
こんにちは。今回は「TRN TA3」です。Knowles製BA+2基のダイナミックドライバーによる1BA+2DD構成のイヤホンですね。リリースされたのは3月頃で現在はさらに上位モデルの「TA4」もリリースされていますが、とりあえずTRNの従来モデルが未レビューのまま積まれていたため、この機会で順次レビューしていきたいと思います(^^;)。
■ 製品の概要について
低価格中華イヤホンのブランドとしてお馴染みのTRNが数ヶ月前にリリースしたモデルで、TAシリーズはKnowles製のバランスド・アーマチュア(BA)ドライバーを搭載していることがポイント。既にリリースされている「TA1」「TA」および「TA1 Max」(1BA+1DD)、「TA2」(2BA+1DD)に対し、「TRN TA3」では1基のKnowles製BAと2基のダイナミックドライバーによる「1BA+2DD」の構成を採用しています。


「TRN TA3」が搭載するドライバーは、他の「TA」シリーズ同様の高域用のKnowles製「RAD-33518」BAに加え、低域用の10mmサイズのベリリウムコート振動板二重磁気回路ダイナミックドライバーと、中音域および中高域用の6mmサイズのチタンコート振動板ダイナミックドライバーを搭載。10mm+6mmのサイズの異なる2DD構成は昨年以降の低価格中華イヤホンで増えている構成ですが、さらに「Knowles 33518」を追加して3ドライバー構成にしたあたりに特徴が有りますね。


3基のドライバーはネットワーク回路によるクロスオーバー処理と音響ダンパーにより調整され、バランスに優れたクリアなサウンドを実現しています。本体は樹脂製のハウジングにCNC加工された亜鉛合金製のフェイスプレートを組み合わせた構成で中心部分のロゴ部分は別工程で加工し質感を高めています。
また「TRN TA3」は4芯タイプの銀メッキ銅線とOFC高純度銅線のミックスケーブルが付属。ケーブルには3.5mmおよび2.5mm、4.4mmの交換用プラグが付属します。


「TRN TA3」の購入はHiFiGoの直営店またはアマゾンの各店舗にて。
価格は58ドル、アマゾンでは8千円程度で購入可能です。
HiFiGo: TRN TA3
Amazon.co.jp(HiFiGo): TRN TA3


パッケージ内容はイヤホン本体、ケーブル、交換用プラグ、イヤーピース、説明書など。イヤーピースは白色タイプ、黒色タイプがそれぞれS/M/Lサイズ、さらにTRNの最新イヤーピース「T-Eartips」のMサイズが本体に装着済みです。

本体はハウジングが樹脂製、フェイスプレートが金属製で「TRN XuanWu」や「TRN MT4」といったモデルと共通したハウジングの形状を採用しています。この形状は「TRN V90S」あたりの形状から共通性をもつデザインで、同社の今後の製品では共通のデザインとして踏襲されるのかもしれませんね。ただしフェイスプレート部分は製品によって全く異なるキャラクターと意匠が与えられており、「TRN TA3」では円形のロゴプレートが埋め込まれた亜鉛合金製のパネルが採用されています。


KZやTRNのシェル形状と比べてややコンパクトで耳への収まりも良く、装着性も良好です。イヤーピースは2種類のタイプが付属しますが、やはり装着済みの「T-Eartips」が最もフィット感において優れています。付属するのはMサイズのみのため、LサイズやSサイズなど別のサイズが良い場合は別途購入してでも可能であればこのイヤーピースを選択したいと事です(私は別途「T-Eartips」のSサイズを用意して使用)。他にも定番の「スパイラルドット」や「AET07」(互換品含む)、「SpinFit CP100+」などを組み合わせるのも良いでしょう。


