Hidizs MP145

こんにちは。今回は 「Hidizs MP145」です。Hidizs独自のカスタマイズを行った14.5mmの平面駆動ドライバーを搭載したモデルです。一般リリースはもう少し先ですが日本時間で6日深夜ごろからKickstarterで募集が開始されました。先日開催した先行プレゼント企画も大好評で期待も高まっている高音質イヤホンです。

■ 製品概要からのまとめと購入方法について

Hidizs」はコンパクトなDAP(デジタルオーディオプレーヤー)やスマートデバイス用のオーディオアダプターの分野で人気の高いブランドですね。さらに最近ではイヤホンも高音質・高品質な新製品を精力的にラインナップしており、どのモデルもユーザーから高い評価を受けています。
過去記事(一覧):「Hidizs」製品のレビュー(イヤホン/DAP・アダプターなど)

今回の「Hidizs MP145」はHidizsカスタマイズの「FAST」14.5mm平面駆動ドライバ搭載モデル。大口径の平面駆動ドライバーの搭載により卓越した明瞭感、豊かさ、そして優れたディテール感のあるサウンドを実現します。優雅なクジラからインスピレーションを受けた本体デザインも特徴的なイヤホンです。
Hidizs MP145Hidizs MP145
Hidizs MP145」は、Hidizsがカスタマイズした「FAST」ドライバーを搭載。直径14.5mmの超大型平面磁気振動板による対称平面磁気ドライバーを搭載しています。片面7個×2のN52H マグネットを正確な配置し完全に対称的な磁気回路を構成。高調波歪みを抑制し、磁気回路効率を向上させ、1 テスラに近い磁気ギャップの最大磁束を提供。この磁気回路設計により比類のない輝きを備えたクリスタルクリアな音質を実現します。
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また「Hidizs MP145」は3種類の空気圧サウンドチューニングフィルターに対応。3種類のフィルターは「シルバー」(高域強調モード)、「ピンクゴールド」(バランス)、「レッド」(低域強調)に対応します。さらに3種類の特徴を持つイヤーチップを同梱し、幅広い音楽ジャンルや個人の好みに応える 9種類のサウンドスタイルを提供します。そのサウンドは大規模なテストと入念なチューニングを経て、ハーマンターゲットカーブ(H-2019)と一致し、「HRTF(Head-Related Transfer Function)」に基づいてより深い音場を実現。ボーカルやライブパフォーマンスに優れ、各音域の細部まで詳細に表現します。

Hidizs MP145また「Hidizs MP145」の本体シェルは金属製ですが片側わずか9.5gの軽量設計で14.5mmの大型ドライバーを搭載しながらも、長時間の装着でも負担が少なく快適です。本体内部も大型ドライバーを収容できるように慎重に設計されており、十分なスペースを確保。クジラをイメージした本体デザインを採用し、フェイス部分の尾びれの形をしたパネルには、2つのベント(空気孔)が設計されています。これらのベントはイヤホンキャビティ内の空気の流れを最適化し、音の透明性とバランスを高めます。呼吸を楽にし、爽快な楽曲をナビゲートしながら、深みのある臨場感あふれる低音と高くそびえる高音を体験することが出来ます。

また、「Hidizs MP145」は高純度単結晶銅銀メッキ線ケーブルが付属し、プラグは3.5mmまたは4.4mmを選択できます。「Hidizs MP145」のカラーバリエーションは「シルバー」「ブルー」「グレー」の3種類。発売時価格は199ドルの予定です。
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なお、「Hidizs MP145」は先行して「Kickstarter」にてEST9月6日9:30、日本時間で9月6日22時30分からプロジェクトがスタートしました。アーリーバード価格は109ドル~となっています。
また199個限定で299ドルの「Golden Titanium Edition」も購入可能です。チタン製シェルにより音質面もグレードアップされるようです。
※109ドルのアーリーバードは開始直後に完売となり、掲載時点では119ドルの在庫僅少ながらアーリーバードが購入可能です。
Kickstarter: Hidizs MP145


免責事項:
本レビューではレビューサンプルとしてHidizsより製品を提供いただきました。機会を提供してくださったことに感謝します。ただし本レビューに対して金銭的やりとりは一切無く、レビュー内容が他の手段で影響されることはありません。以下の記載内容はすべて私自身の感想によるものとなります。


■ パッケージ構成、製品の外観および内容について

Hidizs MP145」のパッケージはブラックを基調としたパッケージデザイン。プラスチックケースを化粧カバーで覆ったパッケージです。
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パッケージ内容はイヤホン本体、ケーブル、イヤーピース(3種類、それぞれS/M/Lサイズ)、サウンドフィルター(透明ケース入り)、レザーポーチ、説明書、保証カード。
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クジラをイメージした本体デザインは結構大きめで個性的なシルエットをしています。かなり大きめのサイズのため、耳には全然収まりきらないサイズなのですが、装着部分はシェイプされ耳奥まで挿入しやすいデザインになっているため、実際の所は想像以上に装着性は良好です。またアルミ合金製で大きさのわりに軽量なため耳から落ちることもなくしっかり装着出来るようです。
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フィルターは「シルバー」「ローズゴールド」「レッド」の3種類のフィルターに交換可能で、「ローズゴールド」タイプが最初から装着されていました。裏面のフィルター材の厚みによる調整で、「シルバー」が高域強調、「ローズゴールド」がバランス、「レッド」が低域強調となっています。実際には「シルバー」は裏面のフィルター材無し、「ローズゴールド」と「レッド」がそれぞれ薄いフィルター材と濃いフィルター材、といった違いですね。
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ケーブルは0.78mm 2pinタイプの4芯タイプの高純度単結晶銅銀メッキ線ケーブルが付属します。購入時に3.5mmと4.4mmを選択できるそうです。比較的太さのあるホワイトシルバーのケーブルで、被膜はやや硬めですがしっかり編み込まれており、取り回しは良好です。
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イヤーピースは、黒色は「低域強調」、黒軸の白色タイプが「標準」、白色の開口部の広いタイプが「ボーカル」向けとなっています。


