Kiwi Ears Cadenza

こんにちは。今回は「Kiwi Ears Cadenza」です。ベリリウム(コート?)振動板ダイナミックドライバーを搭載し、30ドル台の価格設定とバランスの良いサウンドでちょっと話題になったイヤホンですね。少し前に届いていたのですが例によってレビューが遅れてしまい、年末ギリギリの掲載となってしまいました。まだまだ「積み」は残っているのですが、あとは来年に持ち越しです(汗)。

■ 製品の概要について

Kiwi Ears Cadenza」は「Kiwi Ears」がリリースした低価格の中華イヤホンです。10mmサイズのベリリウムダイナミックドライバーを搭載。Linsoulのサイトではベリリウム振動板の素材としての優位性に触れています。ただ、「Kiwi Ears Cadenza」はベリリウムドライバーとの記述はありますが、いわゆる「ピュアベリリウム」であるかどうかについては言及がありません。同様の価格帯でベリリウムと記載している製品の多くはベリリウムコート(樹脂振動板の表面にベリリウムをメッキ定着している振動板)であることから、「Kiwi Ears Cadenza」のドライバーについても多くのマニアはベリリウムコートである可能性が高いと考えています。
Kiwi Ears CadenzaKiwi Ears Cadenza

また「Kiwi Ears Cadenza」この10mmドライバーが優れたリスニングサウンドのバランスになるように調整されています。これはドライバーに合わせて最適化された3Dプリントされたカスタムデザインのシェルによって実現しているとのこと。特に低域はベリリウムの特徴を維持するように調整され、インパクトとスピードが優れています。
Kiwi Ears CadenzaKiwi Ears Cadenza
また中音域は豊かで瑞々しく詳細です。そして高域のレスポンスはハーマンターゲットを反映し、自然でありながら詳細なディテールと空気感があります。
Kiwi Ears CadenzaKiwi Ears Cadenza
Kiwi Ears Cadenza」の購入はLinsoulの直販サイトまたはアマゾンの「LINSOUL-JP」にて。
価格は34.99ドル、アマゾンでは5,220円です。
Linsoul(linsoul.com): Kiwi Ears Cadenza
Amazon.co.jp(LINSOUL-JP): Kiwi Ears Cadenza


■ パッケージ構成、製品の外観および内容について

パッケージのデザインはなかなか個性的ですね。落ち着いたブルーの化粧カバーですがキウイだけにどことなくハワイアンな気もしたり(^^;)。
Kiwi Ears CadenzaKiwi Ears Cadenza

パッケージ内容は本体、ケーブル、3種類のイヤーピース(S/M/Lサイズ)、説明書。
Kiwi Ears CadenzaKiwi Ears Cadenza

3Dプリンティングによるレジン製の本体は軽量コンパクトで耳への収まりも良いサイズ感です。今回はパープルのモデルが届きましたがフェイス部分はピンスポを当てないと正面からの写真が真っ黒になっちゃいました。ここまで暗くはないですが落ち着いたカラーリングです。
Kiwi Ears CadenzaKiwi Ears Cadenza

このフェイスプレートのデザインのおかげもあり外観に安っぽさははあまり感じず、30ドル台の低価格イヤホンながらプリンティングのクオリティも高い印象。装着性も良好です。イヤーピースは各サイズで3種類が同梱されており選べるのも良いですね。

Kiwi Ears CadenzaKiwi Ears Cadenza
ケーブルは0.78mm 2pin仕様。非常に柔らかくしなやかな被膜のケーブルで取り回しの良さがあります。こちらも細い線材ですが安っぽさは無く見た目だけならCIEM製品に付属するケーブルのようにも見えます。


■ サウンドインプレッション

Kiwi Ears CadenzaKiwi Ears Cadenza」の音質傾向はニュートラルでややフラット方向の弱ドンシャリ。いわゆるハーマンターゲットのバランスより僅かに低域に厚みがある印象で、方向性としては「HZSOUND HeartMirror Pro」やHBB氏のコラボイヤホン(例えば「TRIPOWIN Mele」「TRI KAI」など)の音作りに似たアプローチを感じます。製品ページで「現在のオーディオファンを基準にしたサウンドシグネチャ」と記載されている理由も納得できるリスニングチューニングです。さらにベリリウム(コート)振動板の特徴である高速なレスポンスや中高域の透明感、低域のインパクト、といった要素はそれなりに反映されている印象で、低価格ながら比較的質の高いサウンドを楽しめます。

Kiwi Ears Cadenza」の高域は滑らかさで比較的スッキリした音を鳴らします。透明度も高く見通しも良い印象です。ただし主張はやや控えめで、もう少しエネルギーが欲しいと感じる場合もあります。いっぽう刺さり等の刺激をほぼ皆無で非常に聴きやすいチューニングとも言えますね。
中音域は癖の無い音をありのままに鳴らす印象。曲によって僅かに凹みますが滑らかさと見通しの良さを感じます。ボーカル帯域は適度な距離がありますが表現に不足はありません。正直ベリリウム(コート)で期待するような解像感はありませんが、レスポンスは良好で、自然な分離感から生まれる定位により同価格帯としては良好の質感を感じさせます。モニター的な用途など神経質なリスニングでなければ十分に楽しめるサウンドだと思います。
Kiwi Ears Cadenza低域はこのイヤホンでもっとも好印象を持った音域です。重量感と力強さを持ちつつ過度に膨らまず太さのあるベース音をまっすぐにならすイメージです。同時に硬質になりすぎず適度な丸みと温かみもあるため、スピード感とある程度の解像感を維持しつつ非常に濃密さを感じさせます。量的にはニュートラルなバランスを維持しているものの、エネルギッシュな鳴り方のため不足を感じることは少ないでしょう。決して質感が良いわけではないのですが、音楽を楽しめる良好な低音だと思います。


■ まとめ

というわけで、「Kiwi Ears Cadenza」は評判の良い低価格イヤホンというだけあって、非常に手堅さも感じるバランスの良いサウンドでした。いわゆる「ベリリウムらしさ」という部分で期待される要素が主に低域あるため、鮮烈な高域を期待される方には向きませんが、非常に聴きやすく、同時にスッキリした印象も楽しめる製品だと思います。また装着した状態での外観にも高級感がありますし、普段使いで楽しむイヤホンとしては結構お勧めできる製品かなと感じました。