こんにちは。今回は 「TRN TA4」です。Knowles製BAを2基搭載し、さらに10mm ベリリウムコート振動板ダイナミックドライバーと6mmチタニウム振動板ドライバーを組み合わせた「2BA+2DD」構成のハイブリッドモデルです。以前レビューした「TA3」より構成をアップグレードしつつ、セミオープン型の構造でよりニュートラル方向のサウンドにチューニングされています。
■ 製品概要からのまとめと購入方法について
低価格中華イヤホンのブランドとしてお馴染みのTRNのなかでもTAシリーズはKnowles製のバランスド・アーマチュア(BA)ドライバーを搭載したハイブリッド構成が特徴です。既にリリースされている「TA1」「TA」および「TA1 Max」(1BA+1DD)、「TA2」(2BA+1DD)、そして「TRN TA3」(1BA+2DD)といった製品がリリースされています。今回の「TRN TA4」は「TA3」のアップグレードモデル的な位置づけで、Knowles製BAユニットを2基と、10mmと6mmのダイナミックドライバーを搭載する「2BA+2DD」構成を採用しています。
「TRN TA4」もダイナミックドライバー部には「TA3」と同様に低域用の10mmサイズのベリリウムコート振動板二重磁気回路ダイナミックドライバーと、中音域および中高域用の6mmサイズのチタンコート振動板ダイナミックドライバーを搭載。そして高域用に「TA3」では1基だったKnowles製「RAD-33518」BAユニットを2基搭載します。ドライバー構成については「TA3」の高域強化モデル、という仕様ですね。
しかし、密閉型構造だった「TA3」に対し、「TRN TA4」ではスリット状のミッドフレームとメッシュ状のフェイスパネルを組み合わせたセミオープン型の仕様を採用しており、より開放感のあるサウンドを実現。またそれぞれのドライバーはネットワーク回路により高精度のクロスオーバー制御を行い、3種類のドライバーは高・中・低音域のそれぞれでバランスの取れたサウンドパフォーマンスを実現してます。
また「TRN TA4」は4芯タイプの銀メッキ銅線とOFC高純度銅線のミックスケーブルが付属。ケーブルには3.5mmおよび2.5mm、4.4mmの交換用プラグが付属します。さらにイヤーピースも同社の「TRN T-Eartips」を3サイズ同梱しています。
「TRN TA4」の購入はAliExpressやHiFiGoなどの各セラーまたはアマゾンにて。
価格は86.99ドル、アマゾンでは12,250円前後です。
AliExpress(TRN Offical Store): TRN TA4 ※掲載時セール価格で65ドル前後
HiFiGo(hifigo.com): TRN TA4 ※掲載時セール価格73.94ドル
Amazon.co.jp(TRN直営店): TRN TA4 ※掲載時1500円OFFクーポン有り
Amazon.co.jp(LINSOUL-JP): TRN TA4
本体はハウジングが樹脂製、フェイスプレートがアルミ合金製でシェルデザインは最近のTRN製のハイブリッド製品を踏襲しています。ハウジング部分のシルエットは「TRN XuanWu」以降「TRN MT4」や「TRN TA3」、そして今回の「TRN TA4」でよく似た形状になっています。このシェルデザインはKZやTRNのシェル形状と比べてややコンパクトで耳への収まりも良く、装着性も良好です。
「TRN TA4」と「TA3」を比べるとセミオープン型の「TRN TA4」のほうがフェイス部分が平面のため、中央部分に膨らみのある「TA3」より僅かに厚みが小さくなっていますが、金属製のステムノズルは若干細く、長い形状のものが採用されているのがわかります。
そしてイヤーピースは標準の黒色タイプとウレタンタイプのほか、最近ではMサイズのみ付属することも増えている「T-Eartips」が3サイズ付属します。個人的には「T-Eartips」のSサイズを別途購入して使用することが多いので、最初から付属するのは有り難いですね。
■ サウンドインプレッション
「TRN TA4」の音質傾向は比較的ニュートラル方向のバランスの弱ドンシャリ。「TA1 Max」や「TA3」と共通している10mmのベリリウムコート振動板ダイナミックドライバーは厚みを持ちつつキレのある低域を鳴らし、中音域用の6mmドライバーがニュートラルで分離感に優れた印象で再生します。高域は「TA3」と比べKnowles製BAが1基追加され、より強くなっているかと思いきや、むしろより大人しく自然な印象に仕上がっています。
ちなみに「TA3」のレビューでも記載しましたが、TRNのTAシリーズは「TA」と「TA2」がややウォームで、奇数型番の「TA1」「TA1 Max」「TA3」と進むにつれえ派手さが増す印象がありました。そうなると偶数型番の「TRN TA4」はもしや「TA2」寄り?という推測も個人的にはあったのですが、派手さを抑えているという点では多少当てはまっているものの、セミオープン型の構造を採用することで抜け感が向上し、より広がりのある音場で楽しめるチューニングになっています。
