NF AUDIO NA3 ESSENTIALS

こんにちは。 今回は「NF AUDIO NA3 ESSENTIALS」です。「NF AUDIO」製品は私のブログではちょっと久しぶりですね。同社の「NM2+」「NA2+」は個人的にも非常に気に入っている製品ですが、これらの人気モデルを踏襲しつつユニークなフェイスデザインのポリカーボネートシェルを採用し、より手軽に楽しめる製品としてリリースされました。

■ 製品の概要について

「NF AUDIO」は中国国内ではCIEMメーカーとしても知られる、2014年設立の古株の中華イヤホンのブランドのひとつとです。個人的にも「NM2」「NA2」シリーズは結構お気に入りのシリーズで、ブログでも「NM2」「NM2+」「NA2+」をレビューしています。「NF AUDIO」でこれらの製品は「MUSICシリーズ」というラインに含まれるそうです。
過去記事(一覧): 「NF AUDIO」製イヤホンのレビュー

好評だった「NA2」「NA2+」を受けてリリースされた「MUSICシリーズ」の最新モデルが今回の「NF AUDIO NA3 ESSENTIALS」です。「NM2」「NA2」同様にポリカーボネート製のシェルを採用しつつ、個性的な「Pixel Monster」デザインのフェイスプレートが特徴的です。
伊藤屋国際「NF AUDIO NA3 ESSENTIALS」製品ページ

NF AUDIO NA3 ESSENTIALSNF AUDIO NA3 ESSENTIALS

NF AUDIO NA3 ESSENTIALS」は専用にチューニングされた10mmサイズの「MCL-10」ダブルキャビティ・ダイナミックドライバーをシングルで搭載。同社の「NM2+」に搭載される「MC2L-10M」ユニットを踏襲した性能を持っているとのことで振動版は5μm高分子ポリマー複合ダイアフラムを採用。周波数特性が広く低歪みを実現しており、高解像度かつ優れたサウンドステージを提供します。さらにテスラレベルのデュアル磁気回路を使用し、リアキャビティを追加したダブルキャビティ構造で構成することにより、楽曲のジャンルを問わずバランスよく再生できる滑らかなサウンドを目指して設計されています。
NF AUDIO NA3 ESSENTIALSNF AUDIO NA3 ESSENTIALS

そしてフェイスプレートには“音楽を構築する精神の無限の可能性”をポップに表現した「Pixel Monster」がデザインされています。「NF AUDIO」の製品は絶妙なパッケージデザインでも知られるメーカーですが、本体のファッショナブルさとともにデザイン製の高いパッケージも魅力的です。
NF AUDIO NA3 ESSENTIALSNF AUDIO NA3 ESSENTIALS

NF AUDIO NA3 ESSENTIALS」の購入は国内代理店の主要専門店などにて。
価格はオープンで12,280円前後で販売されています。
Amazon.co.jp(国内正規品): NF AUDIO NA3 ESSENTIALS


免責事項:
本レビューではレビューサンプルとして 伊藤屋国際様 より製品を提供いただきました。機会を提供してくださったことに感謝します。ただし本レビューに対して金銭的やりとりは一切無く、レビュー内容が他の手段で影響されることはありません。以下の記載内容はすべて私自身の感想によるものとなります。


■ パッケージ構成、製品の外観および内容について

久しぶりの「NF AUDIO」製品ですが、今回は国内代理店の伊藤屋国際より依頼を受けてのレビューとなります。今回は「ブラック」カラーを選択しました。前述の通り「NF AUDIO」の製品はパッケージがやたら格好いい(褒め言葉)のがまず目に付くポイントです。これまでのMUSICシリーズ同様にCDをイメージしたパッケージでフェイスデザインと同様のピクセルアート風のロゴデザインも特徴的です。そして裏面に描かれたモンスターが「Pixel Monster」らしいですね。
NF AUDIO NA3 ESSENTIALSNF AUDIO NA3 ESSENTIALS

