こんにちは。今回は「Moondrop CHU II(竹2)」です。日本でも9月から国内版が発売となっているMoondropの新しいエントリーモデルです。「CHU(竹1)」のデザインを踏襲し、搭載ドライバーをグレードアップ。さらにリケーブルに対応するなどさまざまなアップデートが行われています。音質的にもライトユーザーを中心に幅広く楽しめるオールラウンドな完成度の高さが印象的です。
■ 製品概要からのまとめと購入方法について
中華イヤホン分野でトップブランドのひとつに成長したMoondrop(水月雨)の新たなエントリーグレードの製品が「Moondrop CHU II(竹2)」です。「エントリーレベルIEMの競争に終止符を打つ」という強気のコンセプトが示すとおり、20ドル以下の価格設定ながら上位グレードで使用した材料や技術を使用。搭載ドライバーを高性能化し、リケーブルにも対応するなど数々のアップグレードを行っています。
搭載するドライバーは、アルミニウムマグネシウム合金ドーム・複合振動板ダイナミックドライバーで、振動板のドーム素材にアルミニウムマグネシウム(Al-Mg)合金を採用し、高剛性・軽量化を実現。エッジ部には特性の異なる2種類のポリマー複合素材を使用し非線形歪みも大幅に低減しています。新しい振動板の採用で高域の音域幅を拡大し、より優れたディテールをもたらすとともに、より深い低域を実現しています。また新しいダイナミックドライバーはN52マグネット、0.03mmと極薄のCCAWボイスコイルなどにより音響特性を向上させています。
「Moondrop CHU II(竹2)」のキャビティ構造は「CHU(竹1)」と同一のデザインを採用し、Moondropの合金鋳造技術を使用して製造されています。また0.78mm 2pinコネクタの採用でリケーブルも可能です。イヤーノズルはCNC 加工された真鍮素材を使用。ノズル部分のフィルターは交換可能で、破損や詰まりが発生した場合はノズル部分を取り外して容易に交換が可能です。
パッケージ内容は、イヤホン本体、ケーブル、イヤーピース(S/M/Lサイズ)、レザーポーチ、説明書、保証カードほか。ケース付きなのもうれしいですね。
「Moondrop CHU II(竹2)」の本体は「CHU(竹)」や「LAN」と同様の形状の亜鉛合金による金属製で、つや消しブラックの表面処理でよりシンプルなフェイスデザインとなっています。コンパクトなフェイスデザインで耳への収まりも良く、装着性も良好です。
ケーブルはリケーブル可能な銀メッキ線で、「CHU(竹)」のリケーブル不可仕様でいかにも低価格なケーブルだった点から大きくアップグレードしています。リケーブルが可能になったことで購入を検討しようという方もそれなりにいそうですね。付属ケーブルは一般的な銀メッキ線タイプですがこのクラスとしては十分に使いやすい印象です。
イヤーピースはMoondrop製イヤホンで毎度付属しているグレーのもの。付属品のほか定番の「スパイラルドット」や「AET07」(互換品を含む)、「SpinFit CP100+」「TRN T-Eartips」など、自分の耳に合う最適なイヤピースを選択するのも良いでしょう。私は最近大量に買い増しした「TRN T-Eartips」を使用しています。
■ サウンドインプレッション
「Moondrop CHU II(竹2)」の音質傾向はニュートラル方向でU字方向のサウンド。以前の「CHU(竹)」より低域の厚みが増しており○○ターゲット的な傾向のなかでもやや中低域に寄った最近の流行りに乗っている感じもあります。Moondrop製品は基本的に独自の「Virtual Diffusion Sound Field (VDSF)」ターゲットカーブをもとにチューニングされており、よりニュートラルな印象を受けるサウンドバランスになっています。要するにハーマンターゲットのMoondrop版みたいなものですが、ドライバーの種類や製品のキャラクターに応じてVDSFのリファレンスから製品ごとに微妙に変化を付けているようですね。低価格でニュートラル方向のサウンドというと、とかく粗さが目立つものですが、「Moondrop CHU II(竹2)」ではそのような印象はほぼありません。ドーム部とエッジで異なる材質を使用し入念に調整された新しいドライバーは20ドル以下としてはかなり質感が高い印象で、ライトユーザーはもちろん、ある程度のマニアでも十分に楽しめる仕上がりになっています。
そしてリケーブルに対応することで、ケーブルの特徴によってもさまざまな変化を楽しむことが出来ます。本体のポテンシャルは確保されており、ある程度情報量の多いケーブルでしっかり鳴らしても破綻することはありません。また付属のケーブルは取り回しが良く使いやすい質感で、情報量が多いわけではないものの、スマートフォン直挿しや小型オーディオアダプターでも「Moondrop CHU II(竹2)」のサウンドを十分に楽しめる印象で、マニア以外のライトユーザーにとっても十分に実用的だろうと感じました。
