こんにちは。今回から3回にわたっての特別企画(笑)です。私のブログではお馴染み老舗セラーの「HCK Earphones」ですが、最近では「イヤホンケーブル」のブランドとしての側面が非常に強くなっています。その最大の理由は「尋常ではない製品開発&発売のペース」だと思っていたり(汗)。実際、今年の6月~8月の間で実に10種類ほどのケーブルが届いております (滝汗)。既に私自身も製品ごとの特徴がちょっと分からなくなっていたりもするため、製品比較も兼ねる意味で、価格帯ごとに大まかに3回にわけて紹介しようと思います。
「その①」では、「NICEHCK SpaceAuAg」「NICEHCK CoaxialSir Ultra」「NICEHCK Sakura」の3種類を紹介します。
ちなみに、多くの個性的なハイグレードイヤホンケーブルがすっかり定着したHCKですが、最近はアマゾンにはあまり出さすにAliExpressで限定販売することで大幅なディスカウントを可能にしています。
紹介する「NICEHCK」ブランドの各ケーブルの購入はAliExpressの「NiceHCK Audio Store」にて。限定数があるため売り切れの可能性もあります。AliExpressでの購入方法はこちらを参照ください。また、HCKのTwitterアカウント(@hckexin)では新製品情報や「割引コード」などがツイートされている場合がありますので、購入を検討される方は事前に最新のツイートを確認しておくことをお勧めします。
免責事項:
本レビューではレビューサンプルとしてHCK Earphonesより製品を提供いただきました。機会を提供してくださったことに感謝します。ただし本レビューに対して金銭的やりとりは一切無く、レビュー内容が他の手段で影響されることはありません。以下の記載内容はすべて私自身の感想によるものとなります。
[NICEHCK SpaceAuAg] 金銀(AuAg)合金+銅合金(輸入線材)ミックスケーブル(パープル)
NiceHCK SpaceAuAg Cable Gold Silver Alloy+Imported Alloy Copper HIFI Wire
【CIEM 2pin】【MMCX】【3.5mm】【4.4mm】【2.5mm】
AliExpresss(NiceHCK Audio Store):実質99.99ドル前後(表示価格129.99ドル)
「SpaceCloud」および「SpaceCloud Ultra」といったケーブルを踏襲したパープルカラーのミックス線ケーブルです。ただし実際に使用している線材は「合金線」の組み合わせで、金銀合金(AuAg合金)線と、中国国外のメーカーが製造した銅合金線の組み合わせになります。過去のレビューでも記載していますが、高い伝導率を求められるケーブルで特に含有金属を明記せずに「銅合金線」といった場合、一般的には1%未満のごく微量の錫(Sn)を含有した銅合金線のことを指します。いっぽうのAuAg合金線はオーディオ用では「オーグライン」などが有名ですが、中国OCCと同じく、中国で作られた類似した線材、という解釈になりますね。
「SpaceCloud」および「SpaceCloud Ultra」といったケーブルを踏襲したパープルカラーのミックス線ケーブルです。ただし実際に使用している線材は「合金線」の組み合わせで、金銀合金(AuAg合金)線と、中国国外のメーカーが製造した銅合金線の組み合わせになります。過去のレビューでも記載していますが、高い伝導率を求められるケーブルで特に含有金属を明記せずに「銅合金線」といった場合、一般的には1%未満のごく微量の錫(Sn)を含有した銅合金線のことを指します。いっぽうのAuAg合金線はオーディオ用では「オーグライン」などが有名ですが、中国OCCと同じく、中国で作られた類似した線材、という解釈になりますね。
コネクタおよびプラグは金属製ですが、最近のNICEHCKブランドで採用されているタイプとは異なるものが使用されています。プラグは3.5mmのほか、4.4mm、2.5mmを、コネクタはCIEM 2pinとMMCXが選択できます。「NICEHCK SpaceAuAg」は名称の通り、高価なAuAg合金線をメインとしたケーブルということもあり、7N OCCベースの「SpaceCloud」や「SpaceCloud Ultra」より細めの線材が使用されています。
ちなみに初期オーダーでは大型サイズでの限定ケースが付属していました。既に限定数の100個以上販売されているようですので現在は通常ケースに戻っていると思われますが、このケースも20ドル前後で購入でき、より大きいサイズも選択できます。
