TRIPOWIN x HBB Olina SE

こんにちは。今回は購入済み未レビューのイヤホンの紹介する「棚からレビュー」企画です。今回は 「TRIPOWIN x HBB Olina SE」ですね。購入したのは昨年のアマゾンのプライムデーたっだような・・・(曖昧)。気がついたらレビューしないまま放置状態になっていました(^^;)。HBB氏コラボ製品が広く認知されるきっかけとなった「Mele」と、大きくアップグレードした「Olina」の高評価を受けて特別版としてリリースされた製品ですね。よりニュートラル方向のチューニングが行われ、上質感が増したサウンドが楽しめます。

■ 製品の概要について

「TRIPOWIN」は数々のコストパフォーマンスに優れたイヤホンやケーブル製品をリリースしている、中国のオーディオメーカー&セラー「Linsoul」系のブランドです。同社の「HBB(hawaiibadboy)」氏とコラボシリーズは「Mele」、「Olina」と続き、完成度の高さとプライスパフォーマンスから好評を得ました。その「Olina」をさらにブラッシュアップしたのが2022年の秋頃にリリースされた特別版(Special Edition)が「TRIPOWIN x HBB Olina SE」です。
→過去記事(一覧): TRIPOWIN製品のレビュー

TRIPOWIN x HBB Olina SETRIPOWIN x HBB Olina SE

TRIPOWIN x HBB Olina SE」では、「Olina」が搭載するカーボン ナノチューブ(CNT)振動板ダイナミックドライバーをブラッシュアップした「第2世代の10mmドライバー」を採用。サスペンションエッジを更新し、振動板表面の張力を高めてドライバーの応答を高速化。また「Olina」と比較して最も深い10Hz付近が3dB向上するなどの改良が行われ、ロールオフが大幅に解消されることで、より堅牢でパンチ力のある重低音を実現しています。また高域も改良されており、より自然な高音域のレスポンスを実現しています。
TRIPOWIN x HBB Olina SETRIPOWIN x HBB Olina SE

TRIPOWIN x HBB Olina SE」の購入はLinsoul(linsoul.com)またはアマゾンのLINSOUL-JP(L.S オーディオ)にて。価格は99ドル、アマゾンでは14,620円で購入可能です。


■ パッケージ構成、製品の外観および内容について

 「TRIPOWIN x HBB Olina SE」のパッケージは「Olina」同様に、TRIPOWINのイメージであるブラックのカラーに製品のグラフィックが描かれています。
TRIPOWIN x HBB Olina SETRIPOWIN x HBB Olina SE
パッケージ内容はも基本的には「Olina」と同様ですが微妙に異なり、本体、ケーブル、イヤーピースはブラックの2タイプがそれぞれS/M/Lサイズ、交換用メッシュパーツ、ハードレザーケース、説明書など。レザーケースは円形タイプで「TRIPOWIN」のロゴが刻印されています。
TRIPOWIN x HBB Olina SETRIPOWIN x HBB Olina SE

TRIPOWIN x HBB Olina SE」はつや消しのブラックで統一されたカラーリングとなり、フェイス部分もシェルと同様の表面処理となりました。よりソリッドで一体感がありますね。フェイスプレートはHBB氏にちなんだハワイアンなカメのデザインになっています。
TRIPOWIN x HBB Olina SETRIPOWIN x HBB Olina SE
シェル形状自体は「Olina」とほぼ同じで、軽量でかつ耳に収まりやすいコンパクトなデザイン。装着性なども良好です。このブラックを基調にしたシンプルというかミニマルな感じはTRIPOWINのほかの製品とも共通したアイデンティティのようですね。「Olina」の樹脂プレートのデザインはむしろ安っぽさがあり今ひとつの印象でしたが、「TRIPOWIN x HBB Olina SE」はまとまりがあり、デザイン的にも好感が持てます。見た目で「Olina」を敬遠していた方にもお勧めできるデザインになったと思います。
TRIPOWIN x HBB Olina SETRIPOWIN x HBB Olina SE
ケーブルは本体デザインに合わせたダークブルーの被膜の4芯銀メッキ線が付属します。コネクタはフラットな2pinタイプです。こちらも「Olina」と同様で再生環境もあまり選ばない鳴らしやすい印象ですがリケーブルを楽しんでみるのも良いかもしれませんね。
TRIPOWIN x HBB Olina SETRIPOWIN x HBB Olina SE
イヤーピースは開口部の広いタイプと小さいタイプの2種類でそれぞれS/M/Lサイズが付属します。イヤーピースについても付属品のほか、定番のJVC「スパイラルドット」や「AET07」(互換品を含む)またよりフィット感の強いタイプでは「SpinFit CP100+」などへの交換も良いと思います。