ケーブルはプラグ交換式の4芯ミックス線が付属します。以降の一定グレード以上の製品で採用される新たな基本ケーブルでブラウンとグレーの線材の撚り線となっています、被膜は適度に弾力がありますが取り回しは良く、プラグ交換式のため最初からリケーブルの必要な無いのは良いですね。
■ サウンドインプレッション
「TRN TA3」の音質傾向はパワフルでキレのあるサウンドが特徴的な弱ドンシャリ。まあいかにもTRNらしい明瞭スッキリの派手系サウンドですが、相応に進化しリスニング的なバランスをしっかり抑えている点は好印象です。「TRN TA1 Max」の方向性をより高めた印象で、4BA+1DD構成の「TRN ST5」からやや中低域寄りにバランスを取ったような感じもありますね。これらのモデルは共通して10mmのベリリウムコート振動板のドライバーを搭載しており、キレのあるキャラクターに影響していそうですね。
TRNの「TAシリーズ」では「TA」と「TA2」がよりウォーム方向のチューニングで全く異なる印象なのも興味深いところです。「TAシリーズ」では中華イヤホン向けKnowles製BAとしてお馴染み(?)の「RAD-33518」を共通して採用していますが、一貫してツイーターとして動作しており、TRNやKZのハイブリッドでは定番の中国製「30095」BAと比較して金属質なギラつきを抑え、いっぽうで直線的な伸びの良さやスッキリした解像感を与えることに寄与しています。ただ、言い方を変えればそれ以外の主要な音域は構成されるダイナミックドライバー部が担っており、搭載するドライバーやチューニングにより全く異なるキャラクターのサウンドとなるわけです。
「TRN TA3」は「TA1 Max」と比較して6mmドライバーが追加されている点がやはりポイントとなり、中音域、中高域といったボーカル域が強化されるいっぽうで、10mmのベリリウムコートドライバーはより低域をメインとしたクロスオーバー処理が施され、「TA1 Max」より大きくなったハウジングの影響もあって重低音を中心に明らかに厚みが増しています。また「TA1 Max」ではBAを中心にならしていたと思われる中高域付近を6mmドライバーがカバーすることで、多少派手さを抑えバランスを向上させつつスッキリした印象は維持するチューニングが行われている印象です。正直なところ「Knowles製BAを搭載する必然性」は従来の「TAシリーズ」より下がっているような気がしなくもないですが、完成度は確実に向上しており、中華ハイブリッドてきな明瞭なドンシャリサウンドを求めている方には良い選択肢となるでしょう。
「TRN TA3」の高域は明瞭でスッキリした音を鳴らします。解像感のある明瞭な音で直線的な伸びの良さも印象的です。インピーダンスが10Ωとかなり低めに設定されているため、再生環境によっては結構キツめになる場合もあります。それでも刺激はコントロールされており、中音域以下もパワーがあるため高域過多になることはないでしょう。より聴きやすい音で楽しみたい場合はプレーヤーをローゲインに設定するなど敏感なIEMの設定にする方が良いかも知れませんね。
中音域は曲によってはやや凹みます。ボーカル曲の場合、80年代以前の古い音源の場合はよりボーカルが遠く感じるかも知れませんね。最近の音源はマスタリング時にボーカル域を多少コンプレッションしているためこれくらいのバランスの方が演奏部分をしっかり楽しめて良いのではと思います。解像感が高くキレのあるサウンドですので音数が多くてもスッキリした印象は維持されます。また音場はそれほど広くありません。なお、いかにもTRN的なドンシャリ傾向のため、○○ターゲット的なバランスとは対極にいますので、ニュートラルさを求める場合には合いません。楽しいからOK、という系統のリスニングサウンドです(^^)。
低域はキレ重視でパワーのある音を鳴らします。「TA1 Max」や「ST5」と比べても重低音を中心により厚みが増していますが、直線的で締まりのあるミッドベースと中高域との分離の良さからクールな印象を維持しているのがTRNらしい部分ですね。中音域同様に自然なサウンドとは全く異なり、かなりエッジの効いたサウンドですが音数が多くスピード感のあるハードロックやEDMとも相性が良く、楽しいサウンドです。
■ まとめ
というわけで、「TRN TA3」はなんというか「ブレない、いつものTRN」という感じで、そのなかでもちゃんと変化を持たせており一定の進化がある点は興味深いですね。イマドキのサウンドとはちょっと趣が異なるような気もしますがこういうイヤホンもひとつ持っていても良いのかな、という気がします。実際、価格としては50ドル台の製品ですが、ある程度上流の影響も考慮して最適な調整を行う方が良いなど、スペックは結構玄人向けのイヤホンといえるでしょう。同系統のサウンドでより使いやすい「TA1 Max」とはこの辺で差別化しているのかも知れませんね。それでも十分に手頃な価格帯だと思いますので興味のあるマニアならば購入するのも良いと思います。個人的には上位モデルの「TA4」はまだ届いていませんが、今後どのようにアップグレードしていくのかとても興味深いところですね。
低価格中華イヤホンのブランドとしてお馴染みのTRNが数ヶ月前にリリースしたモデルで、TAシリーズはKnowles製のバランスド・アーマチュア(BA)ドライバーを搭載していることがポイント。既にリリースされている「TA1」「TA」および「TA1 Max」(1BA+1DD)、「TA2」(2BA+1DD)に対し、「TRN TA3」では1基のKnowles製BAと2基のダイナミックドライバーによる「1BA+2DD」の構成を採用しています。


「TRN TA3」が搭載するドライバーは、他の「TA」シリーズ同様の高域用のKnowles製「RAD-33518」BAに加え、低域用の10mmサイズのベリリウムコート振動板二重磁気回路ダイナミックドライバーと、中音域および中高域用の6mmサイズのチタンコート振動板ダイナミックドライバーを搭載。10mm+6mmのサイズの異なる2DD構成は昨年以降の低価格中華イヤホンで増えている構成ですが、さらに「Knowles 33518」を追加して3ドライバー構成にしたあたりに特徴が有りますね。


3基のドライバーはネットワーク回路によるクロスオーバー処理と音響ダンパーにより調整され、バランスに優れたクリアなサウンドを実現しています。本体は樹脂製のハウジングにCNC加工された亜鉛合金製のフェイスプレートを組み合わせた構成で中心部分のロゴ部分は別工程で加工し質感を高めています。
また「TRN TA3」は4芯タイプの銀メッキ銅線とOFC高純度銅線のミックスケーブルが付属。ケーブルには3.5mmおよび2.5mm、4.4mmの交換用プラグが付属します。


