CCA CXS

こんにちは。今回は「CCA CXS」です。お馴染みKZ系の「CCA」ブランドで昨年後半にリリースされた低価格イヤホンですね。20ドル以下の価格設定で個性的デザインの金属シェルを採用したシングルダイナミック仕様のイヤホンです。
購入したのは昨年11月末くらいだった気がしますが、書きかけのままになっていたためこのタイミングで仕上げてみました。昨年は11月から12月にかけて本業が相当忙しかったこともあり、買うだけ買って開封したままのイヤホンとか、レビューを書きかけのイヤホンとかが結構あったりします。そして今年に入ってからも既にアレとか、コレとか・・・うーん(^^;)。

■ 製品の概要について

低価格中華イヤホンのブランドとしてお馴染みの「KZ」で、サブブランドとして時には先行モデルを、またはKZとは異なるチューニングバージョンを、みたいな感じでラインナップを展開し続けているのが「CCA」ブランドの製品ですね。
今回の「CCA CXS」はシングルダイナミック構成で個性的な金属製シェルを採用したモデル。ドライバーには新しい10mm ダイナミックドライバーをシングルで搭載。この製品では「プロフェッショナル『U』シェイプ・アコースティックシグネチャ」ということで、要するに従来のV字(ドンシャリ)からよりハイグレードやイヤホンにみられるU字のサウンドバランスでチューニングしてるよー、ということみたいです。
CCA CXSCCA CXS
「伝説的」と称している新しいドライバーと新しいチューニングにより、クリアでパンチの効いた低音、滑らかな中音域のクリーン、並外れた高音の伸びを実現。さらに本体はキャビティ内の音波の屈折を効果的に抑制できるよう、通気性のあるオープンバック設計を採用。重低音をより自然に、同時により多くのエネルギーを持ち、より良い音場感をもたらしているとのこと。
CCA CXSCCA CXS

CCA CXS」の購入はAliExpressおよびアマゾンなどでの主要セラーより。
価格は17.95ドル~(AliExpress)、3,220円~(アマゾン)です。
AliExpress(CCA Official Store): CCA CXS
Amazon.co.jp(LINSOUL-JP): CCA CXS
Amazon.co.jp(KZ Flagship Store): CCA CXS


■ パッケージ構成、製品の外観および内容について

CCA CXS」のパッケージはいつもの白箱タイプですが、実は箱のサイズが若干縦長だったりします。ただこれはロット違いで今のロットではいつもの大きさに戻ってるかもしれません。内容は本体、ケーブル、イヤーピース(S/M/Lサイズ)、説明書。イヤーピースはお馴染みの黒色フジツボタイプです。
CCA CXSCCA CXS

本体デザインは上部にドーナツ状に穴が開いた個性的なデザイン。従来のKZおよびCCAの製品のデザインとは異なるものの、シェル形状自体は「CCA MH20」とほぼ同じサイズ感を踏襲しています。亜鉛合金製のシェルは重量感がありますがこの穴の開いたデザインで容積を減らしていることもあり実際の重量はそこまで重くはありません。
CCA CXSCCA CXS

フェイス部分にスリット状のベント(空気孔)があり、オープンバック(開放型)のデザインを採用しています。かなり特殊な形状に見えますがサイズおよび形状的には「CCA MH20」と同じコンパクトなシェルという程度で装着性は比較的良好です。ただしこの穴のせいかどうかはよく分かりませんが遮音性は今ひとつです。
CCA CXSCCA CXS

ケーブルは最近の銀メッキ線タイプではなくOFC(高純度無酸素銅)を使用したブラウンのケーブルが付属します。イヤーピースは例によってKZのフジツボタイプが付属します。こちらは耳に合うものを選んで交換しましょう。例によって定番の「スパイラルドット」や「KBEAR 07」(「AET07」互換品)、また密着性の強いタイプでは「SpinFit CP100+」、そして個人的には「TRN E-Eartips」もお勧めです。


