SHANLING H5

こんにちは。今回は 「SHANLING H5」です。日本国内でも7月21日に発売された最新のUSB-DAC/ポータブルアンプ製品です。先日レビューした「SHANLING H7」の機能の多くを踏襲しつつ、よりコンパクトかつ低価格を実現したUSB-DAC/ワイヤレスレシーバー/ポータブルアンプ製品です。デュアルDAC構成により最大32bit/768kHz、DSD512およびMQAに対応し、BluetoothはLDACでの32bit/96kHzのハイレゾワイヤレスにも対応。さらに「H7」同様の「ローカルファイル再生機能」を搭載し、高音質・高出力で「全部入り」構成ながら5万円クラスのお手頃価格を実現しています。

■ 製品の概要について

ポータブルオーディオの世界で高い実績により確固たるポジションを築きあげている「Shanling」ブランドの最新ポータブルアンプ製品が今回の「SHANLING H5」です。先日レビューしたハイグレーモデルの「SHANLING H7」の多くの機能を踏襲しつつ、よりコンパクト化を実現し、その多機能・高音質をより多くのユーザーが体験できる製品に仕上がっています。
→ 過去記事: 「Shanling H7」 AK4499EX+AK4191EQ採用。LDAC対応ワイヤレス、さらにローカル再生にも対応する多機能・高音質なハイエンドUSB-DAC/AMP【レビュー】

SHANLING H5SHANLING H5」は、ポータブルおよび据置きの両方で利用できる高性能のUSB-DACと、さらにLDACコーデックに対応したBluetoothレシーバー機能加えた有線/ワイヤレス両対応のポータブルアンプとしての機能を搭載。そして「H7」同様、本体にmicroSDカードスロットを備え、「SyncLink」機能による「ローカルファイル再生機能」をサポートします。
個人的に「ローカルファイル再生機能」は「H7」で最も利用している機能ですが、より持ち運びに便利なサイズ感の「SHANLING H5」でも実装されている点はかなり注目すべき点でしょう。

SHANLING H5」ではDACチップにAKM製「AK4493SEQ」をデュアルで搭載。USB-DACとしてのインターフェースチップには「H7」同様にXMOS製「XU316」を採用し、16Coreの処理能力によりPCM 768Hz/32bit、DSD512、MQA(8X)デコードに対応。USB入力もUAC(USB Audio Class)2.0および1.0をサポートします。またアンプ回路も「H7」同様にTI製「TPA6120A2」をデュアルで搭載。ノイズレスで、滑らかかつ解像度の高いサウンドと、ナチュラルで広い音場表現を実現しています。
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またオペアンプに高電圧かつノイズレスなフルバランス出力を実現する「LTA8092」を採用し、ローパスフィルタに低ノイズ・低歪みを実現する「OPA1612」を搭載。さらに自社開発による第3世代FPGAとKDS製水晶発振器により極めてクリーンかつ純粋で原音への忠実性を高めています。

接続プラグは3.5mmシングルエンド(ステレオ端子)に加え、4.4mmバランス出力にも対応。Low/Medium/Highの3段階のゲイン設定が可能です。シングルエンドでは最大227mW、バランスでは840mW(ともに32Ω)の高出力が可能です。また背面にはRCAのラインアウトも搭載します。
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入力もUSB、SPDIF(Coaxial、Optical)、そしてBluetooth 5.0ワイヤレス接続に対応。BluetoothはLDAC、AAC、SBCの各コーデックに対応します。USBポートはデータ用と充電用の2系統を装備。

さらに「H7」から踏襲された「SHANLING H5」の特徴として、microSDカードによる「ローカルファイル再生機能」を搭載。最大2TBのmicroSDカードに対応し、Android/iOS用の「Eddict Player」コントロールアプリと「SyncLink機能」でペアリングすることで、音楽ファイルの再生などの操作や各種設定をスマートフォンから行うことが出来ます。「ローカル再生」時も最大32bit/384kHz PCMおよびDSD256フォーマットの音源データの再生に対応します。
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このような高性能および多機能な「SHANLING H5」ですがサイズは「H7」より大幅に小型化しつつ3,500mAhの高性能バッテリーを搭載し、高精度なパワーマネジメントによりシングルエンドで最長12.5時間、バランス接続でも8時間の長時間稼働を実現。またQuickCharge3.0の急速充電にも対応します。
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その他「SHANLING H5」の製品概要および仕様等は以下サイトの通りです。

