こんにちは。今回は 「KZ ZNA」です。KZとしては大口径の12mmダイナミックドライバーにBAを追加した1BA+1DD構成のモデルですね。KZ製の低価格ハイブリッドでは10mmサイズのドライバーを通常使用していますが、このモデルではより大口径12mmサイズの二重磁気デュアルキャビティドライバーを搭載。さらにハイブリッドでKZらしさをよりパワーアップした仕様となっています。
■ 製品の概要について
私のブログでは毎度おなじみ低価格中華イヤホンブランド「KZ(KZ ACOUSTICS)」の1BA+1DD構成のハイブリッドモデル。ただしメインとなるダイナミックドライバー部は同社の主流である10mmサイズではなく、ひとまわり大きい12mmサイズのデュアル磁気回路デュアルキャビティ・ダイナミックドライバーを搭載しています。12mmサイズで二重のマグネットとデュアルキャビティ構造というと、TFZの伝統的なドライバーのシステムを連想させますね。
この構造は対向する2基の磁石により磁場を重ねることによる精度の向上とフロントキャビティとリアキャビティによってそれぞれ異なる周波数帯域をコントロールすることができ、よりダイナミックレンジの広いサウンドを実現できる特徴があります。「KZ ZNA」の製品説明でもTFZの初期の「SERIES 1/3/5」あたりの製品とほぼ同様の説明が記載されていましたので、やはり同様の効果を想定したものでしょう。ただTFZのこれらのモデルは発売された2016年当時は「SERIES5」で100ドル近い価格設定でしたが、「KZ ZNA」は「30095」ツイーターBAを加えたハイブリッドで20ドル程度になっています。
「KZ ZNA」のパッケージはいつもの白箱タイプ。パッケージ内容はイヤホン本体、ケーブル、イヤーピース(S/M/Lサイズ)、説明書。イヤーピースは「KZ PR1 PRO」などにも付属している青色の軸の開口部の広いタイプが付属します。
本体形状は従来のKZのサイズ感を踏襲しつつ側面にメッシュパーツが装飾された「ESX」以降で採用されているデザイン。フェイスプレートは金属製で模様部分がくりぬかれていますが裏から樹脂パーツで裏打ちされておりドライバーなどが透けて見えるデザインになっていますね。
コネクタは従来通りのタイプC(qdcコネクタ互換でCIEM 2pin極性)が採用されています。ケーブルも銀メッキ線タイプです。装着性も従来のKZと同様ですが、開口部の広い従来と異なるタイプのイヤーピースが付属するため、耳に合えばそのまま使用しても問題ないでしょう。他には例によって定番の「スパイラルドット」や「KBEAR 07」(「AET07」互換品)、また密着性の強いタイプでは「SpinFit CP100+」、そして個人的には「TRN T-Eartips」もお勧めです。
■ サウンドインプレッション
「KZ ZNA」の音質傾向は中低域寄りのドンシャリ。「製品説明読むと昔のTFZみたいなこと書いてるし、TFZ SERIES1とか3ぽい感じに、いつもの30095載ってる印象の音かなー」と思って聴いてみて、まあだいたい合ってるという(笑)。そんな感じです(おい)。
思うんですが、10ドルとか20ドルとかで製品を販売するためには原価的には数ドルで製品を製造する必要があり、その売価で得られた利益で開発費もペイしないといけないですよね。低価格品というのは大量生産大量販売で成り立つビジネスモデルですが、KZくらい製品のリリース周期が早いと、いくら売れてもひとつひとつの製品は普通ではその水準までは行かないのではないかと。そして、いかに低コストで開発できるか、という点では「組み合わせのストックをどれだけ持っているか」が重要になりますが、単純なアレとコレの組み合わせみたいなのは、KZくらいになってくるとユーザーも結構分かってきていて既に飽きられ始めているかもしれない。いっぽうで、ユーザーの嗜好や流行りというのはある程度は周期性があるので、忘れられてるけど今なら受けそう、みたいな昔のチューニングをそのまま持ってくる、みたいな手法も結構あるんではないかなと。実はこのところ、そう感じる製品にわりと遭遇したりします。そういう意味では投げ売りされてるような5~6年前の製品の中古とかを漁ってみるのも案外いいかもしれませんよ(笑)。
