こんにちは。今回は 「CVJ X KAEI Kumo」です。大きめの金属ハウジングによる片側8BA仕様のマルチBAイヤホンです。高音質ポータブルアンプ製品などでマニアの間で知られるKAEI DESIGNとのコラボ仕様で、PCB基板とKnowles製ダンパーにより入念に行われたサウンドチューニングと各音域ごとに調整可能な4系統スイッチ等、CVJらしさも伺える興味深い製品に仕上がっています。
■ 製品概要からのまとめと購入方法について
「CVJ」は2019年に誕生した中華イヤホンのブランドで、個性的な低価格イヤホンを中心に最近存在感を一気に増している印象がありますね。中国国内のブランドサイトをみると自社工場を中心とした製造メーカーであることがわかります。同じ東莞市に本拠を持つ「TRN」とも関係があるようですが詳細な関係は公表されておらず、CVJがTRN製品の製造元のひとつなのかもしれませんね。私のブログでも初期の製品から時々紹介していましたが、現在は同社の「ちょっと攻めた製品」がより際立っている印象もあります。あと、この路線で少しずつ上位のグレードの製品のラインナップを進めている点も注目でしょう。
というわけで、今回の「CVJ X KAEI Kumo」は片側8BA(左右で16BA)のマルチBAモデルです。マニアックなポータブルアンプなどを手がける「KAEI DESIGN」とのコラボ製品とのこと。重厚なメタリックデザインは確かに「KAEIぽさ」があります。
ドライバー構成は3種類のバランスド・アーマチュア(BA)ドライバーからなり、高域用の2BAユニット「31736」が2基(4BA)、中音域用の「29689」が2基、低域用の「22955」が2基で、高域・中音域・低域に別れた3Way構成です。BAドライバー自体のブランドは記載されておらず、「TRN」と同様にBellsingなどの中華BAメーカーからOEM供給を受けたドライバーユニットと思われます。ちなみに「31736」「29689」「22955」の3種類ともKnowles製SWFK、ED、CIの各シリーズの同型番のユニットを踏襲したもので、KZやTRNのマルチBA製品などでも頻繁に搭載されるドライバーですね。
いっぽう、「CVJ X KAEI Kumo」では各BAユニットから出力される内部音導管に装着されたクロスオーバー制御用の音響ダンパーに「Knowles製」を採用しており、それぞれのダンパーの抵抗値も公表されています。
そして、「CVJ」が「Mei (魅)」以降のモデルで積極的に採用してるスイッチ機構を今回も搭載しています。「CVJ X KAEI Kumo」の出力を制御するPCBネットワーク基盤に直結した4系統のスイッチを装備。それぞれのスイッチには「①低域」「②中音域」「③高域」「④高高域」の各音域が割り当てられており、スイッチをONにすることで、それぞれの音域の強さが増す仕様。他社のスイッチ付モデルはあらかじめ調整された複数のモードを切り替える仕様ですが、CVJの場合、過去にもドライバーのON/OFFなど「ある意味非常に分かりやすい」仕組みを採用しているのが特徴的です。
そして「CVJ X KAEI Kumo」の本体はCNC加工された航空グレードのアルミニウム合金製で高級感のあるマット仕上げになっています。ケーブルは8芯タイプの銀メッキ線ケーブルで200本の線材を使用して構成されます。またプラグ交換式のギミックを備え、3.5mm、2.5mm、4.4mmのプラグが付属します。
「CVJ X KAEI Kumo」の価格は199.99ドル。アマゾンでは29,280円です。
HiFiGo(hifigo.com): CVJ X KAEI Kumo
Amazon.co.jp(HiFiGo): CVJ X KAEI Kumo ※掲載時プライム在庫あり
本体はアルミ合金製で、かなり大きさがあります。最近のKZなどがマルチBAモデルでも比較的コンパクトに仕上げてきているため、なかなかに存在感がありますね。この大きさのため軽量のアルミ製でもそこそこ重量もありますが、付属ケーブルの耳掛け加工部分はしっかり耳にホールドし、この大きさのため逆に耳穴全体でフィットするため想像以上に装着性は良好です。
