SeeAudio Rinko & Rinko Touch Keycaps Set

こんにちは。今回は 「SeeAudio x Z Review Rinko」(以降「SeeAudio Rinko」)です。1DD+1PD(平面駆動ドライバー)という個性的な構成でのハイブリッドモデルです。製品名称には「SeeAudio」製品で毎回ステッカーやカバーアートなどでも登場するオリジナルキャラクター「Rinko」がそのまま用いられており、またチューニングには「Z Review」とのコラボなど、いろいろ製品を取り巻く情報が多い製品でもありますね。さらにHiFiGoが扱うメカニカルキーボードストア「Mechkeys」では同デザインのキーキャップ「Mechkeys x Z Review Rinko Touch Cherry Profile Keycaps Set」(以降「Rinko Touch Keycaps Set」)も同時にリリースされ、セット販売も行われています。今回はこのセットでご紹介したいと思います。

■ 製品の概要について

「See Audio」は中国国内のカスタムIEMのメーカーからスタートし、グルーバルブランドとしてのユニバーサルモデルでも「Yume」「ANOU」「Bravery」と次々にヒットモデルをリリースすることで一躍人気ブランドのひとつに急成長しました。
→ 過去記事(一覧): See Audio製イヤホンのレビュー

同社の製品は音質面の完成度で評価を得ているいっぽうで、「Yume」から一貫してパッケージデザインに自社のキャラクター「Rinko」のイラストを載せており、これまでの製品でもステッカーやカードが毎回付属するほか、アクリルスタンドやマウスパッド、ぬいぐるみなどのオマケグッズも製品ごとにいろいろ作っていたりしますね。今回の「SeeAudio Rinko」では最近コラボモデルが急増している「Z Review」とコラボし、さらに製品名称にも「Rinko」をそのまま採用するなど、なかなかの意欲作であることが伺えます。
SeeAudio x Z Review RinkoSeeAudio x Z Review Rinko
SeeAudio Rinko」はダイナミックドライバーと6mmサイズの平面駆動ドライバーの2ドライバー構成のイヤホンで、新開発された6mmサイズのマイクロ平面磁気ドライバーでは、詳細なディテールと超高周波拡張を備えた出力を実現。超薄型の平面振動板が平行に挟むデュアルマグネットにより強力かつ素早いレスポンスと歪みを抑えたサウンドパフォーマンスをもたらします。またカスタム開発されたダイナミックドライバーはインパクトがあり深く打ち込む低域を実現します。これら2種類のドライバーがそれぞれ格納されたキャビティはチューニングスポンジを挟んで直列に貼り合わされており、コンパクトなシェルの中かで一体化して収納されています。
SeeAudio x Z Review RinkoSeeAudio x Z Review Rinko
SeeAudio Rinko」のシェルは高精度の 3D 印刷技術を使用し複雑な設計により成形され、ドライバーユニットが正確に配置されます。フェイスパネルはアルミニウム合金を使用。またイヤーピースには「Z Review」のZeosの提案により、「SeeAudio Rinko」用にカスタマイズされたシリコンフォームタイプの「"Render" Ear Tips」が付属します。ケーブルは0.78mm 2pinタイプで高純度銀メッキ無酸素銅線 4芯ケーブルが付属します。
SeeAudio x Z Review RinkoSeeAudio x Z Review Rinko

SeeAudio x Z Review Rinko」の購入は「HiFiGo」またはアマゾンの「HiFiGo」ストアにて。
価格は99.99ドル(スタンド付き)、アマゾンでは13,058円です。
HiFiGo: SeeAudio x Z Review Rinko
Amazon.co.jp(HiFiGo): SeeAudio x Z Review Rinko


■ 「Rinko Touch Keycaps Set」

SeeAudio Rinko」のリリースに併せて、「SeeAudio」と「Z Review」のコラボにより、メカニカルキーボード用のキーキャップセットを開発しました。それが「Mechkeys x Z Review Rinko Touch Cherry Profile Keycaps Set」です。「Rinko」をイメージしたイメージした美しいデザインがテーマのキーキャップです。耐久性と寿命で知られる高品質PBT素材を使用し、昇華型プロセスで長持ちするようにプリントされています。
Z Review Rinko Touch Cherry Profile Keycaps SetZ Review Rinko Touch Cherry Profile Keycaps Set

Rinko Touch Keycaps Set」には、さまざまなキーレイアウトのほぼすべてのキー(一部キーを除く)で組み合わせることが可能な、156 個のアーティスティックな印刷キーキャップが入っています(メカニカルキーボードの世界ではキーの数に応じてフルキーに対する%で表記します。「Rinko Touch Keycaps Set」は60%、65%、75%、96%の各レイアウトでほぼ組み合わせることが可能です)。この製品は「SeeAudio Rinko」とマッチするデザインで設計されています。

Z Review Rinko Touch Cherry Profile Keycaps SetZ Review Rinko Touch Cherry Profile Keycaps Set

