DUNU Kima

こんにちは。今回は「DUNU Kima」です。最近矢継ぎ早に新製品を投入している「DUNU」から、今回は比較的購入しやすい100ドル程度の価格帯でのイヤホンが登場しました。新開発のDLC振動板およびデュアルチャンバー構造の10mmダイナミックドライバーをシングルで搭載し、マット仕上げの3Dカットデザインのデザインを採用した外観も魅力的です。

■ 製品の概要について

中国の大手オーディオブランド「DUNU」は最近非常に積極的に新製品をリリースしています。平面ドライバーを搭載したハイブリッド仕様の「DUNU Talos」、高音質6BAモデルのコラボモデルである「DUNU SA6 Ultra」と、ミドルグレード、セミハイグレードの製品を相次いでリリースしています。
それらに対し、今回は比較的エントリーな100ドルクラスで、全く新しいコンセプトの「DUNU Kima」を発表しました。DUNUで1万円前後というとLCP振動板を搭載し比較的ニュートラルなバランスが特徴の「DUNU TITAN S」がありますが、「DUNU Kima」はDLC振動板とデュアルチャンバー構造のダイナミックドライバーを採用することで、また方向性の異なるエネルギッシュなサウンドを実現しています。
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DUNU Kima」には最新の10mm 高性能デュアルチャンバー・ダイナミックドライバーユニットを搭載します。最新世代のDLC(Diamond-Like Carbon)振動板を採用し、N52ネオジム磁石、高張力極細ボイスコイルを採用しており、従来のDLC振動板ドライバーと比較して新開発のドライバーはよりクリーンで自然なサウンドを実現しています。
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またシェルはデュアルキャビティ仕様で、キャビティ内の空気圧を維持し、快適なフィット感を実現するためにマイクロコントローラー気流制御技術を搭載。フロントチャンバーとリアチャンバーの通気経路に気流制御を行うマイクロコントローラーが配置されています。
このように「DUNU Kima」は、最新のDLC振動板、精密に設計された音響構造、金属製キャビティの採用、そしてDUNUによる専門的なチューニングと複数のハイエンド技術の適用により、クリーンで自然なバランスと超低歪みによる高音質を実現しています。
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外観においては、「DUNU Kima」は美しいマット仕上げの金属製シェルを採用し、フェイス部分は4つの非対称傾斜面に分割したデザインにより、光の角度よってさまざまな光と影の効果を楽しめる3Dスタイルのベベルパターンを採用しています。

DUNU Kima」の購入はHiFiGoにて。価格は109ドルです。
HiFiGo: DUNU Kima


■ パッケージ構成、製品の外観および内容について

今回「DUNU Kima」で採用されたパッケージは、まさかのキャラ絵。思わず「DUNU、お前もか!」となるわけですが、100ドルという価格設定はより幅広いだけどちょっとマニアな、ようするにこういうパッケージを喜ぶ層、という認識なのかな、と思ったり(それってどうなん?)。まあそれとは別にこの製品が価格的にも構成的にも「Moondrop Aria Snow Edition」あたりの競合モデルという側面もあるのかもしれませんね(「TITAN S」は「Aria」の競合にしてはパッケージが硬派すぎたのかも。笑)。
DUNU KimaDUNU Kima

そんなパッケージアートもさることながら、パッケージ内容のほうもオレンジのハードケースのほか、100ドルのイヤホンとしては充実しています。イヤホン本体、ケーブル、イヤーピースは3種類、そしてハードケース。イヤーピースには「Talos」や「SA6 Ultra」にも付属した円筒形の「S&Sイヤーピース」も付属します。
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本体は精密加工された金属製シェルでコンパクトなサイズ感です。形状的にも耳に収まりやすく設計されており装着感も良好ですね。表面のマット処理も指紋が付きにくく使いやすいですね。3Dカットされたフェイス部分は幾何学的に反射しクールな印象を与えます。
DUNU KimaDUNU Kima
ケーブルはリッツ編組構造の4芯 単結晶銀メッキ線ケーブルが付属。透明な被膜ややや硬めですが取り回しは問題ありません。ただケーブル自体の情報量はそれほど多くは無く、全体的に温かみのある聴きやすい印象にまとめるために選ばれたような印象もあります。そのためよりドライバーの本気を出したい場合はリケーブルを色々試して見るのも良いと思います。本体側のコネクタはフラットな2pin仕様でリケーブルも選びやすいですね。
DUNU KimaDUNU Kima
イヤーピースは3種類でそれぞれS/M/Lサイズ。特に円筒形の「S&S(Stage & Studio)イヤーピース」が付属するのがポイントですね。最新の「DUNU Talos」「SA6 Ultra」でも付属したDUNUオリジナルのイヤーピースです。いわゆる高密着型のシリコンイヤーピースで、平面状の先端部分が外耳道に密着することで遮音性を確保する構造のため、さまざまな耳の形状に合わせて最適な角度で装着出来るよう円筒形になっているいみたいです。イヤーピース全体が密着する一般的なシリコンイヤーピースと密着型の実際の使用時の違いに着目しているという意味でなかなか合理的なイヤーピースだと思います。