ケーブルはグレーおよびシルバーの2色の被膜の線材による8芯タイプの銀メッキ線。適度な柔らかさがあり取り回しは良好です。またプラグ等の金属部品も本体とあわせたつや消しグレーのアルミ製で全体として落ち着いた雰囲気がありますね。
側面のスイッチは付属のクリーニングブラシ兼ピンで切替ができます。4系統のスイッチは低域~高高域までの各音域に割り当てられ、簡易イコライザー的な使い方ができるのが特徴。まずはノーマルで使用して、もう少し強くしたい音域のスイッチを入れる、という使い方が出来ます。
■ サウンドインプレッション
「CVJ X KAEI Kumo」(以下「CVJ Kumo」)の音質傾向は、標準状態でニュートラルな高域および低域を持つドンシャリ。ここでスイッチをすべてONにするとそれぞれの音域が強調され、結構派手目のドンシャリ傾向に変化します。
Knowles製ダンパーによりクロスオーバー制御を行っている関係もあり各音域のつながりは良く、またマルチBA特有の複数の音が重なることで発生する籠もり感のようなものが非常に少なく、全体としてスッキリとしたキレの良いサウンドにまとまっています。明瞭に伸びる高域、2基の低域用BAによる厚みがある低域、そして解像感のあるハッキリとした輪郭と主張が印象的な中音域と、200ドルクラスの価格設定に見合うバランスと質感を実現している印象です。
なおインピーダンス28Ω、感度120dB/mWと比較的一般的な仕様にまとめられていますが、多ドラならではの「電流量の多さ」があるため、ある程度駆動力のあるDAPやアンプなどでバランス接続にする場合はローゲインに設定した方がスッキリとした印象になるでしょう。ただし、鳴らしやすいとは言えスマートフォン直挿しなどでは音量をさげると籠もったような印象になる場合もあるためお勧めしません。安定した出力(駆動力)を確保出来るDAPやアンプでの利用が必須となります。
ちなみにマルチBA特有の籠もり感、というのは、複数のBAユニットが同時に同じ音域を鳴らすことで音が強調される反面ほんの僅かな揺らぎなどの違いで輪郭が滲んだような印象になることですね。いっぽうで同じ型番のBAを複数台同時にならすことで1基のBAあたりの出力を抑えることができるため(特に低価格の中華ユニットで起きやすい)BA特有の歪みを抑制する効果があります。「CVJ Kumo」は各音域で2基、2BAまたは4BAのユニットを重ねることで歪みを抑制しつつ(これは「BA15」など「TRN」製のマルチBA製品でも多用されている手法です)、さらに高品質のKnowles製ダンパーを使用することでクロスオーバーを制御し、より整理されたサウンドを実現しているようです。
「CVJ Kumo」の高域は、の高域用ユニットの並列稼働により歪みを抑えつつ明瞭で直線的な音を鳴らします。「TRN BA15」をはじめ、最近のKZ製マルチBAモデルでも用いられる手法で、BA特有の硬質で明瞭な音を鳴らしつつ低価格BA特有の金属質なギラつき(正確には歪み)を抑制し、十分な主張とともに直線的な伸びやかさを実現しています。ドライで鋭い音は鋭く鳴らすため刺激が苦手な方にはややキツく感じるかもしれませんが、駆動力のあるアンプやDAPのローゲインモードで鳴らすことでスッキリした印象を維持しつつ聴きやすい印象で楽しめると思います。逆にスイッチ3(高域)、スイッチ4(高高域)をONにすることでシンバル音など高域の明瞭感や解像感がより向上し、かなり楽しい高域を実感出来ます。
中音域は曲によっては僅かに凹みますが、非常にハッキリした輪郭を持っていて分離にも優れているため、不足感を感じることは少ないでしょう。ボーカル域は少し前方に定位し、癖の無い音を鳴らします。演奏との分離も良く、J-POPやアニソンなどの中音域~中高域に音数が多い曲でも混雑した印象無く楽しめます。またV字方向に中音域がやや凹むことで前後の立体感が生まれ音場が広く感じさせます。逆にボーカル域を強調させたい場合はスイッチ2(中音域)およびスイッチ3(高域)をONにすることで一気にU字またはW字方向のバランスとなり、音場は狭くなりますがよりボーカル映えのするサウンドを楽しめるでしょう。
