
こんにちは。今回は購入済み未レビューのイヤホンを紹介する「棚からレビュー」企画です。
紹介するのは 「LETSHUOER S12 Pro」です。「LETSHUOER」の大人気平面駆動ドライバー搭載モデル「S12」のアップグレード版として2022年後半にリリースされた製品ですね。私のブログでも「S12」と「Z12(Limited版)」のレビューを掲載していますので、「LETSHUOER S12 Pro」で3モデル目になりますね。「S12」との相違点は本体カラーと付属ケーブルだけかと思いきや、本体のチューニングも想像以上に異なっており、より聴きやすく、低域の厚みを増すなどはっきりとした印象の違いもありました。
■ 製品の概要について
6周年記念モデルでもある「LETSHUOER S12 Pro」は「S12」をベースとしたアップグレードモデルで、ドライバーには「S12」と同じく大型の14.8 mm 平面駆動ドライバーを搭載。広々としたサウンドステージ、パワフルなローエンド、美しいボーカルなど比類のないサウンド パフォーマンスを提供します。本体は5軸CNC加工されたアルミニウム合金製シェルを採用。


「LETSHUOER S12 Pro」ではまったく新しい「ディープスペースブルー」のカラーリングがシェルに与えられ、さらにチューニングを更新。パンチの効いたローエンドでバランスのとれたサウンド プロファイルを得られるようにしました。さらに耳圧の蓄積を最適化するために、チャンバーの両側に通気孔を備えた音響構造を再設計しました。


そして、「LETSHUOER S12 Pro」では付属ケーブルをアップグレード。交換可能なモジュラー式のプラグを採用した高純度銀メッキ単結晶銅ケーブルが付属します。線径0.05mmの線材を98本束ねた芯を左右2本ずつ樹脂被膜で覆い撚り線にした4芯タイプのケーブルで、本体への接続は標準的な0.78mm 2pinコネクタを採用します。パッケージには3.5mm、2.5mm、4.4mmの各プラグが同梱されます。


「LETSHUOER S12 Pro」の購入はAliExpressや害が以外の主要セラー、アマゾンなどにて。
価格は値引き前価格で169ドル前後、アマゾンでは25,999円前後です。
※掲載時点で、AliExpressでは表示がセール価格になっており、さらにクーポンで追加値引きなどがああるため、以下の公式ストアやセラーでは120ドルを大きく下回り日本円でも1万5千円ほどで購入できるようです。
Amazon.co.jp(LETSHUOERストア): LETSHUOER S12 Pro ※掲載時20% OFFクーポン配布中
■ パッケージ構成、製品の外観および内容について
購入したのは1月頃で、開封後100時間程度の鳴らし込みを行っています。発売当初はオリジナルの「S12」に対して本体カラーと付属ケーブルだけの違いかな、と思っていたのですが、どうもチューニングも異なるらしい、ということで改めて購入してみました。


パッケージは製品画像を掲載した白箱タイプ。他の「S12」シリーズと同じ大きさのボックスです。化粧カバーを外すと「LETSHUOER」と書かれたボックスが出てくるのも同じですね。パッケージ内容は、本体、ケーブル、交換プラグ(3種類)、イヤーピースは3種類(白色、黒色、ウレタン)でそれぞれS/M/Lサイズ、レザーケース、説明書、保証書など。


アルミ製の本体は非常にシンプルなデザインで、形状は「S12」を踏襲しています。コネクタ部分が四角く張り出している以外は耳にあわせたシルエットになっており、ハウジング自体はコンパクトにまとまっています。濃いブルーのカラーリングで「S12」の地味さがだいぶ解消されていると思うのは気のせいでしょうか。


14.8mmとほぼ15mm近いサイズの大口径ドライバーを搭載しつつ他の14mm級平面ドライバー搭載のイヤホンと比較しても比較的小さく、絶妙にしっくりくる装着感で耳への収まりも抜群です。「S12」およぼ「Z12」との外観上の相違点はシェル自体はカラーリングのみでしたが、「LETSHUOER S12 Pro」はステムノズルのメッシュパーツの仕様が異なります。内部チューニングに変更が加えられていることが確認出来ますね。


