こんにちは。今回は 「INTUAURA VIEW Splendor」です。中国の新たしいブランド「INTUAURA」が手がける200ドルオーバーのシングルダイナミック構成の製品です。透明度の高い美しい3Dプリントシェルに様々な独自技術を搭載し、高性能ドライバーと組み合わせたイヤホンですね。サウンドも某社の10万円近いハイエンドモデルをリファレンスとして、多少キャラクターの違いはあるものの匹敵する音質を目指しているそうです。確かに全体的にバランスが良く癖の無い美音系のイヤホンに仕上がっていますね。
■ 製品概要と購入方法について
「INTUAURA」は「Angeldac Audio Store」が取り扱う新しい中華イヤホンブランドです。同社は中国では既に数種類のイヤホンおよびケーブル製品をリリースしているようですね。「INTUAURA」が新たにリリースしたシングルダイナミック構成のミドルグレードのイヤホンが「VIEW」で、中国では上位モデルで複合合金両面コート振動板(ベリリウム相当?)ドライバーを採用した「VIEW Splendor(逸彩)」と、LCP振動板ドライバーを搭載した「VIEW Luster(鎏光)」の2種類のモデルが販売されているようです。そして今回「Angeldac Audio Store」では上位モデルの「INTUAURA VIEW Splendor(逸彩)」を9月17日より販売開始しました。
「INTUAURA VIEW Splendor(逸彩)」はHeyGearsの高精細3Dプリンタによるレジンシェルを採用し、「独自の吸音システム」「A.W.C.T(音響調整テクノロジー)および開放型リアキャビティ構造」「S.O.T1 超広帯域ダイナミックコイル」などの技術を投入することで優れたサウンドを実現しているのが大きな特徴です。
自社開発した独自の吸音システムハウジング内で発生する不協和音を吸収し安定化させる仕組みで、さらに開放型の構造を採用したリアハウジングはよりワイドで自然な音響効果を実現。さらに独自の「A.W.C.T(音響調整テクノロジー)」を用いたチューニングによりサウンドパフォーマンスを最適化。より質感のあるディテールを表現します。
搭載するドライバーは中国のハイエンドドライバーメーカーとの協力により「S.O.T1 超広帯域ダイナミックコイル」など独自技術を投入した高性能ドライバーユニットを開発。「VIEW」シリーズの上位モデルにあたる「INTUAURA VIEW Splendor(逸彩)」では、「複合合金素材の両面二重コーティング振動板」を採用し、ハイエンドのベリリウム振動板と同様のパフォーマンスを実現。5Hz~50kHzの超広帯域のダイナミックレンジとより強力な過渡応答を実現します。また、1.6テスラの磁束密度を実現するN52高性能磁石による二重磁気回路を搭載。大黒電線製のCCAWボイスコイルや共振制御独立リアキャビティ、ステンレス製ブラケットなどを採用することで周波数応答範囲を拡大し低歪みを実現しています。
これら多くの技術を採用した「INTUAURA VIEW Splendor(逸彩)」では、中国の大手ブランドの700ドル級のハイグレード製品をリファレンスとしたチューニングを実現。と、英語表記では記載されていますが、「INTUAURA」社サイトの中国語表記を見るとこのリファレンスが「DUNU Zen Pro」であることが明記されています。両者の周波数特性は非常に近くチューニングされていますが、ドライバー構成や搭載技術などサウンドスタイルの違いを反映した独自の調整を行っています。
「INTUAURA VIEW Splendor(逸彩)」の購入はAliExpressの「Angeldac Audio Store」にて。
価格は229ドルです。AliExpressでの購入方法などはこちらを参照ください。
AliExpress(Angeldac Audio Store): INTUAURA VIEW Splendor
パッケージはカラフルな「VIEW」ロゴを載せたシンプルな白箱デザイン。内容は、本体、ケーブル、イヤーピース、ハードケース、ロゴステッカー、保証カード。イヤーピースは一般的な形状の黒色タイプと開口部の広い白色タイプで、どちらもS/M/Lサイズが2ペアずつ入っていました。
本体は、3Dプリントによるレジン製。出力は「Truthear」あたりの製品でも見かける「HeyGears」の高精細3Dプリンターを使用しているようです。クリアブラックのレジンを使用していますが、透明度が高い材質のため反対側に光が透過するとまるで透明のように見えるという、高級感のある仕上がりになっています。そのため個体ごとに異なる模様のフェイスプレートも実物はより鮮やかで非常に美しいですね。