低域はノーマルの状態でも十分に量感と力強さのある音を鳴らします。最近のKZなどのマルチBA機は低域用の「22955」が1基の製品も増えていますが、ここもしっかり2基搭載し、十分な厚みと深さを実現しています。またスイッチ1(低域)をONにした場合はさらにパワフルな低域を楽しめます。また低域もマルチBA的な籠もりを感じやすい音域ですがKnowles製ダンパーが良い仕事をしているのか、明瞭感、分離とも優れており、アタックも早く締まりのある音で、EDMなど音数が多い場合も十分に楽しめます。
■ まとめ
というわけで、「CVJ Kumo」は低価格ブランドとしては200ドル級と決して安価ではありませんが、同価格帯のミドルグレードの競合製品と比較しても十分な実力と品質を持ったイヤホンだと感じました。確かに、搭載しているのが中華BAという前提で考えれば、ドライバー的にはKZなどで半額近い価格でも実現できそうな構成ですが、アルミ合金製のシェルデザイン、音導管設計、Knowles製ダンパーによるクロスオーバー設計、ネットワークなどの回路設計とスイッチ構成など、「ドライバー以外の部分」でしっかりコストをかけて入念に音作りを行っていることが伺える製品だと思います。
金属ハウジングの無骨なデザインと寒色系の明瞭ながらバランスと質の良いサウンド、中華イヤホンのひとつのアップグレードの方向性として、興味のある方は挑戦してみるのも良いと思いますよ(^^)。
「CVJ」は2019年に誕生した中華イヤホンのブランドで、個性的な低価格イヤホンを中心に最近存在感を一気に増している印象がありますね。中国国内のブランドサイトをみると自社工場を中心とした製造メーカーであることがわかります。同じ東莞市に本拠を持つ「TRN」とも関係があるようですが詳細な関係は公表されておらず、CVJがTRN製品の製造元のひとつなのかもしれませんね。私のブログでも初期の製品から時々紹介していましたが、現在は同社の「ちょっと攻めた製品」がより際立っている印象もあります。あと、この路線で少しずつ上位のグレードの製品のラインナップを進めている点も注目でしょう。
というわけで、今回の「CVJ X KAEI Kumo」は片側8BA(左右で16BA)のマルチBAモデルです。マニアックなポータブルアンプなどを手がける「KAEI DESIGN」とのコラボ製品とのこと。重厚なメタリックデザインは確かに「KAEIぽさ」があります。
ドライバー構成は3種類のバランスド・アーマチュア(BA)ドライバーからなり、高域用の2BAユニット「31736」が2基(4BA)、中音域用の「29689」が2基、低域用の「22955」が2基で、高域・中音域・低域に別れた3Way構成です。BAドライバー自体のブランドは記載されておらず、「TRN」と同様にBellsingなどの中華BAメーカーからOEM供給を受けたドライバーユニットと思われます。ちなみに「31736」「29689」「22955」の3種類ともKnowles製SWFK、ED、CIの各シリーズの同型番のユニットを踏襲したもので、KZやTRNのマルチBA製品などでも頻繁に搭載されるドライバーですね。
いっぽう、「CVJ X KAEI Kumo」では各BAユニットから出力される内部音導管に装着されたクロスオーバー制御用の音響ダンパーに「Knowles製」を採用しており、それぞれのダンパーの抵抗値も公表されています。
そして、「CVJ」が「Mei (魅)」以降のモデルで積極的に採用してるスイッチ機構を今回も搭載しています。「CVJ X KAEI Kumo」の出力を制御するPCBネットワーク基盤に直結した4系統のスイッチを装備。それぞれのスイッチには「①低域」「②中音域」「③高域」「④高高域」の各音域が割り当てられており、スイッチをONにすることで、それぞれの音域の強さが増す仕様。他社のスイッチ付モデルはあらかじめ調整された複数のモードを切り替える仕様ですが、CVJの場合、過去にもドライバーのON/OFFなど「ある意味非常に分かりやすい」仕組みを採用しているのが特徴的です。
