
こんにちは。今回は「SUPERTFZ MY LOVE 2022」です。 購入したのはしばらく前ですが、3月24日より国内版も発売になりましたので改めてレビューすることにしました。
「TFZ」の「MY LOVE」シリーズは2016年に500個限定で販売された「SERIES1S My Love」から毎年リリースされている、それぞれの年の「特別版」の製品です。今回の「SUPERTFZ MY LOVE 2022」は「SUPERTFZ」ブランドとしては初めてリリースされた製品ですが、日本ではエントリークラスの製品として今年に入って新たにリリースされました。
■ 製品の概要について


閑話休題、というわけで今回の「SUPERTFZ MY LOVE 2022」ですが、製品名の通り位置づけとしては「2022年版の『MYLOVE』」となります(2021年までの変遷は上記の過去記事をご覧ください)。そのため海外のオフィシャルストアなどでは既に販売を終了しており、AliExpressなどでは各セラーが保有する在庫を販売している状況かもしれません。しかし今回、日本で新しいエントリークラスの製品としてリリースされたことで再生産が行われ、海外でも改めて流通するかもしれませんね。


「SUPERTFZ MY LOVE 2022」では「超軽量ナノグラフェン振動板」を採用したダイナミックドライバーをシングルで搭載。ドライバーユニットとしては以前レビューした「SUPERTFZ FORCE KING」と同世代のユニットをチューニングを変更して搭載していると思われます。「SUPERTFZ FORCE KING」も既に販売を終了しており、現在は「Penon Audio」など在庫を持っているセラーでのみ購入可能ですが、発売当時は129ドルの価格設定で、発売時価格で32ドルほどの「SUPERTFZ MY LOVE 2022」はドライバーだけを捉えればかなりディスカウントされているのがわかります。


またエントリークラスらしく、5色のカラーバリエーションが用意されており、「レッド」「ブラック」「ホワイト」「ピンク」「トランスペアレント(クリア)」から選択することが出来ます。
「SUPERTFZ MY LOVE 2022」の海外版は発売時価格で32.9ドル。
国内版は主要専門店などで購入可能で税込み6,500円で販売されています。
Amazon.co.jp(国内正規品): SUPERTFZ MY LOVE 2022
■ パッケージ構成、製品の外観および内容について
「SUPERTFZ MY LOVE 2022」のパッケージは「SUPERTFZ」のやたら過剰包装な筒型ではなく、以前のTFZ製品を踏襲したシンプルなボックス。サイズは「LIVE 1」や「MY LOVE EDITION 2021」と同じですが上フタが無くクリアブリスターでカバーされ吊るしが付いているタイプです。


パッケージ内容は、イヤホン本体、ケーブル、イヤーピースは2種類でそれぞれS/M/Lサイズ、布製ポーチ、説明書。シンプルながらポーチが復活してくれたのは有り難いです。
本体は樹脂製で形状は従来のTFZのデザインを踏襲しています。樹脂製のフィス部分も含めたデザインは「TFZ S2 PRO」に非常に近いですね。ただ「S2 PRO」が単色で謎のクマさんデザインだったのに対し、こちらは謎の「J○」風の「SUPERTFZ」ロゴ(^^;)。


また、クリア以外は2色カラーリング、今回購入したクリア(トランスペアレント)は「S2 PRO」にも後期のモデルで同様のデザインがありましたがフェイス部にラメラメなシートが裏から貼り付けられています。


