こんにちは。今回は「Yanyin CANON II」(ヤンイン・カノン2)です。300ドルオーバーながら大人気モデルとなった「CANON」を受け、より低域の質感を強化したモデルとして登場したアッパーグレードモデルです。「CANON」とは異なるアプローチで、かつリスニングイヤホンとして今回も非常に高い完成度を実現しています。
■ 製品の概要について
比較的新しい中華イヤホンブランドである「Yanyin」ですが、約2年前にリリースされた「CANON」はその独創的な設計と卓越したオーディオデザインもあって、いきなり大人気のモデルとなりました。ちなみに「CANON」はカノン、と呼びます。日本の某光学機器メーカーではなく、音楽用語の「カノン進行」などで知られる方の「カノン」です。
→ 過去記事: 「Yanyin Canon」 質の高いリスニングサウンドに各音域を調整可能な独自の3系統スイッチ。満足度の高いミドルグレード4BA+1DD高音質中華イヤホン【レビュー】
そして、新たに登場した「Yanyin CANON II」は「CANON」と同様の「4BA+1DD」のハイブリッド構成を採用しつつ、ダイナミックドライバー部には、第3世代のバイオ振動板とデュアルチャンバー設計を採用。最適な空気圧バランス実現し、低域のレスポンスが向上し、より深い没入感が得られます。
また4基のバランスド・アーマチュア(BA)ドライバーは、中高域~中音域用の2基のフルレンジドライバーと高域用の2基のツィータードライバーで構成されます。
本体は医療グレードのレジンを使用し3Dプリントにより精密成形され、フェイスプレートは銀河をモチーフとした美しいデザインでハンドメイドで作成されていいます。
そして「Yanyin CANON II」では、独立して制御可能な2系統の低域調整スイッチが搭載され、4種類のモードによるサウンドチューニングが可能です。
ケーブルには、高品質なグラフェン単結晶銅銀メッキ線の4芯ケーブルが付属します。コネクタは0.78mm 2pin仕様を採用しています。またプラグは購入時に3.5mm、4.4mm、2.5mmが選択できます。
パッケージ内容はイヤホン本体、ケーブル、イヤーピース(S/M/Lサイズ)、スイッチ切替用ピン、レザーケース、説明書、保証書など。
本体はカナル型のデザインとしてはやや大きめで、存在感のあるデザイン。ブラックのシェルにメタリックブルーのストライプの銀河をイメージしたフェイスデザインはシンプルながらとてもクールですね。
既存の「CANON」と比べるとフェイスサイズは横幅が広く、全体としてもひとまわり大きくなりました。それでも「Yanyin CANON II」のサイズ感としては一般的で装着性はカナル型としては一般的な印象。いま思うの「CANON」はスイッチ付きの4BA+1DDモデルとしては結構コンパクトですね。
側面のスイッチは2系統でしかも低域を調整するためのスイッチ、という仕様。3系統の「CANON」とは設計的にもほぼ別物と考えたほうが良いでしょう。スイッチは標準では「10」(ON-OFF)で、「00」(OFF-OFF)が最も低域が少なく、「11」(ON-ON)が最も低域が強い組み合わせ。中間の「10」と「01」はバランスとしてはほとんど同じで、「10」のほうが僅かにボーカル域に艶感があるかも、という気がしましたが、誤差の範囲かも知れませんね。
ケーブルは単結晶銅銀メッキ線の4芯タイプでグラフェンコート仕様であるという記載があります。外観上は「CANON」のケーブルと全く同じようにも見えますので単なる表記の違いだけかもしれませんね。高級感のある仕上がりで被膜は非常に薄く取り回しは良い印象です。イヤーピースは軸部分の開口部がステムノズルの形状にあわせてやや大きいタイプが付属します。そのほか定番の「スパイラルドット」や「AET07」(互換品含む)、「SpinFit CP100+」、ほかにも「Softears U.C.」なども非常に良い組み合わせだと思います。
■ サウンドインプレッション
「Yanyin CANON II」の音質傾向はスッキリした明瞭感のある弱ドンシャリ傾向を中心に、スイッチにより低域の量感をコントロールできる印象。ダイナミックドライバー部を刷新し低域を強化した製品ということで、もっと派手で低域モリモリのサウンドかなと思ったのですが、確かにスピード感のある明瞭なサウンドではあるものの、派手すぎず、非常にまとまりのある印象に仕上がっています。おそらく「CANON」のほうが多くの場合でよりアグレッシブなサウンドに感じると思います。
