こんにちは。今回は「Moondrop Starfield 2」(または「Starfield II」)です。リチウムマグネシウム合金ドーム複合振動板ダイナミックドライバーを新たに搭載し、メタリックブルーのカラーリングを継承しつつシェルデザインも一新。よりリスニングイヤホンとしての方向性を明確化したサウンドに進化した製品となりました。あと写真の横に移っている極小の黒いチップは「低域強化用」のアイテムだったりします(^^;)。
■ 製品概要からのまとめと購入方法について
「Moondrop Starfield 2」は「水月雨(Moondrop)」の100ドル級のシングルダイナミック構成のイヤホンです。名称の通り、既存モデルの「Starfield」の後継またはアップグレードに相当するモデルで、メタリックブルーのカラーリングを踏襲しつつも、シェル形状を始め全ての要素を一新したモデルになります。
新たに誕生した「Moondrop Starfield 2」の鮮烈なメタリックブルーの本体は「Starfield」を継承した合金鋳造プロセスによるシェルの成形とCNC加工による細部処理を施しています表面にはディープブルーパープルの塗装を施し、照明の角度で虹色に輝く質感により星の海を表現しています。
また「Moondrop Starfield 2」ではドライバーにリチウムマグネシウム(Li-Mg)合金ドーム複合振動板を採用。Li-Mg合金はベリリウムドームより遙かに軽量かつ十分な剛性を持ち、さらに非常に優れた減衰率により周波数帯域幅を大幅に増加、ディテールの再生性を向上させ、高い制振性により高音の自然さを向上させることができます。またMoondropの最先端の電気音響技術により、優れたチューニングを実現しています。
そして音響ノズル部には真鍮金メッキノズルを備え、先端は簡単に取り外しして目詰まり防止の音響フィルターを容易に交換することができます。
「Moondrop Starfield 2」は独自の「Virtual Diffusion Sound Field (VDSF)」ターゲットカーブに基づきチューニングされ、ハードウェア性能をフルに発揮させながら、自然で開放的な、ディテールまで完全に再現されたサウンドを実現しています。また同梱された「低音増強用チップ」を取り付けることで、低音を大幅に強化することも可能です。
「Moondrop Starfield 2」の価格は109.99ドル、国内正規品は19,170円前後です。
HiFiGo(hifigo.com): Moondrop Starfield 2
Linsoul(linsoul.com): Moondrop Starfield 2
Amazon.co.jp(国内正規品): Moondrop Starfield 2 ※9月1日発売/次回入荷待ち
■ パッケージ構成、製品の外観および内容について
というわけで、例によって海外版がリリースしてすぐに購入しましたので、レビュー時点で届いてから1ヶ月ほど使用してます。既存の「Starfield」は「KXXS」より幅広い層をターゲットにした下位モデル的な位置づけでしたが、現在はこのセグメントは「Aria」および「Aria Snow」が担っていますので、「Moondrop Starfield 2」ではちょっとクラスアップした感じです。
パッケージも「KXXS」や平面駆動モデルの「Stellaris」と同様のサイズになっています。いっぽうでこれらのモデルが線画のパッケージなのに対し、こちらは結構押し強めのカラーイラストですね。
パッケージの裏面は例によってスペックとf値などの情報が記載されます。個人的には漢字表記で「水月雨ー星野2」と記載されていて「なるほど、Starfieldだから、そりゃそうだよね」と今頃になって納得。Moondropの社長さんがアニメ好き(ヲタク)で「Blessing」シリーズや「KATO」が某アニメから取ってる製品名だというのは周知の話ですが、そうなると「Starfield」もきっとそういうことですよね。既存の「Starfield」が出た当時もコミックは有名だったと思いますがアニメ化してなかったので全然気付きませんでした(^^;)。
パッケージ内容はイヤホン本体、ケーブル、イヤーピース、低音増強用チップ2種類、それぞれ3セット、レザーケース、説明書、保証書ほか。ちなみに、「Moondrop Starfield 2」では製品説明の通りノズルのメッシュパーツの交換が容易になりましたが、交換用のメッシュパーツそのものは付属しないみたいです(謎)。