多目的イヤホンケース(4サイズ):実質価格19.99ドル~(表示価格24.99ドル~)
AliExpress(NiceHCK Audio Store): Multi Functional Digital Earphone DAP HiFi Player Cable Products Storage Bag Box Fabric Material Removable Compartments 4 Sizes
このようなサイズ感で複数のイヤホンやケーブルをまとめて収納できるケースは結構有りそうでない(あとオーディオ用は無駄に高い)ので持っていると確かに便利そうです。個人的にも大きいサイズを買い増そうかなと思っています。
「NICEHCK SpaceAuAg」にリケーブル後の音質傾向は「SpaceCloud」のようなメリハリ強化系の印象を踏襲しつつ、より滑らかさを感じる印象。解像感を全面に引き出したい場合は「SpaceCloud Ultra」のほうが向いていますが、イヤホンの特徴を活かしつつ、よりドンシャリ傾向の変化でメリハリのある空間表現やより明瞭なボーカルを楽しみたい用途には最適です。
また「SpaceCloud Ultra」が結構な重量級ケーブルであることを考慮すると使いやすい太さで取り回しが良いことは大きなメリットになるでしょう。AuAg合金は、純銀線より各音域に対してニュートラルで透明感のある印象で、スッキリした印象の銅合金線と併せることで、一般的な銅線より比較的分かりやすいリケーブル効果を得ることが出来ます。100ドル程度の価格設定と、比較的ハイグレード設定ではありますが、持っているとちょっと嬉しいケーブルではありますね。
[NICEHCK CoaxialSir Ultra] (古河製)銅銀合金+8N銅箔+銀メッキ線 同軸ケーブル(ゴールド)
NiceHCK CoaxialSir Ultra Furukawa Copper Silver Alloy+8N Copper Foil+Silver Plated Cable
【CIEM 2pin】【MMCX】【3.5mm】【4.4mm】【2.5mm】
AliExpresss(NiceHCK Audio Store):実質59.99ドル前後(表示価格139.99ドル)
現在は販売終了になっている「CoaxialSir」の後継となるハイグレードケーブルが「NICEHCK CoaxialSir Ultra」です。その名称の通り、「コアキシャル(Coaxial)=同軸」構成のケーブルで、今回は古河電工製銅銀合金線と8N銅箔線および銀メッキ線を使用しているとのこと。今回は線材の内部写真は公開されていませんが、もともとの「CoaxialSir」では6N銀箔メッキOCCがメインコア、外周部に銀メッキ線を使用していましたので、「NICEHCK CoaxialSir Ultra」の場合は古河製銅銀合金がメインコアだろうと推測されます(なお古河電工の合金線については仕様を記載したカタログ(PDF)が同社サイトに掲載されています)。
現在は販売終了になっている「CoaxialSir」の後継となるハイグレードケーブルが「NICEHCK CoaxialSir Ultra」です。その名称の通り、「コアキシャル(Coaxial)=同軸」構成のケーブルで、今回は古河電工製銅銀合金線と8N銅箔線および銀メッキ線を使用しているとのこと。今回は線材の内部写真は公開されていませんが、もともとの「CoaxialSir」では6N銀箔メッキOCCがメインコア、外周部に銀メッキ線を使用していましたので、「NICEHCK CoaxialSir Ultra」の場合は古河製銅銀合金がメインコアだろうと推測されます(なお古河電工の合金線については仕様を記載したカタログ(PDF)が同社サイトに掲載されています)。
プラグ等の金属部品は深めのダークブルーでカラーリングされた金属製のタイプで、プラグは3.5mmのほか、4.4mm、2.5mmを、コネクタはCIEM 2pinとMMCXが選択できます。また実質50~60ドル程の価格設定のため、袋入りの簡易パッケージとなります。
届いた製品は以前の「CoaxialSir」と比べてより黄色みが濃いゴールドカラーで、なかなかに豪華な印象のケーブルです。同軸仕様ということもあり被膜は非常に硬く、左右それぞれの同軸線をしっかり編み込んでいる印象です。TPUの被膜は高級感があります。コシが強すぎて正直取り回し云々というレベルの硬さではないので、屋外での利用は考慮せず、部屋でお気に入りのイヤホンをじっくり楽しむケーブル、という印象です。
