
こんにちは。今回は 「TRN Rosefinch(朱雀)」 です。12mmの平面駆動ドライバーを搭載しつつ低価格を実現したモデルですね。50ドル以下の低価格を実現しているいっぽうで、KZの「PR1」「PR2」と比べると人気は今ひとつ、という印象もあります。実際はTRNらしいアプローチの仕上がりで、しっかり鳴らせばそれなりに楽しいのでは、と思ったり。
というわけで、前回に引き続き未レビューのTRN製イヤホンを紹介していきます(^^;)。
■ 製品の概要について
「TRN Rosefinch」は低価格中華イヤホンのメーカーとして様々なラインナップを展開しているTRNの平面駆動ドライバー搭載モデルで、前回の「TRN TA3」同様に春頃にリリースされた製品です。TRNは平面駆動ドライバー搭載モデルのラインナップも急速に拡大しており、14.5mmの大口径ドライバーを搭載した「TRN Kirin」、SPD(角形平面ドライバー)とBAのハイブリッド構成の「TRN XuanWu (玄武)」と、このタイプの新しいドライバーが市場に登場したらとりあえず採用した新製品をリリースする、みたいな勢いなのかもしれません。


そして「TRN Rosefinch」が搭載するドライバーはフルレンジの12mm平面磁気ドライバーで、アンダー50ドル級の低価格を実現しています。12mmの極薄のフラット振動板の両面にN52ネオジム磁石で囲う磁気アレイ構造を採用。強力な磁束を生成し、振動板のレスポンスを向上させ、低歪みによるクリーンで高密度の出力が可能。さらにプロのチューニングにより質の高いサウンドを実現します。


「TRN Rosefinch」はアルミニウム合金製のフェイスカバーを備え、セミオープン型のキャビティデザインを採用しています。シェルは輸入樹脂素材による軽量かつ高品質な構造で成型されています。またケーブルは銀メッキ線とOFC高純度銅線のミックス線ケーブルを採用。プラグは交換可能なモジュラー式を採用していますが付属するプラグは3.5mmのみとなります。


「TRN Rosefinch」の購入はHiFiGoまたはアマゾンにて。価格は45.80ドル、アマゾンでは6,500前後です。
HifiGo: TRN Rosefinch
Amazon.co.jp(HiFiGo): TRN Rosefinch ※1101円OFFクーポン配布中。


パッケージ内容はイヤホン本体、ケーブル、イヤーピース、説明書など。イヤーピースは白色タイプ、黒色タイプがそれぞれS/M/Lサイズ、さらにTRNの最新イヤーピース「T-Eartips」のMサイズが本体に装着済みです。
「TRN Rosefinch」の本体は非常にコンパクトで、「TRN Kirin」をひとまわり小さくしたような形状をしています。ステムノズルはやや短いですが耳に収まりやすい形状のため装着性は比較的良いでしょう。イヤーピースは2種類のタイプがふぞくしますが、やはり最初から装着されている「T-Eartips」が最もフィット感も良くお勧めです。付属するのはMサイズのみのため、LサイズやSサイズなど別のサイズが良い場合は別途購入するのも良いでしょう。私は「T-Eartips」のSサイズを使用しました。


フェイス部分はスリット状のベント(空気孔)があり、セミオープン型のため多少の音漏れがあります。とはいえ通常の利用では周囲にもほぼ聞こえない程度のため問題なく利用できるでしょう。