「Moondrop CHU II(竹2)」の高域は、聴きやすい印象ながら適度に明瞭さもある音を鳴らします。付属ケーブルでもハイハットなどはスッキリとした印象で描写され、刺さることは無いものの煌めきもあります。「CHU(竹1)」より低域の厚みが増し、相対的に暗めに感じますが、エネルギッシュさを感じさせる主張があり楽しさも感じさせる高音です。
中音域は自然な距離感で鳴り、曲によっては僅かに凹みますが、自然な印象を維持しつつ明瞭でやや元気に鳴るチューニングで、さまざまなジャンルの曲で楽しいリスニング体験を演出します。付属ケーブルでも十分に見通しの良さがあり、透明度も比較的高い印象。ボーカルも明瞭で、女性ボーカルやピアノの高音などの中高域は鮮やかさがあります。男性ボーカルなども豊かさがあり、全体として自然な表現力を感じます。音場は広く演奏は生き生きとした楽しさがあります。上位モデルと比較して解像感や分離と音色、定位など原音忠実性という点では価格なりの割り切りがあるものの、リスニングイヤホンとしてはむしろ心地よく、臨場感のあるサウンドにしっかり浸れる印象ですね。
■ まとめ
というわけで「Moondrop CHU II(竹2)」ですが、海外版は数ヶ月前からリリースされており、既に入手されている方や海外レビューでの高い評価などでもその実力は既に広がっています。私も実際に聴いてみて改めて完成度の高さを実感するともに、個人的には「付属ケーブルでスマートフォン直挿し」でも十分にその質の高さを楽しめる、という点に驚かされました。同時に、リケーブルなどで追い込むマニア向けに楽しむ余地もしっかりあり、オールラウンドとは本来こういうものだな、と思いました。惜しむらくは円安の影響などもろもろの理由で国内版の価格がそこまで劇的に安価ではないことでしょうか。この製品が3千円以下だったらライトユーザー向けとしては本当に無双だな、と思います。もっともその場合はゲーム用のマイク付きケーブル付きとかも出て欲しい、となるかもですが。何はともあれ、興味のある方は是非とも購入してみるのも良いと思いますよ。
中華イヤホン分野でトップブランドのひとつに成長したMoondrop(水月雨)の新たなエントリーグレードの製品が「Moondrop CHU II(竹2)」です。「エントリーレベルIEMの競争に終止符を打つ」という強気のコンセプトが示すとおり、20ドル以下の価格設定ながら上位グレードで使用した材料や技術を使用。搭載ドライバーを高性能化し、リケーブルにも対応するなど数々のアップグレードを行っています。
搭載するドライバーは、アルミニウムマグネシウム合金ドーム・複合振動板ダイナミックドライバーで、振動板のドーム素材にアルミニウムマグネシウム(Al-Mg)合金を採用し、高剛性・軽量化を実現。エッジ部には特性の異なる2種類のポリマー複合素材を使用し非線形歪みも大幅に低減しています。新しい振動板の採用で高域の音域幅を拡大し、より優れたディテールをもたらすとともに、より深い低域を実現しています。また新しいダイナミックドライバーはN52マグネット、0.03mmと極薄のCCAWボイスコイルなどにより音響特性を向上させています。
「Moondrop CHU II(竹2)」のキャビティ構造は「CHU(竹1)」と同一のデザインを採用し、Moondropの合金鋳造技術を使用して製造されています。また0.78mm 2pinコネクタの採用でリケーブルも可能です。イヤーノズルはCNC 加工された真鍮素材を使用。ノズル部分のフィルターは交換可能で、破損や詰まりが発生した場合はノズル部分を取り外して容易に交換が可能です。
「Moondrop CHU II(竹2)」の国内版価格は4,590円前後、海外版は18.99ドルです。
Amazon.co.jp(国内正規品): Moondrop 竹-CHU 2 ※9月1日発売/次回入荷待ち
免責事項:
本レビューは個人的に製品を購入し掲載している「購入者レビュー」となります。
本レビューに対してそれ以外の金銭的やりとりは一切無く、レビュー内容が他の手段で影響されることはありません。以下の記載内容はすべて私自身の感想によるものとなります。
■ パッケージ構成、製品の外観および内容について
「Moondrop 竹-CHU 2」のパッケージはコンパクトなボックス。国内版は円安の影響もあってそれなりの金額になっていますが、アンダー20ドル級と考えるとかなりしっかりしたパッケージといえるでしょう。
パッケージ内容は、イヤホン本体、ケーブル、イヤーピース(S/M/Lサイズ)、レザーポーチ、説明書、保証カードほか。ケース付きなのもうれしいですね。
「Moondrop CHU II(竹2)」の本体は「CHU(竹)」や「LAN」と同様の形状の亜鉛合金による金属製で、つや消しブラックの表面処理でよりシンプルなフェイスデザインとなっています。コンパクトなフェイスデザインで耳への収まりも良く、装着性も良好です。