本体は鋳造による合金製。つまりダイキャストですね。細部はCNC加工により既存の「Starfield」より精密感のある仕上がりになっています。フェイス部分に「Stellaris」と同様の真鍮製の円形のパーツが埋め込まれており気圧調整を行う仕組みになっています。メタリックブルーに銀河をイメージしたゴールドのストライプ模様が美しいですね。
「Moondrop Starfield 2」も金属製のため、本体はやや重量がありますが、既存の「Starfield」より比較すると若干小型化しています。また付属ケーブルもより太くしっかり耳掛け部分で固定できる仕様のため耳から落ちることは少ないでしょう。それでも付属のグレーのイヤーピースではちょっと心許ないので、よりフィット感の良いイヤーピースに交換したいところ。Moondropには「KATO」などに付属する「Spring Tips(清泉)」というイヤーピース製品がありますが、他にも定番の「スパイラルドット」や「AET07」(互換品を含む)、「SpinFit CP100+」「TRN T-Eartips」など、そして「Stellaris」に付属する「Softears U.C.」など、自分の耳に合う最適なイヤピースを選択するのも良いでしょう。
ケーブルは本体カラーに合わせたブルーの被膜の4芯タイプの銀メッキ線ケーブルが付属します「Starfield」より太さも大幅にアップし、ゴールドの金属部品など分かりやすくグレードアップしていますね。コネクタは0.78mm 2pinタイプで本体に若干の窪みがありますが、CIEM 2pinのほか中華2pinケーブルでも(フラットタイプ以外なら)利用できます。
そして「Moondrop Starfield 2」には本体背面のベント(空気孔)を塞いで低音を増強するための樹脂製の極小チップ(低音増強用チップ)が2種類付属します。穴あきタイプと穴無しタイプで、特に穴無しタイプは大幅な低音増強用ということになります。極小パーツで紛失や破損しやすいため3ペアずつ付属しますね。ただ、ピンセットが無いと装着不能で、さらに老眼が進行しているとたぶん使えないサイズ感と、おっさんにはかなりしんどい仕様となっております・・・(汗)。
■ サウンドインプレッション
「Moondrop Starfield 2」の音質傾向は、明るくハッキリした印象でバランスとしては同社らしいニュートラル感を保ちつつV字方向にチューニングされています。よりスッキリとした見通しの良さが有り、既存の「Starfield」よりドンシャリ感のある印象ですね。中高域には強めの主張があり高域も明瞭に伸びるため、かなりスッキリした寒色系の印象を受けます。低域強化用のチップを未装着の状態でも低域はパンチ力と締まりがありますが、中高域に比べると量感は少なめのため、特に重低音が物足りない方はチップ(特に穴無しタイプ)を加えるとより楽しいサウンドに変化すると思います。
新しいLi-Mg合金振動板は、スピード感のあるタイトなサウンドで鳴り、従来より硬質な印象で、「KXXS」から「KATO」に続く柔らかな透明感のあるサウンドとは明確なキャラクターの違いを感じさせます。いっぽうで全体として中高域寄りのバランスはMoondropの「VSDF」ターゲットにより準拠しており、自然な広さを持つ音場感とボーカルと演奏の立体的な定位を実現しています。またインピーダンス 15Ω(±15%)、感度122dBとかなり反応の良い仕様のため、比較的鳴らしやすく、また小型のオーディオアダプターでも元気な印象で再生されるのも特徴的ですね。
「Moondrop Starfield 2」の高域は明るくハッキリとした音で明瞭になります。従来のMoondropよりやや硬質でスッキリした印象で、鮮やかさとスピード感のある音です。それでも1音1音は非常に繊細で、過度なギラつきなどは無く、よく整理された印象で騒々しさはありません。この辺の表現力の高さはMoondropらしく、ドンシャリ傾向のサウンドでも他社とは異なる印象を持つ部分でしょう。透明感は「KATO」などには及びませんが十分に高く、直線的な伸びがあり適度に煌びやかです。環境によって刺激を感じやすい場合もありますが、イヤーピースを換えてみることでかなり印象は変わりますので、いろいろ試して見ることをお勧めします。
中音域は曲によって僅かに凹みますが、非常に明瞭で見通しが良いため、不足を感じることはありません。ボーカルなどは比較的近くに定位し、生々しさと光沢があります。全体的にスピード感がありキビキビとした印象で音像もハッキリしています。
女性ボーカルやピアノの高音などの中高域には適度なアクセントがあり、より明瞭感を高めつつ、伸びやかさと抜け感があります。
男性ボーカルはタイトながら輪郭は自然な範囲ですが、中低域はやや凹みがあるため、余韻はややサッパリしています。ただし、これが低域強化用のチップを装着することで重低音の厚みが増し、男性ボーカルも豊かさを感じやすくなります。
