KBEAR Streamer (流光)

こんにちは。今回は 「KBEAR Streamer (流光)」です。私のブログでもお馴染みとなってきた「KBEAR」ブランドの新モデルです。今回は透明なレジンシェルに金属製の密閉シャーシで覆われたダイナミックドライバーを搭載したモデル。非常に美しいシェルデザインに明瞭かつダイレクト感のあるリスニングサウンドを実現しています。

■ 製品概要からのまとめと購入方法について

中国のイヤホンブランド「KBEAR」はEasy Earphonesなどのセラーを中心に販売されるブランドで、姉妹ブランドの「TRI Audio」と併せて意欲的な新製品を数多くリリースしています。同社自体はファブレスのため、製造を行うファクトリーごとに複数のラインが存在しまが、同社エンジニアによる一貫したチューニングにより、ブランドとして統一性のあるサウンドを実現しているのも特徴的です。

今回の「KBEAR Streamer (流光)」は、従来とは異なるファクトリーで作られた新しいラインの製品となります。ハンドメイドプロセスによる透明なレジンシェルに10mm PEK振動板ダイナミックドライバーをシングルで搭載したモデルです。
KBEAR Streamer (流光)KBEAR Streamer (流光)
KBEAR Streamer (流光)」のシェルデザインは充填レジンによるクリアハウジングに密閉構造の円筒形の金属シャーシが実装され、内部にダイナミックドライバーを搭載する方式を採用。このタイプのシェルデザインは他にも「SUPERTFZ FORCE1」などでも採用されている形状で、シェル部分は同じ工場で仕上げられていると思われます。ただし、使用しているレジンの種類・グレードや金属シャーシ内部に搭載されるダイナミックドライバーはメーカーごと、製品ごとで個別に調達されているようで、仕様および音質傾向もすべて異なる内容となっています。

KBEAR Streamer (流光)」は10mmサイズのシングルダイナミック構成で、振動板には高品質PEK振動板を採用。「PEK」(ポリエーテルケトン)は高機能樹脂の一種で、複合振動板で最近利用頻度が増えている「PEEK」(ポリエーテルエーテルケトン)より硬度と耐候性が高くより高価な材質のようです。さらに高性能ドライバーでの採用が増えている住友電工系の大黒電線製32Ωボイスコイルを組み合わせてることで、5Hz~35kHzの広帯域と高い駆動力での音質上限の向上が得られています。
KBEAR Streamer (流光)KBEAR Streamer (流光)
この高性能ダイナミックドライバーを「KBEAR Streamer (流光)」を金属製の密閉型シャーシに収容し、音導管を通じ出音ノズルから出力されます。音導管先端部の出音ノズルは電気メッキ処理を行ったアルミニウム合金を採用、ラッパ状の拡声デザインを採用し、細部の音の表現や楽器の表現をより一層向上させています。

KBEAR Streamer (流光)KBEAR Streamer (流光)
購入はAliExpressのEasy Eaphonesまたはアマゾンの「Yinyoo-JP」にて。
KBEAR Streamer (流光)」の価格は64ドル、アマゾンでは9,290円です。
AliExpress(Easy Eaphones): KBEAR Streamer 
Amazon.co.jp(Yinyoo-JP): KBEAR Streamer (流光) ※掲載時 15%OFFクーポン配布中


免責事項:
本レビューではレビューサンプルとしてEasy Earphonesより製品を提供いただきました。機会を提供してくださったことに感謝します。ただし本レビューに対して金銭的やりとりは一切無く、レビュー内容が他の手段で影響されることはありません。以下の記載内容はすべて私自身の感想によるものとなります。


■ パッケージ構成、製品の外観および内容について

KBEAR Streamer (流光)」のパッケージは比較的コンパクトな白箱タイプ。パッケージ内容はイヤホン本体、ケーブル、イヤーピース(S/M/Lサイズ)、説明書。
KBEAR Streamer (流光)KBEAR Streamer (流光)
KBEAR Streamer (流光)KBEAR Streamer (流光)