■ サウンドインプレッション

Hidizs MP145Hidizs MP145」の音質傾向は明瞭でバランスの良いU字カーブを描く印象の弱ドンシャリ。製品説明では「H-2019」準拠とのことですが、一般的なハーマンターゲットカーブより実際はもう少し低域の厚みなどドンシャリ傾向の印象があります。14mm級平面駆動ドライバー搭載機は一般的な平面駆動タイプより鳴らしやすいものが多く、「Hidizs MP145」も同社製のDAP等でも十分に鳴らせる印象ですが、それでもある程度は駆動力のある再生環境のほうが望ましいでしょう。またバランス接続などによる効果も大きい印象です。

今回3.5mm仕様のプラグで届きましたが、この環境では標準の「ローズゴールド」のフィルターより「高域強調」の「シルバー」のフィルターのほうがよりスッキリして見通しが向上した印象になりました。
Hidizs MP145ただバランス接続にリケーブルしてみると「シルバー」フィルターでは結構高域がキツめに感じる場合もあるため、その場合は「標準」の「ローズゴールド」のほうが相性が良さそうですね。どちらのフィルターでも籠もりなどは無く、広い音場と抜けの良い明瞭なサウンドを楽しめます。
いっぽうで「低域強調」の「レッド」のフィルターは中高域~高域付近が抑制され相対的に低域が強くなるタイプのため、この辺の帯域が気になる方以外はあまり合わないかも知れませんね。
「シルバー」および「ローズゴールド」でも低域は十分にパワフルに鳴ってくれるため特に不足は感じない印象でした。

また「Hidizs MP145」では3種類のイヤーピースにより傾向を調整することができる仕様になっていますが、ボーカル用の浅いタイプは装着感が良くないためあまり合わない印象です。標準タイプ以外では「Softears U.C.」などの粘着性があるタイプも良いでしょう。ただフィルターの関係でステムノズルがやや太いため「SpinFit CP100+」などはちょっと使いにくいかもしれません。個人的には「DUNU」の円筒形の「S&Sイヤーピース」が適度にリーチを取れる点なども含め結構「Hidizs MP145」と相性が良いと思いました。

Hidizs MP145Hidizs MP145」の高域は、明瞭で見通しの良い音を鳴らします。適度な主張があり、平面駆動らしい歪みの無い直線的な音で見通しも良い印象です。3.5mmプラグを使用した状態では「ローズゴールド」より「シルバー」のフィルターのほうがよりスッキリして伸びやかさと適度な主張を実感出来ました。やや寒色系で適度な煌めきを持っていますが、自然な輪郭で過度な硬質感は無く、刺さり等の刺激もほぼ感じず聴きやすい印象です。キレより滑らかさを重視した印象ですが、明瞭でスピード感があるため不満を感じることは少ないでしょう。

中音域は癖の無いニュートラルな印象で、ありのままの音を自然に鳴らします。ボーカル域は自然な輪郭で僅かに温かさもありますが、明瞭で演奏との分離も良い印象。距離感は自然で定位も正確さがあります。「ローズゴールド」のフィルターでは特にニュートラル感が強く、メリハリのあるサウンドを好まれる方にはやや物足りなく感じるかもしれませんが、楽器の表現力もとても精緻で自然な光沢と豊かさ、艶感、余韻などがあります。
Hidizs MP145またボーカルの息づかいなども立体的に感じられます。さらに「シルバー」フィルターではより明瞭感が増し、より透明で粒立ちも向上します。バランス接続や再生環境によってはやや派手目に感じる場合も考えられますので、好みに応じて選ぶのが良いでしょう。どちらの場合も音抜けが良く音場は自然な広さがあります。決して広大、というイメージではないのですが、ごく自然で窮屈さのない印象。「Hidizs MP145」の独特のベント形状による抜け感や伸びの良さから得られる音場感は大きな特徴といえるでしょう。

低域は全体としてのバランスの良さや分離感を維持しつつ、力強くインパクトのある音を鳴らします。特に大口径の平面駆動ドライバーの低歪みな特性は低域で最も反映される傾向があり、「Hidizs MP145」の低域も非常に質の高い印象です。ミッドベースは直線的で適度な締まりと見通しの良さがあり、重低音は非常に深く沈み、解像感とキレの良さがあります。中音域同様に抜けの良さは空間表現を演出し、飽和感の無い自然な広がりを得ることが出来ます。「レッド」フィルターは「低域強調」となっていますが、正確には中高域を抑えることで相対的に低域の質感を強調するタイプです。バランスに違いは多少ありますが、どのフィルターでも質の高いパワフルな低域を楽しむことが出来ます。


■ まとめ

Hidizs MP145というわけで、6日夜よりKickstarterが開始された「Hidizs MP145」ですが、14mm級平面駆動ドライバー搭載イヤホンのなかでも「Hidizs」らしさを感じさせる手堅いサウンドバランスで仕上げつつ、平面駆動ドライバーの特徴を最大限に活かすシェル構造などで、より自然な音場感を実現しているのがとても興味深い印象でした。使いやすいイヤホン製品ですがリスニングモニター的なヘッドホンのようなサウンド及び音場感が体験できるのはとても楽しいですね。
Kickstarterでも手許に届くのは少し先になりますが興味のある方は是非ともアーリーバードで入手されることをオススメします。良くできたイヤホンだと思いますよ(^^)。