NICEHCK MeetAlice / BlueCat / SnowAg

こんにちは。前回に引き続き特別企画の「その②」です。最近では「イヤホンケーブル」のブランドとしのプッシュがえげつない(褒め言葉)「HCK Earphones」ですが、すでに大量に届いているケーブルを一気に紹介すべく、今年の6月~8月に届いたケーブルの比較も兼ねてまとめていきたいと思います。
「その②」では「NICEHCK SnowAg」「NICEHCK MeetAlice」「NICEHCK BlueCat」を紹介します。
なお、多くの個性的なハイグレードイヤホンケーブルがすっかり定着したHCKですが、最近はアマゾンにはあまり出さすにAliExpressで限定販売することで大幅なディスカウントを可能にしています。

紹介する「NICEHCK」ブランドの各ケーブルの購入はAliExpressの「NiceHCK Audio Store」にて。限定数があるため売り切れの可能性もあります。AliExpressでの購入方法はこちらを参照ください。また、HCKのTwitterアカウント(@hckexin)では新製品情報や「割引コード」などがツイートされている場合がありますので、購入を検討される方は事前に最新のツイートを確認しておくことをお勧めします。

免責事項:
本レビューではレビューサンプルとしてHCK Earphonesより製品を提供いただきました。機会を提供してくださったことに感謝します。ただし本レビューに対して金銭的やりとりは一切無く、レビュー内容が他の手段で影響されることはありません。以下の記載内容はすべて私自身の感想によるものとなります。


■ NICEHCKケーブルまとめ(2023年6月~8月到着分)その② 

[NICEHCK SnowAg] 4N 純銀線(銅シールド同軸線) 4芯 イヤホンケーブル (ホワイトシルバー)
NiceHCK SnowAg 4N Pure Silver HiFi Earphone IEM Cable 3.5/2.5/4.4mm MMCX/2Pin
【CIEM 2pin】【MMCX】【3.5mm】【4.4mm】【2.5mm】
AliExpresss(NiceHCK Audio Store):実質21.99ドル前後(表示価格39.99ドル)

NICEHCK SnowAgNICEHCK SnowAg
低価格純銀線ケーブルとして大人気となった激安純銀線ケーブル「RedAg」のアップグレード版が「SnowAg」です。アップグレード点は「4芯タイプになったこと」(わかりやすい)。そして価格も20ドルちょっと、と純銀線としてはかなりよくわからない設定になっています。その価格設定の最大の理由は「同軸構成」になっていて、実際の信号を伝達するプラス側の極性のみが純銀線、という構成だから。マイナス側(またはGND側)は同軸線をシールドする銅線が結線されている仕様です。4芯線となった「NICEHCK SnowAg」でもこの構成は同様であると考えられ、単純にプラス/マイナス側で導体が2倍になったケーブル、と考えるのが適切でしょう。
NICEHCK SnowAgNICEHCK SnowAg
このように低価格なケーブルですが、プラグやコネクタ部分は上位ケーブルと同様の濃いダークブルーの金属製パーツを使用しています。プラグは3.5mmのほか、4.4mm、2.5mmを、コネクタはCIEM 2pinとMMCXが選択できますが、「RedAg」にあったqdcタイプは選択できません。低価格ケーブルと言うことで製品は袋入りの簡易包装で届きました。
NICEHCK SnowAgNICEHCK SnowAg
NICEHCK SnowAg」の線材は布張りのケーブルを編み上げた4芯タイプで非常に良い質感のものです。一見するととても20ドルくらいのケーブルには見えないのですが、ケーブルの太さや被膜の質感、ケーブルの硬さなどは低価格ながら布張りの使い勝手の良い品質で人気の高い「JIALAI」のケーブルに共通するものがあります。HCKは「JIALAI」のケーブルを通じてこの手の製品を低コストで作るノウハウを得たのだろうと想像します。実はこの布張り被膜も含めた同軸構造こそが低価格化の理由だと考えられます。
NICEHCK SnowAg日常的にはテレビのアンテナ線で、オーディオ的にはRCAやSPDIFのケーブルでお馴染みの同軸ケーブルですが、その最大の特徴は実際の信号が通るプラス側を効率よく伝達するために、コアを強力にシールドしたうえで、さらにマイナス側をその外周に巻き付けることで、マイナス側もシールドの一部として機能します。
そのため同軸ケーブルの「プラス側」は通常の撚り線ケーブルより減衰を大幅に抑えることが可能で、結果的に少ない本数の線材(=低コスト)で十分な情報量を確保出来るわけです。ただ「理論上の純銀線」という仕様のため、印象としては一般的な純銀線とはちょっと印象が異なる可能性もでてきます。
実際、「NICEHCK SnowAg」へのリケーブルした印象としては中高域を中心に非常に透き通った印象があり、透明感の高い「純銀線らしい」印象の変化を実感出来ますが、いっぽうで解像感の向上などは限定的で、多くの場合、情報量などは付属ケーブルと大きな違いは無い印象です(バランス接続の場合に相応に出力がアップする程度)。
NICEHCK SnowAgそれでも、「RedAg」と比較すると明らかに低域の厚みなどは増しており、2倍の線材を使用しているメリットは実感出来ます。そのためリケーブルによって解像感やキレの向上を目指すような用途にはあまり向きませんが、適度にウォームさがあり、自然な印象のイヤホンで透明感を向上させ、より滑らかさを持ったサウンドにしたい場合や、女性ボーカルやピアノの抜け感などをよくしたい場合などに最適です。ある意味「純銀線」といってイメージする傾向を踏襲しており、かつ過度な変化が無いため使いやすいという側面もあるため、とりあえず純銀線も試したいというニーズには最適だと思います。


