EarFun Air Pro 3

こんにちは。今回は「EarFun Air Pro 3」です。昨年末にリリースされた「EarFun」の最新モデルですね。最新チップセット「QCC3071」を搭載し、Bluetooth 5.3対応、「aptX Adaptive」コーデックのほか、将来的には「LE Audio(LC3)」にもファームウェアの更新で対応予定という仕様も魅力的ですね。また-43dBの強力なANC機能のほか基本機能も充実しており、お手頃価格で購入できるフルスペックのTWSといえるでしょう。
 
■ 製品の概要について

「EarFun」は現在では日本でも低価格&高性能TWS製品のブランドとして広く認知されているブランドですね。同社は「Free」シリーズで低価格ANC搭載モデルを一気に市場に浸透させたメーカーとしても知られています。さらに同社の定番となっているのが「Air」シリーズで、これまでも性能アップしたモデルを次々と登場させてきました。今回の「EarFun Air Pro 3」はハイグレード仕様の「Air Pro」の3代目モデル。フルスペック仕様に加え、次世代に向けてた機能も搭載した最新モデルです。

「Air」シリーズはいわゆるAirPods型のデザインをモチーフに優れた装着性を持つカナル型のデザインを採用しています。そのため通常のTWS製品より大口径のドライバ-を搭載できる点が特徴のひとつですね。「EarFun Air Pro 3」では従来より大口径の11mmサイズのダイナミックドライバーを搭載します。
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EarFun Air Pro 3」はBluetooth 5.3 に対応し、将来的には「LE Audio」にも対応可能な最新のQualcomm製「QCC3071」チップセットを搭載。コーデックは96kHzハイレゾ仕様の「aptX Adaptive」に対応。もちろん「aptX」および従来の「SBC」「AAC」コーデックにも対応します。また将来のアップデートでは「LE Audio」の「LC3」コーデックも利用可能になる予定です。
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また「EarFun Air Pro 3」では最大-43dBの「Hybrid ANC」(アクティブ・ノイズキャンセリング)機能を搭載。また「Qualcomm CVC8.0」により、6基のマイクを使用した通話ノイズキャンセラに対応。音楽再生時も通話時もノイズの無いクリーンなサウンドを実現します。

ほかにも「EarFun Air Pro 3」は一度に2つのBluetoothデバイスをペアリングして接続する「マルチポイント接続」対応、最大55msの超低遅延ゲームモード、IPX5相当の防水性能(本体)など妥協のないフルスペック仕様を実現。バッテリー稼働は本体9時間(ANC有効時は7時間)、ケース込み45時間の再生時間を実現。またケースはワイヤレス充電にも対応します。
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もちろん、「EarFun Air Pro 3」も「専用アプリ」と「マルチポイント接続」に対応。iOSとAndroidに対応する「EarFun Audio」アプリ上では、EQの設定、ANCモード切り替え、ゲームモードON/OFF、そしてタッチントロールのアサインなどさまざまな機能を提供しています。

BluetoothV5.3 / 
LE Audio (対応予定)
ドライバー11mm 大口径
ダイナミックドライバー
SoCQualcomm QCC3071
コーデックaptX Adaptive /
aptX / AAC / SBC /
LC3(対応予定)
ANCANC搭載 最大 -43dB
再生時間9時間(ANC OFF) / 7時間(ON)
ケース込み 45時間
通話NCCVC8.0 (ENC)機能
防水規格IPX5 (本体のみ)
アプリEarFun Audioアプリ対応
その他マルチポイント接続対応
55ms ゲームモード
ワイヤレス充電対応
サイズ60×50×31mm(ケース)
52g(全体) 
EarFun Air Pro 3」の購入はアマゾンのEarFun公式ショップにて。価格は8,990円です。
Amazon.co.jp(EarFun公式ショップ): EarFun Air Pro 3
※現在1500円OFFクーポンを配布中です。適用すると 7,490円 で購入可能です。