なお、同社の独自の吸音システムや後方開放型の構造のためシェルは大きめです。後方開放型、というのは側面のVIEWというロゴ部分がスリト状になっており空気孔(ベント)して機能しています。シェル自体は大きめのため、付属のイヤーピースのほか、よりフィット感のあるものを選ぶのが良いでしょう。私は例によって最近大量買いした「TRN T-Eartips」を合わせていますが、この価格帯の製品の場合、製品側でイヤピにこだわって無さそうな場合は基本イヤーピースは別途用意して交換した方がよさそうですね。しっかりイヤーピースを合わせることである程度遮音性は確保できます。また「VIEW」の言う文字で開けられたベント部分からは僅かに音漏れがありますが静かな部屋でなければ気がつかないレベルでしょう。
ケーブルは16芯タイプで購入時に3.5mmと4.4mmが選択できます。今回は4.4mmで届きました。一般的な中華16芯より弾力のある被膜で十分に柔らかいもののしなやかさもありますね。「JIANMU(建木)イヤホンケーブル」として中国では単品販売されているもので、線材は高純度銅線が使用されているとのことですが詳細は不明です。
■ サウンドインプレッション
「INTUAURA VIEW Splendor(逸彩)」の音質傾向はやや中高域寄りのニュートラルバランス。Weiboなどを見ると中国で先にリリースされたLCPモデルの「VIEW Luster」のほうが低域モリモリで、上位モデルに相当する「INTUAURA VIEW Splendor(逸彩)」は低域は多少控えめでニュートラルな方向性にしつつ、高域の伸び感などを向上させている、とのこと。ただ開封直後は最初わりと大人しめ印象を受けたものの、ある程度鳴らていくことで高域の明瞭感や伸びが向上した印象になりました。さらに「FiiO K9 PRO LTD」のような据置きの環境にバランス接続をしたりすると、メリハリ感が一気に「覚醒」する印象となりました。
「INTUAURA VIEW Splendor(逸彩)」の仕様はインピーダンス18.5Ω(±5%)、感度125dB(±3dB)とかなり鳴らしやすく、小型のオーディオアダプター等では特に問題はありませんが、特に強力なアンプなど駆動力のある再生環境ではローゲインでちょうど良い音量となるかもしれません。
個体差もあるかもしれませんが、ある程度十分なエージングをしたほうが良い点と、特に駆動力の違いで印象が激変するため、リケーブルでの変化も大きいと思います。利用している環境で高域の抜け感が弱く感じる場合は明瞭感のある銀メッキ線ケーブルや合金線ケーブルに替えてみるのも良いと思います。
また大きめのシェルデザインのため、イヤーピースのフィット感により特に高域の伸びや低域の量感も変化があります。多少密着性のあるイヤーピースなど、しっかりフィット感が得られるものを選んだ方が良いでしょう。
「INTUAURA VIEW Splendor(逸彩)」は内部のダンパーや開放構造などハウジングに依存するチューニングを行っている製品のため、フィット感を高めることで骨伝導にちょっと近いダイレクトな伝達性が増すような印象もありました。
「INTUAURA VIEW Splendor(逸彩)」の高域は、直線的で明瞭感のある音を鳴らします。解像感は高く分離も高く、やや硬質ながら透明感が有り見通しの良さを感じます。小型のオーディオアダプターなどの場合、いまひとつ伸びきらずウォームな印象を感じる場合もありますが、リケーブルや再生環境の変更で大きく「覚醒」すると思います。この場合鋭い音は鋭く、煌めきを感じる明るい音になります。この場合ある程度の刺激はありますが刺さる一歩手前くらいで調整が行われています(意識してチューニングしているらしく、同社の中国語の製品ページでは「Zen Pro」との違いとしてこの点をグラフを使って説明しています)。
中音域はニュートラルで癖の無い印象で、いっぽうで透明度が高く明瞭な音を鳴らします。ちなみに「INTUAURA VIEW Splendor(逸彩)」のドライバーは複合合金の両面メッキコートによる振動板で「ほぼベリリウム金属振動板みたいなもの(similar beryllium metal diaphragm)」という、何ともざっくりした記述がされています。いや合金ならベリリウムじゃねーし、そもそもメッキじゃん、と至極当然なツッコミを入れるわけですが、リファレンスとしている「Zen Pro」はAl-Mg合金(要するに金属合金ですね)の振動板(正確にはドーム部分)ですし、普通にそっちに寄せてる、と書けば良いのではと思うわけです。