ただ、小型のオーディオアダプターのような再生環境でシングルエンド(3.5mm)で鳴らすと開放感はかなり後退し、低域の量感が多い、中高域はやや混雑気味のサウンドに感じられます。相応に駆動力のあるアンプやDAPのハイゲインモードで、2.5mmまたは4.4mmのバランス接続プラグで聴くことを推奨します。ただ、付属のミックス線ケーブルの場合、バランス接続にすることで中高域~高域付近の刺激がやや強めに出る点や、全体としていかにもハイブリッド的な雑味を感じやすくなる、というデメリットも多少あります。これについては、より高純度でスッキリした傾向のケーブルへのリケーブルなのでかなり印象は改善されます。これについては後述します。
「TRN TA4」の高域は比較的明るく情報量の多い音を鳴らします。TRNの自社ロゴの高域用BAと比べKnowles製BAは金属質なギラつきを抑えつつ解像感があり、より細かい音を表現する点でメリットがあります。「TRN TA4」ではBAを2基にすることで高域を強くするのではなく、出力を分散することでより歪みを抑えた直線的な印象を狙っていると思われます。ただ非常に敏感だった「TA3」と比べ、より鳴らしにくくチューニングされている「TRN TA4」では、より多くの駆動力と出力を再生環境に求められ、小型DAPやオーディオアダプターなどでは、後方でやや暗く鳴っているような印象になってしまいます。また再生環境やケーブル等で雑味などの印象も変化します。
中音域も再生環境によっては低域が前面に出るため多少凹む場合がありますが、バランスとしてはニュートラルで、しっかり鳴らせば自然な距離感でしっかり主張します。セミオープン型を採用したことで中低域の音抜けが向上し、広く臨場感のある音場を実感出来ます。中高域付近にアクセントがあり、明瞭感と煌めきを演出していますが、付属ケーブルの場合、駆動力を上げることで雑味も感じやすく、スッキリした見通し感という感じにはならないようです。また曲によっては歯擦音などの刺激を感じる場合もあります。高域を気にしない場合はむしろシングルエンドでドンシャリ方向に聴きやすくしたほうが好印象という方もいらっしゃるかも知れませんね。ただこの印象はリケーブルでかなり変化します。
低域はベリリウムコート振動板ダイナミックドライバーのメリットを活かし、厚みとキレのある音をスッキリと鳴らしてくれます。非常に力強く量感もありますが、密閉型で反応が異常に良い仕様の「TA3」が分かりやすく派手に鳴っていたのに対し、より自然な抜け感とともに適度な締まりと分離感で鳴ってくれる印象。個人的にはパワフルながら過度な押しつけ感が無くとても聴きやすくて好印象です。また低域も深く解像感と重量があり、全体としてキレとスピード感も維持しています。
■ まとめ
というわけで、「TRN TA4」は「TA3」とアップグレードというより、「密閉型で派手なサウンド」の「TA3」と、「半開放型でより自然なリスニング向け」の「TRN TA4」、といった感じで別バージョンとして両立している、という印象でした。ただ非常に個性の強いドライバーを組み合わせ、ほぼ力業で制御している、という感もあり、本来の実力を楽しむためには利用する環境に最適化する必要がありそうです。
まず再生環境は出来るだけノイズ特性に優れ、出力が稼げるバランス接続対応のDAPやアンプを選びたいところです。そのうえで、好みに応じてイヤーピースやケーブルもいろいろ試すことをオススメします。個人的には付属の「TRN T-Eartips」が良い印象でしたが、低域の量感をコントロールする上では「スパイラルドット」など別のイヤーピースを試した方が良い場合もあります。
そしてケーブルはしっかりと駆動力をかけてならす場合はより高純度なケーブルなど、雑味をおさえて見通し感を向上させる傾向のケーブルを選ぶのが良いでしょう。お手頃価格のものではつい先日レビューした「JSHiFi-Nocturne」などはうってつけですね。据置きDAC/アンプの「FiiO K9 PRO LTD」あたりでガツンと鳴らしても中高域の雑味を抑えて非常にスッキリした印象で立体的な音場感を楽しむことが出来ました。
このように「本気を出す」にはそれなりに構ってあげる必要のあるイヤホンだとは思いますが、そうすれば低価格中華イヤホンのレベルからは完全に超えており、価格面はもちろん、スペック的にも音質的に十分に楽しめる製品だと思いますよ。
