
こんにちは。今回は「QKZ x HBB Khan」 です。低価格中華イヤホンのサプライヤーとしてここ数年は超低価格な製品でマニアの間でも知られる存在となった「QKZ」と、これまた海外レビュアーコラボとしては各社からひっぱりだこな印象の「HBB」とのコラボの第2弾です。40ドル以下の低価格に2種類のダイナミックドライバーを搭載した2DD構成、アルミフェイス+天然樹脂の3Dプリントシェル構成と、前回の「QKZxHBB」に引き続き特徴のあるモデルとなっています。
■ 製品の概要について
「QKZ」はここ数年AliExpressを中心に、どこかで見たことがあるような、あるいは中身も丸パ○リな激安中華イヤホンを数多くリリースしてることでコアなマニアではお馴染みになっているブランドですね。「QKZ」ブランドを展開している企業はLongZiTech社(深圳市龍資科技有限公司)で、実は結構実績のあるOEMメーカーとして、これまでに200以上の製品を中華ブランドを中心に供給しているようです。とはいえやっぱりイメージとしては(ごにょごにょ)。
閑話休題、今回の「QKZ x HBB Khan」はそんなQKZが、これまた最近では結構お馴染みになってきた有名海外レビュアーの「HBB(hawaiibadboy)」氏とコラボレーションしたイヤホンの第2弾です。今回は2DD構成や3Dプリントシェルの採用を行ったモデルになっています。


「QKZ x HBB Khan」は低域用の10mmダイナミックドライバーと、中高域用の7.8mmダイナミックドライバーを搭載。LCP(液晶ポリマー)複合振動板と強力な磁気回路を搭載しており、2基のドライバーの組み合わせにより、臨場感のある低域から中域と風通しの良い広域を実現しています。またインピーダンス10Ω、感度117dB±3dBと非常に効率が良いため様々なデバイスで高いパフォーマンスを実現します。


また「QKZ x HBB Khan」のシェルは第4世代DLP-3Dプリンティング技術により音導管を含め高精度で出力されています。またアルミ合金製のフェイスプレートには特別に設計されたメタルグリッドと圧力解放用のデュアルベント(空気孔)があり、不要なノイズを適切に除去しクリアなサウンドを実現しています。
「QKZ x HBB Khan」の購入はLinsoul(linsoul.com)またはアマゾンのLINSOUL-JPにて。
価格は39.99ドル、アマゾンでは5,420円です。
Linsoul(linsoul.com): QKZ x HBB Khan
Amazon.co.jp(LINSOUL-JP) QKZ x HBB Khan
■ パッケージ構成、製品の外観および内容について
「QKZ x HBB Khan」のパッケージはいつものKZ風のコンパクトな箱ではなく、結構しっかりしたボックスで届きました。相変わらず隙間を文字やロゴで埋めないと気が済まないのかなという感じのパッケージデザインで、怪しさが全開なのは相変わらずですが・・・


パッケージ内容は、イヤホン本体、ケーブル、イヤーピース(S/M/Lサイズ)、ゴールドからのメダルとメダルケース、プラスチック製のイヤホンケース。メダルはまあまあ巨大ですが、この手のオマケの有り難みが相変わらず分からない私であります。


2基のダイナミックドライバーを並列に配置する本体はやや上下に長めのフェイスデザインでステムノズルが長めに張り出しています。DLP-3Dプリンティングされたハウジング部分はドライバーがかすかに透けて見えるつや消しの樹脂製。シェル部分の形状や質感は500ドルを超える「Moondrop Variations」をちょっとだけ彷彿とさせるものです。それだけシェルの作りは良く一見すると低価格イヤホンには見えない印象です。


最初の「QKZxHBB」はわりと一般的な樹脂シェル+金属フェイスレートの構成だったことを考えると「QKZ x HBB Khan」は形状的には同社の過去製品とは一貫性は特になく、このモデルのために設計したものであることが伺えます。