付属ケーブルの線材は「S12」とおなじで、「Z12」の限定版の後に販売された通常版(黒色/金色タイプ)に付属する交換用プラグが「LETSHUOER S12 Pro」でも採用されます。プラグ及び分岐部分などの金属部品は本体と同じブルーのカラーリングが施されています。被膜は若干硬めで弾力がありますが取り回し自体は良好です。


イヤーピースは3種類のタイプが付属するなどイヤホン本体同様に装着性には結構意識しているようです。他にも定番のJVC「スパイラルドット」や「SpinFit CP100+」、「Softears U.C.」、そして最近では「TRN T-Eartips」など自分の耳に合う最適なイヤピースを選択するのも良いでしょう。
■ サウンドインプレッション
「LETSHUOER S12 Pro」の音質傾向は平面駆動らしい歪みの無いニュートラルなサウンドで、バランスとしては僅かに中低域寄りの弱ドンシャリ。印象としてオリジナルの「S12」とは想像以上に違いがありました。「S12」も傾向としては弱ドンシャリに近いですが、バランス的にはどちらかというとV字よりU字に近く、ややフラット方向の印象。またボーカル域はより近く、中高域に明瞭感がありました。これに対し、「LETSHUOER S12 Pro」はより広さのある音場感があるものの中高域は「S12」より僅かに暗く、ボーカルも自然な距離感があります。高域は同様に伸びやかで煌めきもありますが、主張としては「LETSHUOER S12 Pro」のほうが若干控えめで聴きやすく調整されています。全体として平面駆動らしい歪みの無い低域と正確さのある音像表現があり、より自然で聴きやすいサウンドという印象です。ただし、この辺は好みだと思うのですが、よりスッキリとした明瞭感を好まれる方はオリジナルの「S12」のほうが好印象かもしれませんね。
「LETSHUOER S12 Pro」の高域は明瞭で伸びの良さを感じつつ、自然な印象で聴きやすくまとめられています。オリジナルの「S12」に比べると主張は少しおさえられていますが、煌めきなども感じられ。歪みなどは無く直線的な印象。解像感も高く細かい音の描写も綺麗です。
中音域はニュートラルで癖の無い音を鳴らします。中音域の主張は「S12」のほうが強くボーカルも前に出ますが、「LETSHUOER S12 Pro」はよりV字の印象で曲によっては僅かに凹みます。ボーカルも自然な距離感がある印象。演奏との分離や定位は良く、バランス接続プラグでS/Nの高い再生環境を選ぶことでより空間を捉えやすくなります。「S12」同様に寒色傾向ですが「LETSHUOER S12 Pro」のほうが連核が自然で自然な印象を受けます。中低域に密度感が有り、より広がりのある音場感が影響しているようです。いっぽうで中高域は抜けの良さは「S12」同様ですが女性ボーカルの高音などはやや線が細く、「S12」より僅かに暗く感じます。「LETSHUOER S12 Pro」はやや個性的な印象もあった「S12」に対して、「○○ターゲット」寄りの印象が高まり、より自然なリスニングサウンドに仕上げられています。
低域は平面駆動ドライバーらしい質の良さを感じる解像感の高い音を鳴らします。「S12」より量感があり、バランスとしてはコラボモデルの「Z12」に近い印象。より重低音が強化され、十分な量感とともに非常に深く沈みスピード感と解像感を維持します。ミッドベースは直線的で適度な締まりがありつつ自然な存在感を維持しています。原音に対する忠実さや表現力の高さはこのイヤホンの魅力のひとつになっていることは間違いないでしょう。
