こんにちは。今回は「RAPTGO × HBB HOOK-X」です。14.2mm平面駆動ドライバーとPZT(圧電/ピエゾ)ドライバーのハイブリッド構成で人気の高い「RAPTGO HOOK-X」をベースに、ドライバーをアップグレードし、独自のチューニングを加えたHBB氏コラボモデルが登場。リム部分が曲線的なメタルブルーとなり外観もよりクールに、音質面もよりパワフルにグレードアップしました。
■ 製品の概要について
「RAPTGO」は音響分野での長年の実績のあるメーカーが立ち上げた新興の中国イヤホンブランド。その最初のモデルとして登場した 「RAPTGO HOOK-X」は、「14.2mmの大口径の平面駆動ドライバー」と「PZT(圧電/ピエゾ)ドライバー」のハイブリッドという非常に珍しい構成を採用。現在他社からも数多くリリースされている14mm級の平面駆動ドライバー搭載したイヤホンと比較しても異彩の構成で音質面、デザインの上でも独自の存在として高い評価を得ています。
→ 過去記事: 【棚からレビュー】 「RAPTGO HOOK-X」 14.2mm平面駆動+18層圧電(PZT)ドライバーによる個性的ハイブリッド。音質面の完成度も高いミドルグレード中華イヤホン
そして「RAPTGO × HBB HOOK-X」は海外有名レビュアーのHBB(hawaiibadboy)氏とのコラボレーションモデルで、さらにドライバーなどを大幅にアップグレードしています。同氏からチューニングアドバイスを受けたコラボ製品はどれも高評価を人気を獲得しており、最近はヒット請負人みたいな感じもありますね。
→ 過去記事(一覧): HBB氏コラボモデルのレビュー
今回の「RAPTGO × HBB HOOK-X」では、「HOOK-X」の独自の「14.2mm 平面駆動ドライバー」に対し、7×2デュアルアレイのN52磁石を採用し、この構成に合わせて磁気回路を最適化。またより薄い平面振動板を採用し、より優れた低域と表現力、豊かなダイナミクスを実現。またPZT(圧電)ドライバーは軍事工学のバックグラウンドを持つ外部チームと協力し100以上の音響シミュレーションを経て微調整された12個のピエゾセラミック素子から構成される両面積層ユニットを新規開発。このように開発された「12層両面PZTドライバー」は52の複雑なプロセスを経て手作業でテストされ平面駆動ドライバーとペアリングされます。
そして「RAPTGO × HBB HOOK-X」も「HOOK-X」同様に開放型のデザインを採用。平面駆動ドライバーの特性を際立たせることで、より音場に広がりを持ち、開放型ヘッドホンのような開放感とリアルなサウンドを再現しています。さらに、新設計の「PZT acoustic shock drive bracket structure」により、PZTドライバーの伝送損失と振動を大幅に回避し、より優れたサウンドパフォーマンスを実現します。本体及び内部各ユニットは音響チャンバーの均一性を確保するため、5軸CNCによる精密加工により成形されています。
付属ケーブルは、0.78mm 2pin仕様で、プラグ部分を交換可能なモジュラー式を採用し、高純度単結晶銅(OCC)銀メッキ同軸シールド線を使用して作られています。プラグは3.5mm、2.5mm、4.4mmの各タイプが付属し交換が可能です。
「RAPTGO × HBB HOOK-X」の購入は「Linsoul(linsoul.com)」またはアマゾンの「LINSOUL-JP」にて。
価格は 259ドル、アマゾンでは 37,920円 です。
Linsoul(linsoul.com): RAPTGOxHBB HOOK-X
Amazon.co.jp(LINSOUL-JP): RAPTGO × HBB HOOK-X
■ パッケージ構成、製品の外観および内容について
「RAPTGO × HBB HOOK-X」のパッケージは箱の大きさは「HOOK-X」と同じですが黒地に製品画像を載せてよりクールな印象のデザインになりましたね。
パッケージ内容はイヤホン本体、ケーブル、3種類の交換プラグ、2種類各サイズ(S/M/L)のイヤーピース、レザーケース、説明書、保証書など。
本体は「HOOK-X」同様に金属製のシェルでサイズ感としては若干大きめ。開放型デザインのためブラックのフェイス部分はメッシュ状にパンチ穴が開いています。外周を覆うリム部分はグリーンの「HOOK-X」に対しての「RAPTGO × HBB HOOK-X」ではメタリックブルーでひときわ個性を放っています。本体部分はブラックで一体成形されています(「HOOK-X」はグレー)。コネクタは0.78mmで接続部分はフラットなタイプです。