音場は自然な広さと奥行きがあり、ボーカルと演奏の分離も良く定位も正確です。ただし再生環境や音源によっては(コンプ強めのJ-POPやアニソンなど)よりボーカルが前傾して鳴るため音場も圧縮される印象になります。もっともこれは「音源のまま」を鳴らしているとも言えますが、上流(DAPやアンプなど)に加え、イヤーピースやリケーブルなどで結構印象の変化があるため、気になる方はいろいろ試して見ることをお勧めします。
低域は通常の状態では、量的にはニュートラル方向でやや控えめなものの、十分に力強く、パンチ力のある音を鳴らします。また重低音も非常に深くエネルギッシュです。しかし低域全体としては非常にタイトで締まりがあるため全体としてはスッキリした印象でまとめられているのが特徴的です。中高域との分離も良く、解像感とスピード感のある音のため全体としてとてもキビキビとして元気な印象を与えます。ここで低域強化用のチップを加えると、全体の抜け感と解像度は若干下がるものの、重低音の厚みが増し、より深くパワフルな低域になります。ただ全体としてより派手なドンシャリ傾向(ドンドン、シャリシャリ、ですね)になるため、より楽しさ重視で、ニュートラルなリスニングを好まれる方には合わないかもしれませんね。
■ まとめ
というわけで、「Moondrop Starfield 2」はまさに「Starfield」の正統進化バージョンという印象のサウンドで、Moondrop的なV字方向、ドンシャリ傾向のサウンドを提示するイヤホンとして完成度が高まった印象です。以前の「Starfield」は「KXXS」の廉価版的なイメージもあり、完全に方向性を振り切れていない印象もありましたが、「KATO」がよりフラット方向のニュートラルさを高め、「KXXS」の方向性を高めたことで、別の視点では「面白み」という点でもニュートラルに鳴ったのに対し、「Moondrop Starfield 2」はさらにリスニングイヤホンとしての方向性を明確にすることで、より多くのユーザーに楽しめる高音質イヤホンに成長したと思います。カラフルなパッケージデザインもより多くのユーザーに訴求するための意気込みを感じますね。惜しむらくは円安の影響で日本では以前の「KXXS」くらいの価格になってしまうことですが、それでも多くのユーザーにお勧めできるイヤホンだと思います。あ、あと「低域強化用のチップ」はもうすこし老眼傾向のおっさんユーザーにも優しい設計だと有り難かったですね(^^;)。
「Moondrop Starfield 2」は「水月雨(Moondrop)」の100ドル級のシングルダイナミック構成のイヤホンです。名称の通り、既存モデルの「Starfield」の後継またはアップグレードに相当するモデルで、メタリックブルーのカラーリングを踏襲しつつも、シェル形状を始め全ての要素を一新したモデルになります。
新たに誕生した「Moondrop Starfield 2」の鮮烈なメタリックブルーの本体は「Starfield」を継承した合金鋳造プロセスによるシェルの成形とCNC加工による細部処理を施しています表面にはディープブルーパープルの塗装を施し、照明の角度で虹色に輝く質感により星の海を表現しています。
また「Moondrop Starfield 2」ではドライバーにリチウムマグネシウム(Li-Mg)合金ドーム複合振動板を採用。Li-Mg合金はベリリウムドームより遙かに軽量かつ十分な剛性を持ち、さらに非常に優れた減衰率により周波数帯域幅を大幅に増加、ディテールの再生性を向上させ、高い制振性により高音の自然さを向上させることができます。またMoondropの最先端の電気音響技術により、優れたチューニングを実現しています。
そして音響ノズル部には真鍮金メッキノズルを備え、先端は簡単に取り外しして目詰まり防止の音響フィルターを容易に交換することができます。
「Moondrop Starfield 2」は独自の「Virtual Diffusion Sound Field (VDSF)」ターゲットカーブに基づきチューニングされ、ハードウェア性能をフルに発揮させながら、自然で開放的な、ディテールまで完全に再現されたサウンドを実現しています。また同梱された「低音増強用チップ」を取り付けることで、低音を大幅に強化することも可能です。
「Moondrop Starfield 2」の価格は109.99ドル、国内正規品は19,170円前後です。
HiFiGo(hifigo.com): Moondrop Starfield 2
Linsoul(linsoul.com): Moondrop Starfield 2
Amazon.co.jp(国内正規品): Moondrop Starfield 2 ※9月1日発売/次回入荷待ち