また、より高域の抜け感や演奏との分離感、そして立体的な音場感を実感したい方は、より情報量が多く中高域に明瞭感のある高純度の銀メッキ線などへのリケーブルでかなり印象の変化を実感出来ます。以前レビューした「NICEHCK Spacecloud Ultra」あたりにリケーブルすると、音質傾向を維持しつつよりスッキリとした見通しの良さが実感でき、音場感の向上とともに1音1音の粒立ちの良さも向上します。同様に相性の良いケーブルは比較的低価格でもリリースされていますので、銀メッキOCC線あたりを中心にいろいろ試されるのも良いと思いますよ。
■ まとめ
「LETSHUOER S12 Pro」はよくまとまっているイヤホン、という意味で14mm級平面駆動ドライバー搭載のイヤホンのなかでも非常に優れた製品であることは間違いないと思います。ボーカル曲はもちろん各種インストルメンタル、そしてクラシックやジャズも含め幅広く楽しめるオールラウンドな傾向も幅広く好感されそうです。また、平面駆動タイプとしては比較的鳴らしやすく、小型のオーディオアダプターやDAPなどでも結構楽しめるのもメリットでしょう。リスニングイヤホンとしてより自然なサウンドバランスで仕上げられており、多くの方にとって使いやすく質の高いサウンドを楽しめるイヤホンとしておすすめできます。
特にレビュー掲載時点でAliExpressの各ショップでは当初価格(169ドル)よりかなりディスカウントが進んでおり、公式ストアの実質価格で115ドル程度、1万5千円程度で購入できるようになってきています。またアマゾンでも20%OFFクーポンにより実質2万円ほどでプライム扱いで購入できます。この価格であればかなりお買い得なイヤホンではないかと思われます。個人的にはオリジナルの「S12」の今となってはちょっと個性的に感じるサウンドも相変わらず選択肢としてオススメなのですが、どちらの製品もリケーブルやイヤーピースでも結構変化を楽しめますし、派手さはありませんが長く使えるイヤホンとして良い選択肢のひとつではないかと思いますよ。
「LETSHUOER」(SHUOER ACCOUSTICS)は2016年に創業したIEM/カスタムIEMのファクトリーブランドで、中国国内でのカスタムIEMビジネスのほか話題のモデルを数多くリリースしています。同社の人気モデルが14.8mmサイズの平面磁気駆動ドライバーをシングルで搭載する「LETSHUOER S12」で、詳細な高音域、鮮明な中音域、そして力強い低域を備え、卓越したサウンドパフォーマンスで多くの方から高い評価を得ています。また平面磁気駆動ドライバーとしては比較的鳴らしやすく使いやすいさも特徴です。
→ 過去記事: 「LETSHUOER Z12 Limited Edition」 名機「S12」ベースの500セット限定コラボ仕様モデル。14.8mm平面駆動ドライバー搭載の高音質中華イヤホン【レビュー】
6周年記念モデルでもある「LETSHUOER S12 Pro」は「S12」をベースとしたアップグレードモデルで、ドライバーには「S12」と同じく大型の14.8 mm 平面駆動ドライバーを搭載。広々としたサウンドステージ、パワフルなローエンド、美しいボーカルなど比類のないサウンド パフォーマンスを提供します。本体は5軸CNC加工されたアルミニウム合金製シェルを採用。