「RAPTGO × HBB HOOK-X」とオリジナルの「HOOK-X」の外観上のの相違点は本体カラーとリム部分ですが、リム部分はブルーとグリーンの違いだけで無く、「RAPTGO × HBB HOOK-X」では緩やかな曲線のデザインになっており、エッジのある直線的な「HOOK-X」とは形状的にも異なる意匠になっています。また他の14mm級平面ドライバー搭載のイヤホンと比較すると、最もコンパクトな「LETSHUOER S12」に比べると大きさを感じますが、他のモデルとの比較では一般的な範囲内という感じです。大きめのフェイスデザインですがステムノズルが奥まで入るため装着性はまずまずです。
付属のレザーケースも「HOOK-X」がグレーに対して「RAPTGO × HBB HOOK-X」ではブラック。イーやーピースは「HOOK-X」と異なり、より一般的な形状のものが開口部の違いで2種類が同梱されます。付属品のほか、JVC「スパイラルドット」、acoustuneの新タイプの「AEX07」、粘着度のあるタイプでは「SpinFit CP100+」など、定番イヤーピースに交換するのも良いでしょう。
ケーブルは布巻で柔らかく取り回しは非常に良好です。最近では採用も増えている交換式のプラグも質の高いケーブルではありがたいですね。こちらも「RAPTGO × HBB HOOK-X」のカラーに合わせて同様に落ち着いたブルーのカラーリングがクールです。
■ サウンドインプレッション
「RAPTGO × HBB HOOK-X」の音質傾向はオリジナルの「HOOK-X」を踏襲した癖の無いニュートラルな印象ですが、サウンドバランスは「RAPTGO × HBB HOOK-X」のほうが若干の弱ドンシャリ方向に調整されています。オリジナルの「HOOK-X」も少しU字寄りながらバランスは非常に良く、おそらく全体のチューニング自体はどちらの製品も大きな違いは無いかも知れません。しかし「14.2mm平面+PZT」という構成自体は変えずに、2種類のドライバーは異なる仕様のものを搭載している「RAPTGO × HBB HOOK-X」は「HOOK-X」とは結構異なる印象の音色を持っています。より近く、より明瞭感やメリハリを感じやすく、確かに「HBB氏コラボっぽい」サウンドに仕上がっていると感じます。
いっぽうで、「HOOK-X」同様に全ての音域が非常に滑らかで、デュアルドライバーによるハイブリッド感のようなものは皆無です。「RAPTGO × HBB HOOK-X」も14.2mmの大口径平面駆動ドライバーは一番下から40kHzのハイレゾのエリアまでフルレンジで鳴っており、PZT(圧電)ドライバーは高域および高高域の質感を高めるために、主体となっている平面駆動ドライバーをサポートするようにチューニングされています。そのため滑らかさや歪みの少なさで「平面駆動らしさ」を感じさせ、同時に中音域は自然な温かさも持っています。いっぽうで「RAPTGO × HBB HOOK-X」ではより高域の伸びが強調され、スッキリした印象で鮮明さが増しています。また低域も存在感を増しており、リスニング的な楽しさを演出しています。
「RAPTGO × HBB HOOK-X」の高域は、PZT(圧電)ドライバーの特徴がより分かりやすく反映されており、解像度の高い明瞭で伸びのある音を鳴らします。印象としてはシャープさがあるものの、BAなどをツィーターに使用しているハイブリッドイヤホンのような金属質な印象は無く自然に解像感を向上させている印象。いっぽうで「HOOK-X」ではPZT(圧電)ドライバーは「黒子」のような控えめな印象だったのに対し、「RAPTGO × HBB HOOK-X」ではより存在感があり、シンバル音の煌めきなどより鮮明さを増しています。それでも直線的にスッキリした印象で平面駆動ドライバーの高域と上手く一体化しているように感じます。
中音域は「HOOK-X」の評価の高い質感を継承しており、自然な印象の癖の無い音を鳴らしつつボーカル帯域へフォーカスしたアプローチを実感します。開放型デザインを採用することで、「RAPTGO × HBB HOOK-X」でもヘッドホンのような広々とした音場感で余裕を持って自然に鳴る独特のサウンドを楽しめます。「RAPTGO × HBB HOOK-X」ではより薄い振動板を採用することで応答速度が向上し、さらに強力な磁気回路の搭載によりダイナミックさが増しているそうです。実際中音域も自然な見通しの良さの中で繊細な音まで表現する解像感を維持しつつ「HOOK-X」よりメリハリが増しており、多少近くに定位しているように感じます。