ケーブルは撚り線タイプで、今回はマイク付きのタイプで届きました。コネクタはqdc互換のタイプC仕様の2pinタイプですね。まあ価格なりの普通のケーブルですので、適時リケーブルなどを検討するのも良いでしょう。
シェルサイズが大きめで長めのステムノズルによりイヤーピースで固定する感じの装着感。というかハウジングの材質の違いを除けばサイズ感や装着性は「Truthear x Crinacle ZERO」とほぼ同じだったりします。昨年リリースされてマニアの間でかなり話題となった「Truthear x Crinacle ZERO」も10mm+7.8mm の2DD構成でPU+LCP複合振動板採用など同様の仕様の製品で、海外のレビューでも記載されていますが、「QKZ x HBB Khan」の内部構造は結構そのまんま、という話があります。


まあ低価格中華イヤホンの世界では昔から「よくある話」ではありますし、なにしろ「QKZ」のやることなので、というところでしょうか。音質面の違いも気になるところです。
■ サウンドインプレッション
「QKZ x HBB Khan」の音質傾向は中低域寄りでカーブとしてはU字に近いイメージ。低域にウーファーを追加した2DD構成らしく低域が非常に強調されているのが特徴的です。
ちなみに「Truthear x Crinacle ZERO」も同様に低域が強調された印象がありますが、高域の伸び感も同様に強くメリハリ強めのドンシャリ感のあるサウンドで同時に「QKZ x HBB Khan」より一貫した滑らかさを感じる印象。
これに対し、「QKZ x HBB Khan」では「デュアルドライバー構成を前面に出している」というか、「ややウォームな低域と、寒色系の中高域という、2種類の傾向の異なるドライバーの音が別々で聴こえる」という感じで、かなり強引な音作りの印象を受けます。なんというか、もう「繋がり」とか「クロスオーバー」とか、そういったものをほぼ無視したようなサウンドで、こちらはなかなかの「変態イヤホン」だと思います(笑)。
それでも雰囲気としてはわりと普通に聴けてしまうという点は結構驚きで、もしかしたらHBB氏らの手腕が活きている部分なのかも知れませんね。同氏および彼らのコミニュティがどのようなモチベーションでチューニングに参加していたのかとても興味深いところです。
「QKZ x HBB Khan」の高域は明瞭感がありますが適度に刺激をコントロールされており聴きやすくまとまっています。低価格中華イヤホンのカテゴリーとしてはまずまずの仕上がりですが解像感や分離は一般的で「Truthear x Crinacle ZERO」ほど明瞭な伸びは得られない印象です。適度にスッキリしており聴きやすくボーカル域を下支えします。
中音域ははニュートラルなバランスで癖の無い音を鳴らします。量的には凹みはありませんが質感はやや淡泊で、濃密さはそれほどありません。音場は左右に比較的広く、暖色系の低域により臨場感を演出しますが定位は正確ではありません。バランスとしてはHBB氏らしいニュートラルチューニングを行っている印象ですが、中高域にかけて低価格モデル的な粗さが結構目立ってしまう側面も感じられます(HBB氏コラボのイヤホンはこの辺の音域がほぼ近いバランスでチューニングを行っているため、製品による質感の違いが結構比較しやすいですね)。
ここであえて2基のドライバーの音色を変えることで、低域のウォーム感との対比によりドライバーの質感の制約を「雰囲気で聴かせている」アプローチなのかもしれない、とも感じました(たぶん考えすぎ^^;)。
低域は、量感および厚みのある音を鳴らします。ミッドベースは僅かにウォームで多少響きがありますが、2基のドライバー間で大きな谷があり、中高域と完全に別に鳴っている印象のため、結果として籠もるようなことは無く「雰囲気を出して」います。重低音も重量感がありますが深さは一般的な印象。とはいえ全体的に締まりとスピード感があり、寒色系の中高域との合わせて鳴ってくれるため、ロックやアニソンなどのボーカル曲を中心に楽しめるチューニングだと思います。なお、原音忠実性とかHiFiとかについては「何それおいしいの?」と言う声が聞こえます(笑)。
■ まとめ
「QKZ x HBB Khan」は個人的には結構評価しにくいイヤホンでした。もしKZ/CCAあたりがこのようなサウンドで出したら全然違うことを書いたかもしれませんが、「まあQKZだし、キャラ考えればむしろこれくらいの変態さのほうが納得だよね」とも思います。間違いなく言えることは「Truthear x Crinacle ZERO」みたいな音を期待してはいけない、という点ですね。
万人向けの製品で無いことだけは確かですが、低域モリモリでちょっと最近では無い感じの2DDサウンドを楽しみたい「普通に良いのはもう飽きた」というマニア諸氏はとりあえず買って、変態ぷりを堪能しつつ、エージングし倒すとか、えげつないケーブルに換えてみるとか、いろいろ遊んで追い込んでみるのはいかがでしょうか。
「QKZ」はここ数年AliExpressを中心に、どこかで見たことがあるような、あるいは中身も丸パ○リな激安中華イヤホンを数多くリリースしてることでコアなマニアではお馴染みになっているブランドですね。「QKZ」ブランドを展開している企業はLongZiTech社(深圳市龍資科技有限公司)で、実は結構実績のあるOEMメーカーとして、これまでに200以上の製品を中華ブランドを中心に供給しているようです。とはいえやっぱりイメージとしては(ごにょごにょ)。
閑話休題、今回の「QKZ x HBB Khan」はそんなQKZが、これまた最近では結構お馴染みになってきた有名海外レビュアーの「HBB(hawaiibadboy)」氏とコラボレーションしたイヤホンの第2弾です。今回は2DD構成や3Dプリントシェルの採用を行ったモデルになっています。


