Hidizs MS5

※受注開始にあわせて先行発売情報を更新しました。

こんにちは。今回は「HIDIZS MS5」です。Hidizsブランドの最新イヤホンで、Sonion製の4基バランスド・アーマチュア・ドライバーとリキッドシリコンダイナミックドライバーによる4BA+1DD構成のハイグレードモデルです。Hidizs公式サイトにて4月21日12時(EST、日本時間22日1時)より先行販売が開始されるのにあわせて製品を体験することが出来ました。

■ 製品の概要について

「Hidizs」は日本でもコンパクトなDAP(デジタルオーディオプレーヤー)や最近ではスマートデバイス用のオーディオアダプターも人気の高いブランドです。いっぽうでイヤホン製品も様々な製品をラインナップしており、ユーザー評価の高い印象がありますね。現在はHidizs社が直接販売及びサポートを行っており、日本で販売されるモデルについては代理店経由やアマゾン直営店のどちらも同社が直接サポートする体制となっています。

今回の「HIDIZS MS5」はデンマークのSonion社製の4基のバランスド・アーマチュア(BA)ドライバーと、独自のリキッドシリコンダイナミックドライバーを搭載する4BA+1DD構成のハイブリッドモデル。
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「Dark Angel, the hymn came, and the chant rang out.」というコンセプトの通り、ダークエンジェルをイメージしたブラックカラーのハウジングにゴールドのアクセントが映える特徴的なデザインがとても印象的です。
4BA+1DDのハイブリッド構成のなかのダイナミックドライバー部には、Hidizsが新規開発した10mmサイズのカスタムリキッドシリコン振動板ドライバーを搭載。サンドイッチ射出成形法を使用し、Duponのパラ系アラミド繊維「Kevlar」によって構成される厚さ僅か0.03mmと、周囲を覆う0.45mmのリキッドシリコンによる非常に薄い振動板を採用。「Kevlar」の超高弾性にリキッドシリコンを組み合わせることで優れたトランジェント、高感度、高応答性を実現。優れた再現性とともに自然とソフトなサウンドを楽しめます。
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さらにデンマークの高品質BAブランドとして知られるSonion製の3種類、4基のバランスド・アーマチュア(BA)ドライバーを搭載。高域用の2BAユニット「E50DT」、中音域用の「2389」、低域用の「17A003」を採用。高品質ドライバーの採用とカスタムDDの組み合わせにより、製品コンセプトの天使の賛美歌のような優れたダイナミクスとクリアなサウンドを実現します。
そして各ドライバーの内部配線にも配慮しており、高級な金スズ線を含むHidizs独自材料を使用したはんだ接合プロセスを採用。酸化しにくく高耐久性と安定した電気信号伝送を実現し、より繊細な表現にも多くのメリットがあります。
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そして「HIDIZS MS5」のキャビティはアップグレードされた「Hidizs Pneumatic Sound Tuning Filter」テクノロジーを採用。3種類の異なるチューニングフィルターが交換可能。サウンドチューブと内部コットン密度により、標準の「バランス(Balanced)」、滑らかさが向上しクラシックなどにも高い再現性を持つ「高域強調(High Frequency)」、エネルギッシュでロックなどに適した「低域強調(Lowh Frequency)」の3種類のサウンドスタイルを楽しむことが出来ます。
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本体は軽量なアルミニウム合金を採用。強度と美しさを持った表面処理施されており、フェイスパネルには軽量化した樹脂素材を採用し、ダークエンジェル、夜空を見つめる闇夜の使者のような天使の羽をイメージしたブラックとゴールドのデザインを採用しています。

HIDIZS MS5」は4月21日12:00(EST/米国東部標準時夏時間、日本時間22日1:00)よりHidizs公式サイト(hidizs.net)にて先行販売が開始されます。販売価格は399ドルです。
※今回特別割引コードを提供頂きました。以下公式ストアにて「BISONICR5OFF」を入力すると販売価格からさらに5% OFFの特別価格で購入可能です。