ケーブルは銀メッキ線タイプですが「LIVE 1」などのモデルで付属しているケーブルより柔らかくなり取り回しが大幅に向上しました。プラグ部分もL字タイプでちょっと使いやすくなりましたね。
また、従来のTFZと同じ形状のため、装着感も従来モデルと同様です。多少大きなハウジングのため耳の小さな方は合わない場合もありますが、装着感自体は悪くありません。イヤーピースは付属の開口部の大きい方(原音忠実)と小さい方(やや低域がアップ)のほか、定番の「スパイラルドット」や「AET07」(互換品含む)、「SpinFit CP100+」などより耳にフィットするタイプを選択するのも良いでしょう。私は最近多く利用しているTRNの「T-Eartips」を選択しました。
■ サウンドインプレッション
「SUPERTFZ MY LOVE 2022」の音質傾向は明瞭感のある弱ドンシャリ傾向で、「FORCE KING」の印象を踏襲しつつよりニュートラルな方向にチューニングされた印象。キレが良く解像感のある高域と力強い低域は維持しつつ、「LIVE 1」のような派手めサウンドとは異なる、自然なバランスで仕上げられています。またボーカル域はより近くに定位し、より存在感を感じさせます。
同様にナノグラフェン振動版のドライバーを採用した「FORCE KING」と比較すると、16Ωというインピーダンスは踏襲しつつ少し感度を下げたことで、スマートフォン直挿しなどの再生環境でも使いやすく、また全体として弱ドンシャリ、あるいはU字方向にチューニングされたことで、よりボーカル域が際立つ印象になりました。バランスは多少異なるものの、129ドルの「FORCE KING」に近い解像感や質感を持っており、数分の一の価格の「SUPERTFZ MY LOVE 2022」はTFZあるいはSUPERTFZ製品のなかでもコストパフォーマンスの高いモデルであるといえるでしょう。
かつての「EXCLUSIVE KING」のような解像感と伸びのある高域、「T2 Galaxy」(日本では「T2G」ですね)のようなキレの良さを踏襲しつつ、全体としてはイマドキの「○○ターゲット」に近いバランスでまとめており、明瞭ながら多くの方にとって使いやすい製品に仕上がっていると思います。
「SUPERTFZ MY LOVE 2022」の高域は、明瞭で解像感のある音を鳴らします。「T2 Galaxy」より主張は強く、「FORCE KING」ほどではないものの直線的な伸びの良さもあります。かつての「EXCLUSIVE KING」のどまでも伸びていく高域を思い出させます。通常の音量では適度に聴きやすい印象ですが、ある程度音量を上げたり、再生環境によっては刺さりやすい帯域の刺激も多く感じるかもしれません。また解像感の高さから少し聴き疲れしやす感じるかもしれません。個人的にはただし鋭い音は適度に鋭く、いっぽうで歯擦音などは無くシャリ付きもほぼ無い印象ということで、この価格帯のイヤホンのなかでは結構好印象な高域です。またリケーブルやイヤーピースでの変化も比較的大きいため色々試して見るのも良いでしょう。
中音域は癖の無い明瞭な音を鳴らします。ボーカル域を中心に主張は強めで少し前面に定位します。女性ボーカルは美しく伸びの良さが有り、中高域の抜けの良さも良好です。全体的にキレのよい印象で、中低域もスッキリとした分離の良さがあります。音場は一般的な広さから曲によってはやや狭い印象。「FORCE 1」よりハッキリした硬質かつドライな音ですが極端に人工的にはならず僅かな温かさもあります。付属ケーブルでも十分に解像感は高い印象ですが、リケーブルでの変化も大きく、より1音1音の粒立ちや音場感を得たい場合はより情報量の多いケーブルを試して見ることをお勧めします。ただし、ケーブルによってはやはり聴き疲れしやすくなる場合もあります。
低域はパワフルな印象ながら量的には従来のモデルより控えめで、全体としてニュートラルでスッキリした印象にまとめられています。それでもミッドベースを中心に適度な存在感があり不足に感じることは少ないでしょう。重低音は深く沈み解像感のあるTFZらしい音を鳴らします。EDMなどサブベースの音数の多い曲では価格以上の実力を感じそうです。ミッドベースは直線的で適度な締まりが有り、アタックもスピード感があります。
30ドル前後のイヤホンとしてはかなり質の高い印象で、国内版の価格設定でも十分に高い完成度といえるでしょう。さらに高純度銅線などへのリケーブルなどによりドンシャリ方向へ変化を加えることもできるなど、好みに応じていろいろ楽しめるポテンシャルの高さもあります。
■ まとめ
というわけで、「SUPERTFZ」ブランドになってから3機種目のレビューとなった「SUPERTFZ MY LOVE 2022」ですが、音質面のコストパフォーマンスといった側面では文句無しにお勧めできる完成度の高さだと思います。TFZの「MY LOVE」シリーズでは、かつての名機「KING PRO」のドライバーを使用した「MY LOVE EDITION」および「MY LOVE EDITION 2021」以降、その後リリースされた「MY LOVE 4」も含め非常に完成度が高く、価格的にも魅力度の高い印象が定着してきた感もあります。
ただ「SUPERFTZ」の「例のロゴ」が日本のマニアには相変わらず不評ですし、海外でも以前ほどはマーケティング的に伸びていないことからも同様の感想を持つ方は多いかもしれません。このロゴについては私のブログでは「FORCE 1」のレビューでさんざんイジりましたので、今回はほとんど触れませんでしたが、私がトランスペアレント(クリア)カラーで購入したのも、ロゴがいちばん目立たないから、という理由も少なからずあります。この辺があまり気にならない方であれば十分に購入を検討できる製品だと思います。まあフェイスプレートに何か貼るとか、デコレーションしちゃう手もあるかもしれませんけどね(^^;)。
中国のイヤホンブランド「TFZ」は日本でも多くのファンを持つ老舗の中華イヤホンブランドのひとつです。デュアルチャンバー、二重磁気回路を採用したシングルダイナミックドライバー搭載イヤホンを最も初期から採用しており2016年のブランド誕生以降様々な進化を続け多くのファンを獲得し有名メーカーとなりました。
しかし何を思ったか、2022年よりブランドを「SUPERTFZ」にかえ、某「J○ Audio」みたいなロゴマークを採用したことで、マニアの間では「さらに」迷走したイメージを強く持っているかもしれませんね。「さらに」というのは、ブランド開始当初から「思いつき」「企画倒れ」感のあるネタ的な製品もかなり多く、またメインの製品も「グレードの違いがよくわからん」とマニアですら困惑するラインナップの迷走ぶりで人気モデルはあっても固定ファンは付きにくいという側面があったのも事実のようです。