SHANLING H5」のカラーバリエーションは「ブラック」と「チタニウム」の2色。専用のPUレザーケースも別売りで販売されています。購入はMUSIN直営店(Hey Listen)ほか主要な販売店にて。
価格はアマゾン直営店にてレビュー時点では本体が52,470円、専用のレザーケースが3,960円でした。


免責事項:
本レビューではレビューサンプルとして MUSIN様 より製品を提供いただきました。機会を提供してくださったことに感謝します。ただし本レビューに対して金銭的やりとりは一切無く、レビュー内容が他の手段で影響されることはありません。以下の記載内容はすべて私自身の感想によるものとなります。


■ パッケージ構成、製品の外観および内容について

今回はMUSIN様からのサンプル提供により発売前から「SHANLING H5」を体感することが出来ました。カラーは「ブラック」を選択しています。パッケージは製品画像が描かれたシンプルな白箱タイプ。同時発売の専用PUレザーケースは黒い箱で届いています。
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パッケージ内容は本体、充電用USB(Type-C to Type-A)ケーブル、接続用USB OTG(Type-C to Type-C)ケーブル、コアキシャル用変換ケーブル、ゴム足、布製ポーチ、スタートガイド、保証書。専用PUレザーケースはライトブラウンのカラーのみが販売されています。薄い材質で本体にフィットし滑り止めにもなりますね。
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本体サイズは102×85×25mm、270.4gと高出力タイプのポータブルアンプとしては利用しやすいサイズ感。「H7」の比べると長さが142mmから4センチほど短くなったサイズ感ですが、一応手のひらに収まるサイズ感となり、ポータブルでの利用を考慮すると実際にはかなり小さく実用的になった印象ですね。
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コンパクトになりましたが、主要なインターフェースは「H7」を踏襲しており、背面の構成も全く同様です。据置き利用で外部出力に最適なRCAのラインアウトに加え、Opticalおよびコアキシャル(Coax)兼用のSPDIF用の3.5mmコネクタデータ用と充電用のUSB Type-Cインターフェース、そして後述の「ローカル再生」用のmicroSDカードスロットを備えます。SPDIF入力はOptical(TosLink)の場合は3.5mmミニプラグタイプ、コアキシャルの場合は付属の変換ケーブルを使用します。余談ですが、充電用ポートが別途有りますが、RCA出力で据置き利用の場合、常時給電ポートをつなぎっぱなしというのはやめた方が無難でしょう。
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前面のインターフェースでは3.5mmと4.4mmの2系統となり、「H7」にあった6.35mmのプラグは省略されました。6.35mmのジャックは一部のヘッドホン製品以外では使うことは少なくなっていると思いますし、ポータブル用途ではまず不要ですので支障は無いでしょう。また4.4mmがついていれば小型の変換アダプター等で2.5mmも使用できるため、こちらも実用性では特に問題は無い部分です。
そして左右のダイアルアクションも「H7」の操作性を踏襲しています。
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本体の液晶パネルは小さく、必要最小限の情報しか表示しませんが、普段は音量以外では入力モードの変更やゲイン変更くらいしか使わないので慣れればそれほど難しくはありません。数分程度で全体の操作も理解できますし、操作のコツを掴んでしまえばさほど悩むことは少ないでしょう。
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USBおよび各種デジタル入力、Bluetooth接続といったUSB-DAC、ワイヤレスアンプとしての機能は「H7」の性能を完全に踏襲しています。USB接続では付属のOTGケーブルを使用し各種スマートフォンやタブレット、PC/Macなどに対応。また明記されていないもののUSB-Lightning OTGケーブルを別途用意することでiPhoneとの接続も可能です。ワイヤレス接続ではBluetooth 5.0準拠でハイレゾ対応の「LDAC」および「AAC」「SBC」の各コーデックに対応します。
これらの詳細については「H7」のレビューと繰り返しの記載となるため、よろしければ「H7」のレビューの「接続および機能について(USB-DAC)」および同「Bluetooth」の項目を参照いただけると幸いです。
過去記事: 「SHANLING H7」のレビュー