■ サウンドインプレッション

TRIPOWIN x HBB Olina SETRIPOWIN x HBB Olina SE」の音質傾向はよりフラット方向にニュートラルで癖のな音を鳴らします。HBB氏コラボらしい低域の質感を維持しつつ全体としてより癖の無いサウンドを実現。さらに強化された重低音はより深く、しっかりと重く響く感じが追加され、全体的によりグルーヴ感のある心地よさを実現しています。また音場は「Olina」と比較してもより広く感じ、スピーカのような空間表現と没入感を得られます。「Olina」もかなり完成度の高いサウンドでしたが、より高レベルでブラッシュアップされており、100ドル級のシングルダイナミック構成のイヤホンとしてはかなりお勧めできる製品になっていると思います。

TRIPOWIN x HBB Olina SE」の高域は明るく伸びのある、見通しの良い音を鳴らします。直線的に伸びる印象で、「Olina」よりスッキリとした印象を感じさせます。比較すると「Olina」は多少ドンシャリ傾向で高域はボーカル域の華やかさを引き立たせるような鳴り方をしますが、「TRIPOWIN x HBB Olina SE」のほうがニュートラルな印象でシンバル音などはより明瞭で煌めきがあります。刺激を好まない方は「Mele」やノーマルの「Olina」のほうが良いかもしれませんが、個人的にはより質か向上したと感じます。

TRIPOWIN x HBB Olina SE中音域は広く立体的な音場感で、より忠実な音を鳴らしてくれます。カーボンナノチューブ(CNT)振動板でイメージされるようなシャープさは多少コントロールされており、自然な音像表現で仕上げられています。ボーカル域も自然な距離感で定位し、演奏とも綺麗に分離します。ここでも強調感は無く自然ですが、透明性の高さから必要な分離はしっかり得られています。やはり比較すると「Olina」は多少ボーカル域が強調されており、華やかさを感じるいっぽうで多少メリハリを強めているようにも感じます。いっぽうで「TRIPOWIN x HBB Olina SE」のより自然なチューニングはドライバーのポテンシャルの高さを要求されるのですが、低価格モデルでありがちな粗さもほぼ感じず、ドライバーの能力を引き出せていると思います。

低域はニュートラルな印象の中で分離性のあるタイトな音をパワフルに鳴らしてくれる印象です。「Olina」より重低音は深く重さがあり、存在感のある音を鳴らします。ミッドベースは過度に響くことは無く、スピード感のある印象。中高域との分離も良く全体としてはスッキリまとまっています。印象としては「TRIPOWIN x HBB Olina SE」も低域については「Olina」と同様ですが、質感は向上しています。


■ まとめ

TRIPOWIN x HBB Olina SEというわけで、3ヶ月ほど熟成させた(笑)書きかけレビューを仕上げた「TRIPOWIN x HBB Olina SE」ですが、改めて聴いてみてやはり仕上がりの良さを実感しました。HBB氏コラボの製品も何気にいろいろレビューしている気がしますが、こう見ると製品ごとに結構アプローチの違いを感じますね。ただ「これならいけそう」という製品については結構ニュートラル方向に攻めてくる感じも何となく見えてきました。「Mele」では中低域ドンシャリから「Olina」で弱ドンシャリ、そして「TRIPOWIN x HBB Olina SE」ではよりフラット方向に進化していくなかで搭載ドライバーの実力は欠かせない要素だと思いますし、その辺がうまくサウンドに反映されているのは興味深いですね。TRIPOWINの製品は「渋さ」というか「地味さ」がウリ、みたいなブランドですが(^^;)、実際に購入した感想としても、価格的にも十分にお勧めできるイヤホンだと思いますよ。