低価格中華イヤホンのブランドとしてお馴染みのTRNのなかでもTAシリーズはKnowles製のバランスド・アーマチュア(BA)ドライバーを搭載したハイブリッド構成が特徴です。既にリリースされている「TA1」「TA」および「TA1 Max」(1BA+1DD)、「TA2」(2BA+1DD)、そして「TRN TA3」(1BA+2DD)といった製品がリリースされています。今回の「TRN TA4」は「TA3」のアップグレードモデル的な位置づけで、Knowles製BAユニットを2基と、10mmと6mmのダイナミックドライバーを搭載する「2BA+2DD」構成を採用しています。
「TRN TA4」もダイナミックドライバー部には「TA3」と同様に低域用の10mmサイズのベリリウムコート振動板二重磁気回路ダイナミックドライバーと、中音域および中高域用の6mmサイズのチタンコート振動板ダイナミックドライバーを搭載。そして高域用に「TA3」では1基だったKnowles製「RAD-33518」BAユニットを2基搭載します。ドライバー構成については「TA3」の高域強化モデル、という仕様ですね。
しかし、密閉型構造だった「TA3」に対し、「TRN TA4」ではスリット状のミッドフレームとメッシュ状のフェイスパネルを組み合わせたセミオープン型の仕様を採用しており、より開放感のあるサウンドを実現。またそれぞれのドライバーはネットワーク回路により高精度のクロスオーバー制御を行い、3種類のドライバーは高・中・低音域のそれぞれでバランスの取れたサウンドパフォーマンスを実現してます。
また「TRN TA4」は4芯タイプの銀メッキ銅線とOFC高純度銅線のミックスケーブルが付属。ケーブルには3.5mmおよび2.5mm、4.4mmの交換用プラグが付属します。さらにイヤーピースも同社の「TRN T-Eartips」を3サイズ同梱しています。
「TRN TA4」の購入はAliExpressやHiFiGoなどの各セラーまたはアマゾンにて。
価格は86.99ドル、アマゾンでは12,250円前後です。
AliExpress(TRN Offical Store): TRN TA4 ※掲載時セール価格で65ドル前後
HiFiGo(hifigo.com): TRN TA4 ※掲載時セール価格73.94ドル
Amazon.co.jp(TRN直営店): TRN TA4 ※掲載時1500円OFFクーポン有り
Amazon.co.jp(LINSOUL-JP): TRN TA4
免責事項:
本レビューは個人的に製品を購入し掲載している「購入者レビュー」となります。
本レビューに対してそれ以外の金銭的やりとりは一切無く、レビュー内容が他の手段で影響されることはありません。以下の記載内容はすべて私自身の感想によるものとなります。
■ パッケージ構成、製品の外観および内容について
「TRN TA4」は100ドルに近い価格設定ということもあり、最近のTRNの黒箱タイプのパッケージで、プラグ交換式のケーブルが付属します。今回も例によって発売後すぐにオフィシャルストアで購入して「積み」になっておりました(^^)。
本体はハウジングが樹脂製、フェイスプレートがアルミ合金製でシェルデザインは最近のTRN製のハイブリッド製品を踏襲しています。ハウジング部分のシルエットは「TRN XuanWu」以降「TRN MT4」や「TRN TA3」、そして今回の「TRN TA4」でよく似た形状になっています。このシェルデザインはKZやTRNのシェル形状と比べてややコンパクトで耳への収まりも良く、装着性も良好です。
「TRN TA4」と「TA3」を比べるとセミオープン型の「TRN TA4」のほうがフェイス部分が平面のため、中央部分に膨らみのある「TA3」より僅かに厚みが小さくなっていますが、金属製のステムノズルは若干細く、長い形状のものが採用されているのがわかります。
ケーブルは「TA3」と共通でプラグ交換式の4芯ミックス線が付属します。以降の一定グレード以上の製品で採用される新たな基本ケーブルでブラウンとグレーの線材の撚り線となっています、被膜は適度に弾力がありますが取り回しは良く、プラグ交換式のため最初からリケーブルの必要な無いのは良いですね。
そしてイヤーピースは標準の黒色タイプとウレタンタイプのほか、最近ではMサイズのみ付属することも増えている「T-Eartips」が3サイズ付属します。個人的には「T-Eartips」のSサイズを別途購入して使用することが多いので、最初から付属するのは有り難いですね。
■ サウンドインプレッション
「TRN TA4」の音質傾向は比較的ニュートラル方向のバランスの弱ドンシャリ。「TA1 Max」や「TA3」と共通している10mmのベリリウムコート振動板ダイナミックドライバーは厚みを持ちつつキレのある低域を鳴らし、中音域用の6mmドライバーがニュートラルで分離感に優れた印象で再生します。高域は「TA3」と比べKnowles製BAが1基追加され、より強くなっているかと思いきや、むしろより大人しく自然な印象に仕上がっています。