ベースとなっている「10」(ON-OFF)または「01」(OFF-OFF)は非常に重厚な低域を持ちつつも全体としてスッキリとして粒立ちの良い印象で、ハイブリッドらしい楽しさを維持しつつ、より質感を楽しみたい方にも最適な仕上がりになっています。
また「00」(OFF-OFF)では「CANON」の最も低域を抑えたモードよりさらに低域が少なめでかなりニュートラル方向で、ちょっとハーマンターゲットぽいバランスになります。それでも質感に粗さは無くこのクラスのイヤホンらしい完成度を感じさせます。
そして最も低域が強い「11」(ON-ON)ではかなり低域モリモリ感が増すものの全体としてのバランスはしっかり維持されており響きの良さとともに適度な締まりのあるサウンドを楽しめます。
それぞれのスイッチがしっかり意味を持っており、リスニングイヤホンとしてのバランスの良さを維持している点で「Yanyin CANON II」も「CANON」に匹敵する完成度の高さといえるでしょう。
「Yanyin CANON II」の高域は、スッキリした明瞭感を持ちつつ、聴きやすくまとめられています。「CANON」の高域を強調した状態のような派手さはありませんが、どのモードでも伸びやかさとスッキリした見通しの良さを感じさせます。印象としてはハイブリッドらしい寒色方向ですが過度に金属質になりすぎず、かといってウォームにもならず自然な印象な点はYanyinらしいといえる部分でしょう。
中音域は低域を強調することによってやや凹みますが、個々の音の粒立ちの良い印象で、全体的にスッキリとした見通しの良さもあるため、物足りなさを感じる事は内でしょう。また適度に広く立体的な音場表現があり、心地よいリスニング体験を得られます。解像感は高く分離も良い印象で、ボーカルと演奏は自然に定位します。特に最も低域を抑えた「00」(OFF-OFF)ではつながりの良いニュートラルさがありますが、同時にハイブリッドらしいメリハリ感も不自然にならない程度にあり、最もバランスの良い「10」(ON-OFF)では中低域に厚みと中高域に光沢があり、このメリハリ感が非常に楽しく心地よく感じさせます。
低域はの「Yanyin CANON II」で最も強化された点ですが、もちろん量感もですが、それ以上に質の高さという意味での進化を大きく感じさせます。「10」モードでも非常にパワフルで量感のある響きを得られますが、中低域は締まりがあり、分離に優れたサウンドで非常に高い質感があります。
重低音も深く締まりつつ、解像感とスピード感があるため中高域とキレイに分離し、全体的なスッキリ感を維持してます。ここで最も低域が強い「11」(ON-ON)にすると、曲によっては暴力的ともいえるエネルギーの低域を堪能できるのですが、サウンドとしての破綻は全くなく(全体のバランスとしてはHBB氏コラボの低域強め製品くらいかちょっと強めくらい)、明瞭な中高域から高域とともにしっかり伸びるのが相当楽しいですね。低域好きの方はもちろん、臨場感とともに質感もしっかり感じたい高にも十分に満足させられる実力を感じさせます。
■ まとめ
というわけで、「Yanyin CANON II」は日本では5万円超えと、ひとつ上のグレードのイヤホンになりましたが、最近個人的にもこの価格帯のイヤホンをいろいろ購入していることも踏まえて、それらのイヤホンと比較しても非常に満足度の高い製品だと感じました。美しいフェイスプレートを備えているものの、「CANON」と比べてもやや地味な印象もありますし、同価格帯でも「Blessing3」のような「華やかさ」みたいなものはあまり感じないかも知れませんが、Yanyinの実力の高さを改めて感じさせる逸品だと思いました。特許で固められた技術によるバランスの良さと自然さを「売り」にしたPerformerシリーズとは一線を画した、「わかりやすいハイブリッドだけど質が高い」、そして「心地よい低域」を持っている、というキーワードが響く方は挑戦する価値はあるかもしれません。少なくとも「Yanyin CANON II」も「CANON」と同等か、それ以上に評価されても良いイヤホンだと感じました(^^)。
比較的新しい中華イヤホンブランドである「Yanyin」ですが、約2年前にリリースされた「CANON」はその独創的な設計と卓越したオーディオデザインもあって、いきなり大人気のモデルとなりました。ちなみに「CANON」はカノン、と呼びます。日本の某光学機器メーカーではなく、音楽用語の「カノン進行」などで知られる方の「カノン」です。