本体はレジンで充填されたシェルで、それなりに重量感があります。透明度の高いレジンを使用しており、クリアーシェルの内部に埋め込まれたシルバーメッキを施されたドライバーシャーシと音導管が特徴的です。また金属製のフェイスプレートも埋め込まれており、落ち着いたデザインを演出しています。形状は「SUPERTFZ FORCE1」などとよく似ていますが、「KBEAR Streamer (流光)」のほうがやや大きめで、その分ステムノズル部分が多少短く金属製のステムノズル部も短めになっています。
KBEAR Streamer (流光)KBEAR Streamer (流光)
そのため、「SUPERTFZ FORCE1」がより耳奥まで挿入するイメージだったのに対し、「KBEAR Streamer (流光)」はより自然な装着感でしっかり固定して使用できます。装着感自体は良いと思いますが、全体的に大きめのサイズ感のためキツく感じる方は「SpinFit CP100+」など少し長めのイヤーピースで小さめのサイズを合わせた方がしっかり装着出来そうです。また密閉構造と音漏れは無く、しっかり耳を塞ぐため遮音性も高い印象です。
KBEAR Streamer (流光)KBEAR Streamer (流光)
付属するケーブルは5N 無酸素銅銀メッキ線の4芯タイプ。コネクタは中華2pin仕様です。柔らかい線材でやや絡まりやすいものの取り回しは良好です。
イヤーピースは付属品のほか「KBEAR 07」(Acoustune「AET07」とほぼ同等品)や、KBEARの姉妹ブランドのTRI Audioから「TRI Clarion」などに交換するのもお勧めです。他には定番の「スパイラルドット」や「SpinFit CP100+」、「TRN T-Eartips」など自分の耳に合う最適なイヤピースに交換するのも良いでしょう。


■ サウンドインプレッション

KBEAR Streamer (流光)KBEAR Streamer (流光)」の音質傾向はやや中低域寄りながら明瞭感がありバランスの良いV字を描くドンシャリ。一貫してトラディショナルなV字傾向のイヤホンを手がけているKBEARらしい音作りです。密閉型構造らしい、非常に力強く同時に反響音を抑えた締まりとキレのある低域と、ドンシャリ傾向らしい音場感を作りつつ比較的近くで再生される聴きやすいボーカル、そしてスッキリとした明瞭感のある高域があります。低価格中華ハイブリッドのような派手さは抑え自然な輪郭にまとめつつ、広さよりダイレクト感を感じさせる音作りが特徴的です。

KBEAR Streamer (流光)」が採用するシェル構造の場合、密閉型の金属シャーシにダイナミックドライバーを収容し、充填したレジンでがっちり固定することで、ダイナミックドライバーの音響効果に少なからず影響する箱鳴りをシェル形状にあまり依存せず、内部のドライバーおよび金属シャーシからの音導管設計で制御できる点が特徴。いっぽうで、ベントなどによる音抜けがないため音場の広がりは少なく低域が強めの傾向になる、あるいは籠もりがちになるケースも考えられます。


KBEAR Streamer (流光)これに対し「KBEAR Streamer (流光)」では、内部ドライバーで「PEEK」よりさらに硬くキレがある「PEK」を振動板に使用し、強力なコイルで明瞭な中高域と安定した出力を確保しつつ密閉構造でよりダイレクトに出力される低域は先端部ががラッパ状に広がる出音ノズル構造で開放され、籠もること無く全体の明瞭さを確保するチューニングを行っています。
ちなみに、フィルターや電気抵抗的な制御ではなく出力側の仕組みでチューニングを行う手法はKBEARの製品では過去にもシングルBA機の「KBEAR NEON」で取り入れられています。「NEON」では同仕様の製品では一般的な「出力抵抗」や「出力部のフィルター」を使用せず、一体成形された金属製ステム内部の音導管にBAを直結することで構造自体がLPF(ローパスフィルタ)的な役割を行う仕組みになっています。一貫した音作りを行いつつ、ドライバーの種類やシェル構造などの特徴を活かしたチューニングを行えるのも、ラインナップのバラエティ豊かなKBEARならではといえるでしょう。

