
こんにちは。今回は 「TRN MT1 Max」と「TRN MT4」です。どちらも20ドル以下の低価格モデルですね。「TRN MT4」は昨年から急増した10mmと6mmの2DD仕様モデルで低価格ながらバランスの良いサウンドを実現。そして「TRN MT1 Max」はこの価格でスイッチコントロール付きという相当マニアックな製品です。TRNの未レビューイヤホンは以前のモデルも含めるとまだまま結構持っていたりするのですが、とりあえずはこの2機種でひと段落・・・おっとまた次のTRN製品が(汗)。
■ 製品の概要について
【TRN MT4】
というわけで、まずは「TRN MT4」から。今年に入ってTRNから一気にリリースされた新機種のひとつで、昨年から急増しているサイズの異なる2基のダイナミックドライバーを組み合わせた2DD仕様のモデルとして登場しました。ウーファー用の10mmサイズの二重磁気回路ダイナミックドライバーとミッドレンジ/ツィーター用の6mm lightweight振動板ダイナミックドライバーで構成されます。


本体は亜鉛合金製のフェイスプレートと樹脂製のハウジングで構成され、カラーバリエーションはブラックとシルバーの2色が選択可能。ブラックはつや消し処理のフェイスプレートで、シルバーは鏡面処理が施され透明なハウジングを採用しています。


「TRN MT4」の価格は17.80ドル、アマゾンでは2,800円前後で販売されています。
HiFiGo: TRN MT4
Amazon.co.jp(HiFiGo): TRN MT4
【TRN MT1 Max】
そして「TRN MT1 Max」シングルドライバー構成でチューニングスイッチ付きという異色のモデル。既存モデルで「MT1」とアップグレードした「MT1 Pro」があるため、3回目のアップグレードとなりますね。「MT1」では「シリコンクリスタル複合バイオセルロース振動板」ダイナミックドライバーを搭載しており、「MT1 Pro」では同様の仕様でより極薄の振動板を採用し、フェイス部分にベント(空気孔)あるセミオープン型を採用しました。


そして今回の「TRN MT1 Max」ではN52強力磁石と極薄複合振動板を採用した第4世代の二重磁気回路ダイナミックドライバーを搭載。前世代よりも優れたパフォーマンスを発揮するように開発され、優れた解像度、バランスの向上と正確なイメージングを実現します。
さらに電子クロスオーバー技術によるスイッチ回路を搭載し、「Balanced」「Treble」「Bass」「Xtra-bass」の4種類のチューニングスタイルに変更が可能です。


「TRN MT1 Max」のカラーバリエーションはブラックと透明の2色が選択可能。
価格は12.80ドル、アマゾンでは1,980円前後で販売されています。
HiFiGo: TRN MT1 Max
【TRN MT4】


本体はデュアルドライバー構成ということもで「TRN TA3」とよく似たハウジング形状によりシンプルなフェイスパネルといった構成。シルバーの方は透明なシェルのため、2基のドライバーの配置がよく分かりますね。


従来のKZやTFZなどに近いデザインよりどちらかというと「TRN V90」や「V90S」を踏襲したフェイスデザインとなっています。耳へのフィット感は良く装着性はまずまずですね。低価格モデルと言うことでケーブルは以前からある撚り線タイプの銀メッキ線。イヤーピースも通常のシリコンタイプが3サイズ付属しますが、同時に最新の「T-Eartips」もMサイズのみ装着済みとなっています。サイズが合えば「T-Eartips」を選択する方が良いでしょう。私は「T-Eartips」のSサイズを別途用意して組み合わせました。


「TRN MT4」の音質傾向は、中低域寄りのバランスでTRNのなかでもかなりニュートラルな印象でまとめられた製品といえるでしょう。先日レビューした「TRN TA3」は「MT4」に高域用のKnowles製BAを追加し高域強化のドンシャリ化したイヤホンという見方もできるかもしれませんが、単純にBAを引き算しただけというより、そもそものチューニングとしてもよくまとまっていると思います。くの方にとって非常に聴きやすくバランスの取れたサウンドですが、TRNの従来製品と比べても高域は控えめの印象を受けるため、同社のハイブリッド製品の派手目のサウンドが好みの方にはやや物足りないかもしれません。


低域はミッドベースは直線的で締まりがあり、低域も深さと重量感のある響きが楽しめます。こちらも従来のTRNに比べるとメリハリは控えめで派手さは無いですが、ボーカル域を中心に捉えれば聴きやすく楽しめる低域といえるでしょう。中音域は曲によっては僅かに凹むもののボーカルは比較的に近く、音場も広い印象。2基のドライバーのつながりも違和感がなく、自然な印象があります。質感としては低価格なりの部分もありますが、リケーブルなどでバランス化することで分離なども向上するため、普段使いとして十分に楽しめるイヤホンだと思います。
【TRN MT1 Max】
「TRN MT1 Max」もコンパクトな白箱タイプで、付属品は本体、ケーブル、イヤーピース(S/M/Lサイズ)と本体装着済みの「T-Eartips」のMサイズ、スイッチ切替用のピン、説明書など。