→ 過去記事: 「Yanyin Canon」 質の高いリスニングサウンドに各音域を調整可能な独自の3系統スイッチ。満足度の高いミドルグレード4BA+1DD高音質中華イヤホン【レビュー】
そして、新たに登場した「Yanyin CANON II」は「CANON」と同様の「4BA+1DD」のハイブリッド構成を採用しつつ、ダイナミックドライバー部には、第3世代のバイオ振動板とデュアルチャンバー設計を採用。最適な空気圧バランス実現し、低域のレスポンスが向上し、より深い没入感が得られます。
また4基のバランスド・アーマチュア(BA)ドライバーは、中高域~中音域用の2基のフルレンジドライバーと高域用の2基のツィータードライバーで構成されます。
本体は医療グレードのレジンを使用し3Dプリントにより精密成形され、フェイスプレートは銀河をモチーフとした美しいデザインでハンドメイドで作成されていいます。
そして「Yanyin CANON II」では、独立して制御可能な2系統の低域調整スイッチが搭載され、4種類のモードによるサウンドチューニングが可能です。
ケーブルには、高品質なグラフェン単結晶銅銀メッキ線の4芯ケーブルが付属します。コネクタは0.78mm 2pin仕様を採用しています。またプラグは購入時に3.5mm、4.4mm、2.5mmが選択できます。
「Yanyin CANON II」の購入は「Linsol」の直販サイト、またはアマゾンの「LINSOUL-JP」にて。
価格は379ドル、アマゾンでは53,100円(プライム扱い)です。
免責事項:
本レビューではレビューサンプルとして Linsoul より製品を提供いただきました。機会を提供してくださったことに感謝します。ただし本レビューに対して金銭的やりとりは一切無く、レビュー内容が他の手段で影響されることはありません。以下の記載内容はすべて私自身の感想によるものとなります。
■ パッケージ構成、製品の外観および内容について
パッケージは非常にシンプルながら凝ったデザインが印象的です。今回は4.4mm仕様でオーダーしました。
パッケージ内容はイヤホン本体、ケーブル、イヤーピース(S/M/Lサイズ)、スイッチ切替用ピン、レザーケース、説明書、保証書など。
本体はカナル型のデザインとしてはやや大きめで、存在感のあるデザイン。ブラックのシェルにメタリックブルーのストライプの銀河をイメージしたフェイスデザインはシンプルながらとてもクールですね。
既存の「CANON」と比べるとフェイスサイズは横幅が広く、全体としてもひとまわり大きくなりました。それでも「Yanyin CANON II」のサイズ感としては一般的で装着性はカナル型としては一般的な印象。いま思うの「CANON」はスイッチ付きの4BA+1DDモデルとしては結構コンパクトですね。
側面のスイッチは2系統でしかも低域を調整するためのスイッチ、という仕様。3系統の「CANON」とは設計的にもほぼ別物と考えたほうが良いでしょう。スイッチは標準では「10」(ON-OFF)で、「00」(OFF-OFF)が最も低域が少なく、「11」(ON-ON)が最も低域が強い組み合わせ。中間の「10」と「01」はバランスとしてはほとんど同じで、「10」のほうが僅かにボーカル域に艶感があるかも、という気がしましたが、誤差の範囲かも知れませんね。
ケーブルは単結晶銅銀メッキ線の4芯タイプでグラフェンコート仕様であるという記載があります。外観上は「CANON」のケーブルと全く同じようにも見えますので単なる表記の違いだけかもしれませんね。高級感のある仕上がりで被膜は非常に薄く取り回しは良い印象です。イヤーピースは軸部分の開口部がステムノズルの形状にあわせてやや大きいタイプが付属します。そのほか定番の「スパイラルドット」や「AET07」(互換品含む)、「SpinFit CP100+」、ほかにも「Softears U.C.」なども非常に良い組み合わせだと思います。
■ サウンドインプレッション
「Yanyin CANON II」の音質傾向はスッキリした明瞭感のある弱ドンシャリ傾向を中心に、スイッチにより低域の量感をコントロールできる印象。ダイナミックドライバー部を刷新し低域を強化した製品ということで、もっと派手で低域モリモリのサウンドかなと思ったのですが、確かにスピード感のある明瞭なサウンドではあるものの、派手すぎず、非常にまとまりのある印象に仕上がっています。おそらく「CANON」のほうが多くの場合でよりアグレッシブなサウンドに感じると思います。
