CCA DUO

こんにちは。今回は「CCA DUO」です。低価格中華イヤホンのブランドとしてお馴染みの「KZ」のサブブランドとして、実験的な製品をいろいろ投入しつつ、なかには結構大ヒットに繋がったアイテムもある、もしかしたら本家より楽しいかもなCCAが、またちょっとマニア界隈をざわつかせているのが、今回の製品です。7mmサイズの小口径ダイナミックドライバーを並列で2基稼働させる2DD構成で、3Dプリントシェルによる音導管設計や側面に抵抗がびっしり並んだPCB基板が透けて見えるなど、従来よりコストをかけた内容で、音質的にも従来とは異なる、だけど聴きやすいボーカル向けチューニングが興味深い製品です。

■ 製品概要からのまとめと購入方法について

中国のイヤホンブランド「CCA」は低価格中華イヤホンの代名詞的な存在である「KZ(KZ ACOUSTICS)」の姉妹ブランドで、似てるけどちょっと雰囲気が違うとか、新しいタイプの製品を試しに出してみたりとか、結構便利に使われている印象で、よく言えばとてもバラエティ豊かなライアンナップを持っています。いっぽうで、最近では「CCA CRA+」や「CCA HM20」のようにKZ越えの人気を誇る非常に完成度の高い製品もリリースされており、なかなか侮れないブランドになっています。

そんなCCAがまた新たな構成でリリースしたのが今回の「CCA DUO」です。7mm 二重磁気回路デュアルキャビティダイナミックドライバーを2基並列に搭載する2DD構成を採用。さらに通常のKZ/CCA製品よりコストのかかる3Dプリンティングシェルの採用による音導管設計など、なかなかの意欲作となっています。
CCA DUOCCA DUO

CCA DUO」は、7mm+7mmの同サイズのダイナミックドライバーのデュアル構成を採用し、従来の2DD構成のようにドライバーごとに音域を分けず、双方がフルレンジで鳴っていることが特徴。従来の10mmドライバーのシングル稼働と比較し、より細かい解像度と豊かなサウンドのディテールが実現できるとのこと。
CCA DUOCCA DUO
搭載する7mmドライバーは従来の二重磁気回路に加え、前後それぞれに独立したキャビティを持つデュアルキャビティ構造を採用。この新しいドライバーを並列で配置。ネットワーク回路により各ドライバーが異なる役割を果たすように個別にチューニングされ、より自然で調和の取れた音響特性を実現しています。
CCA DUOCCA DUO

CCA DUO」の購入はAliExpressおよびアマゾンなどの主要セラー、または直営店にて。
価格は39ドル前後(通常価格)、アマゾンでは5,800円~です。
KZ ACOUSTICS直営店(kztws.com): CCA DUO ※掲載時10ドルOFFセール中
AliExpress(Angelears Audio Store): CCA DUO ※掲載時29ドル(10ドルOFF価格)
AliExpress(Easy Eaphones): CCA DUO

Amazon.co.jp(KZ Flagship Store): CCA DUO
Amazon.co.jp(LINSOUL-JP): CCA DUO


免責事項:
本レビューは個人的に製品を購入し掲載している「購入者レビュー」となります。
本レビューに対してそれ以外の金銭的やりとりは一切無く、レビュー内容が他の手段で影響されることはありません。以下の記載内容はすべて私自身の感想によるものとなります。


■ パッケージ構成、製品の外観および内容について

CCA DUO」のパッケージはお馴染みのコンパクトな白箱タイプです。パッケージ内容は本体、ケーブル、イヤーピース(S/M/Lサイズ)および本体装着済みウレタンタイプ、説明書。付属イヤーピースはフジツボタイプ、ケーブルは銀メッキ線ケーブルで通常と同じタイプですね。
CCA DUOCCA DUO

本体は「CCA HM20」などに近い非常にコンパクトな設計で、フェイスプレートは金属製、ハウジング部はレジン製です。3Dプリントされたハウジング内部では7mmの二重磁気回路デュアルキャビティ・ダイナミックドライバーが透けて見えて、密閉構造の外部キャビティの出力部から2本の音導管が伸びているのが確認出来ます。ネットワーク回路はドライバー背面のほか本体側面に制御回路があり、抵抗等がびっしりと並んでいます。この回路部品だけででも、「KZ ZSTX」などの現行モデルでも続く、箱鳴りとフィルターでざっくり調整している音作りとは別次元のこだわりを感じさせます。
CCA DUOCCA DUO
コンパクトなシェルのため、装着性は良く、耳にすっぽりと入るサイズ感です。標準では最近のモデル同様にウレタンタイプのイヤーピースが付属しますが、ここはより耳にフィットするイヤーピースへの交換をお勧めします。今回私は「Spinfit CP100+」を使用しました。


■ サウンドインプレッション

CCA DUO」の音質傾向は聴きやすく、比較的ニュートラル傾向に感じる印象ですが、バランスとしては緩やかな「W字」のタイプだと思います。KZ/CCAの従来および最近の方向性ともちょっと違う印象のサウンドといえるかも知れませんね。
CCA DUO一般的に音質傾向としての「W字」と「U字」は実際にはかなり似ていることが多く、海外のレビューなどを見ると、ほぼ同義として解釈しどちらかの表現のみを使っている方もわりとよく見かけますね。
しかし、最近のKZ/CCAについては、有名レビュアーのHBB氏とのコラボモデルを出し始めたあたりから、HBB氏の「BadBoy Target」に寄せつつ高域辺りでKZ/CCAらしさを出した独自の「U-shape(U字)」チューニングを一部のモデルで採用し始めています。しかし、今回の「CCA DUO」はこの「U-shape」とは異なるチューニングであり、少なくともKZ/CCAにとっての「U字」ではない、という解釈になるかな、と思います。