■ サウンドインプレッション

SHANLING H5」の音質傾向は非常に素直でAKM製DAC搭載らしい癖の無いサウンドを自然に鳴らす印象です。上位モデルの「H7」のレビューでは据置きの「FiiO K9 PRO LTD(AK4499版)」にも通じるような澄み切った透明感とディテール表現を印象として挙げましたが、「H5」は実用的な解像感や表現力を備えつつ、より柔らかく僅かに温かみもあり、自然な印象のサウンドを楽しめる仕上がりです。一言で表現すると、「H7」は「ピュアサウンド」、「H5」は「ナチュラルサウンド」といった感じでしょうか。
また各ゲインモードでの特性も非常に自然な印象で、過度にパワー推しのような派手さやエッジを強調したような印象もないため、組み合わせるイヤホンやヘッドホンの特徴をありのままに引き出してくれます。同価格帯のポータブルアンプ製品と比較しても十分な出力をもちつつ自然な印象で、確かに「Shanlingらしい」サウンドといえるでしょう。
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ちなみに、Shanling社サイトの「SHANLING H5」の製品ページでは、同製品について「Classic Shanling Sound」という記載があります。搭載する「AK4493SEQ」は同社のDAP(デジタルオーディオプレーヤー)製品の「M6 Ultra」と同じですが、「M6 Ultra」はクアッド(4基)構成のため、グレードとしては「格上」になります。そういった意味では、ここでいう「Classic」とは過去に発売された「M5s」(日本では未発売)あたりの機種との比較と考える方が妥当でしょう。「M5s」は4年以上前の製品ですが、DACに「AK4493EQ」をデュアルで搭載し、ローパスフィルターに「OPA1612」を採用するなど、設計上の共通点も多く見られるDAPです。後継モデルは発売されておらず、下位グレードの「M2X」や日本未発売の「M1s」で性能面では実質的に置き換えられている状況です。
SHANLING H5私も「M5s」は結構最近まで主にレビュー用で愛用していたDAPのひとつで、「SHANLING H5」に比べればアンプ性能はかなり非力ですが、非常に素直なゲイン特性を持ち、僅かにウォームさもありつつ素直にイヤホンやヘッドホンの特徴を引き出す自然な傾向のため、過度に追い込まず、いっぽうで製品ごとの違いを捉えやすく、などイヤホンレビューには最適なプレーヤーでした。そして今回の「SHANLING H5」は3段階のゲイン調整で「M5s」に近い出力と、さらにその上のハイパワーでの利用が可能になり、当時を思い出してちょっと嬉しくなりました。

これはあくまでレビュアー目線の話ですが、「H7」や同様の用途で使っている前述の「K9 PRO LTD」などは透明感や解像感が高すぎて必要以上にいい音で鳴ってしまう、という「レビュアー泣かせ」の要素もあります。というのも、ある程度のイヤホンやヘッドホンの場合、再生環境により期待通りの音で鳴ってくれるとは限らない、という事がありますが、これらのハイグレード製品では「期待以上に鳴ってしまう」というイメージですね(^^;)。製品の特徴をより子細に聴き分ける上では最適ですが単純に良し悪しを判断する上ではちょっと困ることもあるわけです。この点で前述の「M5s」は本当に「ちょうどいい」DAPだったという印象で、今回の「SHANLING H5」もこの要素が結構当てはまったりします。組み合わせるイヤホンやヘッドホンの特徴や違いがとても分かりやすいという意味でも、さまざまな製品を持っているマニアには最適なポータブルアンプといえるかもですね。