「LETSHUOER S12 Pro」ではまったく新しい「ディープスペースブルー」のカラーリングがシェルに与えられ、さらにチューニングを更新。パンチの効いたローエンドでバランスのとれたサウンド プロファイルを得られるようにしました。さらに耳圧の蓄積を最適化するために、チャンバーの両側に通気孔を備えた音響構造を再設計しました。


そして、「LETSHUOER S12 Pro」では付属ケーブルをアップグレード。交換可能なモジュラー式のプラグを採用した高純度銀メッキ単結晶銅ケーブルが付属します。線径0.05mmの線材を98本束ねた芯を左右2本ずつ樹脂被膜で覆い撚り線にした4芯タイプのケーブルで、本体への接続は標準的な0.78mm 2pinコネクタを採用します。パッケージには3.5mm、2.5mm、4.4mmの各プラグが同梱されます。


「LETSHUOER S12 Pro」の購入はAliExpressや害が以外の主要セラー、アマゾンなどにて。
価格は値引き前価格で169ドル前後、アマゾンでは25,999円前後です。
※掲載時点で、AliExpressでは表示がセール価格になっており、さらにクーポンで追加値引きなどがああるため、以下の公式ストアやセラーでは120ドルを大きく下回り日本円でも1万5千円ほどで購入できるようです。
AliExpress(LETSHUOER Official Store): LETSHUOER S12 Pro ※掲載時125.55(-8%)ドル
AliExpress(Angelears Audio Store): LETSHUOER S12 Pro ※掲載時132(-14)ドル、オマケ付き
Amazon.co.jp(LETSHUOERストア): LETSHUOER S12 Pro ※掲載時20% OFFクーポン配布中
■ パッケージ構成、製品の外観および内容について
購入したのは1月頃で、開封後100時間程度の鳴らし込みを行っています。発売当初はオリジナルの「S12」に対して本体カラーと付属ケーブルだけの違いかな、と思っていたのですが、どうもチューニングも異なるらしい、ということで改めて購入してみました。


パッケージは製品画像を掲載した白箱タイプ。他の「S12」シリーズと同じ大きさのボックスです。化粧カバーを外すと「LETSHUOER」と書かれたボックスが出てくるのも同じですね。パッケージ内容は、本体、ケーブル、交換プラグ(3種類)、イヤーピースは3種類(白色、黒色、ウレタン)でそれぞれS/M/Lサイズ、レザーケース、説明書、保証書など。


アルミ製の本体は非常にシンプルなデザインで、形状は「S12」を踏襲しています。コネクタ部分が四角く張り出している以外は耳にあわせたシルエットになっており、ハウジング自体はコンパクトにまとまっています。濃いブルーのカラーリングで「S12」の地味さがだいぶ解消されていると思うのは気のせいでしょうか。


14.8mmとほぼ15mm近いサイズの大口径ドライバーを搭載しつつ他の14mm級平面ドライバー搭載のイヤホンと比較しても比較的小さく、絶妙にしっくりくる装着感で耳への収まりも抜群です。「S12」およぼ「Z12」との外観上の相違点はシェル自体はカラーリングのみでしたが、「LETSHUOER S12 Pro」はステムノズルのメッシュパーツの仕様が異なります。内部チューニングに変更が加えられていることが確認出来ますね。


付属ケーブルの線材は「S12」とおなじで、「Z12」の限定版の後に販売された通常版(黒色/金色タイプ)に付属する交換用プラグが「LETSHUOER S12 Pro」でも採用されます。プラグ及び分岐部分などの金属部品は本体と同じブルーのカラーリングが施されています。被膜は若干硬めで弾力がありますが取り回し自体は良好です。


イヤーピースは3種類のタイプが付属するなどイヤホン本体同様に装着性には結構意識しているようです。他にも定番のJVC「スパイラルドット」や「SpinFit CP100+」、「Softears U.C.」、そして最近では「TRN T-Eartips」など自分の耳に合う最適なイヤピースを選択するのも良いでしょう。
■ サウンドインプレッション

「LETSHUOER S12 Pro」の高域は明瞭で伸びの良さを感じつつ、自然な印象で聴きやすくまとめられています。オリジナルの「S12」に比べると主張は少しおさえられていますが、煌めきなども感じられ。歪みなどは無く直線的な印象。解像感も高く細かい音の描写も綺麗です。

低域は平面駆動ドライバーらしい質の良さを感じる解像感の高い音を鳴らします。「S12」より量感があり、バランスとしてはコラボモデルの「Z12」に近い印象。より重低音が強化され、十分な量感とともに非常に深く沈みスピード感と解像感を維持します。ミッドベースは直線的で適度な締まりがありつつ自然な存在感を維持しています。原音に対する忠実さや表現力の高さはこのイヤホンの魅力のひとつになっていることは間違いないでしょう。

■ まとめ

特にレビュー掲載時点でAliExpressの各ショップでは当初価格(169ドル)よりかなりディスカウントが進んでおり、公式ストアの実質価格で115ドル程度、1万5千円程度で購入できるようになってきています。またアマゾンでも20%OFFクーポンにより実質2万円ほどでプライム扱いで購入できます。この価格であればかなりお買い得なイヤホンではないかと思われます。個人的にはオリジナルの「S12」の今となってはちょっと個性的に感じるサウンドも相変わらず選択肢としてオススメなのですが、どちらの製品もリケーブルやイヤーピースでも結構変化を楽しめますし、派手さはありませんが長く使えるイヤホンとして良い選択肢のひとつではないかと思いますよ。