリスニングでも快適に楽しめるよう設計されています。
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Sivga Phoenix」は独自開発されたポリカーボネイト超薄型振動板を採用した50mmダイナミックドライバーを搭載。優れたパフォーマンスとディテールの表現を実現し、豊かで自然なサウンドを楽しめます。開放型のデザインは広大な音場を提供し明瞭なサウンドを実現します。
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ヘッドバンドはスエードレザーで覆われており優れたフィット感を提供します。イヤーパッドは柔らかく装着感も快適です。イヤーマフの内側は柔らかいスポンジを使用しイヤーカップも十分な空間があり側圧は抑えつつ高い密閉性を実現しています。
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また「Sivga Phoenix」はインピーダンス 32Ω±15%、感度103±3dB/mWと通常のヘッドホンより鳴らしやすく、スマートフォンを含めた多くの環境で利用できます。もちろんより本格的な再生環境を利用することで最大のパフォーマンスを実感出来ます。
Sivga Phoenix」の購入はアマゾンのSivga Audio直営ストアなどにて。価格は40,000円です。
Amazon.co.jp(SIVGA): Sivga Phoenix


■ パッケージ構成、製品の外観および内容について

Sivga Phoenix」のパッケージにはヘッドホンハードケース、ヘッドホン本体、ケーブル、6.3mm変換プラグ、プラグ用の布用ポーチが含まれます。
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前回のレビューでも記載の通り、今回「Sivga Audio」より「PHOENIX」「SV021」「M200」の3機種についてサンプル提供をいただきました。しっかりしたハードケースに収納された「Sivga Phoenix」はなかなかに高級感があります。
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Sivga Phoenix」の本体はゼブラウッドとブラックのつや消し塗装が施されたアルミニウムの組み合わせで、非常にまとまりのある落ち着いた質感があります。50mmの大口径ドライバーを搭載し、みみをしっかり覆うハウジングサイズを持ちながら全体としては軽量コンパクトな印象。またアルミ素材もしっかりとした耐久性を感じます。ヘッドバンドは伸縮せず頭部にフィットするレザークッション部分が装着時に上下することでフィットするタイプ。私は頭のサイズが結構大きいためちょっと不安でしたが(メーカーによっては装着出来ないヘッドホンがあります)、とりあえず問題なく装着出来ました。
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イヤーパッドは外側はレザーで内側のフィットする部分がファブリックのタイプ。内部フォーム材は非常に柔らかくソフトにフィットします。側圧もしっかりホールドしつつ比較的そこまで強くはないので耳が痛くなることは少ないでしょう。
ケーブルは本体から両出しするタイプでブラックの布製の被膜で覆われておりデザインおよび耐久性に配慮されています。イヤホン本体側のコネクタは2.5mm系の2極仕様で、互換性についてのメーカーの記載はありませんでしたが、同じコネクタ形状のSennheiser HD700用のバランス接続ケーブルを使用して正常に再生することができました。


■ サウンドインプレッション

Sivga PhoenixSivga Phoenix」の音質傾向はややウォーム寄りですが全体的にニュートラルでバランスの良い音を鳴らします。ニュートラルなサウンドのなかでも低域の主張が少し強調されており、高域は鮮明に伸びる印象があるため、若干ですがV字寄り(ドンシャリ方向)へのキャラクターを感じます。そのため、開放型による抜けの良い広めの音場感にさらなる広がりを感じさせ、リスニング的な楽しさを加えているようです。「Sivga Phoenix」は的確な音像表現にこのような「演出」を与えることで、一般的なモニター系のサウンドとは異なる印象も感じさせますね。
そういえば海外のレビューをみるとSennheiserのHD600系との比較をよく見かけますが、もともとこの辺との機種との競合を意識したモデルのようですね。そうなるとチューニングの方向性として「HD600系」と、同様に競合として取り上げられていた「Meze 99 Classics」の中間みたいな感じかな、とも思ったわけですが、やはり実際に比べると結構違いますね。特に「Sivga Phoenix」の音場感はこれらとはかなり性格が異なるものだと感じます。