ちなみに「TA3」のレビューでも記載しましたが、TRNのTAシリーズは「TA」と「TA2」がややウォームで、奇数型番の「TA1」「TA1 Max」「TA3」と進むにつれえ派手さが増す印象がありました。そうなると偶数型番の「TRN TA4」はもしや「TA2」寄り?という推測も個人的にはあったのですが、派手さを抑えているという点では多少当てはまっているものの、セミオープン型の構造を採用することで抜け感が向上し、より広がりのある音場で楽しめるチューニングになっています。
ただ、小型のオーディオアダプターのような再生環境でシングルエンド(3.5mm)で鳴らすと開放感はかなり後退し、低域の量感が多い、中高域はやや混雑気味のサウンドに感じられます。相応に駆動力のあるアンプやDAPのハイゲインモードで、2.5mmまたは4.4mmのバランス接続プラグで聴くことを推奨します。ただ、付属のミックス線ケーブルの場合、バランス接続にすることで中高域~高域付近の刺激がやや強めに出る点や、全体としていかにもハイブリッド的な雑味を感じやすくなる、というデメリットも多少あります。これについては、より高純度でスッキリした傾向のケーブルへのリケーブルなのでかなり印象は改善されます。これについては後述します。
「TRN TA4」の高域は比較的明るく情報量の多い音を鳴らします。TRNの自社ロゴの高域用BAと比べKnowles製BAは金属質なギラつきを抑えつつ解像感があり、より細かい音を表現する点でメリットがあります。「TRN TA4」ではBAを2基にすることで高域を強くするのではなく、出力を分散することでより歪みを抑えた直線的な印象を狙っていると思われます。ただ非常に敏感だった「TA3」と比べ、より鳴らしにくくチューニングされている「TRN TA4」では、より多くの駆動力と出力を再生環境に求められ、小型DAPやオーディオアダプターなどでは、後方でやや暗く鳴っているような印象になってしまいます。また再生環境やケーブル等で雑味などの印象も変化します。
中音域も再生環境によっては低域が前面に出るため多少凹む場合がありますが、バランスとしてはニュートラルで、しっかり鳴らせば自然な距離感でしっかり主張します。セミオープン型を採用したことで中低域の音抜けが向上し、広く臨場感のある音場を実感出来ます。中高域付近にアクセントがあり、明瞭感と煌めきを演出していますが、付属ケーブルの場合、駆動力を上げることで雑味も感じやすく、スッキリした見通し感という感じにはならないようです。また曲によっては歯擦音などの刺激を感じる場合もあります。高域を気にしない場合はむしろシングルエンドでドンシャリ方向に聴きやすくしたほうが好印象という方もいらっしゃるかも知れませんね。ただこの印象はリケーブルでかなり変化します。
低域はベリリウムコート振動板ダイナミックドライバーのメリットを活かし、厚みとキレのある音をスッキリと鳴らしてくれます。非常に力強く量感もありますが、密閉型で反応が異常に良い仕様の「TA3」が分かりやすく派手に鳴っていたのに対し、より自然な抜け感とともに適度な締まりと分離感で鳴ってくれる印象。個人的にはパワフルながら過度な押しつけ感が無くとても聴きやすくて好印象です。また低域も深く解像感と重量があり、全体としてキレとスピード感も維持しています。
■ まとめ
というわけで、「TRN TA4」は「TA3」とアップグレードというより、「密閉型で派手なサウンド」の「TA3」と、「半開放型でより自然なリスニング向け」の「TRN TA4」、といった感じで別バージョンとして両立している、という印象でした。ただ非常に個性の強いドライバーを組み合わせ、ほぼ力業で制御している、という感もあり、本来の実力を楽しむためには利用する環境に最適化する必要がありそうです。
まず再生環境は出来るだけノイズ特性に優れ、出力が稼げるバランス接続対応のDAPやアンプを選びたいところです。そのうえで、好みに応じてイヤーピースやケーブルもいろいろ試すことをオススメします。個人的には付属の「TRN T-Eartips」が良い印象でしたが、低域の量感をコントロールする上では「スパイラルドット」など別のイヤーピースを試した方が良い場合もあります。
そしてケーブルはしっかりと駆動力をかけてならす場合はより高純度なケーブルなど、雑味をおさえて見通し感を向上させる傾向のケーブルを選ぶのが良いでしょう。お手頃価格のものではつい先日レビューした「JSHiFi-Nocturne」などはうってつけですね。据置きDAC/アンプの「FiiO K9 PRO LTD」あたりでガツンと鳴らしても中高域の雑味を抑えて非常にスッキリした印象で立体的な音場感を楽しむことが出来ました。
このように「本気を出す」にはそれなりに構ってあげる必要のあるイヤホンだとは思いますが、そうすれば低価格中華イヤホンのレベルからは完全に超えており、価格面はもちろん、スペック的にも音質的に十分に楽しめる製品だと思いますよ。