「QKZ x HBB Khan」は低域用の10mmダイナミックドライバーと、中高域用の7.8mmダイナミックドライバーを搭載。LCP(液晶ポリマー)複合振動板と強力な磁気回路を搭載しており、2基のドライバーの組み合わせにより、臨場感のある低域から中域と風通しの良い広域を実現しています。またインピーダンス10Ω、感度117dB±3dBと非常に効率が良いため様々なデバイスで高いパフォーマンスを実現します。


また「QKZ x HBB Khan」のシェルは第4世代DLP-3Dプリンティング技術により音導管を含め高精度で出力されています。またアルミ合金製のフェイスプレートには特別に設計されたメタルグリッドと圧力解放用のデュアルベント(空気孔)があり、不要なノイズを適切に除去しクリアなサウンドを実現しています。
「QKZ x HBB Khan」の購入はLinsoul(linsoul.com)またはアマゾンのLINSOUL-JPにて。
価格は39.99ドル、アマゾンでは5,420円です。
Linsoul(linsoul.com): QKZ x HBB Khan
Amazon.co.jp(LINSOUL-JP) QKZ x HBB Khan
■ パッケージ構成、製品の外観および内容について
「QKZ x HBB Khan」のパッケージはいつものKZ風のコンパクトな箱ではなく、結構しっかりしたボックスで届きました。相変わらず隙間を文字やロゴで埋めないと気が済まないのかなという感じのパッケージデザインで、怪しさが全開なのは相変わらずですが・・・


パッケージ内容は、イヤホン本体、ケーブル、イヤーピース(S/M/Lサイズ)、ゴールドからのメダルとメダルケース、プラスチック製のイヤホンケース。メダルはまあまあ巨大ですが、この手のオマケの有り難みが相変わらず分からない私であります。


2基のダイナミックドライバーを並列に配置する本体はやや上下に長めのフェイスデザインでステムノズルが長めに張り出しています。DLP-3Dプリンティングされたハウジング部分はドライバーがかすかに透けて見えるつや消しの樹脂製。シェル部分の形状や質感は500ドルを超える「Moondrop Variations」をちょっとだけ彷彿とさせるものです。それだけシェルの作りは良く一見すると低価格イヤホンには見えない印象です。