■ パッケージ内容及び機能について 

発売されたのは昨年末くらいの「EarFun Air Pro 3」で発売後も非常に人気の高いモデルですね。実質8千円以下で購入できるフルスペックモデルで、毎度のことながらしっかりしたパッケージです。
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パッケージ内容は本体(イヤホン本体、充電ケース)、イヤーピース(装着済みのMサイズとてXS/S/Lサイズの合計4サイズ)、充電ケーブル(USB Type-C)、クリーニング棒、説明書、保証書、アプリの案内カードなど。
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充電ケースは60mm×50mm×31mmと比較的コンパクトで使いやすいサイズ感。ペアリングもスムーズに行うことが出来ました。また従来のEarFun製品同様に充電ケースの底面はQiワイヤレス充電に対応し、スマートフォン用などのワイヤレス充電装置をつかっての充電も可能です。ケースの充電は地味に面倒だったりするので結構便利ですね。
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本体デザインは完全ワイヤレスとしては定番のスティックタイプ。形状的に大きな特徴は有りませんが、11mmというこのタイプとしてはなかなかの大口径ドライバーを搭載しますが、ドライバーを格納するタマゴ型のハウジングが耳にフィットし、イヤーピースでしっかり固定できます。
イヤーピース円形でやや浅めのタイプが付属します。カナル型とはいえ耳奥まで差し込むタイプでは無く、比較的ソフトに装着できるため、カナル型があまり得意でない方も含め多くの方が利用しやすい形状だと思います。またイヤーピースはTWS用の市販品に交換することも可能ですので、フィット感をより工夫してみるのも良いかもしれませんね。
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本体形状としてはタッチセンサー部分が丸くモールドが作られているのは個人的には誤操作防止のうえではちょっとありがたい仕様です。シングルタップで音量のアップ/ダウン、ダブルタップで再生/停止のタイプです。また標準ではゲームモード切替えのボタン設定は無く専用アプリでの切替となります。ただし、これらのモードは専用アプリを使って割り当てを変更することも可能です。

再生/停止2回タップ(左 / 右)
音量UP右側 タップ
音量DOWN左側 タップ
曲送り右側 3回タップ
曲戻し左側 3回タップ
ANCモード左側 2秒長押し
(ANC→外音取込→ノーマル)
音声
アシスタント
右側 2秒長押し 
受話/終話
着信時2回タップ(左 / 右)
通話切替着信時2秒長押し(左 / 右)
機器間の
通話切替
通話時3回タップ(左 / 右)
マルチポイント接続に対応しているため、通話中の3回タップで接続した2台のBluetooth機器間の通話を切替える機能もアサインされています。なお通話時の各種機能の割り当てについてはアプリで変更はできないようですね。


■ 専用アプリとファームウェア更新について


EarFun Air Pro 3EarFun Air Pro 3」は対応するAndroidスマートフォンやDAP等では「aptX Adaptive」コーデックでペアリングします。マルチポイント接続対応のため、1台のデバイスを接続後に機器側のBluetoothをOFFにするなどいったん切断し、別のデバイスでペアリングすることで、以降は2台のデバイスで同時にペアリングできます。この場合、Androidは「aptX Adaptive」、iPhoneは「AAC」と異なるコーデックで同時接続状態にすることも問題なくできました。マルチポイント接続中はどちら側のデバイスで再生しても特に切替えなく音声が出力されます。ただし通話時は先に受話した方からのみ出力されますが、前述の通りタッチ操作で通話を切替えることもできます。
2台の端末で同時に通話をすることはあまり無いかも知れませんが、例えば、PCとスマートフォンを同時にマルチポイント接続し、PCでWeb会議中にスマートフォン側で着信があった場合に通話を切替える、という使い方を行うことができます。
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専用アプリはAppStoreまたはGoogle Play Storeで「EarFun Audio」で検索してインストールします。初回起動時に利用規約とプライバシーポリシーの同意をしますが、ここで言語を日本語にします(起動時は英語)。EarFunのアカウントの無い場合は登録の作業が必要になります。登録作業はちょっと煩雑な印象もありましたが、初回だけですので指示通り登録をします。登録を完了しアプリにログインするとペアリング済みであれば状態が表示されるはずです。
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アプリのメニューではANCモードの切替え、ゲームモードのON/OFFなどが直感的に変更できます。EQ(イコライザー)は4種類のモードのほかマニュアルでの設定も可能です。直感的かつシンプルな操作性で多くのユーザーにとってはむしろ使いやすいのではと思います。その他右上の設定アイコンを選ぶとファームウェアのアップデートやタッチセンサーのアサインの変更などの設定が可能です。

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今回、発売から少し経っていることもあり、「EarFun Air Pro 3」向けの新しいファームウェアがリリースされていました。専用アプリの設定アイコンからフェームウェアを洗濯することでバージョンの確認とアップデートを実施できます。今回のアップデートでは対応予定の「LE Audio」(「LC3」コーデック)にはまだ未対応でしたが、スマートフォン側はAndroid 13のリリースで「開発者向けオプション」で「LE Audio」が選択可能になっていますので、対応版ファームウェアの登場も近いかもしれませんね。