閑話休題、思い切りわき道を爆走しちゃいましたが(^^;)、「KZ ZNA」の音質傾向は最近で言うと4BA+1DD構成でリニューアルした「KZ ZS10 PRO X」あたりに近いバランスでまとめられています。「ZS10 PRO X」はかつての人気モデル「ZS10 PRO」の傾向と構成を踏襲しつつドライバーまわりを一新することで高い解像感と分かりやすいメリハリ感を維持しつつより質感が向上した印象になりました。
今回の「KZ ZNA」は12mmの昔のTFZぽい(しつこい)二重磁気デュアルキャビティドライバーを搭載することで、その特徴として「TFZ SERIES 1/3/5」あたりでも記載されている「シングルドライバーでハイブリット的な特性」を実現。大口径ドライバーによる非常に深くパワーのある重低音とともに、「ZS10 PRO X」では中高域用のBAで補っていた帯域もダイナミックドライバーでしっかり鳴らすことにより、シンプルな1BA+1DD構成でよりエネルギッシュなハイブリッドサウンドを低コストで実現しています。
「KZ ZNA」の高域は、KZらしい金属質でサッパリした音を鳴らします。主張としては低域寄り控えめに感じますが、中高域付近の僅かに暗めの印象から一気に硬質で明るい音に変化し、ここで「30095」BAが鳴ってるんだな、と感じさせるポイントがあります。そういった意味ではいかにもハイブリッド的ですが、最近の「30095」BAは以前のように過度にギラつくような歪みはだいぶ解消されているため聴きやすくスッキリした印象になります。分離は比較的良く輪郭も明瞭に感じますが解像感などは価格なりです。
中音域はバランス良くまとめられており、癖の無い音を鳴らします。音場は左右に広く奥行きは浅め。そのため中音域は若干凹むもののボーカル域は近く、女性ボーカルも男性ボーカルも明瞭な輪郭と密度感を持ってパワフルに聴かせてくれます。しつこく昔のTFZぽいと書いているのも、この辺の「昔よくあったよね」みたいなドンシャリ系チューニングを感じたから、というのもありますね。とはいえ、これはこれでひとつのアプローチとして成立しており、ポップスやアニソンなどの打ち込みメインやすっかり主流となっている音圧上げまくってマスタリングしている音源ではむしろとても楽しく聴くことが出来ると思います。原音忠実とかは知ったこっちゃ無いっすね(笑)。
低域は非常にパワーがあり、重低音まで深く鳴っています。「CCA CXS」もかなり重低音に量感がある印象でしたが、こちらはミッドベースを含め低域全体に非常に厚みがあり、重量感のある音を鳴らします。過度に響くことは無く適度な締まりもあるため、前面に出る主張の強さがあっても分離は良く籠もるようなことはありません。音数の多い曲でもKZらしい派手さともとにキレのよさもあるため不満に感じることは少ないでしょう。ゴツい見た目通り、低域のインパクト重視の方には向いているイヤホンです。
■ まとめ
というわけで、「KZ ZNA」は新しさよりも懐かしさを感じる部分の方が多い気がしたイヤホンでしたが、たぶんターゲットとするユーザーの多くは「そんな昔のことは知らんよ」という方が中心だと思いますし、仮に知っていたとしても「そんなのは覚えてないわー」みたいな感じかもしれません。ですのでどちらかというと「温故知新」的な?。うーん、でもやっぱり目新しさは無いかな(^^;)。しいていえば刺さり等のコントロールはイマドキのイヤホンなので聴きやすくなっているところとか。
とはいったものの、20ドルで買えるイヤホンとしては見た目も音質的にも良くできており、最近の楽曲傾向、ストリーミングを中心としたリスニング環境とよく合っていると思います。アマゾンではちょっと高めですがパワフルな低域で楽しいサウンドが欲しい方には低価格で最適かもしれませんね。
