KZ DQS

こんにちは。今回は 「KZ DQS」です。10ドル台、2千円程度のシングルダイナミック構成の低価格モデルです。既存モデルで3DD構成の「KZ DQ6」がありましたが、価格や名称的にはその後継的な位置づけかも知れませんね。KZが自社開発した最新ダイナミックドライバーを搭載し、KZらしいメリハリの良さを感じさせつつ、より深さと滑らかさをもったサウンドが楽しめます。

■ 製品の概要について

私のブログでは毎度おなじみ低価格中華イヤホンブランド「KZ(KZ ACOUSTICS)」によるシングルダイナミック構成による新しい低価格モデルです。
KZ DQSKZ DQS
ドライバーは新型10mm 自社開発ダイナミックドライバー(Self-developed dynamic driver)をシングルで搭載。このドライバーは「CCA CXS」で先行して搭載されている「Legendary」ドライバーと同じものと思われます(「KZ ACOUSTICS」の公式サイトの「KZ DQS」の説明で「New Generation Legendary Dynamic Unit Earphone」という記述がありましたので間違いなさそうですね)。この新しいドライバーは時期ギャップを0.15mmまで押えることに成功。さらに精密な4層レイヤー構造のCCAWボイスコイルを搭載しています。
KZ DQSKZ DQS
また「KZ DQS」はフェイスプレートにベントを持つセミオープン型の構造を採用。キャビティ内の反射を効果的に抑制し、パワフルで鮮明なサウンドを実現しています。

KZ DQSKZ DQS

KZ DQS」の購入はAliExpressおよびアマゾンなどでの主要セラーより。
価格は13ドル前後(AliExpress)、2,200円~(アマゾン)です。


■ パッケージ構成、製品の外観および内容について

「KZ DQS」のパッケージはいつもの白箱タイプ。パッケージ内容はイヤホン本体、ケーブル、イヤーピース(S/M/Lサイズ)、説明書。ケーブルはブラウンの銅線タイプですね。
KZ DQSKZ DQS

本体は樹脂製でステムノズルは金属製。「KZ DQ6」と同様の細いタイプのように見えますが、メッシュ部分は少し大きくなっており、付属イヤーピースも「KZ DQS」では通常のフジツボタイプになりました。
KZ DQSKZ DQS
シェルの大きさには「KZ DQS」も「DQ6」をのサイズ感を踏襲しており、通常のKZ/CCAのシェルに比べて小振りで耳に収まりやすい形状です。装着性も良い印象です。
KZ DQSKZ DQS
イヤーピースは「DQ6」の柔らかいタイプではなくいつものタイプで、どちらにせよ基本は交換した方が良いでしょう。100均のイヤーピースでも結構変化はあるようですが、できれば低価格でもソニーの「ハイブリッドイヤーピース」あたりを使用する方がお勧めです。


■ サウンドインプレッション

KZ DQSKZ DQS」の音質傾向は中低域寄りのドンシャリ傾向。方向性としては「KZ DQ6s」あたりからさらに低域を厚くしたような印象ですね。KZのハイブリッドのような派手な高域は無く、やや暗めな印象もありますが、籠もることは無く聴きやすくまとめられている印象。低域は厚みとともにインパクトのある力強い音を締まりよく鳴らしてくれる印象で、非常に量感があるものの、見通しの良さは確保されています。中音域も僅かに凹む程度でボーカルは適度に主張し、自然な分離により奥行きのある音場感を演出します。

アプローチとしては「CCA CRA」に近いものの、「KZ DQS」は適度なメリハリがあり、これまでの「KZ EDX Pro」や「KZ DQ6」などを踏襲したKZらしさも感じられる、という点である程度は差別化出来ていると思います。また同様のドライバーを使用している「CCA CXS」は金属製シェルによる音導構造とボーカル域をやや持ち上げるU字のサウンドバランスによる、ある意味実験的なサウンドで、「KZ DQS」のほうはドンシャリ傾向のより素直な音作りだと感じます。

KZ DQSKZ DQS」の高域はKZらしいスッキリした印象はあるものの、やや暗く、若干後方で鳴ります。派手な主張はないものの籠もることは無く、聴きやすい音でボーカル域を下支えします。
中音域は僅かに凹むものの見通しは良く、ボーカル域もやや前に出ます。全体としてはKZらしい寒色系の音作りながら、ボーカルは僅かに温かみを感じ、適度な厚みと艶感があります。いっぽうで女性ボーカルの抜け感などはハイブリッド製品にくらべると今ひとつですが、刺激が少なく聴きやすい音作りだと思います。
低域は非常に厚く、適度なアクセントと力強さがあります。適度な締まりとスピード感があり、アタックも早い印象。重低音は重く深く、KZらしいメリハリの強さがあります。


■ まとめ

というわけで、「KZ DQS」は非常にパワーのある低域を持ちつつ、思いのほかスッキリして見通しが良く、聴きやすいサウンドのイヤホンという印象でした。セミオープン型のため多少の音漏れはありますが、静かな場所で無ければ普段使いでもさほど気にはならない程度で、全般として使いやすいイヤホンだと思います。また音場も自然な広さと奥行きがあるため、ゲーミングや動画視聴でも十分に楽しめるでしょう。なお、同様のドライバーを使用した多ドラモデルの「KZ ZAR」については私は購入した分はようやく発送された、という状況なので実際に聴いてみるのはもう少し先になりそうです。
とりあえず「KZ DQS」については、もう少し情報量の多いケーブルにリケーブルしてネトフリ用として使用するのが楽しいなと思っています(^^)。