なお、今回もメーカーよりあらかじめ48時間以上のエージングを推奨とのアドバイスがありましたので、あらかじめエージングマシンを使用して50~60時間程度鳴らした状態で確認しています(私のエージングの方法についてはこちらのレビュー環境を参照ください)。

Sivga Phoenix」の高域は明るく伸びの良さを感じます。アタックは比較的早く鮮明で十分な解像感と煌めきがあります。前述の比較で言うと、所有している「Drop + Sennheiser HD6XX」(「HD650」相当のDropコラボモデル)に比べてより鮮明でシンバル音も明瞭感があります。いっぽうで歯擦音や刺さり等はコントロールされており、また過度に強調されないよう自然な抜け感も持っています。なお、出力の小さい再生環境ではやや抑え気味の印象になるかも知れませんね。

Sivga Phoenix中音域は相対的に僅かに凹む印象もありますが、音場に広がりと奥行きを与え、結果的にリスニング的な楽しさを演出しています。ボーカル帯域は比較的癖の無い印象で自然な距離感で定位します。ギターやピアノには高域同様の鮮明さがあり、演奏も正確に定位するのを実感出来ます。透明度は高く明瞭さを感じますが輪郭は僅かに甘く、温かみを感じさせる部分もあります。全体としては風通しが良く自然な印象のサウンドに仕上がっています。多くの方が心地よさを感じやすいチューニングと言えるでしょう。
なお「HD6XX」は「Sivga Phoenix」より音場の広がりは抑えられており、代わりに音像の質感はより明確に捉えられます。とはいえ「Sivga Phoenix」も十分に的確な音像表現と正確な定位があり、そのうえでリスニング的に楽しさを与える広がりの良さがあるため、好み、あるいはヘッドホンに何を求めるかによって判断は異なるかなと思います。

低域は全体とバランスの取れた量感を保ちつつ、やや主張が高められています。リスニング的な調和を考慮すると優れたチューニングといえるでしょう。重低音はそれほど強さはありませんが十分に深く、厚みがあるため、しっかりとした印象を残します。ミッドベースは強調されたチューニングにより僅かに膨らみますが中高域と被ることはなく、より太くしっかりしたインパクトを感じさせます。低域も情報量では「HD6XX」に譲りますが、「Sivga Phoenix」のほうがしっかりとした量感があり、もちろん僅かに強調されているとはいえ十分な解像感と基本的にニュートラルなバランスのため、音数の多い曲でも籠もるようなことはありません。


■ まとめ

というわけで、「Sivga Phoenix」はウッドハウジングの質感の良い外観を持ち、ミドルグレードのヘッドホンとして強力な競合製品と渡り合える実力を持ちつつ、バランスの良さとリスニング的な楽しさを両立した製品だと感じました。レビューでは「HD6XX」との比較で記載しましたが、「Sivga Phoenix」はよりデザイン性の高い外観を持ち、使いやすいヘッドホンとして、十分に選択肢に考慮できる製品といえるでしょう。
Sivga Phoenixなにより「Sivga Phoenix」はインピーダンス32Ω、感度103dB/mWと比較的鳴らしやすく、300Ω程度のSennheiserのHD600系より再生環境においてかなり扱いやすい製品です。低価格のDAPやオーディオアダプターでも十分に楽しめる点は実用性におけるメリットですね。
またこれらの小型DAP/アダプター製品でもより高出力のバランス接続をサポートしているケースが増えていますが、「Sivga Phoenix」をリケーブルによりバランス対応させて駆動力を稼ぐのも効果的なアプローチだと思います。私はアマゾンで比較的手頃な価格で購入したHD700用の6N単結晶銅ケーブルを試してみました。分かりやすく音像が明瞭になり見通しの良さが向上しました(音量も変化しています)。バランス接続によるリケーブル効果は結構ハッキリありますので気になる方は試して見るのもよさそうです。安価な製品ではないものの、興味ある方にはお勧めできる製品だと感じました。