そして「CVJ X KAEI Kumo」の本体はCNC加工された航空グレードのアルミニウム合金製で高級感のあるマット仕上げになっています。ケーブルは8芯タイプの銀メッキ線ケーブルで200本の線材を使用して構成されます。またプラグ交換式のギミックを備え、3.5mm、2.5mm、4.4mmのプラグが付属します。
「CVJ X KAEI Kumo」の価格は199.99ドル。アマゾンでは29,280円です。
HiFiGo(hifigo.com): CVJ X KAEI Kumo
Amazon.co.jp(HiFiGo): CVJ X KAEI Kumo ※掲載時プライム在庫あり
免責事項:
本レビューではレビューサンプルとしてHiFiGoより製品を提供いただきました。機会を提供してくださったことに感謝します。ただし本レビューに対して金銭的やりとりは一切無く、レビュー内容が他の手段で影響されることはありません。以下の記載内容はすべて私自身の感想によるものとなります。
■ パッケージ構成、製品の外観および内容について
「CVJ X KAEI Kumo」のパッケージはキャラ絵タイプ。中華イヤホンでは増えすぎて突っ込むのもちょっと面倒になってきた感はあります。まあ店頭で買う製品ではないので気にしない方向で(笑)。
内箱は「Freedom」から採用されているタイプで付属品が引き出し式になっているちょっと凝ったギミックがあったりします。パッケージ内容はイヤホン本体、ケーブル、交換用プラグ3種類、クリーニングブラシ兼スイッチ切替用ピン、イヤーピース、布製ポーチ、説明書、保証書など。イヤーピースはシリコンタイプが開口部の広く浅いタイプと通常タイプの2種類でそれぞれS/M/Lサイズ。さらにウレタンタイプが1ペアです。
本体はアルミ合金製で、かなり大きさがあります。最近のKZなどがマルチBAモデルでも比較的コンパクトに仕上げてきているため、なかなかに存在感がありますね。この大きさのため軽量のアルミ製でもそこそこ重量もありますが、付属ケーブルの耳掛け加工部分はしっかり耳にホールドし、この大きさのため逆に耳穴全体でフィットするため想像以上に装着性は良好です。
ケーブルはグレーおよびシルバーの2色の被膜の線材による8芯タイプの銀メッキ線。適度な柔らかさがあり取り回しは良好です。またプラグ等の金属部品も本体とあわせたつや消しグレーのアルミ製で全体として落ち着いた雰囲気がありますね。
側面のスイッチは付属のクリーニングブラシ兼ピンで切替ができます。4系統のスイッチは低域~高高域までの各音域に割り当てられ、簡易イコライザー的な使い方ができるのが特徴。まずはノーマルで使用して、もう少し強くしたい音域のスイッチを入れる、という使い方が出来ます。
■ サウンドインプレッション
「CVJ X KAEI Kumo」(以下「CVJ Kumo」)の音質傾向は、標準状態でニュートラルな高域および低域を持つドンシャリ。ここでスイッチをすべてONにするとそれぞれの音域が強調され、結構派手目のドンシャリ傾向に変化します。
Knowles製ダンパーによりクロスオーバー制御を行っている関係もあり各音域のつながりは良く、またマルチBA特有の複数の音が重なることで発生する籠もり感のようなものが非常に少なく、全体としてスッキリとしたキレの良いサウンドにまとまっています。明瞭に伸びる高域、2基の低域用BAによる厚みがある低域、そして解像感のあるハッキリとした輪郭と主張が印象的な中音域と、200ドルクラスの価格設定に見合うバランスと質感を実現している印象です。