KBEAR Streamer (流光)KBEAR Streamer (流光)」の高域は、比較的聴きやすい印象ながら明瞭でスッキリした音を鳴らします。振動板は金属コーティングではなく、もともとが硬質な樹脂素材を使用してるため、がっつり駆動力をかけた再生環境だとシンバル音などの鳴りはPZT(圧電)ドライバーのようなドライでディテール表現のハッキリした印象になるのが興味深いですね。
バランス接続にリケーブルしたり据置きのアンプで鳴らしても過度に刺激が増すこと無く直線的な音を鳴らしてくれるのは好印象。ただ鋭い音は相応に鋭く鳴るため、穏やかなサウンドが好みの場合、付属ケーブルで低ゲインで鳴らす方がよいかもですね。

KBEAR Streamer (流光)中音域はV字傾向のため曲によって若干凹みますが、全体として比較的前傾で近めに再生され、また癖のないハッキリした音のため不足を感じることはありません。ボーカルも明瞭ながら自然な輪郭で僅かに温かく、伸びやかさとともに余韻も感じられます。また演奏との分離も良好です。最近の大きめのベントを備えた半開放型並の仕様で音抜けを向上させる製品とは真逆のアプローチのため、これらのイヤホンと比べると音場は狭く感じますが、実際はこのクラスとしては非常に定位は正確な印象。遮音性の高さもあり没入感の中で個々の音をしっかり捉えることが出来ます。これは前述の構造を活かしたダイレクト感のある音作りが最大限に発揮されている部分だと思います。
何というか、こういう音作りってたぶんf値のグラフだけ見ていても想像できない要素だなぁ、と思いますね。明瞭ながら過度に人工的にならず、スタジオレコーディングのような「ハコ感」はありますが定位のハッキリした音場表現で多分耳コピなんかの用途でも結構使えそうな気がします。

KBEAR Streamer (流光)低域は密閉型らしい量感がある音を鳴らしますが、締まりが良く直線的なため、スピード感のある印象で楽しめます。中音域同様に反響音を抑えダイレクトに耳に届く印象があり、アタックも早く、解像感も高めです。同時に出音ノズルの構造で籠もるようなことは無く、耳に届いたあとスッと減衰していくのも心地よいですね。CNTやベリリウムのようなシャープな輪郭で金属質なキレ感とは異なるものの、非常にハッキリとした音で鳴らしていく印象。アコースティックな残響感を楽しむような音作りとは真逆ですし、包み込むような音場感もありませんが、非常に厚く、量感を持って、かつ1音1音をしっかり刻んでくれる低音です。


■ まとめ

KBEAR Streamer (流光)というわけで、「KBEAR Streamer (流光)」は60ドル級、1万円以下の購入しやすい価格帯ながら、非常に質の高い美しいシェルデザインを採用し、音質面ではKBEARらしいドンシャリ傾向を維持しつつも表現力の高いダイレクト感のあるサウンドを楽しむことが出来るイヤホンでした。
分かりやすいドンシャリ傾向というと「原音忠実性とか何それ」みたいな「楽しさ重視」の印象があり、それ自体もリスニングイヤホンとしては決して悪いことではないのですが、「KBEAR Streamer (流光)」については、下手に○○ターゲットに寄せて粗さが目立つだけのアンダー100ドル級の製品を横目に、ドンシャリでもしっかり耳コピに使えるような表現力の高さを持っており、「f値偏重」的な流れに一石を投じる心意気みたいなものを感じるチューニングだと感じました。
レビュー掲載時点では、アマゾンで在庫もあり、大幅な割引も得られますので、興味のある方は是非とも購入されることをお勧めします。個人的には反応の良い銀メッキ線ケーブルにリケーブルして、駆動力のある再生環境でしっかり鳴らすのが良いと思いますよ(^^)。