私のブログでは毎度おなじみ低価格中華イヤホンブランド「KZ(KZ ACOUSTICS)」の1BA+1DD構成のハイブリッドモデル。ただしメインとなるダイナミックドライバー部は同社の主流である10mmサイズではなく、ひとまわり大きい12mmサイズのデュアル磁気回路デュアルキャビティ・ダイナミックドライバーを搭載しています。12mmサイズで二重のマグネットとデュアルキャビティ構造というと、TFZの伝統的なドライバーのシステムを連想させますね。
この構造は対向する2基の磁石により磁場を重ねることによる精度の向上とフロントキャビティとリアキャビティによってそれぞれ異なる周波数帯域をコントロールすることができ、よりダイナミックレンジの広いサウンドを実現できる特徴があります。「KZ ZNA」の製品説明でもTFZの初期の「SERIES 1/3/5」あたりの製品とほぼ同様の説明が記載されていましたので、やはり同様の効果を想定したものでしょう。ただTFZのこれらのモデルは発売された2016年当時は「SERIES5」で100ドル近い価格設定でしたが、「KZ ZNA」は「30095」ツイーターBAを加えたハイブリッドで20ドル程度になっています。
「KZ ZNA」の購入はAliExpressおよびアマゾンなどでの主要セラーより。
価格は20.90ドル前後(AliExpress)、4,500円~(アマゾン)です。
■ パッケージ構成、製品の外観および内容について
「KZ ZNA」のパッケージはいつもの白箱タイプ。パッケージ内容はイヤホン本体、ケーブル、イヤーピース(S/M/Lサイズ)、説明書。イヤーピースは「KZ PR1 PRO」などにも付属している青色の軸の開口部の広いタイプが付属します。
本体形状は従来のKZのサイズ感を踏襲しつつ側面にメッシュパーツが装飾された「ESX」以降で採用されているデザイン。フェイスプレートは金属製で模様部分がくりぬかれていますが裏から樹脂パーツで裏打ちされておりドライバーなどが透けて見えるデザインになっていますね。
コネクタは従来通りのタイプC(qdcコネクタ互換でCIEM 2pin極性)が採用されています。ケーブルも銀メッキ線タイプです。装着性も従来のKZと同様ですが、開口部の広い従来と異なるタイプのイヤーピースが付属するため、耳に合えばそのまま使用しても問題ないでしょう。他には例によって定番の「スパイラルドット」や「KBEAR 07」(「AET07」互換品)、また密着性の強いタイプでは「SpinFit CP100+」、そして個人的には「TRN T-Eartips」もお勧めです。
■ サウンドインプレッション
「KZ ZNA」の音質傾向は中低域寄りのドンシャリ。「製品説明読むと昔のTFZみたいなこと書いてるし、TFZ SERIES1とか3ぽい感じに、いつもの30095載ってる印象の音かなー」と思って聴いてみて、まあだいたい合ってるという(笑)。そんな感じです(おい)。
思うんですが、10ドルとか20ドルとかで製品を販売するためには原価的には数ドルで製品を製造する必要があり、その売価で得られた利益で開発費もペイしないといけないですよね。低価格品というのは大量生産大量販売で成り立つビジネスモデルですが、KZくらい製品のリリース周期が早いと、いくら売れてもひとつひとつの製品は普通ではその水準までは行かないのではないかと。そして、いかに低コストで開発できるか、という点では「組み合わせのストックをどれだけ持っているか」が重要になりますが、単純なアレとコレの組み合わせみたいなのは、KZくらいになってくるとユーザーも結構分かってきていて既に飽きられ始めているかもしれない。いっぽうで、ユーザーの嗜好や流行りというのはある程度は周期性があるので、忘れられてるけど今なら受けそう、みたいな昔のチューニングをそのまま持ってくる、みたいな手法も結構あるんではないかなと。実はこのところ、そう感じる製品にわりと遭遇したりします。そういう意味では投げ売りされてるような5~6年前の製品の中古とかを漁ってみるのも案外いいかもしれませんよ(笑)。