本体形状は「TRN MT1」および「TRN MT1 Pro」を踏襲しており、いわゆるKZやTFZなどに近いデザインを採用しています。フェイスプレートのデザインはアップデートされており、金属線の円形プレートと空気孔(ベント)のあるメッシュパーツが中央に配置されています。


形状的には従来機種を踏襲していますので装着性もほぼ同様です。「MT1」シリーズはややステムノズルが太いのでイヤーピースも定番の「スパイラルドット」や「AET07」(互換品含む)などを組み合わせる方がフィット感が得られる場合も多いでしょう。また装着済みの「T-Eartips」はやはり非常に良いですね。ケーブルはゴムっぽい被膜の銅線タイプが付属します。KZの最近のケーブルと比べると柔らかいのですがやや絡まりやすい感じですね。こちらもリケーブルを検討するのも良いでしょう。


そしてスイッチコントロールですが、3個のスイッチがあるため物理的には9パターンの設定がありますが、実際にモード設定されているのは4種類のみのようです。標準では「Balanced」に設定されています。おそらくドライバーが接続された回路の抵抗などが3個あって、それぞれをON/OFFする仕様なのかな、と推測します。そのため4種類以外の設定の場合もメーカーが意図しない傾向での変化はあるかもしれませんね。興味のある方は色々試して見るのも良いと思います。


「TRN MT1 Max」の音質傾向は、「MT1」からの傾向を踏襲し、やや中低域寄りの弱ドンシャリでまとめられています。「MT1 Pro」でセミオープン型となったことでより広く開放的な空間表現を実現しましたが、「TRN MT1 Max」では中高域の抜け感や解像感が多少向上しており、基本的な傾向は踏襲しつつ振動板の改善等のアップデート効果が現れている印象です。スイッチコントロールによる4つのモードはそこまで劇的な変化ではないものの、一定の変化は実感出来ます。とはいえプレーヤーの出力や傾向などの上流の違いによる変化や、リケーブルでの変化の方が大きいと感じる方もいらっしゃるかも知れません。


特に「TRN MT1 Max」に付属するケーブルは高域の一定の帯域が特に緩くなる印象があり、全体的にウォームな印象をユーザーに与えます。ここで多くのリケーブル製品を選択しなくても、例えば「TRN MT4」に付属するケーブル(過去のTRN製イヤホンでも多く付属しているケーブルと同じ銀メッキ線タイプ)に交換しても多少硬質な印象の煌めきのあるシンバル音など変化は実感できます。コスト的な理由もあるかもしれませんが、この価格帯のユーザーを想定し、ライトユーザーにとっても聴き疲れしにくいサウンドにするために従来とは異なるタイプのケーブルを選択した可能性があります。同時にスイッチコントロールにより、より伸びやかさを求める方向けの「高域強化」や、より低域の厚みを楽しみたい方向けの「低域強化」、そしてEDMなど重低音の響きに重点を置く方向けの「Xtra-Bass」といったチューニングオプションを用意しています。
「TRN MT1 Max」は素材としてもライトユーザーなどを中心に10ドル強、2千円程度で購入できる手頃なイヤホンとして手頃感を持ちつつ、繰り返されたバージョンアップによりポテンシャルは非常に高くなり、リケーブルなどにより「追い込む」事で価格以上のサウンドにレベルアップが出来る「マニアにとっても相当遊べる」イヤホンとして成立しています。
■ まとめ
というわけで、TRNの低価格の2機種をまとめて紹介しましたが、50ドル前後のモデルが「いつものTRN」ぽさ前回だったのに対し、どちらの機種とも結構温かみもあり、解像感より聴きやすさをある程度意識したモデルであったことがとても興味深かったですね。特にスイッチ付きの「TRN MT1 Max」はもっと攻めてくるのかと思いましたが、思ったより良い意味で「普通」だったのが意外でした。いちおうマニアではない、多くのライトユーザーも意識しているのが伺えますね。とはいえ、KZとは違う「隠された変態性(?)」みたいなものも少し感じる側面もあり、「遊べるイヤホン」としての楽しさも感じました。なんつーか、このクラスの中華イヤホンて真面目に良し悪しをどうこうというものでもない気がしており、多くの方を対象として、「まあ買った人がそれなりに満足できればいいじゃん」という視点では、どちらもどちらも相応に良くできているのではと思いました(^^;)。
【TRN MT4】
というわけで、まずは「TRN MT4」から。今年に入ってTRNから一気にリリースされた新機種のひとつで、昨年から急増しているサイズの異なる2基のダイナミックドライバーを組み合わせた2DD仕様のモデルとして登場しました。ウーファー用の10mmサイズの二重磁気回路ダイナミックドライバーとミッドレンジ/ツィーター用の6mm lightweight振動板ダイナミックドライバーで構成されます。