■ ローカルファイル再生機能について

SHANLING H5」も「H7」同様に本体にmicroSDカードスロットを搭載し、自身で音楽を再生できる「ローカルファイル再生機能」を搭載します。つまりUSB-DAC/ポータブルアンプだけどプレーヤーのような使い方も出来るよ、ということですね。「Apple Music」や「Amazon Music Unlimited」などの各種配信サービスでの音楽再生ではUSB-DACでの有線接続やBluetoothでのワイヤレス接続が便利ですが、すでにCDやハイレゾ音源等の音楽データを所有しライブラリを管理されている方(つまり以前からDAP製品を使用されている方ですね)であれば、音源ファイルを無劣化かつ電波状況に影響されずに再生できる「ローカルファイル再生機能」のほうが良い場合も多いでしょう。
SHANLING H5ハイエンド機の「H7」ではDAC部分の音質面がフォーカスされ、この機能はあまり注目されていませんでしたが、より小型でポータブル性の高い「SHANLING H5」では「ローカルファイル再生機能」がいよいよ本領を発揮しそうです。
利用方法は「SHANLING H5」の左側のダイヤルボタンをクリックし入力切替を行い「ローカルファイル再生」のモードに変更します(液晶画面は小型プレーヤーのような表示になります)。再生にはスマートフォンアプリの「Eddict Player」を使用し、「SyncLink機能」でBluetoothペアリングすることで利用できます。

microSDスロットは2TBまでの容量に対応し、ペアリング後は「Eddict Player」(Android/iOS対応)での遠隔操作により、同社のDAP製品のような操作性でライブラリの管理及び再生が可能です。またアプリ上で「SHANLING H5」の各種設定も可能です。
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「H7」の発売以降「Eddict Player」もバージョンアップを繰り返し、比較的安定して利用できるようになっているため、「SHANLING H5」では購入直後から安心して「ローカルファイル再生機能」を使えます。個人的には「Eddict Player」での遠隔再生は普段から「H7」でも非常に頻繁に利用している機能のため、特に違和感はなく利用できています。ただし、Bluetoothで接続し遠隔素操作する関係でしばらく操作していないとリンク切れを起こしやすくなるため、この機能をメインで使用する場合は、設定画面で「SHANLING H5」本体のスリープ時間を少し長めに設定(標準の15分を30分~1時間程度に変更)したり、ペアリングするスマートフォン側でもロックやスリープのタイミングを多少調整しておくことをお勧めします。


■ まとめ

SHANLING H5というわけで、「SHANLING H5」は5万円クラスのUSB-DAC/ポータブルアンプ製品として、高性能DACチップ搭載、超低ノイズ&高出力アンプ、4.4mmバランス接続対応、独立充電ポート、ラインアウト対応、LDACによるハイレゾ対応Bluetoothレシーバー搭載と「全部入り」タイプの機能性と高音質を揃えた製品です。音質面では同クラスとしては十分な解像感と高い分離性を備え、癖の無いニュートラルで自然な音色での再生を楽しめます。また反応の良いカスタムIEMなどの製品から、鳴らしにくいヘッドホン製品まで対応するノイズ特性と高出力を備えています。

ワイヤレスレシーバーとしてはLDACコーデックに対応し、ハイレゾ/ロスレス対応の音楽配信サービスとの組み合わせにも最適です。ただし、ワイヤレス機能についてはAACコーデックまでの対応となるiPhoneとの組み合わせはあまり想定されていない印象もあり、iPhoneの場合はLightning-OTGケーブルを別途用意しUSB接続での利用をするほうが快適でしょう。
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そして、「SHANLING H5」で最も注目されるのが、「ローカルファイル再生機能」で優れたDACおよびポータブルアンプ機能による音楽再生を本体のみで実現できる点はかなり魅力手的でしょう。実際に使ってみるとワイヤレスで音楽配信、音楽データはローカル再生で、という使い方が私も主流になりました。本格的な高音質を楽しめる製品として、手頃なサイズ感と価格設定で、より幅広いユーザーにお勧めできるオーディオアイテムだと感じました。