同軸線の場合、実際に情報が伝達されるプラス側、つまり同軸のメイン線材(今回は古河製合金線)の音質傾向がより鮮明に出る特徴が有ります。メイン線材は絶縁材で覆われ、さらに外周部の線材でシールドされるため表皮効果による減衰を大幅に抑制出来るわけですね。さらに外周部の線材はマイナス側に接続されるため、この線材の純度が高いことで同軸のシールド効果に加え伝導率の向上に繋がり、よりノイズを抑えた透明度の高い傾向になります。「CoaxialSir」ではメイン線材が高純度銀メッキ線で、非常に高い透明感と解像感を持ちつつ自然な印象を持ったケーブルでした。
それに対して、今回の「NICEHCK CoaxialSir Ultra」では、さらに分離感が際立ち、合金線らしいスッキリした見通しの良さに加え、より1音1音の輪郭がハッキリした印象になります。また各音域の情報を余すこと無く引き出す印象も踏襲しており、特に味付けなどは無いもののイヤホンによっては濃密さや色彩が豊かになる傾向がありますね。
取り回しなどは犠牲にしていますが、やはり音質的には素晴らしく、数万円クラスのイヤホンでも十分に楽しめる実力のあるお買い得ケーブルだと思います。
[NICEHCK Sakura] 7N 銀メッキOCC+銀メッキ合金+7N OCCミックス線ケーブル(ピンク)
NiceHCK Sakura HIFI Earbud Cable 7N Silver Plated OCC+Silver Plated Alloy+7N OCC Wire
【CIEM 2pin】【MMCX】【3.5mm】【4.4mm】【2.5mm】
AliExpresss(NiceHCK Audio Store):実質69.99ドル前後(表示価格159.99ドル)
製品名称のとおり、鮮やかなサクラ色の線材が美しいハイグレードケーブルです。線材は7N OCC銀メッキ線と7N 銀メッキOCC合金線のミックス仕様です。太めの線材の合金ミックスとHCKのハイグレードケーブルらしい仕様ですね。プラグ等の金属部品は「CoaxialSir Ultra」と同様の深めのダークブルーでカラーリングされた金属製のタイプで、プラグは3.5mmのほか、4.4mm、2.5mmを、コネクタはCIEM 2pinとMMCXが選択できます。
製品名称のとおり、鮮やかなサクラ色の線材が美しいハイグレードケーブルです。線材は7N OCC銀メッキ線と7N 銀メッキOCC合金線のミックス仕様です。太めの線材の合金ミックスとHCKのハイグレードケーブルらしい仕様ですね。プラグ等の金属部品は「CoaxialSir Ultra」と同様の深めのダークブルーでカラーリングされた金属製のタイプで、プラグは3.5mmのほか、4.4mm、2.5mmを、コネクタはCIEM 2pinとMMCXが選択できます。
実質70ドル、1万円級のケーブルということでハイグレードケーブルではお馴染みのHCKのハードケースが付属します。なお初回購入時にはHCKオリジナルのケーブルスライダーが付属していました(現在は初回分完売につき付属していません)。カラーリングは鮮やかなメタリックピンクで、まさに「サクラ色」。太めの線材をしっかりと編み上げた4芯線ケーブルです。
「NICEHCK Sakura」の傾向は、非常にスッキリとした見通しの良さと銀メッキ線らしい明瞭感を併せ持つ印象で、音場の広さや立体感、ボーカルやギター、ピアノなど中音域の粒立ち感などが向上するケーブル。比較的分かりやすいリケーブル効果がありますが特定の音域が過度に変化することは無く、イヤホンの特徴を活かしつつ、よりリスニング的な「華やかさ」をプラスしてくれる印象です。
ハイグレードケーブルらしく情報量は非常に高いので、ある程度ポテンシャルの高いイヤホンとの組み合わせが好印象。標準ケーブルと比較して、パッと花が開くよう、というか、まさに覚醒してくれるのを実感出来ます。ある程度のグレードながらニュートラル方向のリスニングイヤホンでいまひとつ物足りないと感じる方にはぴったりのケーブルといえるのでは、と思います。
というわけで、「その①」では比較的金額が高めの3種類のケーブルを紹介しました。評判の良い(売上の良い)傾向を踏襲して新製品に反映させる傾向があるためか、NICEHCKのハイグレードケーブルは比較的ハッキリとしたリケーブル効果がある製品が多いかもしれません。そのなかでもそれぞれの特徴が有ってとても興味深いですね。
「その②」は「SnowAg」「MeetAlice」「BlueCat」、「その③」では「WhiteSky」「BlackCat Ultra」「BlackInk」をレビュー予定です(^^)。