免責事項:
本レビューは個人的に製品を購入し掲載している「購入者レビュー」となります。
本レビューに対してそれ以外の金銭的やりとりは一切無く、レビュー内容が他の手段で影響されることはありません。以下の記載内容はすべて私自身の感想によるものとなります。
■ パッケージ構成、製品の外観および内容について
というわけで、例によって海外版がリリースしてすぐに購入しましたので、レビュー時点で届いてから1ヶ月ほど使用してます。既存の「Starfield」は「KXXS」より幅広い層をターゲットにした下位モデル的な位置づけでしたが、現在はこのセグメントは「Aria」および「Aria Snow」が担っていますので、「Moondrop Starfield 2」ではちょっとクラスアップした感じです。
パッケージも「KXXS」や平面駆動モデルの「Stellaris」と同様のサイズになっています。いっぽうでこれらのモデルが線画のパッケージなのに対し、こちらは結構押し強めのカラーイラストですね。
パッケージの裏面は例によってスペックとf値などの情報が記載されます。個人的には漢字表記で「水月雨ー星野2」と記載されていて「なるほど、Starfieldだから、そりゃそうだよね」と今頃になって納得。Moondropの社長さんがアニメ好き(ヲタク)で「Blessing」シリーズや「KATO」が某アニメから取ってる製品名だというのは周知の話ですが、そうなると「Starfield」もきっとそういうことですよね。既存の「Starfield」が出た当時もコミックは有名だったと思いますがアニメ化してなかったので全然気付きませんでした(^^;)。
パッケージ内容はイヤホン本体、ケーブル、イヤーピース、低音増強用チップ2種類、それぞれ3セット、レザーケース、説明書、保証書ほか。ちなみに、「Moondrop Starfield 2」では製品説明の通りノズルのメッシュパーツの交換が容易になりましたが、交換用のメッシュパーツそのものは付属しないみたいです(謎)。
本体は鋳造による合金製。つまりダイキャストですね。細部はCNC加工により既存の「Starfield」より精密感のある仕上がりになっています。フェイス部分に「Stellaris」と同様の真鍮製の円形のパーツが埋め込まれており気圧調整を行う仕組みになっています。メタリックブルーに銀河をイメージしたゴールドのストライプ模様が美しいですね。
「Moondrop Starfield 2」も金属製のため、本体はやや重量がありますが、既存の「Starfield」より比較すると若干小型化しています。また付属ケーブルもより太くしっかり耳掛け部分で固定できる仕様のため耳から落ちることは少ないでしょう。それでも付属のグレーのイヤーピースではちょっと心許ないので、よりフィット感の良いイヤーピースに交換したいところ。Moondropには「KATO」などに付属する「Spring Tips(清泉)」というイヤーピース製品がありますが、他にも定番の「スパイラルドット」や「AET07」(互換品を含む)、「SpinFit CP100+」「TRN T-Eartips」など、そして「Stellaris」に付属する「Softears U.C.」など、自分の耳に合う最適なイヤピースを選択するのも良いでしょう。
ケーブルは本体カラーに合わせたブルーの被膜の4芯タイプの銀メッキ線ケーブルが付属します「Starfield」より太さも大幅にアップし、ゴールドの金属部品など分かりやすくグレードアップしていますね。コネクタは0.78mm 2pinタイプで本体に若干の窪みがありますが、CIEM 2pinのほか中華2pinケーブルでも(フラットタイプ以外なら)利用できます。
そして「Moondrop Starfield 2」には本体背面のベント(空気孔)を塞いで低音を増強するための樹脂製の極小チップ(低音増強用チップ)が2種類付属します。穴あきタイプと穴無しタイプで、特に穴無しタイプは大幅な低音増強用ということになります。極小パーツで紛失や破損しやすいため3ペアずつ付属しますね。ただ、ピンセットが無いと装着不能で、さらに老眼が進行しているとたぶん使えないサイズ感と、おっさんにはかなりしんどい仕様となっております・・・(汗)。
■ サウンドインプレッション
「Moondrop Starfield 2」の音質傾向は、明るくハッキリした印象でバランスとしては同社らしいニュートラル感を保ちつつV字方向にチューニングされています。よりスッキリとした見通しの良さが有り、既存の「Starfield」よりドンシャリ感のある印象ですね。中高域には強めの主張があり高域も明瞭に伸びるため、かなりスッキリした寒色系の印象を受けます。低域強化用のチップを未装着の状態でも低域はパンチ力と締まりがありますが、中高域に比べると量感は少なめのため、特に重低音が物足りない方はチップ(特に穴無しタイプ)を加えるとより楽しいサウンドに変化すると思います。