というのも、「INTUAURA VIEW Splendor(逸彩)」の音像表現は非常に「いい線」を行っていて、高域のパフォーマンスの高さと中音域の滑らかさとつながりの良さ、という「Zen Pro」のAl-Mg振動板ぽい特徴をしっかり実現しているのでは、と感じました。特に女性ボーカルの高音などの中音域の伸び感や透明感は非常に顕著に感じられますね。男性ボーカルも自然な厚みと余韻があり不足感はありません。金属振動版やそれこそベリリウムのようなスピード感が有り演奏との分離も良好です。ボーカル域がやや近くで定位するため音場はそこまで広くはありませんが自然な印象で、空間表現も窮屈ではありません。
低域は量的には多くありませんがパワフルでエネルギーがあります。特にしっかりと駆動力をある環境で聴くと重低音がしっかり存在感を示し、非常に心地よい印象となります。また中高域同様にスピード感もあり解像度も高い印象です。
■ まとめ
というわけで、「INTUAURA VIEW Splendor(逸彩)」は200ドルオーバーに見合う外観及び音質を備えたニュートラルな美音系イヤホン、という感じになりますが、そこだけでは無い不思議な魅力を感じる製品だと思いました。まず色々な独自技術について製品ページでも記載されていますが、例えば「Moondrop」や「TANCHJIM」のようなインテリ&オタクのくせにクールにキメて来る感じ(笑)や、「AFUL」のような技術をひたすら蓄積して真理を追求するような生真面目さとも違う、自分から敢えてツッコみどころを量産するような、技術屋にありがちなニヒルさも垣間見える気がします。それはそれで人間味があって楽しいな、と思うわけです。
ちなみに「INTUAURA VIEW Splendor(逸彩)」のチューニングについては、前述の通りAliExpressの英語での製品説明では明記していないものの、中国語の製品ページやWeiboなどをみると、ほぼ「アンダー300ドルのなんちゃってZen Pro(自称)」みたいな雰囲気で(笑)、だけど「まあサウンドスタイルが違うから全く同じじゃないけどね~」というフォローを入れるという、なんとも微笑ましい(?)状態だったりします。実際「Zen Pro」に似ているのか、というと、若干低域控えめで高域の伸びがあるバランスの透明感のある美音系の印象で「まあ言いたいことは分かる」くらいには仕上がっていると思います。とはいえ、当然、違う音ですけどね(^^;)。というわけで、そんな質の良い仕上がりだけど、妙にツッコみどころのあるマニア向けイヤホン、(いろいろ持ってて)違いが分かる貴方に、いかがでしょう(^^)。
「INTUAURA」は「Angeldac Audio Store」が取り扱う新しい中華イヤホンブランドです。同社は中国では既に数種類のイヤホンおよびケーブル製品をリリースしているようですね。「INTUAURA」が新たにリリースしたシングルダイナミック構成のミドルグレードのイヤホンが「VIEW」で、中国では上位モデルで複合合金両面コート振動板(ベリリウム相当?)ドライバーを採用した「VIEW Splendor(逸彩)」と、LCP振動板ドライバーを搭載した「VIEW Luster(鎏光)」の2種類のモデルが販売されているようです。そして今回「Angeldac Audio Store」では上位モデルの「INTUAURA VIEW Splendor(逸彩)」を9月17日より販売開始しました。
「INTUAURA VIEW Splendor(逸彩)」はHeyGearsの高精細3Dプリンタによるレジンシェルを採用し、「独自の吸音システム」「A.W.C.T(音響調整テクノロジー)および開放型リアキャビティ構造」「S.O.T1 超広帯域ダイナミックコイル」などの技術を投入することで優れたサウンドを実現しているのが大きな特徴です。
自社開発した独自の吸音システムハウジング内で発生する不協和音を吸収し安定化させる仕組みで、さらに開放型の構造を採用したリアハウジングはよりワイドで自然な音響効果を実現。さらに独自の「A.W.C.T(音響調整テクノロジー)」を用いたチューニングによりサウンドパフォーマンスを最適化。より質感のあるディテールを表現します。
搭載するドライバーは中国のハイエンドドライバーメーカーとの協力により「S.O.T1 超広帯域ダイナミックコイル」など独自技術を投入した高性能ドライバーユニットを開発。「VIEW」シリーズの上位モデルにあたる「INTUAURA VIEW Splendor(逸彩)」では、「複合合金素材の両面二重コーティング振動板」を採用し、ハイエンドのベリリウム振動板と同様のパフォーマンスを実現。5Hz~50kHzの超広帯域のダイナミックレンジとより強力な過渡応答を実現します。また、1.6テスラの磁束密度を実現するN52高性能磁石による二重磁気回路を搭載。大黒電線製のCCAWボイスコイルや共振制御独立リアキャビティ、ステンレス製ブラケットなどを採用することで周波数応答範囲を拡大し低歪みを実現しています。