本体は亜鉛合金製のフェイスプレートと樹脂製のハウジングで構成され、カラーバリエーションはブラックとシルバーの2色が選択可能。ブラックはつや消し処理のフェイスプレートで、シルバーは鏡面処理が施され透明なハウジングを採用しています。


「TRN MT4」の価格は17.80ドル、アマゾンでは2,800円前後で販売されています。
HiFiGo: TRN MT4
Amazon.co.jp(HiFiGo): TRN MT4
免責事項:
本レビューではレビューサンプルとして HiFiGo より製品を提供いただきました。機会を提供してくださったことに感謝します。ただし本レビューに対して金銭的やりとりは一切無く、レビュー内容が他の手段で影響されることはありません。以下の記載内容はすべて私自身の感想によるものとなります。
【TRN MT1 Max】
そして「TRN MT1 Max」シングルドライバー構成でチューニングスイッチ付きという異色のモデル。既存モデルで「MT1」とアップグレードした「MT1 Pro」があるため、3回目のアップグレードとなりますね。「MT1」では「シリコンクリスタル複合バイオセルロース振動板」ダイナミックドライバーを搭載しており、「MT1 Pro」では同様の仕様でより極薄の振動板を採用し、フェイス部分にベント(空気孔)あるセミオープン型を採用しました。


そして今回の「TRN MT1 Max」ではN52強力磁石と極薄複合振動板を採用した第4世代の二重磁気回路ダイナミックドライバーを搭載。前世代よりも優れたパフォーマンスを発揮するように開発され、優れた解像度、バランスの向上と正確なイメージングを実現します。
さらに電子クロスオーバー技術によるスイッチ回路を搭載し、「Balanced」「Treble」「Bass」「Xtra-bass」の4種類のチューニングスタイルに変更が可能です。


「TRN MT1 Max」のカラーバリエーションはブラックと透明の2色が選択可能。
価格は12.80ドル、アマゾンでは1,980円前後で販売されています。
HiFiGo: TRN MT1 Max
■ パッケージ構成、サウンドインプレッション
【TRN MT4】
「TRN MT4」のパッケージはコンパクトな白箱タイプで製品画像が掲載されたタイプ。パッケージ内容は本体、ケーブル、イヤーピース(S/M/Lサイズ)と本体装着済みの「T-Eartips」のMサイズ、説明書ほか。


本体はデュアルドライバー構成ということもで「TRN TA3」とよく似たハウジング形状によりシンプルなフェイスパネルといった構成。シルバーの方は透明なシェルのため、2基のドライバーの配置がよく分かりますね。


従来のKZやTFZなどに近いデザインよりどちらかというと「TRN V90」や「V90S」を踏襲したフェイスデザインとなっています。耳へのフィット感は良く装着性はまずまずですね。低価格モデルと言うことでケーブルは以前からある撚り線タイプの銀メッキ線。イヤーピースも通常のシリコンタイプが3サイズ付属しますが、同時に最新の「T-Eartips」もMサイズのみ装着済みとなっています。サイズが合えば「T-Eartips」を選択する方が良いでしょう。私は「T-Eartips」のSサイズを別途用意して組み合わせました。


「TRN MT4」の音質傾向は、中低域寄りのバランスでTRNのなかでもかなりニュートラルな印象でまとめられた製品といえるでしょう。先日レビューした「TRN TA3」は「MT4」に高域用のKnowles製BAを追加し高域強化のドンシャリ化したイヤホンという見方もできるかもしれませんが、単純にBAを引き算しただけというより、そもそものチューニングとしてもよくまとまっていると思います。くの方にとって非常に聴きやすくバランスの取れたサウンドですが、TRNの従来製品と比べても高域は控えめの印象を受けるため、同社のハイブリッド製品の派手目のサウンドが好みの方にはやや物足りないかもしれません。


低域はミッドベースは直線的で締まりがあり、低域も深さと重量感のある響きが楽しめます。こちらも従来のTRNに比べるとメリハリは控えめで派手さは無いですが、ボーカル域を中心に捉えれば聴きやすく楽しめる低域といえるでしょう。中音域は曲によっては僅かに凹むもののボーカルは比較的に近く、音場も広い印象。2基のドライバーのつながりも違和感がなく、自然な印象があります。質感としては低価格なりの部分もありますが、リケーブルなどでバランス化することで分離なども向上するため、普段使いとして十分に楽しめるイヤホンだと思います。
【TRN MT1 Max】
「TRN MT1 Max」もコンパクトな白箱タイプで、付属品は本体、ケーブル、イヤーピース(S/M/Lサイズ)と本体装着済みの「T-Eartips」のMサイズ、スイッチ切替用のピン、説明書など。