またアマゾンでも53,999円で販売中です。
Amazon.co.jp(HIDIZS JP): HIDIZS MS5


■ パッケージ構成、製品の外観および内容について

HIDIZS MS5」のパッケージは落ち着いたデザインのブラックのボックスで、なかなか高級感があります。箱の裏面には各国語で製品概要が記載され、日本語の記述もあります。
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パッケージ内容はイヤホン本体、ケーブル、イヤーピースは3種類、それぞれ3サイズ、チューニングノズル(固定用のメタルプレート付き)、大きめサイズのレザーケース、チューニングノズルの特性を記載したカード、説明書、保証書。ハイグレードモデルらしい充実した内容です。
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本体はブラックのシェルで、独特な模様のフェイスプレートが特徴的ですね。樹脂パーツの置くにゴールドカラーのメッシュパーツが見えますがベントではなくあくまでデザイン的な意匠です。ベントは側面上部にフィルター付きの穴が1カ所あります。音漏れなどはほとんど無く静かな場所でも問題なく利用できると思います。
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ダークエンジェルをイメージということですが、特にフェイスデザインなどは「バッドマン風」というほうがしっくりくるかも(^^;)。ゴールドの外周部が良いアクセントになっており、非常にクールな印象ですね。ハウジング部の形状は同社のMSシリーズを踏襲しており、KZやTFZなどの製品と比べると若干小振りな印象。金属製のステムノズルはやや太いですが耳への収まりは良いようです。

交換式のチューニングノズルは標準のゴールド、低域強調のレッド、高域強調のシルバーの3種類が付属します。各フィルターの違いは、ノズルに詰められているフィルター材の量で、半分くらい詰められているのがゴールドの「バランス(Balanced)」、みっちり詰められているのがレッドの「低域強調(Lowh Frequency)」、逆に全く詰められておらずメッシュ部分が背面からも見えるのがシルバーの「高域強調(High Frequency)」という組み合わせです。
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ケーブルは0.78mm 2pin使用で、8芯タイプの6N単結晶銅銀メッキ線と6N単結晶銅線のミックス線とケーブルが付属します。ダークブラウンとダークグレーの2種類の線材は適度に弾力のある薄い樹脂皮膜で覆われておりしっかり編み上げられています。付属ケーブルとしては結構太さがあり重量感もあるケーブルですが取り回しは良好です。2pinコネクタ部分が本体デザインと合わせた天使の肩のようなデザインになっているのが興味深いですね。ただケーブルの耳掛け部分の加工が結構強めのカーブになっているため、耳の形状によっては上手く本体が耳にはまらない場合もありそうです(その場合も加工しているビニールを剥がすなどすれば大丈夫です)。
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また「HIDIZS MS5」にには結構大きめのレザーケースが付属しており、この太めのケーブルやチューニングフィルターを固定したメタルプレートを一緒に入れても余裕で収納できるサイズです。イヤーピースは3種類のシリコンタイプがそれぞれS/M/Lサイズで付属します。白色で黒色軸のタイプが標準で「AET7」風のタイプ、より開口部が広く柔らかいタイプがボーカル強調、逆に軸が長く開口部が狭い黒色タイプが低域強調とのことです。


■ サウンドインプレッション

Hidizs MS5HIDIZS MS5」の音質傾向は全体的にニュートラルなフラット方向のバランスで、各ドライバーごとのつながりも非常に滑らかです。Hidizsのイヤホンは全般的にニュートラルなサウンドバランスながら比較的ボーカル域にフォーカスした印象の製品が多いイメージですが、「HIDIZS MS5」はハイグレードモデルらしく、よりフラットな方向で、いっぽうでリスニングポイントを押さえた音作りにより、あらゆるジャンルのサウンドをしっかり堪能できる深さを持っている印象です。

3種類のサウンドフィルターでは大きくバランスが変わることは無いものの、主に高域、または中高域の印象に変化を与えます。やはりゴールドの「バランス(Balanced)」フィルターが、全体的な透明感とボーカル域の存在感があり、適度な高域の抜けの良さを感じさせつつ立体的な音場感を得られるなど、多くの場合で最も好印象となると思われます。
Hidizs MS5またシルバーの「高域強調(High Frequency)」は音場の広がりが少なくなるものの高域の伸びやかさが向上し、ブラスの鮮やかさやシンバルの明瞭感が増すのが個人的には好印象でした。
レッドの「低域強調(Lowh Frequency)」もバランスの良さや明瞭さは維持されているものの、印象としては低域を強調していると言うより、高域および中高域の主張を若干抑えてよりフラット感を増している感じもあります。個人的にはゴールドまたはシルバーでは中高域や高域がキツく感じる場合はレッドが適する、という解釈のほうがしっくり来るイメージですね。