Rinko Touch Keycaps Set」の最大の特徴は「Rinko」を大胆に描いたユニークなデザインでしょう。キーボードに組み合わせることで、非常にユニークで他には無い素敵なキーボードを作ることが出来ます。キーキャップの形状はGMKなど多くのメカニカルキーボードで見られる「Cherry Profile」を採用しています(既製品に多い「OEM Profile」より若干低いタイプですね)。

購入はHiFiGoのメカニカルキーボードストア「Mechkeys」またはアマゾンの「HiFiGo」ストアにて。
価格は69.99ドル、「SeeAudio Rinko」とのセット価格は159.90ドル、アマゾンでは9,185円です。
■ 「SeeAudio Rinko」 パッケージ構成、製品の外観および内容について

SeeAudio x Z Review Rinko」のパッケージはこれまでの「SeeAudio」製品と比べてもなかなかの押しの強さを感じるデザインですね。HiFiGoの直販サイトで購入すると例によってアクスタも付いてきますが、今回は後述の「Rinko Touch Keycaps Set」のなかから5個分の汎用キーキャップもオマケで付属していました。
SeeAudio x Z Review RinkoSeeAudio x Z Review Rinko

パッケージ内容はこれらのオマケを除くと、イヤホン本体、ケーブル、「Render」イヤーピースがS/M/Lサイズ(Mサイズ装着済み)、ハードケース、キャラクターカード、説明書、保証カードなど。
SeeAudio x Z Review RinkoSeeAudio x Z Review Rinko

本体は3Dプリントのレジン製シェルに金属製(アルミ合金)のフェイスプレートという構成で、ステムノズル部分も金属性ですね。3Dプリント+金属で黒を基調としたデザインなど、何となく「Truthear HEXA」みもある外観ですが、こちらは約100ドルと少しクラスとしては上位でまた平面+DDという構成も結構個性的ですね。このドライバーについては海外でひと悶着あったみたいですが、メーカー側が分解写真や特許情報などを公開するなどにより事なきを得たようです。
SeeAudio x Z Review RinkoSeeAudio x Z Review Rinko
サイズとしては非常にコンパクトかつ軽量で耳に収まりやすいデザインです。多くの場合装着性で困ることはないでしょう。ケーブルはメタリックグレーの被膜の銀メッキ線タイプ。適度に柔らかく取り回しも良い印象です。
SeeAudio x Z Review RinkoSeeAudio x Z Review Rinko

イヤーピースはシリコンの外側にウレタンを充填するタイプのもので、この製品用に開発されたものとのこと。「"Render" Ear Tips」という名称が付けられています。シリコンとウレタンフォームのいいとこ取りというタイプですね。
SeeAudio x Z Review RinkoSeeAudio x Z Review Rinko
またハードケースは「Yume2」で付属していたものと同じ宝石箱みたいなデザインのものが付属します。その他オマケがいろいろ充実しているのは今回も同様です。


■ サウンドインプレッション

SeeAudio x Z Review RinkoSeeAudio Rinko」の音質傾向はパワフルな低域が印象的なドンシャリ。同時に非常に明瞭で煌びやかさのある中高域より上の抜け感も特徴的で、いかにも2ドライバー的な、アプローチとしては「Truthear ZERO」に近い印象も感じさせます。しかし各音域のつながりは良く「SeeAudio Rinko」のほうがバランス的には自然な印象で、1音1音がより精緻に表現されている明瞭感も印象的です。ともするとKZのような派手さを持った方向に向きそうなバランスながら、人工的にならず自然な印象を維持しており、100ドル級のイヤホンとして低価格機との格の違いもしっかり感じられる仕上がりになっていると思います。

ただ付属するウレタンフォームのイヤーピースはより低域を厚く、全体的にマイルドにする方向性に感じさせるため、より明瞭感を得たい場合はスパイラルドットやSedna Earfitシリーズなど開口部が広く、かつしっかりとフィット感を得られるイヤーピースへの交換がおすすめ。マイクロ平面磁気ドライバーが覚醒し、明瞭で伸びやかな中高域~高域を実感出来ると思います。またポテンシャルも高いためリケーブル効果も大きいようですね。

SeeAudio x Z Review RinkoSeeAudio Rinko」の高域は明瞭で伸びやかさのある音を鳴らします。最近増えている2種類のサイズのドライバーを使用した2DDモデルや以前見られたDD+ピエゾの組み合わせと比較しても、搭載される6mmのマイクロ平面磁気ドライバーは特に「質感」のうえで好印象でした。これらの多くの製品同様に明瞭さや煌びやかさはしっかり持っており、また多くの2DD製品や1BA+1DDのハイブリッドと比較して、平面駆動らしい歪みの非常に少ない直線的な伸びやかさも印象的です。またピエゾや静電ドライバーとは異なり音色に違和感が少なく「別のドライバーが鳴ってる感」をほとんど感じさせない自然なつながりの良さがあり、低域とは異なる鳴り方をしながら一体となった質感がある、非常に興味深い高域です。

