こんにちは。今回は「TINHIFI C3」です。TINHIFIの新しい「Cシリーズ」のモデルですね。以前レビューした「MECA C2」とは異なり、こちらはLCP振動板を搭載したレジンシェルモデル、と仕様的に「T3 PLUS」のリニューアル的な位置づけのモデルになります。価格もより低く設定し、音質的にはTINHIFIらしい明瞭感が増した弱ドンシャリ方向のサウンドになりました。
■ 製品の概要について
「TINHIFI C3」は3Dプリントされたレジンシェルを採用。ドライバーにはLCP複合ミクロンスケール振動板ダイナミックドライバーをシングルで搭載し、日本製の0.035mm CCAWを採用。最適化された高域の伸びと透明性、より豊かなディテールを表現する広い音域を実現。また強力なN52マグネットの搭載と完全内部デュアル磁気回路設計により、優れた低周波性能と過渡応答が得られます。またケーブルは270C銀メッキ線コアを採用した4芯タイプで透明感のあるクリーンなサウンドを実現します。
実は前回の「TINHIFI T4 PLUS」より結構以前に届いていた気もするのですが、レビューを仕上げようと思ったら写真を撮り忘れていることに気付いて順番が変わったという説も(^^;)。
「TINHIFI C3」のパッケージはコンパクトな白箱タイプ。「MECA C2」がメカイラストで雰囲気を出していたのと対照的にこちらはロゴだけのシンプルな内容です。パッケージ内容は本体、ケーブル、イヤーピースは各サイズ2ペアずつ、説明書、保証書。
本体は4.3gと非常に軽量なピアノブラックのレジン製でフェイスはブラックのカーボン柄にTINHIFIロゴというシンプルなデザイン。ステムノズルも本体と一体成形のレジン製で金属製の「TINHIFI T3 PLUS」より外観上もコストダウンしているのがわかります。
「TINHIFI C3」のシェル形状自体は「TINHIFI T3 PLUS」およびサブブランドの「TKZK Ouranos」とほぼ同じで同様の装着性が得られます。比較的コンパクトで耳に収まりやすいデザインだと思います。
「TINHIFI C3」が外観上最もアップグレードされているのはケーブルで、結構太めの4芯タイプの銀メッキ線ケーブルが付属します。コネクタやプラグ、分岐部分などの金属製パーツは本体色のブラックでは無くブロンズカラーのものが使用され「TINHIFI T4 PLUS」用のケーブルの部品と共用のようですね。
イヤーピースについては付属品のほか、定番の「スパイラルドット」や「AET07」(または互換品の「KBEAR07」など)、またよりフィット感の強いタイプでは「SpinFit CP100+」、さらに「TRN T-Eartips」など、自分の耳に合う最適なイヤピースに交換するのも良いでしょう。
■ サウンドインプレッション
「TINHIFI C3」の音質傾向は中低域寄りでニュートラルな印象ながらバランスとしては僅かに弱ドンシャリのリスニングサウンド。いちおうハーマンターゲットカーブ準拠の傾向で、製品説明でも「ハーマンターゲットとシニアオーディオマニアの意見(opinions of senior audiophiles)を元にチューニング」と明記されています。
「TINHIFI C3」に関しては既に「T3 PLUS」というモデルがあり、そのリニューアル的な製品でもあるせいか、低価格のハーマンターゲット準拠イヤホンにありがちな「粗さがある」という印象は比較的「少なく」、まずまずの印象。また高域も「MECA C2」より多少マイルドに仕上げられており、日本以外では「TINHIFI C3」のほうが好印象で受け入れられそう(と考えてチューニングしたのかな)と思います。やや低域寄りですし、そもそも競合が非常に多い価格帯ではあるものの、50ドル級のイヤホンとしては比較的よくまとまっていると思います。
ちなみにハーマンターゲットカーブ準拠的な製品説明の記述は、もちろん「売り」のポイントとして記載されているわけですが、日本では低価格モデルでの過度なハーマンターゲット偏重傾向が多少飽きられはじめていて、むしろトラディショナルなV字(要するにドンシャリ)のほうが好まれがちかもしれません。そういえば「Audiophile」と呼ばれる(主に海外の)マニアと日本のマニア(私も含め、俗に言う「オーオタ」または「オーヲタ」)ってわりと評価される傾向が違いますよね。例えば海外では低域はより強く、高域は聴きやすい方が好まれますが、日本では「高域が伸びない、スッキリしない」とネガティブになることも多い、みたいな。いっそ日本のマニアは「(Japanese) Auwota」みたいに表記を変えてみるとか(笑)。「Audiophile」としっかり区別した方がメーカー側もターゲット設定がラクかもしれず・・・(^^;)。