ベースとなっている「10」(ON-OFF)または「01」(OFF-OFF)は非常に重厚な低域を持ちつつも全体としてスッキリとして粒立ちの良い印象で、ハイブリッドらしい楽しさを維持しつつ、より質感を楽しみたい方にも最適な仕上がりになっています。
また「00」(OFF-OFF)では「CANON」の最も低域を抑えたモードよりさらに低域が少なめでかなりニュートラル方向で、ちょっとハーマンターゲットぽいバランスになります。それでも質感に粗さは無くこのクラスのイヤホンらしい完成度を感じさせます。
そして最も低域が強い「11」(ON-ON)ではかなり低域モリモリ感が増すものの全体としてのバランスはしっかり維持されており響きの良さとともに適度な締まりのあるサウンドを楽しめます。
それぞれのスイッチがしっかり意味を持っており、リスニングイヤホンとしてのバランスの良さを維持している点で「Yanyin CANON II」も「CANON」に匹敵する完成度の高さといえるでしょう。
「Yanyin CANON II」の高域は、スッキリした明瞭感を持ちつつ、聴きやすくまとめられています。「CANON」の高域を強調した状態のような派手さはありませんが、どのモードでも伸びやかさとスッキリした見通しの良さを感じさせます。印象としてはハイブリッドらしい寒色方向ですが過度に金属質になりすぎず、かといってウォームにもならず自然な印象な点はYanyinらしいといえる部分でしょう。
中音域は低域を強調することによってやや凹みますが、個々の音の粒立ちの良い印象で、全体的にスッキリとした見通しの良さもあるため、物足りなさを感じる事は内でしょう。また適度に広く立体的な音場表現があり、心地よいリスニング体験を得られます。解像感は高く分離も良い印象で、ボーカルと演奏は自然に定位します。特に最も低域を抑えた「00」(OFF-OFF)ではつながりの良いニュートラルさがありますが、同時にハイブリッドらしいメリハリ感も不自然にならない程度にあり、最もバランスの良い「10」(ON-OFF)では中低域に厚みと中高域に光沢があり、このメリハリ感が非常に楽しく心地よく感じさせます。
低域はの「Yanyin CANON II」で最も強化された点ですが、もちろん量感もですが、それ以上に質の高さという意味での進化を大きく感じさせます。「10」モードでも非常にパワフルで量感のある響きを得られますが、中低域は締まりがあり、分離に優れたサウンドで非常に高い質感があります。
重低音も深く締まりつつ、解像感とスピード感があるため中高域とキレイに分離し、全体的なスッキリ感を維持してます。ここで最も低域が強い「11」(ON-ON)にすると、曲によっては暴力的ともいえるエネルギーの低域を堪能できるのですが、サウンドとしての破綻は全くなく(全体のバランスとしてはHBB氏コラボの低域強め製品くらいかちょっと強めくらい)、明瞭な中高域から高域とともにしっかり伸びるのが相当楽しいですね。低域好きの方はもちろん、臨場感とともに質感もしっかり感じたい高にも十分に満足させられる実力を感じさせます。
■ まとめ
というわけで、「Yanyin CANON II」は日本では5万円超えと、ひとつ上のグレードのイヤホンになりましたが、最近個人的にもこの価格帯のイヤホンをいろいろ購入していることも踏まえて、それらのイヤホンと比較しても非常に満足度の高い製品だと感じました。美しいフェイスプレートを備えているものの、「CANON」と比べてもやや地味な印象もありますし、同価格帯でも「Blessing3」のような「華やかさ」みたいなものはあまり感じないかも知れませんが、Yanyinの実力の高さを改めて感じさせる逸品だと思いました。特許で固められた技術によるバランスの良さと自然さを「売り」にしたPerformerシリーズとは一線を画した、「わかりやすいハイブリッドだけど質が高い」、そして「心地よい低域」を持っている、というキーワードが響く方は挑戦する価値はあるかもしれません。少なくとも「Yanyin CANON II」も「CANON」と同等か、それ以上に評価されても良いイヤホンだと感じました(^^)。
見た目的には圧倒的にIIの方が好みですが,単純な上位互換というわけでもなさそうですし,初代の圧倒的評判とスイッチの組み合わせの多さによる汎用性を鑑みると悩ましい気もします.
ちなみに個人的にハマったイヤホンはYUME2,Winter,P5あたりです.