オリジナルの「HOOK-X」はより温かく、ニュートラルな印象のサウンドで味付けの無い自然な印象ではより優れていますが、キレや解像感という点では「LETSHUOER S12」のような14mm級平面駆動ドライバー搭載のイヤホンと比べて穏やかに感じる側面もありました。「RAPTGO × HBB HOOK-X」でも僅かに温かさは持っておりキレ重視というサウンドではありませんが、よりリスニング的な楽しさを増した方向にチューニングされている印象です。この辺が「HBB氏らしい」と感じる変化だとも言えるでしょう。
低域も「RAPTGO × HBB HOOK-X」ではオリジナルより量感がアップしており、主に中低域の存在感が増しています。平面駆動ドライバーの特性を活かし歪みの無い直線的な音を楽しめます。ミッドベースは適度に締まりがあり分離が良くスピード感のある印象に、より力強さが増しています。また重低音は非深く沈みエネルギーのある重低音の質の良さが全体を下支えします。いっぽうでオリジナルの「HOOK-X」はよりニュートラルなバランスにより低域の解像感や質感をしっかり捉えやすく、双方ともそれぞれの良さがあるという感じですが、どちらも低域は優れたポイントのひとつだと思います。
■ まとめ
というわけで、「RAPTGO × HBB HOOK-X」はオリジナルの「HOOK-X」のバランスの良さおよび表現力の高さをしっかり踏襲しつつ、よりリスニングイヤホンとしての方向性が強化され、楽しさが増した製品でした。特に滑らかさを持ちつつ高域のスッキリした伸びの良さや明瞭感でピエゾ感をより実感出来るのは良いアップデートと言えるでしょう。
いっぽうでフラット方向のニュートラルさと質感をの良さをより実感したい方にはオリジナルのサウンドのほうが好まれる方も多いと思われます。どちらの製品も非常に優れており、200ドル級のミドルグレードイヤホンとして十分にお勧めできるイヤホンだと思います。悩ましいのはどちらもそれぞれの良さがあるので、1つを選ぶのが難しいことかもしれませんね。私も両方のモデルを使い分けるシチュエーションが増えそうです(^^)。
「RAPTGO」は音響分野での長年の実績のあるメーカーが立ち上げた新興の中国イヤホンブランド。その最初のモデルとして登場した 「RAPTGO HOOK-X」は、「14.2mmの大口径の平面駆動ドライバー」と「PZT(圧電/ピエゾ)ドライバー」のハイブリッドという非常に珍しい構成を採用。現在他社からも数多くリリースされている14mm級の平面駆動ドライバー搭載したイヤホンと比較しても異彩の構成で音質面、デザインの上でも独自の存在として高い評価を得ています。
→ 過去記事: 【棚からレビュー】 「RAPTGO HOOK-X」 14.2mm平面駆動+18層圧電(PZT)ドライバーによる個性的ハイブリッド。音質面の完成度も高いミドルグレード中華イヤホン
そして「RAPTGO × HBB HOOK-X」は海外有名レビュアーのHBB(hawaiibadboy)氏とのコラボレーションモデルで、さらにドライバーなどを大幅にアップグレードしています。同氏からチューニングアドバイスを受けたコラボ製品はどれも高評価を人気を獲得しており、最近はヒット請負人みたいな感じもありますね。
→ 過去記事(一覧): HBB氏コラボモデルのレビュー
今回の「RAPTGO × HBB HOOK-X」では、「HOOK-X」の独自の「14.2mm 平面駆動ドライバー」に対し、7×2デュアルアレイのN52磁石を採用し、この構成に合わせて磁気回路を最適化。またより薄い平面振動板を採用し、より優れた低域と表現力、豊かなダイナミクスを実現。またPZT(圧電)ドライバーは軍事工学のバックグラウンドを持つ外部チームと協力し100以上の音響シミュレーションを経て微調整された12個のピエゾセラミック素子から構成される両面積層ユニットを新規開発。このように開発された「12層両面PZTドライバー」は52の複雑なプロセスを経て手作業でテストされ平面駆動ドライバーとペアリングされます。