■ 接続性およびANC機能について

EarFun Air Pro 3EarFun Air Pro 3」は最新のQualcomm製チップセットを搭載し、Bluetooth 5.3にも対応していることから接続性は非常に良好です。混雑した都内の駅などでも安定した接続性を維持することができました。また通話品質についても非常に明瞭で、普段使いのアイテムとして満足のいく実用性を持っていると思います。ちなみにハイレゾの「aptX Adaptive」も含め「aptX」系のコーデックはAACより圧縮率が高くより低遅延な仕様ですので「aptX Adaptive」と「ゲームモード」を併用することでさらに遅延を気にせず利用できます。

「ANC」モードは最大-43dBとかなり強力なノイズキャンセリング性能を搭載しており、ONにすることでかなり環境ノイズを取り除いた静寂感があります。いっぽうで、音楽などを再生していない状態ではアナウンスなどの音声はある程度聞こえるようにチューニングされています。特に都心の街中や駅構内、電車内では絶大な効果を実感しました。
EarFun Air Pro 3私の場合、普段から出張が多いためTWS製品は新幹線移動中に使用することも多いのですが、家族連れの旅行客なども多い新幹線車内での騒々しさは「ANC」モードでほぼカットしつつ、車内アナウンスは音楽再生を止めればある程度聞こえるという感じになります。また新幹線への乗換駅で(例えば私がよく使う米原駅などで)通過線を200km/hオーバーで通過する「のぞみ」の爆音なども耳に負担のかからない程度にカットしてくれたりもします。ほかにも「ANC」を活用することで日常的には地下鉄入線時のブレーキ音など結構耳に負担のかかる音は普段から多いことに気付かされるでしょう。


■ サウンドインプレッション


EarFun Air Pro 3EarFun Air Pro 3」の音質傾向は中低域寄りでパワフルな印象のドンシャリサウンド。大口径の11mmダイナミックドライバーを搭載したことで、従来よりさらに臨場感のある低域になりました。また「AptX Adaptive」コーデックやBluetooth 5.3の安定した接続性により、従来の聴きやすいサウンドバランスを踏襲しつつ、より明瞭で解像感のあるサウンドを楽しめる印象です。ちなみにファームウェアのアップデートで発売当初よりバランスが改善されており、特に低域の量感はより自然な印象となっているようです。本レビューではアップデート後の「バージョン0.3.9」を前提に記載しています。
中音域には適度な厚みがあり、低域は非常にサウンドパワフルに鳴ります。高域ややや控えめなものの適度な抜けの良さがあり、イコライザーで「高域ブースト」を選ぶことでより明瞭感のあるサウンドを楽しめます。
ちなみに、イヤーピースが合わない場合、多少臨場感に欠ける印象になることがありますが、TWS用で販売されている各種イヤーピースを利用し、よりフィット感の良いものを選ぶことで大きく改善されるのではと思います。

高域は量的にはやや控えめなものの、明瞭な伸びの良さと適度な主張があります。シンバル音もハッキリしており心地よさがあります。低域が厚めの印象のためもう少し抜けの良い印象が好みの方はアプリで「高域ブースト」を選ぶことでよりスッキリした印象を楽しめます。硬質な煌めきがあり、鋭さのある曲も聴きやすい範囲の適度な明瞭感があります。
EarFun Air Pro 3中音域は厚みがあり、ボーカルも比較的近くで再生されます。従来機種より解像感も向上しており、演奏との分離も比較的良好です。ボーカル帯域は癖の無い音で適度な主張があります。中低域の厚みから臨場感のあるサウンドを楽しめます。
低域は非常にパワフルで厚みのある音を鳴らします。量的には多いですが過度に膨らむことは無く、ミッドベースも力強さを感じつつ直線的で締まりのある印象。重低音はより重くしっかり沈む印象です。適度にスピード感があるため、EDMなども心地よく感じます。パワフルなサウンドなのでロックやポップス、アニソンなどと相性が良いでしょう。ボーカル曲を中心に楽しめるサウンドだと思います。


■ まとめ

EarFun Air Pro 3というわけで、「EarFun Air Pro 3」はEarFunらしさをしっかり踏襲しつつ、全方面に向けて機能及び性能を向上させたモデルとして高い完成度を実感しました。また音質面でも大口径ドライバーの採用などもありさらにレベルアップしているようです。様々な用途を想定してもとりあえず買っておいて損は無いという使い勝手の良さで、満足度はかなり高い製品といえるでしょう。また今後の「LE Audio」への対応も期待したいところですね。
発売以降の評価も非常に高いモデルですが、8千円以下で購入可能な製品としては確かに結構オススメできるTWS製品だと感じました(^^)。