どうでもいいヨタ話を書いてしましたが(依頼じゃない記事は脱線が増えがちですね。すみません)、「T3 PLUS」はよりフラット方向のニュートラルで僅かに温かみを感じる印象だったのに対し、「TINHIFI C3」は「MECA C2」同様に寒色方向にチューニングを変えており、よりメリハリとスピード感のあるサウンドに変化しています。そのためリスニング的にはより楽しくなっていると思います。
ただ印象としては、どちらかというとハーマンターゲット準拠より、「高域を聴きやすく、低域を厚く」という「(海外の)マニアの意見を参考に」すると「ありがち」なチューニングのほうが前面に出ているかもしれませんね。このチューニングで相対的に中音域は若干凹んでいるためフラット寄りにまとめられたボーカル域の粗さは全体としてはあまり気にならないのですが、それでも「T3 PLUS」よりエッジのある音作りのため神経質に聴く方なら雑味を感じることはありそうです。
「TINHIFI C3」は比較的スッキリとした明瞭な音を鳴らします。「T3 PLUS」より輪郭が際立った印象となり硬質感があります。ただ伸び感などは「MECA C2」のほうが優れており、派手になりすぎないように聴きやすく調整されている印象もありますね。それでもリスニング的には楽しく元気のある音で、より日常的なユーザーを意識していそうな「Cシリーズ」としての一貫性は感じられます。
中音域は非常にニュートラルで「ハーマンターゲット準拠」とされる所以みたいなものを感じさせるフラットな印象のバランスです。「T3 PLUS」も当時のLCP振動板を採用したイヤホン(「Moondrop Aria」や「DUNU TITAN S」など)のなかでも特にニュートラル感があった製品ですが、「TINHIFI C3」はその傾向を踏襲しつつ、より寒色方向に、明瞭感とエッジの効いたサウンドになっています。より太く情報量の多いケーブルの恩恵もあり、より分離感を得やすく実在感のある音場と正確性を感じる定位の良さがあります。ボーカルは自然な距離感ですが不満を感じることは無いでしょう。いっぽうで明瞭感を高めたことによる「粗さ」は雑味となって感じられ、余韻や描写の細やかさに影響しています。やはり楽しく聴くためのリスニングサウンドという印象ですね。
低域は量感があり力強い音を鳴らします。重低音は比較的深く厚みがあります。全体としてはより強調感のある印象。ミッドベースは直線的で膨らむことは無く鳴ります。適度な解像感と十分な分離感があり、音数の多い曲でも結構楽しめる印象です。ただ曲によっては低域が前面で目立ちすぎる印象もあります。どうも私自身の好みは「海外のマニア」とはちょっと異なるみたいです(^^;)。
■ まとめ
というわけで、「TINHIFI C3」も「MECA C2」同様によりパワフルなサウンドが楽しめる方向にチューニングしつつ、「T3 PLUS」をベースにしたニュートラルさにやや派手めの高域、そして全体としては低域が強調された印象と、分かりやすくチューニングされています。力強く臨場感のあるサウンドが好みの方には「MECA C2」より合うと思います。ただし、最近では50ドルで購入できるイヤホンの幅が非常に広く、それぞれに特徴なり突出したポイントがあったりします。そういった点では「TINHIFI C3」は「十分に良いとは思うけど突出してはいない」点がウィークポイントになるかもしれませんね。またより低価格でバランスの良い「MECA C2」と、CNTドライバーで別の方向性を提示した「TKZK Ouranos」と同時期にリリースされた製品でブランド内競合を起こしている状況で、メーカーとしては「どれか売れれば良い」みたいな感じになっているのもより分かりにくいかもしれませんね。まあこの辺の「ちょっとビジネスが下手そう」な感じもTINHIFIらしいといえば、そうなんですけどね(^^;)。