ケーブルは「TRN TA3」と同じタイプの4芯ミックス線ケーブルが付属しますが、プラグは3.5mmのみが付属し、4.4mmや2.5mmのバランス用は別売りとなります。ブラウンとグレーの線材の撚り線となっていて被膜は適度に弾力がありますが取り回しは良く質感も良いケーブルです。
■ サウンドインプレッション
「TRN Rosefinch(朱雀)」の音質傾向は中高域寄りの弱ドンシャリ。インピーダンス32Ω、感度105dBとスペック上は一般的ですが実際は「本来の平面駆動ドライバーらしく」音量は結構取りにくく、しっかりと鳴らすためには再生環境に相応に駆動力が求められます。
アンダー50ドルの価格設定にするためか4.4mmおよび2.5mmの交換プラグは付属しませんが、正直なところ付属の3.5mmプラグでは実力を発揮し切れているとは言い難く、個人的には別売りのバランス接続プラグを入手してでも「TRN Rosefinch(朱雀)」はバランス接続での利用を強く推奨します。もっともTRNの交換プラグはすべて同じ仕様なので他にプラグが付属する製品を持っていればそちらから流用することも可能ですね。
「TRN Rosefinch」の高域はTRNらしい硬質な音で結構派手めに鳴るのですが、3.5mmのシングルエンドの場合、多くの再生環境では十分な音量を確保しようとすると刺さりやすい中高域付近が強調され、結構きつめの印象になります。また低域の分離感もやや損なわれる印象もあります。
ここで前回レビューした「TRN TA3」から流用した4.4mmのバランスプラグに交換してみると、低域の量感が増し、全体的にニュートラルな印象になります。また分離感が向上することで平面駆動ドライバーらしい歪みの少ない直線的な中低域~低域の質感を実感出来るようになります。「TRN Rosefinch」はバランス接続プラグへの交換かリケーブルをして本領を発揮するイヤホンのようです。
「TRN Rosefinch」の高域は、やや金属感のある明瞭な音を鳴らします。やや鳴らしにくい仕様でゲインを上げると刺さりやすい音域の主張が増すため、再生環境によってはシャリつきや歯擦音を感じる場合もあるかもしれまえん。平面駆動らしく直線的な伸びがあり、解像感も高めの印象。印象としては「Kirin」同様に平面駆動でもTRNらしい高域、というチューニングで、この辺が好みかどうかで印象は別れるでしょう。
中音域は3.5mmプラグではやや中高域の主張で控えめに感じますが、キレ重視で前後の音場感が良く感じます。バランス接続により分離が向上することで本来のスッキリした印象に変化し、左右の音場も改善されます。TRNらしいドライな寒色系のドンシャリ傾向で、定位は正確ではありませんが、味付けはなく明瞭なサウンドです。中華ハイブリッド的なサウンドチューニングをそのまま平面駆動に置き換えた印象で、KZの「KZ PR1」などの平面駆動モデルと比べると、音数の多いアニソンやJ-POPなどの相性は良く、ある意味「分かりやすいサウンド」だと思います。
低域は平面駆動らしい直線的なミッドベースが特徴的ですが、「Kirin」に比べると重低音の沈み込みは深くなく、ミッドベース中心の印象。キレは良く直線的な明瞭感がありますが、3.5mmでは高域の主張に比べて大人しく感じる場合も。バランス接続またはリケーブルによりニュートラルなバランスに変化し、低域の厚みも増すため、再生環境と合わせて、いろいろ試して見るのも良いと思います。
■ まとめ
というわけで、「TRN Rosefinch(朱雀)」は12mmの平面駆動ドライバーを搭載し、50ドル以下の低価格を実現したイヤホンですが、前回の「TRN TA3」同様、あるはそれ以上にマニア向けの製品という印象でした。平面駆動らしく、上流の再生環境はしっかり整える必要があるイヤホンのため、せっかくプラグ交換式のケーブルを付属するのであれば、あと10ドルアップしてでも3種類のプラグを同梱した方が良かったのでは、と思わせますね。
チューニングとしてはKZの平面駆動ドライバー搭載モデルが○○ターゲットやU字寄りのニュートラルバランスの方向に仕上げているのに対して、あくまで「TRNらしい」というか、低価格中華ハイブリッドの音を平面駆動でやったら、というアプローチの違いが鮮明で興味深いですね。個人的には良し悪しというより、こういう製品があってもそれはそれで良いのでは、と思います。まあTRNは他社と比べて明らかに「低価格」である、という点もそれが許される理由だと思いますので(^^;)。
「TRN Rosefinch」は低価格中華イヤホンのメーカーとして様々なラインナップを展開しているTRNの平面駆動ドライバー搭載モデルで、前回の「TRN TA3」同様に春頃にリリースされた製品です。TRNは平面駆動ドライバー搭載モデルのラインナップも急速に拡大しており、14.5mmの大口径ドライバーを搭載した「TRN Kirin」、SPD(角形平面ドライバー)とBAのハイブリッド構成の「TRN XuanWu (玄武)」と、このタイプの新しいドライバーが市場に登場したらとりあえず採用した新製品をリリースする、みたいな勢いなのかもしれません。


そして「TRN Rosefinch」が搭載するドライバーはフルレンジの12mm平面磁気ドライバーで、アンダー50ドル級の低価格を実現しています。12mmの極薄のフラット振動板の両面にN52ネオジム磁石で囲う磁気アレイ構造を採用。強力な磁束を生成し、振動板のレスポンスを向上させ、低歪みによるクリーンで高密度の出力が可能。さらにプロのチューニングにより質の高いサウンドを実現します。


「TRN Rosefinch」はアルミニウム合金製のフェイスカバーを備え、セミオープン型のキャビティデザインを採用しています。シェルは輸入樹脂素材による軽量かつ高品質な構造で成型されています。またケーブルは銀メッキ線とOFC高純度銅線のミックス線ケーブルを採用。プラグは交換可能なモジュラー式を採用していますが付属するプラグは3.5mmのみとなります。