「TRN TA3」の購入はHiFiGoの直営店またはアマゾンの各店舗にて。
価格は58ドル、アマゾンでは8千円程度で購入可能です。
HiFiGo: TRN TA3
Amazon.co.jp(HiFiGo): TRN TA3
免責事項:
本レビューではレビューサンプルとして HiFiGo より製品を提供いただきました。機会を提供してくださったことに感謝します。ただし本レビューに対して金銭的やりとりは一切無く、レビュー内容が他の手段で影響されることはありません。以下の記載内容はすべて私自身の感想によるものとなります。
■ パッケージ構成、製品の外観および内容について
「TRN TA3」は50ドルオーバーということもあり、最近のTRNの黒箱タイプのパッケージで、プラグ交換式のケーブルが付属します。


パッケージ内容はイヤホン本体、ケーブル、交換用プラグ、イヤーピース、説明書など。イヤーピースは白色タイプ、黒色タイプがそれぞれS/M/Lサイズ、さらにTRNの最新イヤーピース「T-Eartips」のMサイズが本体に装着済みです。


本体はハウジングが樹脂製、フェイスプレートが金属製で「TRN XuanWu」や「TRN MT4」といったモデルと共通したハウジングの形状を採用しています。この形状は「TRN V90S」あたりの形状から共通性をもつデザインで、同社の今後の製品では共通のデザインとして踏襲されるのかもしれませんね。ただしフェイスプレート部分は製品によって全く異なるキャラクターと意匠が与えられており、「TRN TA3」では円形のロゴプレートが埋め込まれた亜鉛合金製のパネルが採用されています。


KZやTRNのシェル形状と比べてややコンパクトで耳への収まりも良く、装着性も良好です。イヤーピースは2種類のタイプが付属しますが、やはり装着済みの「T-Eartips」が最もフィット感において優れています。付属するのはMサイズのみのため、LサイズやSサイズなど別のサイズが良い場合は別途購入してでも可能であればこのイヤーピースを選択したいと事です(私は別途「T-Eartips」のSサイズを用意して使用)。他にも定番の「スパイラルドット」や「AET07」(互換品含む)、「SpinFit CP100+」などを組み合わせるのも良いでしょう。


ケーブルはプラグ交換式の4芯ミックス線が付属します。以降の一定グレード以上の製品で採用される新たな基本ケーブルでブラウンとグレーの線材の撚り線となっています、被膜は適度に弾力がありますが取り回しは良く、プラグ交換式のため最初からリケーブルの必要な無いのは良いですね。
■ サウンドインプレッション
「TRN TA3」の音質傾向はパワフルでキレのあるサウンドが特徴的な弱ドンシャリ。まあいかにもTRNらしい明瞭スッキリの派手系サウンドですが、相応に進化しリスニング的なバランスをしっかり抑えている点は好印象です。「TRN TA1 Max」の方向性をより高めた印象で、4BA+1DD構成の「TRN ST5」からやや中低域寄りにバランスを取ったような感じもありますね。これらのモデルは共通して10mmのベリリウムコート振動板のドライバーを搭載しており、キレのあるキャラクターに影響していそうですね。

「TRN TA3」は「TA1 Max」と比較して6mmドライバーが追加されている点がやはりポイントとなり、中音域、中高域といったボーカル域が強化されるいっぽうで、10mmのベリリウムコートドライバーはより低域をメインとしたクロスオーバー処理が施され、「TA1 Max」より大きくなったハウジングの影響もあって重低音を中心に明らかに厚みが増しています。また「TA1 Max」ではBAを中心にならしていたと思われる中高域付近を6mmドライバーがカバーすることで、多少派手さを抑えバランスを向上させつつスッキリした印象は維持するチューニングが行われている印象です。正直なところ「Knowles製BAを搭載する必然性」は従来の「TAシリーズ」より下がっているような気がしなくもないですが、完成度は確実に向上しており、中華ハイブリッドてきな明瞭なドンシャリサウンドを求めている方には良い選択肢となるでしょう。
「TRN TA3」の高域は明瞭でスッキリした音を鳴らします。解像感のある明瞭な音で直線的な伸びの良さも印象的です。インピーダンスが10Ωとかなり低めに設定されているため、再生環境によっては結構キツめになる場合もあります。それでも刺激はコントロールされており、中音域以下もパワーがあるため高域過多になることはないでしょう。より聴きやすい音で楽しみたい場合はプレーヤーをローゲインに設定するなど敏感なIEMの設定にする方が良いかも知れませんね。

低域はキレ重視でパワーのある音を鳴らします。「TA1 Max」や「ST5」と比べても重低音を中心により厚みが増していますが、直線的で締まりのあるミッドベースと中高域との分離の良さからクールな印象を維持しているのがTRNらしい部分ですね。中音域同様に自然なサウンドとは全く異なり、かなりエッジの効いたサウンドですが音数が多くスピード感のあるハードロックやEDMとも相性が良く、楽しいサウンドです。
■ まとめ