近矢継ぎ早に新製品をリリースしている中華イヤホンブランド「TINHIFI」ですが、同社の新しい「Cシリーズ」として最初にリリースされたのが「MECA C2」と今回の「TINHIFI C3」の2機種です。「MECA C2」は金属ハウジングにLCP+PU複合振動板を採用し分かりやすくアグレッシブなサウンドが魅力的でしたが、「TINHIFI C3」は「TINHIFI T3 PLUS」に近い仕様でかつ価格を抑えたリニューアルモデル的な位置づけですね。
「TINHIFI C3」は3Dプリントされたレジンシェルを採用。ドライバーにはLCP複合ミクロンスケール振動板ダイナミックドライバーをシングルで搭載し、日本製の0.035mm CCAWを採用。最適化された高域の伸びと透明性、より豊かなディテールを表現する広い音域を実現。また強力なN52マグネットの搭載と完全内部デュアル磁気回路設計により、優れた低周波性能と過渡応答が得られます。またケーブルは270C銀メッキ線コアを採用した4芯タイプで透明感のあるクリーンなサウンドを実現します。
「TINHIFI C3」の購入はAliExpressやアマゾンのTINHIFIオフィシャルストア、またはHiFiGoやLinsoulなどの各セラーにて。価格は49ドル前後、アマゾンは6,800円前後です。
■ パッケージ構成、製品の外観および内容について
実は前回の「TINHIFI T4 PLUS」より結構以前に届いていた気もするのですが、レビューを仕上げようと思ったら写真を撮り忘れていることに気付いて順番が変わったという説も(^^;)。
「TINHIFI C3」のパッケージはコンパクトな白箱タイプ。「MECA C2」がメカイラストで雰囲気を出していたのと対照的にこちらはロゴだけのシンプルな内容です。パッケージ内容は本体、ケーブル、イヤーピースは各サイズ2ペアずつ、説明書、保証書。
本体は4.3gと非常に軽量なピアノブラックのレジン製でフェイスはブラックのカーボン柄にTINHIFIロゴというシンプルなデザイン。ステムノズルも本体と一体成形のレジン製で金属製の「TINHIFI T3 PLUS」より外観上もコストダウンしているのがわかります。
「TINHIFI C3」のシェル形状自体は「TINHIFI T3 PLUS」およびサブブランドの「TKZK Ouranos」とほぼ同じで同様の装着性が得られます。比較的コンパクトで耳に収まりやすいデザインだと思います。
「TINHIFI C3」が外観上最もアップグレードされているのはケーブルで、結構太めの4芯タイプの銀メッキ線ケーブルが付属します。コネクタやプラグ、分岐部分などの金属製パーツは本体色のブラックでは無くブロンズカラーのものが使用され「TINHIFI T4 PLUS」用のケーブルの部品と共用のようですね。
イヤーピースについては付属品のほか、定番の「スパイラルドット」や「AET07」(または互換品の「KBEAR07」など)、またよりフィット感の強いタイプでは「SpinFit CP100+」、さらに「TRN T-Eartips」など、自分の耳に合う最適なイヤピースに交換するのも良いでしょう。
■ サウンドインプレッション
「TINHIFI C3」の音質傾向は中低域寄りでニュートラルな印象ながらバランスとしては僅かに弱ドンシャリのリスニングサウンド。いちおうハーマンターゲットカーブ準拠の傾向で、製品説明でも「ハーマンターゲットとシニアオーディオマニアの意見(opinions of senior audiophiles)を元にチューニング」と明記されています。
「TINHIFI C3」に関しては既に「T3 PLUS」というモデルがあり、そのリニューアル的な製品でもあるせいか、低価格のハーマンターゲット準拠イヤホンにありがちな「粗さがある」という印象は比較的「少なく」、まずまずの印象。また高域も「MECA C2」より多少マイルドに仕上げられており、日本以外では「TINHIFI C3」のほうが好印象で受け入れられそう(と考えてチューニングしたのかな)と思います。やや低域寄りですし、そもそも競合が非常に多い価格帯ではあるものの、50ドル級のイヤホンとしては比較的よくまとまっていると思います。