そして「RAPTGO × HBB HOOK-X」も「HOOK-X」同様に開放型のデザインを採用。平面駆動ドライバーの特性を際立たせることで、より音場に広がりを持ち、開放型ヘッドホンのような開放感とリアルなサウンドを再現しています。さらに、新設計の「PZT acoustic shock drive bracket structure」により、PZTドライバーの伝送損失と振動を大幅に回避し、より優れたサウンドパフォーマンスを実現します。本体及び内部各ユニットは音響チャンバーの均一性を確保するため、5軸CNCによる精密加工により成形されています。
付属ケーブルは、0.78mm 2pin仕様で、プラグ部分を交換可能なモジュラー式を採用し、高純度単結晶銅(OCC)銀メッキ同軸シールド線を使用して作られています。プラグは3.5mm、2.5mm、4.4mmの各タイプが付属し交換が可能です。
「RAPTGO × HBB HOOK-X」の購入は「Linsoul(linsoul.com)」またはアマゾンの「LINSOUL-JP」にて。
価格は 259ドル、アマゾンでは 37,920円 です。
Linsoul(linsoul.com): RAPTGOxHBB HOOK-X
Amazon.co.jp(LINSOUL-JP): RAPTGO × HBB HOOK-X
■ パッケージ構成、製品の外観および内容について
「RAPTGO × HBB HOOK-X」のパッケージは箱の大きさは「HOOK-X」と同じですが黒地に製品画像を載せてよりクールな印象のデザインになりましたね。
パッケージ内容はイヤホン本体、ケーブル、3種類の交換プラグ、2種類各サイズ(S/M/L)のイヤーピース、レザーケース、説明書、保証書など。
本体は「HOOK-X」同様に金属製のシェルでサイズ感としては若干大きめ。開放型デザインのためブラックのフェイス部分はメッシュ状にパンチ穴が開いています。外周を覆うリム部分はグリーンの「HOOK-X」に対しての「RAPTGO × HBB HOOK-X」ではメタリックブルーでひときわ個性を放っています。本体部分はブラックで一体成形されています(「HOOK-X」はグレー)。コネクタは0.78mmで接続部分はフラットなタイプです。
「RAPTGO × HBB HOOK-X」とオリジナルの「HOOK-X」の外観上のの相違点は本体カラーとリム部分ですが、リム部分はブルーとグリーンの違いだけで無く、「RAPTGO × HBB HOOK-X」では緩やかな曲線のデザインになっており、エッジのある直線的な「HOOK-X」とは形状的にも異なる意匠になっています。また他の14mm級平面ドライバー搭載のイヤホンと比較すると、最もコンパクトな「LETSHUOER S12」に比べると大きさを感じますが、他のモデルとの比較では一般的な範囲内という感じです。大きめのフェイスデザインですがステムノズルが奥まで入るため装着性はまずまずです。
付属のレザーケースも「HOOK-X」がグレーに対して「RAPTGO × HBB HOOK-X」ではブラック。イーやーピースは「HOOK-X」と異なり、より一般的な形状のものが開口部の違いで2種類が同梱されます。付属品のほか、JVC「スパイラルドット」、acoustuneの新タイプの「AEX07」、粘着度のあるタイプでは「SpinFit CP100+」など、定番イヤーピースに交換するのも良いでしょう。
ケーブルは布巻で柔らかく取り回しは非常に良好です。最近では採用も増えている交換式のプラグも質の高いケーブルではありがたいですね。こちらも「RAPTGO × HBB HOOK-X」のカラーに合わせて同様に落ち着いたブルーのカラーリングがクールです。
■ サウンドインプレッション
「RAPTGO × HBB HOOK-X」の音質傾向はオリジナルの「HOOK-X」を踏襲した癖の無いニュートラルな印象ですが、サウンドバランスは「RAPTGO × HBB HOOK-X」のほうが若干の弱ドンシャリ方向に調整されています。オリジナルの「HOOK-X」も少しU字寄りながらバランスは非常に良く、おそらく全体のチューニング自体はどちらの製品も大きな違いは無いかも知れません。しかし「14.2mm平面+PZT」という構成自体は変えずに、2種類のドライバーは異なる仕様のものを搭載している「RAPTGO × HBB HOOK-X」は「HOOK-X」とは結構異なる印象の音色を持っています。より近く、より明瞭感やメリハリを感じやすく、確かに「HBB氏コラボっぽい」サウンドに仕上がっていると感じます。