私のブログでは結構頑張ってTFZを追いかけていたほうだと思いますが、気がつけば日本ではほぼ私だけの「今でもしつこくTFZのレビュー書いてる変なヤツ」状態になっているような(滝汗)。それでも2016年からの変遷をまとめたチャート図は現在も更新中。これを見ればTFZ/SUPERTFZのラインナップがひとめでわかる優れものです。→ TFZ製品の変遷とまとめ(チャート図)


閑話休題、というわけで今回の「SUPERTFZ MY LOVE 2022」ですが、製品名の通り位置づけとしては「2022年版の『MYLOVE』」となります(2021年までの変遷は上記の過去記事をご覧ください)。そのため海外のオフィシャルストアなどでは既に販売を終了しており、AliExpressなどでは各セラーが保有する在庫を販売している状況かもしれません。しかし今回、日本で新しいエントリークラスの製品としてリリースされたことで再生産が行われ、海外でも改めて流通するかもしれませんね。


「SUPERTFZ MY LOVE 2022」では「超軽量ナノグラフェン振動板」を採用したダイナミックドライバーをシングルで搭載。ドライバーユニットとしては以前レビューした「SUPERTFZ FORCE KING」と同世代のユニットをチューニングを変更して搭載していると思われます。「SUPERTFZ FORCE KING」も既に販売を終了しており、現在は「Penon Audio」など在庫を持っているセラーでのみ購入可能ですが、発売当時は129ドルの価格設定で、発売時価格で32ドルほどの「SUPERTFZ MY LOVE 2022」はドライバーだけを捉えればかなりディスカウントされているのがわかります。


またエントリークラスらしく、5色のカラーバリエーションが用意されており、「レッド」「ブラック」「ホワイト」「ピンク」「トランスペアレント(クリア)」から選択することが出来ます。
「SUPERTFZ MY LOVE 2022」の海外版は発売時価格で32.9ドル。
国内版は主要専門店などで購入可能で税込み6,500円で販売されています。
Amazon.co.jp(国内正規品): SUPERTFZ MY LOVE 2022
■ パッケージ構成、製品の外観および内容について
「SUPERTFZ MY LOVE 2022」のパッケージは「SUPERTFZ」のやたら過剰包装な筒型ではなく、以前のTFZ製品を踏襲したシンプルなボックス。サイズは「LIVE 1」や「MY LOVE EDITION 2021」と同じですが上フタが無くクリアブリスターでカバーされ吊るしが付いているタイプです。