ちなみにハーマンターゲットカーブ準拠的な製品説明の記述は、もちろん「売り」のポイントとして記載されているわけですが、日本では低価格モデルでの過度なハーマンターゲット偏重傾向が多少飽きられはじめていて、むしろトラディショナルなV字(要するにドンシャリ)のほうが好まれがちかもしれません。そういえば「Audiophile」と呼ばれる(主に海外の)マニアと日本のマニア(私も含め、俗に言う「オーオタ」または「オーヲタ」)ってわりと評価される傾向が違いますよね。例えば海外では低域はより強く、高域は聴きやすい方が好まれますが、日本では「高域が伸びない、スッキリしない」とネガティブになることも多い、みたいな。いっそ日本のマニアは「(Japanese) Auwota」みたいに表記を変えてみるとか(笑)。「Audiophile」としっかり区別した方がメーカー側もターゲット設定がラクかもしれず・・・(^^;)。
どうでもいいヨタ話を書いてしましたが(依頼じゃない記事は脱線が増えがちですね。すみません)、「T3 PLUS」はよりフラット方向のニュートラルで僅かに温かみを感じる印象だったのに対し、「TINHIFI C3」は「MECA C2」同様に寒色方向にチューニングを変えており、よりメリハリとスピード感のあるサウンドに変化しています。そのためリスニング的にはより楽しくなっていると思います。
ただ印象としては、どちらかというとハーマンターゲット準拠より、「高域を聴きやすく、低域を厚く」という「(海外の)マニアの意見を参考に」すると「ありがち」なチューニングのほうが前面に出ているかもしれませんね。このチューニングで相対的に中音域は若干凹んでいるためフラット寄りにまとめられたボーカル域の粗さは全体としてはあまり気にならないのですが、それでも「T3 PLUS」よりエッジのある音作りのため神経質に聴く方なら雑味を感じることはありそうです。
「TINHIFI C3」は比較的スッキリとした明瞭な音を鳴らします。「T3 PLUS」より輪郭が際立った印象となり硬質感があります。ただ伸び感などは「MECA C2」のほうが優れており、派手になりすぎないように聴きやすく調整されている印象もありますね。それでもリスニング的には楽しく元気のある音で、より日常的なユーザーを意識していそうな「Cシリーズ」としての一貫性は感じられます。
中音域は非常にニュートラルで「ハーマンターゲット準拠」とされる所以みたいなものを感じさせるフラットな印象のバランスです。「T3 PLUS」も当時のLCP振動板を採用したイヤホン(「Moondrop Aria」や「DUNU TITAN S」など)のなかでも特にニュートラル感があった製品ですが、「TINHIFI C3」はその傾向を踏襲しつつ、より寒色方向に、明瞭感とエッジの効いたサウンドになっています。より太く情報量の多いケーブルの恩恵もあり、より分離感を得やすく実在感のある音場と正確性を感じる定位の良さがあります。ボーカルは自然な距離感ですが不満を感じることは無いでしょう。いっぽうで明瞭感を高めたことによる「粗さ」は雑味となって感じられ、余韻や描写の細やかさに影響しています。やはり楽しく聴くためのリスニングサウンドという印象ですね。
低域は量感があり力強い音を鳴らします。重低音は比較的深く厚みがあります。全体としてはより強調感のある印象。ミッドベースは直線的で膨らむことは無く鳴ります。適度な解像感と十分な分離感があり、音数の多い曲でも結構楽しめる印象です。ただ曲によっては低域が前面で目立ちすぎる印象もあります。どうも私自身の好みは「海外のマニア」とはちょっと異なるみたいです(^^;)。
■ まとめ
というわけで、「TINHIFI C3」も「MECA C2」同様によりパワフルなサウンドが楽しめる方向にチューニングしつつ、「T3 PLUS」をベースにしたニュートラルさにやや派手めの高域、そして全体としては低域が強調された印象と、分かりやすくチューニングされています。力強く臨場感のあるサウンドが好みの方には「MECA C2」より合うと思います。ただし、最近では50ドルで購入できるイヤホンの幅が非常に広く、それぞれに特徴なり突出したポイントがあったりします。そういった点では「TINHIFI C3」は「十分に良いとは思うけど突出してはいない」点がウィークポイントになるかもしれませんね。またより低価格でバランスの良い「MECA C2」と、CNTドライバーで別の方向性を提示した「TKZK Ouranos」と同時期にリリースされた製品でブランド内競合を起こしている状況で、メーカーとしては「どれか売れれば良い」みたいな感じになっているのもより分かりにくいかもしれませんね。まあこの辺の「ちょっとビジネスが下手そう」な感じもTINHIFIらしいといえば、そうなんですけどね(^^;)。