パッケージ内容はイヤホン本体、ケーブル、イヤーピースが2種類でそれぞれS/M/Lサイズ、ポーチ、説明書。
NF AUDIO NA3 ESSENTIALSNF AUDIO NA3 ESSENTIALS

本体はポリカーボネート製で一般的なプラスチックの樹脂シェルとくらべて強度面(割れにくい)などの特徴が有ります。素材としての引っ張り剛性の高さというのは音質面でも影響するんでしょうかね。なんかイメージとしてはプラスチック(スチロールやABS) < ポリカーボネート < レジン < 木材、みたいな感じで弾力の違いにより箱鳴りが柔らかくなるのかなーと想像したりするんですが、どうなんでしょう?(何の根拠もないです。すみません)。
NF AUDIO NA3 ESSENTIALSNF AUDIO NA3 ESSENTIALS

シェルサイズはKZやTFZなどの似たような形状のハウジングと比べてひとまわり小さく、同社の「NA2」や「NM2」のサイズ感を踏襲しています。微妙な差ですが結構耳への収まり感で違いがあり、より装着しやすい印象です。なおポップな「Pixel Monster」のフェイスデザインは多少好みが分かれるかもしれませんが「NM2」と並べてみると「あ、NA3のほうが高級ぽく(?)みえるわー」ということで、これはこれで正解なのかもですね(^^;)。
NF AUDIO NA3 ESSENTIALSNF AUDIO NA3 ESSENTIALS

ケーブルは銀メッキ5N OFC ケーブルで、結構弾力のある樹脂被膜で覆われています。以前のケーブルに比べると被膜のぶん太くなりましたが絡まりにくくむしろ使いやすいかも知れませんね。
NF AUDIO NA3 ESSENTIALSNF AUDIO NA3 ESSENTIALS
イヤーピースは従来のMUSICシリーズ同様に開口部の広い白色タイプと一般的な形状の黒色タイプが各サイズ付属します。付属品のほか、定番の「スパイラルドット」や「AET07」(互換品含む)、「SpinFit CP100+」、個人的に最近よく使っている「TRN T-Eartips」などフィット感の良い製品を組み合わせるのも良いと思います。


■ サウンドインプレッション

NF AUDIO NA3 ESSENTIALSNF AUDIO NA3 ESSENTIALS」の音質傾向は、やや中低域寄りの弱ドンシャリで、音場感やボーカル域など中音域にフォーカスした印象のサウンド。位置づけとしては「NA2」の後継にあたるモデルだと思いますが、より鳴らしやすく元気な印象のドンシャリだった「NA2」に比べるとかなり大人しく、チューニング自体はサイト記載の通り「NA2+」に近い印象です。
実際「NF AUDIO NA3 ESSENTIALS」の仕様はインピーダンス32Ω、感度105dBで、「NA2+」の32Ω、107dBと結構近いですね(ちなみに「NA2」は18Ω、108dBとこれらの機種よりかなり敏感な仕様です)。TFZでいうところの「KING PRO」に対する「MY LOVE EDITION」や「MY LOVE 2022」みたいな「以前の高性能モデルのドライバーを樹脂シェルに入れてお手頃にしたモデル」的なアプローチと考えて良いでしょう(これも製品説明の記載の通りですね)。ただ傾向自体はは踏襲しているものの、細かなチューニングは結構異なっており、「NF AUDIO NA3 ESSENTIALS」はマイルドさのある、比較的滑らかさを前面に出した印象に仕上がっています。「Pixel Monster」のポップなデザインからもっと元気な音作りを想像したのですが、実際は刺激を抑えイマドキのより聴きやすいサウンドにまとめられた印象ですね。

NF AUDIO NA3 ESSENTIALSNF AUDIO NA3 ESSENTIALS」の高域は明瞭さを感じるアクセントを置きつつ、全体的には滑らかさのある聴きやすい音を鳴らします。ちょうどキレッキレの高域を持った「NM2+」に対して「NA2+」がよりマイルドで聴きやすくチューニングされており、その方向性を踏襲しているのが感じられます。中高域付近にピークがあるため抜け感はありますが、突き抜けるような伸び感や見通しの良さを求める方には「NM2+」のほうが良いでしょう。いっぽうで適度に煌めきを感じつつも聴きやすく疲れないサウンドを好まれる方には「NF AUDIO NA3 ESSENTIALS」の高域は使いやすく自然な印象になると思います。