パッケージ内容は、イヤホン本体、ケーブル、イヤーピースは2種類でそれぞれS/M/Lサイズ、布製ポーチ、説明書。シンプルながらポーチが復活してくれたのは有り難いです。
本体は樹脂製で形状は従来のTFZのデザインを踏襲しています。樹脂製のフィス部分も含めたデザインは「TFZ S2 PRO」に非常に近いですね。ただ「S2 PRO」が単色で謎のクマさんデザインだったのに対し、こちらは謎の「J○」風の「SUPERTFZ」ロゴ(^^;)。


また、クリア以外は2色カラーリング、今回購入したクリア(トランスペアレント)は「S2 PRO」にも後期のモデルで同様のデザインがありましたがフェイス部にラメラメなシートが裏から貼り付けられています。


ケーブルは銀メッキ線タイプですが「LIVE 1」などのモデルで付属しているケーブルより柔らかくなり取り回しが大幅に向上しました。プラグ部分もL字タイプでちょっと使いやすくなりましたね。
また、従来のTFZと同じ形状のため、装着感も従来モデルと同様です。多少大きなハウジングのため耳の小さな方は合わない場合もありますが、装着感自体は悪くありません。イヤーピースは付属の開口部の大きい方(原音忠実)と小さい方(やや低域がアップ)のほか、定番の「スパイラルドット」や「AET07」(互換品含む)、「SpinFit CP100+」などより耳にフィットするタイプを選択するのも良いでしょう。私は最近多く利用しているTRNの「T-Eartips」を選択しました。
■ サウンドインプレッション

同様にナノグラフェン振動版のドライバーを採用した「FORCE KING」と比較すると、16Ωというインピーダンスは踏襲しつつ少し感度を下げたことで、スマートフォン直挿しなどの再生環境でも使いやすく、また全体として弱ドンシャリ、あるいはU字方向にチューニングされたことで、よりボーカル域が際立つ印象になりました。バランスは多少異なるものの、129ドルの「FORCE KING」に近い解像感や質感を持っており、数分の一の価格の「SUPERTFZ MY LOVE 2022」はTFZあるいはSUPERTFZ製品のなかでもコストパフォーマンスの高いモデルであるといえるでしょう。
かつての「EXCLUSIVE KING」のような解像感と伸びのある高域、「T2 Galaxy」(日本では「T2G」ですね)のようなキレの良さを踏襲しつつ、全体としてはイマドキの「○○ターゲット」に近いバランスでまとめており、明瞭ながら多くの方にとって使いやすい製品に仕上がっていると思います。

中音域は癖の無い明瞭な音を鳴らします。ボーカル域を中心に主張は強めで少し前面に定位します。女性ボーカルは美しく伸びの良さが有り、中高域の抜けの良さも良好です。全体的にキレのよい印象で、中低域もスッキリとした分離の良さがあります。音場は一般的な広さから曲によってはやや狭い印象。「FORCE 1」よりハッキリした硬質かつドライな音ですが極端に人工的にはならず僅かな温かさもあります。付属ケーブルでも十分に解像感は高い印象ですが、リケーブルでの変化も大きく、より1音1音の粒立ちや音場感を得たい場合はより情報量の多いケーブルを試して見ることをお勧めします。ただし、ケーブルによってはやはり聴き疲れしやすくなる場合もあります。

30ドル前後のイヤホンとしてはかなり質の高い印象で、国内版の価格設定でも十分に高い完成度といえるでしょう。さらに高純度銅線などへのリケーブルなどによりドンシャリ方向へ変化を加えることもできるなど、好みに応じていろいろ楽しめるポテンシャルの高さもあります。
■ まとめ
というわけで、「SUPERTFZ」ブランドになってから3機種目のレビューとなった「SUPERTFZ MY LOVE 2022」ですが、音質面のコストパフォーマンスといった側面では文句無しにお勧めできる完成度の高さだと思います。TFZの「MY LOVE」シリーズでは、かつての名機「KING PRO」のドライバーを使用した「MY LOVE EDITION」および「MY LOVE EDITION 2021」以降、その後リリースされた「MY LOVE 4」も含め非常に完成度が高く、価格的にも魅力度の高い印象が定着してきた感もあります。