なおインピーダンス28Ω、感度120dB/mWと比較的一般的な仕様にまとめられていますが、多ドラならではの「電流量の多さ」があるため、ある程度駆動力のあるDAPやアンプなどでバランス接続にする場合はローゲインに設定した方がスッキリとした印象になるでしょう。ただし、鳴らしやすいとは言えスマートフォン直挿しなどでは音量をさげると籠もったような印象になる場合もあるためお勧めしません。安定した出力(駆動力)を確保出来るDAPやアンプでの利用が必須となります。
ちなみにマルチBA特有の籠もり感、というのは、複数のBAユニットが同時に同じ音域を鳴らすことで音が強調される反面ほんの僅かな揺らぎなどの違いで輪郭が滲んだような印象になることですね。いっぽうで同じ型番のBAを複数台同時にならすことで1基のBAあたりの出力を抑えることができるため(特に低価格の中華ユニットで起きやすい)BA特有の歪みを抑制する効果があります。「CVJ Kumo」は各音域で2基、2BAまたは4BAのユニットを重ねることで歪みを抑制しつつ(これは「BA15」など「TRN」製のマルチBA製品でも多用されている手法です)、さらに高品質のKnowles製ダンパーを使用することでクロスオーバーを制御し、より整理されたサウンドを実現しているようです。
「CVJ Kumo」の高域は、の高域用ユニットの並列稼働により歪みを抑えつつ明瞭で直線的な音を鳴らします。「TRN BA15」をはじめ、最近のKZ製マルチBAモデルでも用いられる手法で、BA特有の硬質で明瞭な音を鳴らしつつ低価格BA特有の金属質なギラつき(正確には歪み)を抑制し、十分な主張とともに直線的な伸びやかさを実現しています。ドライで鋭い音は鋭く鳴らすため刺激が苦手な方にはややキツく感じるかもしれませんが、駆動力のあるアンプやDAPのローゲインモードで鳴らすことでスッキリした印象を維持しつつ聴きやすい印象で楽しめると思います。逆にスイッチ3(高域)、スイッチ4(高高域)をONにすることでシンバル音など高域の明瞭感や解像感がより向上し、かなり楽しい高域を実感出来ます。
中音域は曲によっては僅かに凹みますが、非常にハッキリした輪郭を持っていて分離にも優れているため、不足感を感じることは少ないでしょう。ボーカル域は少し前方に定位し、癖の無い音を鳴らします。演奏との分離も良く、J-POPやアニソンなどの中音域~中高域に音数が多い曲でも混雑した印象無く楽しめます。またV字方向に中音域がやや凹むことで前後の立体感が生まれ音場が広く感じさせます。逆にボーカル域を強調させたい場合はスイッチ2(中音域)およびスイッチ3(高域)をONにすることで一気にU字またはW字方向のバランスとなり、音場は狭くなりますがよりボーカル映えのするサウンドを楽しめるでしょう。
低域はノーマルの状態でも十分に量感と力強さのある音を鳴らします。最近のKZなどのマルチBA機は低域用の「22955」が1基の製品も増えていますが、ここもしっかり2基搭載し、十分な厚みと深さを実現しています。またスイッチ1(低域)をONにした場合はさらにパワフルな低域を楽しめます。また低域もマルチBA的な籠もりを感じやすい音域ですがKnowles製ダンパーが良い仕事をしているのか、明瞭感、分離とも優れており、アタックも早く締まりのある音で、EDMなど音数が多い場合も十分に楽しめます。
■ まとめ
というわけで、「CVJ Kumo」は低価格ブランドとしては200ドル級と決して安価ではありませんが、同価格帯のミドルグレードの競合製品と比較しても十分な実力と品質を持ったイヤホンだと感じました。確かに、搭載しているのが中華BAという前提で考えれば、ドライバー的にはKZなどで半額近い価格でも実現できそうな構成ですが、アルミ合金製のシェルデザイン、音導管設計、Knowles製ダンパーによるクロスオーバー設計、ネットワークなどの回路設計とスイッチ構成など、「ドライバー以外の部分」でしっかりコストをかけて入念に音作りを行っていることが伺える製品だと思います。
金属ハウジングの無骨なデザインと寒色系の明瞭ながらバランスと質の良いサウンド、中華イヤホンのひとつのアップグレードの方向性として、興味のある方は挑戦してみるのも良いと思いますよ(^^)。