CCA DUO」の特徴は、一聴すると低域から高域までほぼニュートラルに近く自然で、あまりメリハリが強くない印象のサウンドに感じられます。しかしボーカル域が若干カマボコ状に持ち上がり、相対的に前後が少し凹むことでボーカルと演奏との間の奥行き感が生まれ、ボーカル域が「映える」と同時に、実際にはそれほど音場は広く無いものの窮屈に感じない印象にまとまっています。そのため、全体としては寒色系のKZ/CCAらしい音色なのですが、硬質感などは少なく、適度に穏やかで聴きやすい印象に仕上がっているのがとても興味深いですね。

CCA DUOちなみに私のレビューでもよく出てくる音質傾向として「V字」「U字」などの表現があります。「V字」は低域と高域が強く中音域が凹む「ドンシャリ傾向」ですね。これに対し「U字」は、最近増えている「○○ターゲット」的な傾向のことで、低域及び高域の主張はV字同様にある程度強いものの中音域は比較的フラットでそこまで凹まないため、弱ドンシャリからフラットに近いニュートラル方向のサウンドとされます。
そして「W字」は中音域は凹むもののボーカル域がカマボコっぽく主張する、というイメージになりますが、実際は「U字」と「W字」の境界は少なく、ある人は「W字」と感じる傾向でも「U字」と捉える人も結構いらっしゃると思います。というのも、「U字」といわれる傾向の製品の多くは、ボーカル域がより近く感じるように中高域付近にアクセントがあり、その上の刺さりやすい帯域を少し抑える、といった「W字」と言えなくもないチューニングを行うことが多いためです。

ちょっと話が横道にそれましたが、「CCA DUO」はある程度明瞭でハッキリしたサウンドを好むものの刺激は少なく、BGM用として耳馴染みの良いイヤホンを好まれる方には最適、というサウンドでしょう。また「ボーカル特化」なイヤホンを探している方にも、曲のジャンルを多少選ぶものの合えば気に入るかも。
CCA DUOいっぽうで、ドンシャリ傾向で迫力のある低域などによる臨場感や、KZ/CCAらしいキレの良さを求める方、逆によりニュートラル傾向で正確な定位感や自然な表現を求める方のどちらにとっても「中途半端」と感じることが多いかもしれません。このように特に大きな癖のあるサウンドというわけではないが結構好みが分かれる、というのも私が(「U字」ではなくあえて)「W字」かな、と思う製品の特徴のひとつでもありますね。そして、「W字」傾向が強いイヤホンは、何故か海外のレビューが異様に良い、みたいな印象もあります。「Head-fi」に掲載された「CCA DUO」のレビューなどを見ると、あながち間違ってなさそうですね(^^;)。

CCA DUO」の高域は、寒色傾向ながら自然な明瞭感で比較的伸びも良い印象です。KZ/CCA的な派手さはほぼ無く聴きやすい印象。付属ケーブルでは主張のわりに少し距離があるように感じるかもしれません。適度な煌めきがあり解像感もあります。小口径ドライバーによるレスポンスの良さがありますね。ただし硬質感は少なく、キレの良さを感じるサウンドというより自然な鳴り、という感じです。
CCA DUO中音域は、一聴すると自然で癖の無い音に感じられますが、ボーカル域がややカマボコ状に持ち上がっている印象で演奏との間に奥行き感を生み出しています。
それでも全体として派手さを感じる印象では無いため、普段のKZ/CCAや同価格帯の中華ハイブリッドなどを聴き慣れている方には結構淡泊に感じるかもしれません。透明感があり分離も結構良いものの、付属ケーブルでは演奏は後方で大人しめの印象。音場は空間表現としてはやや狭いものの、ボーカルを中心とした音作りで広さや奥行きを感じさせます。
低域は締まりがあり見通しの良い音を鳴らします。ミッドベースはパンチ力があり印象としては小気味良い鳴り方です。直線的なバランスで、重低音も適度な深さと重さがありますがニュートラルな印象で同社の他の製品のような強い響きはあまり感じません。より聴きやすく、穏やかさを感じるサウンドですね。


■ まとめ

というわけで、「CCA DUO」は、いろいろ実験的な製品を投入することで「時々意外なヒットが出る」という最近のCCAらしい、色々な意味で普段のKZ/CCAとはちょっと異質な製品でした。そもそも「とにかく低価格」で製品化する同社で、7mm×2基の2DDモデルで40ドル、5千円台の価格設定からして実は相当に異色で、それでも3Dプリントシェルによる音導管設計など「KZ AS24」などの上位モデルでやってることを投入している辺りでも「売れ筋」狙いではないのが見えて楽しいですね。結果として寒色系のの音色ではあるものの、バランス的にはやや同社らしからぬサウンドに仕上がっており、同時に非常にポテンシャルの高さは感じさせる仕上がりなのも興味深いですね。
CCA DUO個人的には「CCA DUO」は、最近で言うと「NICEHCK BlackInk」などの中華16芯、または24芯のケーブルへのリケーブルがおすすめです。私も、ちょうど手許にqdcタイプがあった黒色の24芯ケーブルに替えて使っていますが、「CCA DUO」の聴きやすさは維持したまま個々の音の粒立ちが向上し、より立体的で鮮やかさのあるサウンドを楽しめます。まあこの状態でも「W字」傾向はそのままなので定位は正確ではないのですが、リスニング的には結構楽しく、個人的にはこれはこれで結構好きな印象です。なかなかにマニア色の高い製品ですが、興味のある方はぜひとも試してみてくださいね(^^)。