これら多くの技術を採用した「INTUAURA VIEW Splendor(逸彩)」では、中国の大手ブランドの700ドル級のハイグレード製品をリファレンスとしたチューニングを実現。と、英語表記では記載されていますが、「INTUAURA」社サイトの中国語表記を見るとこのリファレンスが「DUNU Zen Pro」であることが明記されています。両者の周波数特性は非常に近くチューニングされていますが、ドライバー構成や搭載技術などサウンドスタイルの違いを反映した独自の調整を行っています。
「INTUAURA VIEW Splendor(逸彩)」の購入はAliExpressの「Angeldac Audio Store」にて。
価格は229ドルです。AliExpressでの購入方法などはこちらを参照ください。
AliExpress(Angeldac Audio Store): INTUAURA VIEW Splendor
免責事項:
本レビューではレビューサンプルとしてAngeldac Audioより製品を提供いただきました。機会を提供してくださったことに感謝します。ただし本レビューに対して金銭的やりとりは一切無く、レビュー内容が他の手段で影響されることはありません。以下の記載内容はすべて私自身の感想によるものとなります。
■ パッケージ構成、製品の外観および内容について
というわけで、謎の新製品「INTUAURA VIEW Splendor(逸彩)」です。Angeldacより製品が届いたのは少し前で、当時は調べてもWeiboの情報くらいしかなかったので、コイツは何者ぞ、と思いながら開封&試聴しておりました(^^;)。
パッケージはカラフルな「VIEW」ロゴを載せたシンプルな白箱デザイン。内容は、本体、ケーブル、イヤーピース、ハードケース、ロゴステッカー、保証カード。イヤーピースは一般的な形状の黒色タイプと開口部の広い白色タイプで、どちらもS/M/Lサイズが2ペアずつ入っていました。
本体は、3Dプリントによるレジン製。出力は「Truthear」あたりの製品でも見かける「HeyGears」の高精細3Dプリンターを使用しているようです。クリアブラックのレジンを使用していますが、透明度が高い材質のため反対側に光が透過するとまるで透明のように見えるという、高級感のある仕上がりになっています。そのため個体ごとに異なる模様のフェイスプレートも実物はより鮮やかで非常に美しいですね。
なお、同社の独自の吸音システムや後方開放型の構造のためシェルは大きめです。後方開放型、というのは側面のVIEWというロゴ部分がスリト状になっており空気孔(ベント)して機能しています。シェル自体は大きめのため、付属のイヤーピースのほか、よりフィット感のあるものを選ぶのが良いでしょう。私は例によって最近大量買いした「TRN T-Eartips」を合わせていますが、この価格帯の製品の場合、製品側でイヤピにこだわって無さそうな場合は基本イヤーピースは別途用意して交換した方がよさそうですね。しっかりイヤーピースを合わせることである程度遮音性は確保できます。また「VIEW」の言う文字で開けられたベント部分からは僅かに音漏れがありますが静かな部屋でなければ気がつかないレベルでしょう。
ケーブルは16芯タイプで購入時に3.5mmと4.4mmが選択できます。今回は4.4mmで届きました。一般的な中華16芯より弾力のある被膜で十分に柔らかいもののしなやかさもありますね。「JIANMU(建木)イヤホンケーブル」として中国では単品販売されているもので、線材は高純度銅線が使用されているとのことですが詳細は不明です。
■ サウンドインプレッション
「INTUAURA VIEW Splendor(逸彩)」の音質傾向はやや中高域寄りのニュートラルバランス。Weiboなどを見ると中国で先にリリースされたLCPモデルの「VIEW Luster」のほうが低域モリモリで、上位モデルに相当する「INTUAURA VIEW Splendor(逸彩)」は低域は多少控えめでニュートラルな方向性にしつつ、高域の伸び感などを向上させている、とのこと。ただ開封直後は最初わりと大人しめ印象を受けたものの、ある程度鳴らていくことで高域の明瞭感や伸びが向上した印象になりました。さらに「FiiO K9 PRO LTD」のような据置きの環境にバランス接続をしたりすると、メリハリ感が一気に「覚醒」する印象となりました。
「INTUAURA VIEW Splendor(逸彩)」の仕様はインピーダンス18.5Ω(±5%)、感度125dB(±3dB)とかなり鳴らしやすく、小型のオーディオアダプター等では特に問題はありませんが、特に強力なアンプなど駆動力のある再生環境ではローゲインでちょうど良い音量となるかもしれません。