新しいLi-Mg合金振動板は、スピード感のあるタイトなサウンドで鳴り、従来より硬質な印象で、「KXXS」から「KATO」に続く柔らかな透明感のあるサウンドとは明確なキャラクターの違いを感じさせます。いっぽうで全体として中高域寄りのバランスはMoondropの「VSDF」ターゲットにより準拠しており、自然な広さを持つ音場感とボーカルと演奏の立体的な定位を実現しています。またインピーダンス 15Ω(±15%)、感度122dBとかなり反応の良い仕様のため、比較的鳴らしやすく、また小型のオーディオアダプターでも元気な印象で再生されるのも特徴的ですね。
「Moondrop Starfield 2」の高域は明るくハッキリとした音で明瞭になります。従来のMoondropよりやや硬質でスッキリした印象で、鮮やかさとスピード感のある音です。それでも1音1音は非常に繊細で、過度なギラつきなどは無く、よく整理された印象で騒々しさはありません。この辺の表現力の高さはMoondropらしく、ドンシャリ傾向のサウンドでも他社とは異なる印象を持つ部分でしょう。透明感は「KATO」などには及びませんが十分に高く、直線的な伸びがあり適度に煌びやかです。環境によって刺激を感じやすい場合もありますが、イヤーピースを換えてみることでかなり印象は変わりますので、いろいろ試して見ることをお勧めします。
中音域は曲によって僅かに凹みますが、非常に明瞭で見通しが良いため、不足を感じることはありません。ボーカルなどは比較的近くに定位し、生々しさと光沢があります。全体的にスピード感がありキビキビとした印象で音像もハッキリしています。
女性ボーカルやピアノの高音などの中高域には適度なアクセントがあり、より明瞭感を高めつつ、伸びやかさと抜け感があります。
男性ボーカルはタイトながら輪郭は自然な範囲ですが、中低域はやや凹みがあるため、余韻はややサッパリしています。ただし、これが低域強化用のチップを装着することで重低音の厚みが増し、男性ボーカルも豊かさを感じやすくなります。
音場は自然な広さと奥行きがあり、ボーカルと演奏の分離も良く定位も正確です。ただし再生環境や音源によっては(コンプ強めのJ-POPやアニソンなど)よりボーカルが前傾して鳴るため音場も圧縮される印象になります。もっともこれは「音源のまま」を鳴らしているとも言えますが、上流(DAPやアンプなど)に加え、イヤーピースやリケーブルなどで結構印象の変化があるため、気になる方はいろいろ試して見ることをお勧めします。
低域は通常の状態では、量的にはニュートラル方向でやや控えめなものの、十分に力強く、パンチ力のある音を鳴らします。また重低音も非常に深くエネルギッシュです。しかし低域全体としては非常にタイトで締まりがあるため全体としてはスッキリした印象でまとめられているのが特徴的です。中高域との分離も良く、解像感とスピード感のある音のため全体としてとてもキビキビとして元気な印象を与えます。ここで低域強化用のチップを加えると、全体の抜け感と解像度は若干下がるものの、重低音の厚みが増し、より深くパワフルな低域になります。ただ全体としてより派手なドンシャリ傾向(ドンドン、シャリシャリ、ですね)になるため、より楽しさ重視で、ニュートラルなリスニングを好まれる方には合わないかもしれませんね。
■ まとめ
というわけで、「Moondrop Starfield 2」はまさに「Starfield」の正統進化バージョンという印象のサウンドで、Moondrop的なV字方向、ドンシャリ傾向のサウンドを提示するイヤホンとして完成度が高まった印象です。以前の「Starfield」は「KXXS」の廉価版的なイメージもあり、完全に方向性を振り切れていない印象もありましたが、「KATO」がよりフラット方向のニュートラルさを高め、「KXXS」の方向性を高めたことで、別の視点では「面白み」という点でもニュートラルに鳴ったのに対し、「Moondrop Starfield 2」はさらにリスニングイヤホンとしての方向性を明確にすることで、より多くのユーザーに楽しめる高音質イヤホンに成長したと思います。カラフルなパッケージデザインもより多くのユーザーに訴求するための意気込みを感じますね。惜しむらくは円安の影響で日本では以前の「KXXS」くらいの価格になってしまうことですが、それでも多くのユーザーにお勧めできるイヤホンだと思います。あ、あと「低域強化用のチップ」はもうすこし老眼傾向のおっさんユーザーにも優しい設計だと有り難かったですね(^^;)。