[NICEHCK MeetAlice] 6N 高伝導率銅 銀メッキ線ケーブル (ダークグリーン)
NiceHCK MeetAlice 6N Silver Plated High Conductivity Copper HIFI Cable Wire 4.4 MMCX 2Pin
【CIEM 2pin】【MMCX】【3.5mm】【4.4mm】【2.5mm】
AliExpresss(NiceHCK Audio Store):実質49.99ドル前後(表示価格99.99ドル)

NICEHCK MeetAliceNICEHCK MeetAlice
ほぼブラックに近い深いグリーンの布被膜で覆われた太めの銀メッキ線ケーブルです。プラグやコネクタ部分は上位ケーブルと同様の濃いダークブルーの金属製パーツを使用しています。プラグは3.5mmのほか、4.4mm、2.5mmを、コネクタはCIEM 2pinとMMCXが選択できます。
NICEHCK MeetAliceNICEHCK MeetAlice
ちなみに、このケーブルでは6N純度の高伝導率銅、という分かったような分からないような記述がされています。あくまで勝手な想像ですが、線材メーカー側が「OFCとかOCCとか、そういうタイトルにしやすい名称を付けていないから品名には付けられないけど、ちゃんと性能の良い銅線を使っているよ」という意味かなと捉えています。「解説編」でも記載の通り、中華ケーブルで使用する中華線材のメーカーは製品名で性能をアピールするために「無駄に盛る」傾向がありますね。しかし、「NICEHCK MeetAlice」は過去にリリースした上位グレードに匹敵するの品質を低価格で実現するコンセプトがあるようで、結果的に「名より実を取った」という感じなのでは、と思います。
NICEHCK MeetAliceNICEHCK MeetAlice
実質50ドル程度のケーブルということで内容は袋入りです。ケーブルとしては4芯タイプですが中華ケーブルでの手編みのタイプでは無く機械編みで一本の撚り線にしっかり編み込まれているタイプ。比較的太めの線材を使用していることもあり、ケーブルとしては結構硬めで、取り回しはちょっとしにくいかも知れません。
NICEHCK MeetAliceNICEHCK MeetAlice
リケーブル後の印象としては、非常に素性の良い、明瞭系の銀メッキ線ケーブルという印象。「SpaceCloud」以降あたりから、HCKのケーブルは非常に多彩な線材を使用したり、見た目にインパクトのあるケーブルを次々とリリースしていますが、実は以前の「C4-1」のような、普通に使い勝手の良い高品質のケーブルが案外無かったりします。そういった意味で「NICEHCK MeetAlice」はこの辺を代替でき、かつ1万円以下で購入できるスタンダードなお手頃ケーブルとして、やっと出てきた、という印象もありますね。音質傾向としては全体の情報量を底上げしつつ銀メッキ線らしく解像感と明瞭感を高めてくれる印象。「C4-1」と比較して、全体的にリケーブル効果を感じやすい点では共通していますが、派手さという点では「C4-1」より自然で、イヤホンの傾向を踏襲し、高域も聴きやすくかつ綺麗に伸ばしてくれる印象です。また「Spacecloud Ultra」の派手さとも異なるため、ある程度リケーブル効果を実感しつつイヤホンの傾向を踏襲するという点で、より様々なイヤホンと合わせやすいと思います。
ちなみに、「C4-1」の後継ケーブルとしては「NICEHCK HiCotton」があり、「NICEHCK MeetAlice」と結構印象は近い印象です。ただあのモフモフな被膜はやっぱりちょっとスタンダードとは違うかな、という気がします。まあ「NICEHCK MeetAlice」も結構硬めなので、取り回しの上ではやっぱり違う気もしますが・・・