個体差もあるかもしれませんが、ある程度十分なエージングをしたほうが良い点と、特に駆動力の違いで印象が激変するため、リケーブルでの変化も大きいと思います。利用している環境で高域の抜け感が弱く感じる場合は明瞭感のある銀メッキ線ケーブルや合金線ケーブルに替えてみるのも良いと思います。
また大きめのシェルデザインのため、イヤーピースのフィット感により特に高域の伸びや低域の量感も変化があります。多少密着性のあるイヤーピースなど、しっかりフィット感が得られるものを選んだ方が良いでしょう。
「INTUAURA VIEW Splendor(逸彩)」は内部のダンパーや開放構造などハウジングに依存するチューニングを行っている製品のため、フィット感を高めることで骨伝導にちょっと近いダイレクトな伝達性が増すような印象もありました。
「INTUAURA VIEW Splendor(逸彩)」の高域は、直線的で明瞭感のある音を鳴らします。解像感は高く分離も高く、やや硬質ながら透明感が有り見通しの良さを感じます。小型のオーディオアダプターなどの場合、いまひとつ伸びきらずウォームな印象を感じる場合もありますが、リケーブルや再生環境の変更で大きく「覚醒」すると思います。この場合鋭い音は鋭く、煌めきを感じる明るい音になります。この場合ある程度の刺激はありますが刺さる一歩手前くらいで調整が行われています(意識してチューニングしているらしく、同社の中国語の製品ページでは「Zen Pro」との違いとしてこの点をグラフを使って説明しています)。
中音域はニュートラルで癖の無い印象で、いっぽうで透明度が高く明瞭な音を鳴らします。ちなみに「INTUAURA VIEW Splendor(逸彩)」のドライバーは複合合金の両面メッキコートによる振動板で「ほぼベリリウム金属振動板みたいなもの(similar beryllium metal diaphragm)」という、何ともざっくりした記述がされています。いや合金ならベリリウムじゃねーし、そもそもメッキじゃん、と至極当然なツッコミを入れるわけですが、リファレンスとしている「Zen Pro」はAl-Mg合金(要するに金属合金ですね)の振動板(正確にはドーム部分)ですし、普通にそっちに寄せてる、と書けば良いのではと思うわけです。
というのも、「INTUAURA VIEW Splendor(逸彩)」の音像表現は非常に「いい線」を行っていて、高域のパフォーマンスの高さと中音域の滑らかさとつながりの良さ、という「Zen Pro」のAl-Mg振動板ぽい特徴をしっかり実現しているのでは、と感じました。特に女性ボーカルの高音などの中音域の伸び感や透明感は非常に顕著に感じられますね。男性ボーカルも自然な厚みと余韻があり不足感はありません。金属振動版やそれこそベリリウムのようなスピード感が有り演奏との分離も良好です。ボーカル域がやや近くで定位するため音場はそこまで広くはありませんが自然な印象で、空間表現も窮屈ではありません。
低域は量的には多くありませんがパワフルでエネルギーがあります。特にしっかりと駆動力をある環境で聴くと重低音がしっかり存在感を示し、非常に心地よい印象となります。また中高域同様にスピード感もあり解像度も高い印象です。
■ まとめ
というわけで、「INTUAURA VIEW Splendor(逸彩)」は200ドルオーバーに見合う外観及び音質を備えたニュートラルな美音系イヤホン、という感じになりますが、そこだけでは無い不思議な魅力を感じる製品だと思いました。まず色々な独自技術について製品ページでも記載されていますが、例えば「Moondrop」や「TANCHJIM」のようなインテリ&オタクのくせにクールにキメて来る感じ(笑)や、「AFUL」のような技術をひたすら蓄積して真理を追求するような生真面目さとも違う、自分から敢えてツッコみどころを量産するような、技術屋にありがちなニヒルさも垣間見える気がします。それはそれで人間味があって楽しいな、と思うわけです。
ちなみに「INTUAURA VIEW Splendor(逸彩)」のチューニングについては、前述の通りAliExpressの英語での製品説明では明記していないものの、中国語の製品ページやWeiboなどをみると、ほぼ「アンダー300ドルのなんちゃってZen Pro(自称)」みたいな雰囲気で(笑)、だけど「まあサウンドスタイルが違うから全く同じじゃないけどね~」というフォローを入れるという、なんとも微笑ましい(?)状態だったりします。実際「Zen Pro」に似ているのか、というと、若干低域控えめで高域の伸びがあるバランスの透明感のある美音系の印象で「まあ言いたいことは分かる」くらいには仕上がっていると思います。とはいえ、当然、違う音ですけどね(^^;)。というわけで、そんな質の良い仕上がりだけど、妙にツッコみどころのあるマニア向けイヤホン、(いろいろ持ってて)違いが分かる貴方に、いかがでしょう(^^)。