中音域はやや中低域に重心があるものの全体としてはニュートラルで癖の無い音を鳴らします。同社の「MUSICシリーズ」に共通するモニター的な音作りを感じさせる部分で、正確さのある空間表現と定位感があり、ボーカルと演奏の分離も優れています。いっぽう音場はスタジオのような固定された空間のなかで鳴っているという印象で(これもモニター的ともいえますが)、音の広がりや奥行きの深さなどの臨場感を楽しむという感じとは異なります。
NF AUDIO NA3 ESSENTIALSボーカルは自然な距離感で定位し、明瞭かつ自然な音像表現があります。女性ボーカルの高音などの中高域も綺麗ですが歯擦音などはなく聴きやすい印象。男性ボーカルも適度に厚みがありますが過度に響くことはなく自然です。いっぽうで解像感は最近の高性能化が進む同価格帯の製品のなかでは一般的でキレのよさなどは多少見劣りするかもしれません。正確な定位感とマイルドで僅かな温かみなどアナログ感も楽しめるマイルドさが特徴の音作りだと思います。

低域はミッドベースを中心に適度な厚みがある音を鳴らします。直線的で過度の響きや膨らみなどもなくスピード感は比較的良好です。ベースは心地よく、中高域とのつながりも自然で非常に滑らかさがありますが、逆に言うとハッキリした音域ごとの分離感を求める方には締まりがやや緩く感じるかもしれませんね。それでも解像感は良いため音数の多い曲でも籠もることは無いでしょう。重低音は適度な深さがありますが派手さを抑えたチューニングのためやや控えめに感じます。質感も自然で全体としてバランスが取れた低域だと思います。

NF AUDIO NA3 ESSENTIALS」は全体としてニュートラル方向にバランスの取れたサウンドのためジャンルを問わず楽しめる製品だと思います。いっぽうでメリハリの良さやキレ感を求める方にはマイルドすぎると感じるでしょうし、ややモニター寄りのチューニングはクラシックなど広い音場感を楽しみたい方にも物足りないかもしれません。ボーカル曲、インスト問わず、イマドキのサウンドを気軽に楽しみたい方向けのチューニングといった印象ですね。


■ まとめ

というわけで、「NF AUDIO NA3 ESSENTIALS」は非常に滑らかさがあり、ボーカル域も適度な温かみがある、バランスの良い自然なサウンドが魅力的なイヤホンでした。評価の高かった「NA2+」のドライバーを踏襲していることで解像感やキレなどの点では差はあるものの全体的な質感及びバランスは高く、非常にまとまりのあり製品に仕上がっていると思います。ただ音質面で際立つような個性が無いというのは良い特徴であると同時にウィークポイントにもなるでしょう。
NF AUDIO NA3 ESSENTIALS以前「NM2」(+ではないほう)のレビューでも記載した通り「特に店頭での試聴では今ひとつパッとしないかも」みたいなことがこの製品にも当てはまるかも知れませんね。また「NF AUDIO NA3 ESSENTIALS」の見た目のポップなデザインに対して想像以上にニュートラルでマイルド方向のチューニングなこともギャップとして感じるかも知れません。非常にクールなパッケージデザインも気分が上がる要素なのですが、これも店頭では買うまでわからないというのもありますし(^^;)。
何というか「自分、不器用ですから」とか硬派な名優みたいな事をつぶやくニコロデオンのキャラみたいな「Pixel Monster」という、謎のイメージが脳内を駆け巡りつつ(笑)、もっと人気が出るといいのになぁ、とついつい思ってしまう、そんなイヤホンでした。要するに結構良い製品ですよ、ってことです(^^)。