最初の「QKZxHBB」はわりと一般的な樹脂シェル+金属フェイスレートの構成だったことを考えると「QKZ x HBB Khan」は形状的には同社の過去製品とは一貫性は特になく、このモデルのために設計したものであることが伺えます。


ケーブルは撚り線タイプで、今回はマイク付きのタイプで届きました。コネクタはqdc互換のタイプC仕様の2pinタイプですね。まあ価格なりの普通のケーブルですので、適時リケーブルなどを検討するのも良いでしょう。
シェルサイズが大きめで長めのステムノズルによりイヤーピースで固定する感じの装着感。というかハウジングの材質の違いを除けばサイズ感や装着性は「Truthear x Crinacle ZERO」とほぼ同じだったりします。昨年リリースされてマニアの間でかなり話題となった「Truthear x Crinacle ZERO」も10mm+7.8mm の2DD構成でPU+LCP複合振動板採用など同様の仕様の製品で、海外のレビューでも記載されていますが、「QKZ x HBB Khan」の内部構造は結構そのまんま、という話があります。


まあ低価格中華イヤホンの世界では昔から「よくある話」ではありますし、なにしろ「QKZ」のやることなので、というところでしょうか。音質面の違いも気になるところです。
■ サウンドインプレッション

ちなみに「Truthear x Crinacle ZERO」も同様に低域が強調された印象がありますが、高域の伸び感も同様に強くメリハリ強めのドンシャリ感のあるサウンドで同時に「QKZ x HBB Khan」より一貫した滑らかさを感じる印象。
これに対し、「QKZ x HBB Khan」では「デュアルドライバー構成を前面に出している」というか、「ややウォームな低域と、寒色系の中高域という、2種類の傾向の異なるドライバーの音が別々で聴こえる」という感じで、かなり強引な音作りの印象を受けます。なんというか、もう「繋がり」とか「クロスオーバー」とか、そういったものをほぼ無視したようなサウンドで、こちらはなかなかの「変態イヤホン」だと思います(笑)。
それでも雰囲気としてはわりと普通に聴けてしまうという点は結構驚きで、もしかしたらHBB氏らの手腕が活きている部分なのかも知れませんね。同氏および彼らのコミニュティがどのようなモチベーションでチューニングに参加していたのかとても興味深いところです。
「QKZ x HBB Khan」の高域は明瞭感がありますが適度に刺激をコントロールされており聴きやすくまとまっています。低価格中華イヤホンのカテゴリーとしてはまずまずの仕上がりですが解像感や分離は一般的で「Truthear x Crinacle ZERO」ほど明瞭な伸びは得られない印象です。適度にスッキリしており聴きやすくボーカル域を下支えします。

ここであえて2基のドライバーの音色を変えることで、低域のウォーム感との対比によりドライバーの質感の制約を「雰囲気で聴かせている」アプローチなのかもしれない、とも感じました(たぶん考えすぎ^^;)。
低域は、量感および厚みのある音を鳴らします。ミッドベースは僅かにウォームで多少響きがありますが、2基のドライバー間で大きな谷があり、中高域と完全に別に鳴っている印象のため、結果として籠もるようなことは無く「雰囲気を出して」います。重低音も重量感がありますが深さは一般的な印象。とはいえ全体的に締まりとスピード感があり、寒色系の中高域との合わせて鳴ってくれるため、ロックやアニソンなどのボーカル曲を中心に楽しめるチューニングだと思います。なお、原音忠実性とかHiFiとかについては「何それおいしいの?」と言う声が聞こえます(笑)。
■ まとめ

万人向けの製品で無いことだけは確かですが、低域モリモリでちょっと最近では無い感じの2DDサウンドを楽しみたい「普通に良いのはもう飽きた」というマニア諸氏はとりあえず買って、変態ぷりを堪能しつつ、エージングし倒すとか、えげつないケーブルに換えてみるとか、いろいろ遊んで追い込んでみるのはいかがでしょうか。