■ サウンドインプレッション

CCA CXSCCA CXS」の音質傾向は製品説明でも記載の通りニュートラルな印象でややフラット方向に寄せた弱ドンシャリ。印象としては平面駆動の「KZ PR1 HIFI」あたりのアプローチに近いバランスのチューニングだと思われます。樹脂製ながら同様のシェル形状の7BA+1DDの「CCA MH20」はもう少しKZぽさのあるドンシャリ傾向だったので、この辺の違いを「プロフェッショナルなんたら」みたいに表現しているのかな、と思いました。ただし聴いた印象自体は「KZ PR1」とはかなり異なり、かなり力強さを前面に出した音作り。付属のフジツボイヤーピースだとちょっと抜けたような音になるため、しっかり耳にフィットするイヤーピースに交換すると前提的にぐっと濃い音になります。

亜鉛合金で覆われた金属製ハウジングは内蔵するドライバーの音を制震しダイレクトに出力させます。超低コストで音作りを行うため箱鳴りを積極的に利用してきた以前のKZ/CCAとはある意味真逆のアプローチで、低域が籠もらなず音場を構成するためにベントから逃がす以外は完全にドライバーのチューニングで鳴らすという新しいチャレンジを行う先行モデルが「CCA CXS」ということなのでしょう。今後この手法を使った製品がKZからも登場してくるかもしれませんが、それがどのように製品に活かされるのかとても興味深いところです。

CCA CXSCCA CXS」の高域は非常にスッキリした音を鳴らします。ドライな音という点はいかにもKZ/CCAな高域ですが、同時に従来より若干の温かみがあり、さらに結構あっさりした印象も感じさせます。それなりに主張はある音ですが、かなり明るい音で鳴らしているため、印象として濃淡が少し飛んでいるように感じるのかもしれません。とはいえボーカル域にフォーカスを合わせれば全体としてはバランスが取れており、スピード感と鋭さを持たせつつ聴きやすくまとめられています。

中音域は、印象としてはニュートラルですがかなり前面にフォーカスされており、強めの主張があります。従来のドンシャリ(V字)よりボーカル域を中心に持ち上げた(U字)のバランスにしていることで、より強く、鮮やかさのある明瞭なチューニングになっています。ボーカル域はエネルギーがあり、同様にギターやピアノなどの楽器もエモーショナルな鮮明さがあります。全体としてスピード感とキレのある音ですが歯擦音などは制御されており、分かりやすく力強い音で再生されます。音場は普通からやや狭い印象。より情報量が多くメリハリのあるケーブルへのリケーブルなどにより立体感を感じる事ができそうです。

CCA CXS低域は重低音を中心に力強さがあります。ミッドベースはタイトで直線的な印象ですが、中音域より若干後方で、やはりあっさり目に鳴ります。開放型の構造にしているため適度にミッドベースが音抜けし、籠もること無く分離するとともに適度な音場感をつくっているものと思われます。
いっぽう重低音に非常に力強さと厚みがある印象で、全体としてはKZ/CCAらしいパワフルさに近い低域になっているかもしれませんね。ただし前述の通り付属のイヤーピースではどうも抜けたような印象となり、せっかくの重低音が相当に物足りなくなります。KZ/CCAでフジツボ型のイヤーピースと遭遇した場合は交換を前提にすることが多いですが「CCA CXS」については特にその傾向が顕著です。正直なところ100均で売ってるイヤピのほうが数倍マシ、というレベルで差を感じました。


■ まとめ

CCA CXSというわけで、「CCA CXS」は亜鉛合金製のシェルでドライバーを覆い、従来とは異なるアプローチでのサウンドチューニングを行うことを「実験」したモデル、という印象でした。このようなKZ/CCAの「新しいことやってみた」パターンの製品の場合、音質的には微妙なことが多いのですが、最近は最初から結構ちゃんと仕上げてきているというパターンが多く面白いですね。「CCA CXS」についてはイヤーピースは必須、できればリケーブルも検討、ということで20ドル以下の製品としては結構「玄人向け」ではありますが、しっかり追い込んでやれば想像以上に使えるサウンドを低価格で手に入れられるイヤホンといえるかも知れません。既に「CCA CXS」以降も4種類ほどKZ/CCAの製品をオーダーして届いてきていますので、これらの製品もどのように仕上がっているのか、とても楽しみではあります。