いっぽうで、「HOOK-X」同様に全ての音域が非常に滑らかで、デュアルドライバーによるハイブリッド感のようなものは皆無です。「RAPTGO × HBB HOOK-X」も14.2mmの大口径平面駆動ドライバーは一番下から40kHzのハイレゾのエリアまでフルレンジで鳴っており、PZT(圧電)ドライバーは高域および高高域の質感を高めるために、主体となっている平面駆動ドライバーをサポートするようにチューニングされています。そのため滑らかさや歪みの少なさで「平面駆動らしさ」を感じさせ、同時に中音域は自然な温かさも持っています。いっぽうで「RAPTGO × HBB HOOK-X」ではより高域の伸びが強調され、スッキリした印象で鮮明さが増しています。また低域も存在感を増しており、リスニング的な楽しさを演出しています。
「RAPTGO × HBB HOOK-X」の高域は、PZT(圧電)ドライバーの特徴がより分かりやすく反映されており、解像度の高い明瞭で伸びのある音を鳴らします。印象としてはシャープさがあるものの、BAなどをツィーターに使用しているハイブリッドイヤホンのような金属質な印象は無く自然に解像感を向上させている印象。いっぽうで「HOOK-X」ではPZT(圧電)ドライバーは「黒子」のような控えめな印象だったのに対し、「RAPTGO × HBB HOOK-X」ではより存在感があり、シンバル音の煌めきなどより鮮明さを増しています。それでも直線的にスッキリした印象で平面駆動ドライバーの高域と上手く一体化しているように感じます。
中音域は「HOOK-X」の評価の高い質感を継承しており、自然な印象の癖の無い音を鳴らしつつボーカル帯域へフォーカスしたアプローチを実感します。開放型デザインを採用することで、「RAPTGO × HBB HOOK-X」でもヘッドホンのような広々とした音場感で余裕を持って自然に鳴る独特のサウンドを楽しめます。「RAPTGO × HBB HOOK-X」ではより薄い振動板を採用することで応答速度が向上し、さらに強力な磁気回路の搭載によりダイナミックさが増しているそうです。実際中音域も自然な見通しの良さの中で繊細な音まで表現する解像感を維持しつつ「HOOK-X」よりメリハリが増しており、多少近くに定位しているように感じます。
オリジナルの「HOOK-X」はより温かく、ニュートラルな印象のサウンドで味付けの無い自然な印象ではより優れていますが、キレや解像感という点では「LETSHUOER S12」のような14mm級平面駆動ドライバー搭載のイヤホンと比べて穏やかに感じる側面もありました。「RAPTGO × HBB HOOK-X」でも僅かに温かさは持っておりキレ重視というサウンドではありませんが、よりリスニング的な楽しさを増した方向にチューニングされている印象です。この辺が「HBB氏らしい」と感じる変化だとも言えるでしょう。
低域も「RAPTGO × HBB HOOK-X」ではオリジナルより量感がアップしており、主に中低域の存在感が増しています。平面駆動ドライバーの特性を活かし歪みの無い直線的な音を楽しめます。ミッドベースは適度に締まりがあり分離が良くスピード感のある印象に、より力強さが増しています。また重低音は非深く沈みエネルギーのある重低音の質の良さが全体を下支えします。いっぽうでオリジナルの「HOOK-X」はよりニュートラルなバランスにより低域の解像感や質感をしっかり捉えやすく、双方ともそれぞれの良さがあるという感じですが、どちらも低域は優れたポイントのひとつだと思います。
■ まとめ
というわけで、「RAPTGO × HBB HOOK-X」はオリジナルの「HOOK-X」のバランスの良さおよび表現力の高さをしっかり踏襲しつつ、よりリスニングイヤホンとしての方向性が強化され、楽しさが増した製品でした。特に滑らかさを持ちつつ高域のスッキリした伸びの良さや明瞭感でピエゾ感をより実感出来るのは良いアップデートと言えるでしょう。
いっぽうでフラット方向のニュートラルさと質感をの良さをより実感したい方にはオリジナルのサウンドのほうが好まれる方も多いと思われます。どちらの製品も非常に優れており、200ドル級のミドルグレードイヤホンとして十分にお勧めできるイヤホンだと思います。悩ましいのはどちらもそれぞれの良さがあるので、1つを選ぶのが難しいことかもしれませんね。私も両方のモデルを使い分けるシチュエーションが増えそうです(^^)。