なおHidizs製品のなかでもハイグレードモデルということもあり、インピーダンス5.3Ωと一般的にインピーダンスが低めに設定されるマルチBAやCIEM系の製品と比較しても相当低く、つまり上流よりそれだけ電流の流量が多い(抵抗が少ない)仕様のため、再生環境のノイズ性能に結構影響される可能性があります。そのため駆動力の高さより、より安定した出力(歪みの少なさ、ノイズの少なさ)が求められます。付属ケーブルはシングルエンドですが、もしバランスケーブルなどにリケーブルする場合はさらにその傾向が顕著にでるため、上流にもイヤホンに見合ったコストをかけることが望まれます。

HIDIZS MS5」の高域は鮮やかさのある明瞭な音を鳴らします。直線的な伸びやかさがあり、また透1音1音のディテールの表現も非常に優れています。Knowlesと比較したSonionらしさという側面では例えばFiiOの同クラスの製品と比較して若干の艶があります。標準のゴールドのフィルターでも優れた透明感があり、自然な滑らかさがあります。より高域の鮮明さが増すシルバーのフィルターではより主張が増し伸びやかさとともに適度な鋭さが感じられます。それでも歯擦音や過度な刺さり等はどのフィルターでもコントロールされており明瞭ながら自然な輪郭で人工的なエッジを感じることはないでしょう。

Hidizs MS5中音域は透明感があり、見通しの良さが印象的です。高い解像感を持ちつつ自然な音色でボーカルはクールになりすぎず若干の温かみがあります。特にゴールドフィルターでの立体的で開放的な音場感は素晴らしく、それぞれの演奏やボーカルが自然かつハッキリと感じられる表現力があります。いっぽうでモニター的なサウンドとは異なり、聴かせどころを心得たリスニング的なアプローチもあり、ボーカル域の適度な主張など、非常に聴き応えがあります。またインストルメンタルも臨場感があり、フルオーケストラの演奏も大きなホールでのリアルさを実感出来ます。シルバーフィルターでは高域の伸び感が強調されるため音場がやや狭くなり、レッドフィルターでは中高域より上はよりフラット方向になるため、曲や好みに合わせて使い分けるのが良いでしょう。

低域はニュートラルなバランスの中でも想像以上に存在感があり、エネルギッシュな力強さも感じられます。過度に膨らんだり響いたりすることは無く、見通しも良い印象ながら、深さと広さがあり、パンチ力もあるため、リスニング的な迫力、臨場感が十分に楽しめます。壮大な楽曲で物足りなさを感じる事はほぼ無いでしょう。ミッドベースは適度な解像感と締まりを持ちつつ力強い存在感があり、重低音はより深く、いっぽうで解像感やスピード感も保たれています。Sonionの低域用ユニットに加え、Hidizsの新しいダイナミックドライバーは低域により優れた質感をもたらしてくれているようです。個人的にはレッドフィルターはあまり合いませんでしたが、低域の質感はどのフィルターでも同様ですので、特に低域好きの方にはこのフィルターが好感される可能性もありますね。


■ まとめ

というわけで、「HIDIZS MS5」ですが、上記のレビューを書いていた時点では製品価格が判明していなかったため、400~500ドル程度のミドルグレードレンジのの製品と比較するイメージで記載しています。実際の先行販売価格は399ドルとなりましたが、結論としてはより上位の価格帯となる製品、例えば「FiiO FH7S」のような非常に評価の高いハイブリッド製品と比較しても遜色ない仕上がりだと感じました。
Hidizs MS5またこのグレードでBA部分にオールSonion製BAユニットを採用している4BA+1DD製品も結構レアな存在ですので(代替はユニットの中の一部、というパターンがほとんどですね)、そういった意味でもマニア的には押さえておきたいイヤホンといえるかもしれませんね。このグレードで発売されれば間違いなくオススメできる完成度の高いイヤホンだと思います。
個人的にも、今回エージング100時間程度でのレビューでしたが、200時間以上でさらに良くなるという話もありますので、今後も育てていって変化を楽しみたいと思います。またリケーブルなどの相性などいろいろ楽しみたい部分もありますので、さらに活用の範囲は広がりそうですね(^^)。