本体形状は「TRN MT1」および「TRN MT1 Pro」を踏襲しており、いわゆるKZやTFZなどに近いデザインを採用しています。フェイスプレートのデザインはアップデートされており、金属線の円形プレートと空気孔(ベント)のあるメッシュパーツが中央に配置されています。


形状的には従来機種を踏襲していますので装着性もほぼ同様です。「MT1」シリーズはややステムノズルが太いのでイヤーピースも定番の「スパイラルドット」や「AET07」(互換品含む)などを組み合わせる方がフィット感が得られる場合も多いでしょう。また装着済みの「T-Eartips」はやはり非常に良いですね。ケーブルはゴムっぽい被膜の銅線タイプが付属します。KZの最近のケーブルと比べると柔らかいのですがやや絡まりやすい感じですね。こちらもリケーブルを検討するのも良いでしょう。


そしてスイッチコントロールですが、3個のスイッチがあるため物理的には9パターンの設定がありますが、実際にモード設定されているのは4種類のみのようです。標準では「Balanced」に設定されています。おそらくドライバーが接続された回路の抵抗などが3個あって、それぞれをON/OFFする仕様なのかな、と推測します。そのため4種類以外の設定の場合もメーカーが意図しない傾向での変化はあるかもしれませんね。興味のある方は色々試して見るのも良いと思います。


「TRN MT1 Max」の音質傾向は、「MT1」からの傾向を踏襲し、やや中低域寄りの弱ドンシャリでまとめられています。「MT1 Pro」でセミオープン型となったことでより広く開放的な空間表現を実現しましたが、「TRN MT1 Max」では中高域の抜け感や解像感が多少向上しており、基本的な傾向は踏襲しつつ振動板の改善等のアップデート効果が現れている印象です。スイッチコントロールによる4つのモードはそこまで劇的な変化ではないものの、一定の変化は実感出来ます。とはいえプレーヤーの出力や傾向などの上流の違いによる変化や、リケーブルでの変化の方が大きいと感じる方もいらっしゃるかも知れません。


特に「TRN MT1 Max」に付属するケーブルは高域の一定の帯域が特に緩くなる印象があり、全体的にウォームな印象をユーザーに与えます。ここで多くのリケーブル製品を選択しなくても、例えば「TRN MT4」に付属するケーブル(過去のTRN製イヤホンでも多く付属しているケーブルと同じ銀メッキ線タイプ)に交換しても多少硬質な印象の煌めきのあるシンバル音など変化は実感できます。コスト的な理由もあるかもしれませんが、この価格帯のユーザーを想定し、ライトユーザーにとっても聴き疲れしにくいサウンドにするために従来とは異なるタイプのケーブルを選択した可能性があります。同時にスイッチコントロールにより、より伸びやかさを求める方向けの「高域強化」や、より低域の厚みを楽しみたい方向けの「低域強化」、そしてEDMなど重低音の響きに重点を置く方向けの「Xtra-Bass」といったチューニングオプションを用意しています。
「TRN MT1 Max」は素材としてもライトユーザーなどを中心に10ドル強、2千円程度で購入できる手頃なイヤホンとして手頃感を持ちつつ、繰り返されたバージョンアップによりポテンシャルは非常に高くなり、リケーブルなどにより「追い込む」事で価格以上のサウンドにレベルアップが出来る「マニアにとっても相当遊べる」イヤホンとして成立しています。
■ まとめ
というわけで、TRNの低価格の2機種をまとめて紹介しましたが、50ドル前後のモデルが「いつものTRN」ぽさ前回だったのに対し、どちらの機種とも結構温かみもあり、解像感より聴きやすさをある程度意識したモデルであったことがとても興味深かったですね。特にスイッチ付きの「TRN MT1 Max」はもっと攻めてくるのかと思いましたが、思ったより良い意味で「普通」だったのが意外でした。いちおうマニアではない、多くのライトユーザーも意識しているのが伺えますね。とはいえ、KZとは違う「隠された変態性(?)」みたいなものも少し感じる側面もあり、「遊べるイヤホン」としての楽しさも感じました。なんつーか、このクラスの中華イヤホンて真面目に良し悪しをどうこうというものでもない気がしており、多くの方を対象として、「まあ買った人がそれなりに満足できればいいじゃん」という視点では、どちらもどちらも相応に良くできているのではと思いました(^^;)。