「TRN Rosefinch」の購入はHiFiGoまたはアマゾンにて。価格は45.80ドル、アマゾンでは6,500前後です。
HifiGo: TRN Rosefinch
Amazon.co.jp(HiFiGo): TRN Rosefinch ※1101円OFFクーポン配布中。
免責事項:
本レビューではレビューサンプルとして HiFiGo より製品を提供いただきました。機会を提供してくださったことに感謝します。ただし本レビューに対して金銭的やりとりは一切無く、レビュー内容が他の手段で影響されることはありません。以下の記載内容はすべて私自身の感想によるものとなります。
■ パッケージ構成、製品の外観および内容について
「TRN Rosefinch」のパッケージは前回の「TRN TA3」と同様のサイズのボックスで化粧カバーは白色に製品画像を載せたタイプ。内箱は最近のTRNの黒箱タイプのパッケージ。


パッケージ内容はイヤホン本体、ケーブル、イヤーピース、説明書など。イヤーピースは白色タイプ、黒色タイプがそれぞれS/M/Lサイズ、さらにTRNの最新イヤーピース「T-Eartips」のMサイズが本体に装着済みです。
「TRN Rosefinch」の本体は非常にコンパクトで、「TRN Kirin」をひとまわり小さくしたような形状をしています。ステムノズルはやや短いですが耳に収まりやすい形状のため装着性は比較的良いでしょう。イヤーピースは2種類のタイプがふぞくしますが、やはり最初から装着されている「T-Eartips」が最もフィット感も良くお勧めです。付属するのはMサイズのみのため、LサイズやSサイズなど別のサイズが良い場合は別途購入するのも良いでしょう。私は「T-Eartips」のSサイズを使用しました。


フェイス部分はスリット状のベント(空気孔)があり、セミオープン型のため多少の音漏れがあります。とはいえ通常の利用では周囲にもほぼ聞こえない程度のため問題なく利用できるでしょう。


ケーブルは「TRN TA3」と同じタイプの4芯ミックス線ケーブルが付属しますが、プラグは3.5mmのみが付属し、4.4mmや2.5mmのバランス用は別売りとなります。ブラウンとグレーの線材の撚り線となっていて被膜は適度に弾力がありますが取り回しは良く質感も良いケーブルです。
■ サウンドインプレッション

アンダー50ドルの価格設定にするためか4.4mmおよび2.5mmの交換プラグは付属しませんが、正直なところ付属の3.5mmプラグでは実力を発揮し切れているとは言い難く、個人的には別売りのバランス接続プラグを入手してでも「TRN Rosefinch(朱雀)」はバランス接続での利用を強く推奨します。もっともTRNの交換プラグはすべて同じ仕様なので他にプラグが付属する製品を持っていればそちらから流用することも可能ですね。

ここで前回レビューした「TRN TA3」から流用した4.4mmのバランスプラグに交換してみると、低域の量感が増し、全体的にニュートラルな印象になります。また分離感が向上することで平面駆動ドライバーらしい歪みの少ない直線的な中低域~低域の質感を実感出来るようになります。「TRN Rosefinch」はバランス接続プラグへの交換かリケーブルをして本領を発揮するイヤホンのようです。
「TRN Rosefinch」の高域は、やや金属感のある明瞭な音を鳴らします。やや鳴らしにくい仕様でゲインを上げると刺さりやすい音域の主張が増すため、再生環境によってはシャリつきや歯擦音を感じる場合もあるかもしれまえん。平面駆動らしく直線的な伸びがあり、解像感も高めの印象。印象としては「Kirin」同様に平面駆動でもTRNらしい高域、というチューニングで、この辺が好みかどうかで印象は別れるでしょう。

低域は平面駆動らしい直線的なミッドベースが特徴的ですが、「Kirin」に比べると重低音の沈み込みは深くなく、ミッドベース中心の印象。キレは良く直線的な明瞭感がありますが、3.5mmでは高域の主張に比べて大人しく感じる場合も。バランス接続またはリケーブルによりニュートラルなバランスに変化し、低域の厚みも増すため、再生環境と合わせて、いろいろ試して見るのも良いと思います。
■ まとめ

チューニングとしてはKZの平面駆動ドライバー搭載モデルが○○ターゲットやU字寄りのニュートラルバランスの方向に仕上げているのに対して、あくまで「TRNらしい」というか、低価格中華ハイブリッドの音を平面駆動でやったら、というアプローチの違いが鮮明で興味深いですね。個人的には良し悪しというより、こういう製品があってもそれはそれで良いのでは、と思います。まあTRNは他社と比べて明らかに「低価格」である、という点もそれが許される理由だと思いますので(^^;)。