■ サウンドインプレッション

DUNU KimaDUNU Kima」のサウンドバランスはニュートラルな印象の緩やかな弱ドンシャリ。DLCらしい中高域の透明感と自然な空気感を持った聴きやすい印象のサウンドです。
しかし、駆動力のある再生環境ではよりメリハリが強めに出る印象があり、情報量の多いケーブルへの変更やバランス化でも分かりやすく同様の変化が得られる傾向があります。開封直後は駆動力を上げると派手すぎる印象もありましたが、100時間オーバーのエージングを実施することで全体にまとまりのあるサウンドに落ち着きました。
インピーダンス 32Ω、感度108dB/mWと比較的どのような環境でも鳴らしやすいイヤホンのため、一般的な再生環境でそれほど音量を上げずに利用するうえでは非常に使いやすく聴きやすい印象のイヤホンだと思います。いっぽうで、リケーブルやより再生環境を追い込み、「DUNU Kima」に本気を出させるのには相応に鳴らし込む必要があるのもDLC振動板のダイナミックドライバーらしい印象ですね。

DUNU Kima」の高域は、伸びが良く見通しの良い音を鳴らします。近い価格帯の「DUNU TITAN S」に比べると「DUNU Kima」のほうが柔らかく、いっぽうで透明感はより高い印象。解像感は同様ですがよりスッキリとまとめられている印象があり、シンバル音などの描写も聴き取りやすく感じます。ただし駆動力を上げたり、情報量が多いケーブルを使用すると一気に明瞭感と主張が増し、メリハリのある印象に変化します。この場合、やや煌めきを強く感じるかもしれませんが、十分にエージングを行うことで刺激などは抑制され、聴きやすさはある程度維持されると思います。

DUNU Kima中音域は癖の無いニュートラルな印象で鳴ります。緩やかなV字カーブを描くバランスですが凹みなどはほぼ感じず自然な音場感があります。音源の描写に忠実なため結構マスタリングの良し悪しを感じやすいかもしれませんね。ボーカル帯域もバランス良く味付けのない印象ながら、スッキリして見通しが良いため後方に下がったり演奏に埋もれるようなことはありません。女性ボーカルの抜け感は自然で、男性ボーカルも適度な厚みを持ちます。「TITAN S」のほうが輪郭はシャープですが、ドライにならず自然な印象を保っています。ただし中高域、特に電子音などはややメリハリが強めに感じられる場合もあります。

低域は全体としてはニュートラルに感じさせつつ適度な量感を持っています。また解像感と分離の良さ、早いアタックが印象的です。そのため音数の多い曲の低域もスッキリした印象で鳴らしてくれます。いっぽうで高域同様に適度な柔らかさを持っており、ミッドベースもタイトさより自然な輪郭が印象的です。重低音は重量感や力強さはそれほど強くはありませんが非常に深い音域についても絶妙にニュアンスの表現力があり好感が持てます。重く深い臨場感のある低域を好まれる方には少し軽く感じそうですがニュートラルなサウンドとしては自然で聴きやすいバランスだと思います。


■ まとめ

DUNU Kimaというわけで、「DUNU Kima」はDLC振動板のシングルダイナミック構成を同社らしくまとめた製品として選択肢のひとつに挙げられる良い製品だと感じました。
特に聴きやすくバランスの良いサウンドのなかでも弱ドンシャリのバランスはハーマンターゲット一辺倒な傾向に食傷気味な方には逆に良いアクセントになると思いますし、自然なV字カーブは多くの方にとって心地よいリスニングサウンドと感じるでしょう。外観の質感の良さも含め、派手さは細ものの良いイヤホンだと思います。

ちなみに、「DUNU TITAN S」が同様にLCP振動板を搭載した「Moondrop Aria (2021)」と比較対象になる製品だったのに対し、今回の「DUNU Kima」は改めてDLC振動板ドライバーを搭載した「Moondrop Aria Snow Edition」あたりと価格的にも内容的にも比較対象となると思われます。そう考えると製品アプローチの類似性とともに、「DUNUらしさ」ともも言える差別化要素も感じさせます。
興味深いのは「Aria」が「Starfield」に近い弱ドンシャリだったのに対し「TITAN S」はハーマンターゲットを意識したサウンドバランス、そして「Aria Snow Edition」が「KXXS」にちょっと原点回帰するようなハーマンカーブ寄りに対して、今度は「DUNU Kima」が弱ドンシャリでチューニングされている点。狙っているのかどうかわよく分かりませんが、デザインだけで無く音質傾向でも選びやすいので個人的には良いと思います。もちろん、マニアでしたら両方買って聴き比べるのもアリかと思いますよ(^^;)。