閑話休題、思い切りわき道を爆走しちゃいましたが(^^;)、「KZ ZNA」の音質傾向は最近で言うと4BA+1DD構成でリニューアルした「KZ ZS10 PRO X」あたりに近いバランスでまとめられています。「ZS10 PRO X」はかつての人気モデル「ZS10 PRO」の傾向と構成を踏襲しつつドライバーまわりを一新することで高い解像感と分かりやすいメリハリ感を維持しつつより質感が向上した印象になりました。
今回の「KZ ZNA」は12mmの昔のTFZぽい(しつこい)二重磁気デュアルキャビティドライバーを搭載することで、その特徴として「TFZ SERIES 1/3/5」あたりでも記載されている「シングルドライバーでハイブリット的な特性」を実現。大口径ドライバーによる非常に深くパワーのある重低音とともに、「ZS10 PRO X」では中高域用のBAで補っていた帯域もダイナミックドライバーでしっかり鳴らすことにより、シンプルな1BA+1DD構成でよりエネルギッシュなハイブリッドサウンドを低コストで実現しています。
「KZ ZNA」の高域は、KZらしい金属質でサッパリした音を鳴らします。主張としては低域寄り控えめに感じますが、中高域付近の僅かに暗めの印象から一気に硬質で明るい音に変化し、ここで「30095」BAが鳴ってるんだな、と感じさせるポイントがあります。そういった意味ではいかにもハイブリッド的ですが、最近の「30095」BAは以前のように過度にギラつくような歪みはだいぶ解消されているため聴きやすくスッキリした印象になります。分離は比較的良く輪郭も明瞭に感じますが解像感などは価格なりです。
中音域はバランス良くまとめられており、癖の無い音を鳴らします。音場は左右に広く奥行きは浅め。そのため中音域は若干凹むもののボーカル域は近く、女性ボーカルも男性ボーカルも明瞭な輪郭と密度感を持ってパワフルに聴かせてくれます。しつこく昔のTFZぽいと書いているのも、この辺の「昔よくあったよね」みたいなドンシャリ系チューニングを感じたから、というのもありますね。とはいえ、これはこれでひとつのアプローチとして成立しており、ポップスやアニソンなどの打ち込みメインやすっかり主流となっている音圧上げまくってマスタリングしている音源ではむしろとても楽しく聴くことが出来ると思います。原音忠実とかは知ったこっちゃ無いっすね(笑)。
低域は非常にパワーがあり、重低音まで深く鳴っています。「CCA CXS」もかなり重低音に量感がある印象でしたが、こちらはミッドベースを含め低域全体に非常に厚みがあり、重量感のある音を鳴らします。過度に響くことは無く適度な締まりもあるため、前面に出る主張の強さがあっても分離は良く籠もるようなことはありません。音数の多い曲でもKZらしい派手さともとにキレのよさもあるため不満に感じることは少ないでしょう。ゴツい見た目通り、低域のインパクト重視の方には向いているイヤホンです。
■ まとめ
というわけで、「KZ ZNA」は新しさよりも懐かしさを感じる部分の方が多い気がしたイヤホンでしたが、たぶんターゲットとするユーザーの多くは「そんな昔のことは知らんよ」という方が中心だと思いますし、仮に知っていたとしても「そんなのは覚えてないわー」みたいな感じかもしれません。ですのでどちらかというと「温故知新」的な?。うーん、でもやっぱり目新しさは無いかな(^^;)。しいていえば刺さり等のコントロールはイマドキのイヤホンなので聴きやすくなっているところとか。
とはいったものの、20ドルで買えるイヤホンとしては見た目も音質的にも良くできており、最近の楽曲傾向、ストリーミングを中心としたリスニング環境とよく合っていると思います。アマゾンではちょっと高めですがパワフルな低域で楽しいサウンドが欲しい方には低価格で最適かもしれませんね。