[NICEHCK BlueCat] 2%銀銅合金 銀メッキ線 8芯 ケーブル (ターコイズブルー)
NiceHCK BlueCat Replace Cable 2% Silver Plated Silver-Copper Alloy Wire
【CIEM 2pin】【MMCX】【3.5mm】【4.4mm】【2.5mm】
AliExpresss(NiceHCK Audio Store):実質29.01ドル前後

NICEHCK BlueCatNICEHCK BlueCat
NICEHCK BlueCat」は6月初旬リリースのためちょっと以前のケーブルになります。Catシリーズの第4弾ケーブル。いわゆる銀銅合金の銀メッキ線ケーブルですが、銀の含有量が2%と従来の銀銅合金より高いのが特徴とのこと。金属部品はアルミ製でコネクタはベリリウム銅、プラグは3μm金メッキとのこと。。プラグは3.5mmのほか、4.4mm、2.5mmを、コネクタはCIEM 2pinとMMCXが選択できます。
NICEHCK BlueCatNICEHCK BlueCat

HCKでは太めの線材の2芯や4芯タイプが増えているため、8芯タイプのケーブルはある意味懐かしさがありますね。ケーブルはしっかり編み込まれており、被膜はやや硬めの弾力があるため、写真の印象よりゴツい手触り感があります。淡いブルーメタリックで思ったより高級感もあります。
NICEHCK BlueCatNICEHCK BlueCat
ちなみに、2%の銀銅合金というのがどう違うかという点ですが、中華ケーブルにおける銅銀合金の含有率は情報が無いためほとんど分かりませんが、古河電工などのメーカー品のケーブルからの推測だとおそらく1%程度かそれ未満が一般的な含有率だと思われます。つまり、より伝導率の高い銀を2倍以上含有している合金、というわけですね。
NICEHCK BlueCatNICEHCK BlueCat

NICEHCK BlueCat」のリケーブル後の傾向は、イヤホンの特徴を活かしつつ、各音域をよりハッキリと引き出し明瞭さを感じさせる印象。いわゆる各音域が濃くなるタイプのケーブルですが、同時に粒立ちの良さが際立ち高い分離性を感じさせるため、濃密さというより、イヤホンの個性的な部分をより前面に引き立たせる、という印象の方が近いかもしれませんね。W字やU字傾向のイヤホンの場合はボーカル域の厚みやギターの光沢感などが引き立ち、伸びのあるイヤホンでは高域の空間表現がよりいっそう際立ちます。良いところを伸ばすタイプのケーブルという意味で、使ってるイヤホンを「一皮むけた」印象にしたい場合には最適ではないかと思います。

というわけで、「その②」では色々な意味でちょっと癖のあるケーブルを中心に紹介しました。そして今回のまとめラストの「その③」ではわりと最近届いた「NICEHCK WhiteSky」「NICEHCK BlackCat Ultra」「NICEHCK BlackInk」の3種類を紹介したいと思います。