中音域は曲によっては若干凹みますが印象としてはニュートラルで解像度の高い音を鳴らします。厚みのある低域に埋もれることなく1音1音に明瞭感が有り、ボーカルもハッキリとした輪郭でスピード感のある音を鳴らします。いっぽうで過度にエッジやキレ感を強調したような人工的な印象は無く、あくまで自然な音で、かつ元気に鳴らしてくれるのはリスニングイヤホンとしては楽しい体験だと思います。音場は一般的ですが再生環境やイヤーピース、リケーブルで奥行きや立体感に影響があります。

SeeAudio x Z Review Rinko低域は重低音に厚みがあり、インパクトのキレのある「パワー系」の音を鳴らします。中高域の明瞭感や高域の伸びやかさに対して全く負けて無くむしろ低域イヤホンと思わせるエネルギーを持っているのが特徴的。ただこれだけだと「高域キーン、低域どーん」みたいな派手なだけのサウンドに鳴ってしまうはずですが、「SeeAudio Rinko」は驚くほど統制が取れていて、リスニング的に違和感が無いのがとても興味深いですね。重低音は非常に深く重さを感じる響きがありますが同時にキレも良く解像感を感じます。ミッドベースはパンチ力とスピード感があり適度な締まりで分離の良さを感じさせます。そのうえで全体的なまとまりも維持されており、中低域寄りのバランスで様々なジャンルの曲を楽しく再生してくれます。想像以上に完成度の高いイヤホンだといえるでしょう。


■ 「Rinko Touch Keycaps Set」 の外観および内容について

Z Review Rinko Touch Cherry Profile Keycaps Setそして今回はHiFiGoが運営するメカニカルキーボードストア「Mechkeys」で単品販売または「SeeAudio Rinko」とセット販売される「Rinko Touch Keycaps Set」も届きました。この方面に興味のある方がどの程度いらっしゃるか不明ですが、到着ツイートは思ったより反応が良かったですね(^^;)。
特にゲーミングPCを使われている場合キーボードにもこだわることも多いと思いますし、私のように単純にガジェットのひとつとして楽しんでいる方も増えているのかもですね。

全くご存じない方のために少しだけ触れておくと、PCなどのキーボードには「メカニカルキーボード」という分野があって、既製品のほかベアボーンや自作キットなども多く販売されています。独特のキータッチに加え、多少高価ですが耐久性が高く各スイッチが独立しているためメンテナンス性に優れるのがポイント。キーボードそのもののベースにいくつかの硬さが選べるキースイッチ(一般的に「軸」と呼ばれます)、そして表面のキーキャップなどを交換したり組み合わせることで自分好みのキーボードを作ることが出来ます。
Z Review Rinko Touch Cherry Profile Keycaps SetZ Review Rinko Touch Cherry Profile Keycaps Set
というわけで「Rinko Touch Keycaps Set」ですが、同梱されるのは60%、65%、75%、96%の各レイアウトのUSキーで使用できるキーキャップでスペースバーなど一部のキーは「Rinko」デザインと「Z Review」デザインの両方が入っています。またデフォルメされた「Rinko」イラストが描かれた汎用キーも10キー+「Z Review」タイプが2キー同梱されています。キー形状はキーキャップとして販売されている製品では最も多いMX(またはMXクローン)と同じタイプの「Cherry Profile」形状ですね。なおUS配列のためJISなどの日本語キーでは数字キーや記号キーのレイアウト、エンターキーの形状が異なるなど使用できない部分が多く、特にエンターまわりにこのキーの特徴の「Rinko」デザインが描かれていますのでほぼ意味なし状態になってしまいますね(汗)。
Z Review Rinko Touch Cherry Profile Keycaps SetZ Review Rinko Touch Cherry Profile Keycaps Set
今回は手持ちの「Keychron K8」(US配列)とテンキーパッドでキーキャップを交換してみました。「Keychron」は既製品に多い「OEM Profile」のため「Rinko Touch Keycaps Set」のほうが背が少し低く、混在させると使いにくくなるため一気に全キーを交換します。通電しないと結構地味な「Keychron」ですが結構良い感じにドレスアップ出来ましたね。エンター周りの「Rinko」イラストも思ったより自然な感じで違和感もあまり感じません。バックライトも映えてなかなか良い感じです。またキータッチも「Cherry Profile」のほうが若干浅くなるのでより軽快で使いやすくなりました。とりあえずはしばらくこのまま使っていようかと思っています(^^)。


■ まとめ

SeeAudio x Z Review Rinkoというわけで、「SeeAudio Rinko」および「Rinko Touch Keycaps Set」でしたが、同社の気合いの入り具合がとても楽しく、派手なパッケージとシンプルなイヤホンの外観のどちらとも言えるような、言えないような、とにかく面白いイヤホンでした。
個人的にはこの製品が100ドル程度というのはなかなかのお買い得だと思います。
また「Rinko Touch Keycaps Set」も想像以上にちゃんとデザインされていて本気で作っている感があったのが驚きでした。興味のある方にはこちらも結構オススメです。「SeeAudio」もパッケージの路線はぶれることなく(むしろひどくなってるw)、いっぽうで音質面ではすっかりマニアの間で人気ブランドになりましたね。今後の展開も楽しみにしたいと思います。