ケーブルはリケーブル可能な銀メッキ線で、「CHU(竹)」のリケーブル不可仕様でいかにも低価格なケーブルだった点から大きくアップグレードしています。リケーブルが可能になったことで購入を検討しようという方もそれなりにいそうですね。付属ケーブルは一般的な銀メッキ線タイプですがこのクラスとしては十分に使いやすい印象です。
イヤーピースはMoondrop製イヤホンで毎度付属しているグレーのもの。付属品のほか定番の「スパイラルドット」や「AET07」(互換品を含む)、「SpinFit CP100+」「TRN T-Eartips」など、自分の耳に合う最適なイヤピースを選択するのも良いでしょう。私は最近大量に買い増しした「TRN T-Eartips」を使用しています。
■ サウンドインプレッション
「Moondrop CHU II(竹2)」の音質傾向はニュートラル方向でU字方向のサウンド。以前の「CHU(竹)」より低域の厚みが増しており○○ターゲット的な傾向のなかでもやや中低域に寄った最近の流行りに乗っている感じもあります。Moondrop製品は基本的に独自の「Virtual Diffusion Sound Field (VDSF)」ターゲットカーブをもとにチューニングされており、よりニュートラルな印象を受けるサウンドバランスになっています。要するにハーマンターゲットのMoondrop版みたいなものですが、ドライバーの種類や製品のキャラクターに応じてVDSFのリファレンスから製品ごとに微妙に変化を付けているようですね。低価格でニュートラル方向のサウンドというと、とかく粗さが目立つものですが、「Moondrop CHU II(竹2)」ではそのような印象はほぼありません。ドーム部とエッジで異なる材質を使用し入念に調整された新しいドライバーは20ドル以下としてはかなり質感が高い印象で、ライトユーザーはもちろん、ある程度のマニアでも十分に楽しめる仕上がりになっています。
そしてリケーブルに対応することで、ケーブルの特徴によってもさまざまな変化を楽しむことが出来ます。本体のポテンシャルは確保されており、ある程度情報量の多いケーブルでしっかり鳴らしても破綻することはありません。また付属のケーブルは取り回しが良く使いやすい質感で、情報量が多いわけではないものの、スマートフォン直挿しや小型オーディオアダプターでも「Moondrop CHU II(竹2)」のサウンドを十分に楽しめる印象で、マニア以外のライトユーザーにとっても十分に実用的だろうと感じました。
「Moondrop CHU II(竹2)」の高域は、聴きやすい印象ながら適度に明瞭さもある音を鳴らします。付属ケーブルでもハイハットなどはスッキリとした印象で描写され、刺さることは無いものの煌めきもあります。「CHU(竹1)」より低域の厚みが増し、相対的に暗めに感じますが、エネルギッシュさを感じさせる主張があり楽しさも感じさせる高音です。
中音域は自然な距離感で鳴り、曲によっては僅かに凹みますが、自然な印象を維持しつつ明瞭でやや元気に鳴るチューニングで、さまざまなジャンルの曲で楽しいリスニング体験を演出します。付属ケーブルでも十分に見通しの良さがあり、透明度も比較的高い印象。ボーカルも明瞭で、女性ボーカルやピアノの高音などの中高域は鮮やかさがあります。男性ボーカルなども豊かさがあり、全体として自然な表現力を感じます。音場は広く演奏は生き生きとした楽しさがあります。上位モデルと比較して解像感や分離と音色、定位など原音忠実性という点では価格なりの割り切りがあるものの、リスニングイヤホンとしてはむしろ心地よく、臨場感のあるサウンドにしっかり浸れる印象ですね。
低域は、ニュートラルなバランスながらしっかりとした量感と厚みがあり、ミッドベースは適度な締まりとともに躍動感を感じさせます。重低音も深く沈みつつ明瞭で、全体としての広い空間表現と鮮明さを演出しています。「CHU(竹1)」と比較しても明らかに質感が向上しており、新しいドライバーによる解像感が向上したディテール表現や忠実さのある細かなニュアンスなどはこの価格帯としては特筆すべきだと感じました。
■ まとめ
というわけで「Moondrop CHU II(竹2)」ですが、海外版は数ヶ月前からリリースされており、既に入手されている方や海外レビューでの高い評価などでもその実力は既に広がっています。私も実際に聴いてみて改めて完成度の高さを実感するともに、個人的には「付属ケーブルでスマートフォン直挿し」でも十分にその質の高さを楽しめる、という点に驚かされました。同時に、リケーブルなどで追い込むマニア向けに楽しむ余地もしっかりあり、オールラウンドとは本来こういうものだな、と思いました。惜しむらくは円安の影響などもろもろの理由で国内版の価格がそこまで劇的に安価ではないことでしょうか。この製品が3千円以下だったらライトユーザー向けとしては本当に無双だな、と思います。もっともその場合はゲーム用のマイク付きケーブル付きとかも出て欲しい、となるかもですが。何はともあれ、興味のある方は是非とも購入してみるのも良いと思いますよ。